ヨーロッパ駐在員報告
2000年3月 社会・時事
駐在員 : 森 貴志
クローン人間誕生への危惧
ドイツ、ミュンヘンに本部を置く、欧州特許局が、職員のミスにより人間の胎児の体細胞に対する遺伝子組み替え技術に特許を与えていたことが発覚、環境保護団体などから抗議の声が高まっている。2月22日の独紙ウェルトによると、クローン人間誕生につながりかねないこの重大ミスに対し、独政府は抗議をする方針である。
問題の特許は、英エディンバラ大学が申請したもの。同大学は遺伝子治療や新薬検査などを目的に、ネズミの体細胞を抽出し、遺伝子を組替えた上で組織培養する技術を6年がかりで開発、昨年12月に同局が特許を許可した。ところが、申請書を審査した職員の見落としで、特許の内容が、人間の胎児から取り出した体細胞を遺伝子操作し、培養可能なものとなっていた。
ドイツやフランスでは、胎児保護法により胎児の手術は禁じられているが、英国では禁止されておらず、欧州連合(EU)内の統一を図るため、同局は昨年夏、動植物の遺伝子組替え技術とともに、人間の遺伝子や体細胞に関する技術も特許の対象とするよう審査基準を改正したが、その際、胎児の体細胞の遺伝子操作については対象外とした。
環境保護団体グリーンピースは、胎児保護法と欧州特許基準違反だとして特許の無効を求めて同局に強く抗議。フィッシャー連邦保健相も、同局の許可は間違いだと指摘した。
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