東南アジア駐在員報告
2020年7月 社会・時事 駐在員 : 福田 渉
ベトナムは6月末の時点で新型コロナウイルス感染者数が累計355名、死者0名で、市中感染者が50日以上確認されていない。第1波の感染拡大を抑制したとして国際的にも高く評価された。拡大を抑えることができた背景には、2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)による知見の蓄積と政府の迅速で柔軟な対応があった。1月30日、感染者はまだ6名だったが政府は国内流行宣言を発令、2月1日には地場の航空会社による中国本土便の運航をすべて停止させた。3月には6万人分の隔離施設を用意させるなど、迅速な水際対策と徹底した隔離措置が行われた。
こうして感染拡大を最小限に抑えたベトナムは、経済の回復に向けて一足早く国際的な往来の再開を模索している。日本政府とも交渉を進めており、6月19日には両国間の出入国規制について段階的に緩和することに合意したことが発表された。6月25日、日本の企業関係者ら150名を乗せた臨時航空便が合意後初めてベトナムに到着した。乗客は全員が医療用防護服を着用して飛行機に乗り、到着時には入国手続きや税関検査に加えて健康申告を行った。入国後は14日間の隔離措置と健康観察を受ける。臨時便の運航は27日までの3日間行われ、約450名が入国した。
一方、カンボジアでは、入国に際して新型コロナウイルス感染症の陰性証明が必要であり、この証明が抗体検査ではなく、PCR検査でなければならないことが判明して、6月24日に首都プノンペンに到着した日本人4名がPCR検査結果を持っておらず、入国を拒否される事態が発生している。入国規制や国内移動の制限は日々刻々と変化しており、日本から海外に渡航する際には、両国の段階的緩和に向けた交渉を眺めつつ、相手国の規制について再度注意深く確認を行わなければならない。
現在、日本に一時帰国中の駐在員の多くは、第1波が収束した時点で現場に戻り、一刻も早く活動を再開したいと考えている。入国の際にはPCR検査について英文の陰性証明を提出しなければならない国も多い。今後、駐在員に限らず国際的な人の往来を再開させていくことを考えると、国内における検査体制の拡充を早急に行わなければならない。
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