東南アジア駐在員報告
2015年12月 社会・時事 駐在員 : 吉住理恵子
11月21日(土)、22日(日)、シンガポール日本人会館を会場に、シンガポールビジネス日本語教育国際研究大会が開催された。
経済産業部が実施した『静岡県内企業海外展開状況調査』によれば、平成27(2015)年4月1日現在、静岡県からアセアン地域に459の事業所等が進出している。2011年時点の301事業所と比べ1.5倍超となっており、近年アセアン地域への企業進出が活発化しているという分析を裏付ける。
こうした動きを背景に、海外現地で日本語を話すことができる外国人人材の需要も急激に拡大している。シンガポールでは、経済発展に日本が大きく寄与してきたこともあり、大学などの高等機関で日本語教育は積極的に推進されている。現在、国内の日本語学習者は年間20,000人にのぼるそうだ。本大会は、大学等で日本語を教える日本語教育関係者が2000年に設立した「シンガポール日本語教師の会」の主催で開催され、シンガポールをはじめとするアセアン諸国、日本、米国などから約130名の研究者、企業関係者が参加した。
研究会は大使館などの行政関係者、現地進出企業、そして大学等で日本語を教える教育関係者が一同に会する貴重な場となった。初日のパネルディスカッションでは、現地の日本語学習者が最も難しいと感じる、敬語や日本社会の特異性を日本語習得段階からどのように理解させるのが効果的かという点についての熱心な論議が交わされた。
ビジネスコミュニケーションでは、言語そのものだけでなく、文化的背景を理解することが重要である。『ローカルスタッフは、部屋に入るときに挨拶する習慣がない、上司に頼まれた書類ができると上司の机の上に置いておくだけで手渡しや報告がない』という日本企業関係者からの意見を踏まえて、授業の中で、教室に出入りする時には挨拶をする、宿題を手渡しで書類の方向を教師に向けて渡すように指導し、習慣づけているという話が教師から紹介されると、会場内で深くうなずく企業関係者の姿が多く見られた。
当事務所では、本研究会に協賛し、当日は参加者に対し、呈茶サービスや日本語学習者の教育旅行先として本県の優位性PRを行った。県庁においては、国際交流基金が海外現地の日本語教師を支援するためにアセアン各国で実施する「日本語パートナーズ派遣事業」に協力することを検討していると聞く。日本語学習者に対し、静岡県を印象づけることが、間接的に静岡県進出企業の現地人材確保やインバウンド誘致等に繋がることを期待したい。
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