台湾駐在員報告
2016年8月 行政
駐在員 : 宮崎悌三
2016年6月、台湾における航空最大手のチャイナエアラインの客室乗務員が所属する労働組合が、適正な休暇の確保と残業代などの支給基準の引き上げを要求し、ストライキや労使交渉の結果、要求を全面的に勝ち取ったことが、ニュースを賑わせた。
それ以来、半官半民であるチャイナエアラインの“成功”は、チャイナエアライン傘下のマンダリン航空やライバル航空会社のエバー航空、公営企業である台湾鉄路管理局(在来線を運行)、さらには民間のバス会社にも波及し始めている。
マンダリン航空は、待遇改善に関する交渉が決裂したとして、書き入れ時となる中秋節(今年は9月15日・16日)に、従業員が一斉に休暇を取得するなどの措置で対抗することを決めた。これまで組合加入をしていなかったエバー航空の客室乗務員も、チャイナエアラインの客室乗務員を中心に組織された労働組合に約半数となる1,500人以上が加入したとされる。
また、台湾鉄路管理局では、列車の運転手が加入する組合が待遇改善を求める労使交渉を行っている。慢性的な運転手不足に対し、新規の補充が不十分なため、過重労働を強いられている実態を改善するため、乗客の少ない路線の減便を求めているが、受け入れられない場合は、マンダリン航空と同様に中秋節に一斉に休暇の取得を決行するとしている。
さらに、台北市と隣り合う新北市などで路線バスを運行する新店客運(しんてんきゃくうん)は、8月から毎週土日は全面的にバスの運行を運休する方針を打ち出した。
雪崩のような次々と待遇改善を求める流れは、チャイナエアラインの“成功”の影響だけではなく、同時期に立法院(国会に相当)で審議されていた労働基準法改正案が可決されたことが大きい。改正案には、今年8月1日から週休2日を徹底させるという内容が盛り込まれているが、政府と労使関係者との調整が不十分であることは否めず、政府は、施行直前の7月下旬になって、急きょ施行を2か月延期することを発表した。
7月末、チャイナエアラインは、7月末から10月にかけて台北と日本の東京、大阪、札幌を結ぶ便のうち、低い搭乗率の便や深夜の便を取り消す方針を発表した。閑散期とパイロットの配置を考慮した結果とのことであるが、一連の労使の攻防の影響が、静岡-台北線の運航など、思わぬところに出なければと願っている。
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