中国駐在員報告
2018年5月 社会・時事 駐在員 : 土屋 岳久
2017年末から、中国で『旅かえる』という日本のメーカーが開発した携帯アプリゲームが爆発的なヒットとなっている。『旅かえる』は、主人公のカエルが日本各地を旅し、名産品や風景写真をお土産として持って帰るだけの放置型シミュレーションゲームであるが、全ダウンロードのうち、中国でのダウンロードが95%を占め、アップルストアでのダウンロード数も3,000万件を突破するなど、一大ブームを引き起こしている。先日は、阿里巴巴(アリババ)集団(本社:杭州市)が『旅かえる』の中国本土における配信・運営ライセンスを取得したとの報道もあった。
『旅かえる』が中国で大ヒットした要因として、各メディアでは、「ゲームが苦手でも遊べる」「無課金でも楽しめる」「旅行気分が味わえる」等、様々な分析がされているが、一番興味深かったのは「ストレスがないからヒットした」という分析である。
そもそもゲームは、プレイヤーが適度なストレスを与えられ、それを乗り越える楽しさを味わうのが一般的である。しかし『旅かえる』は、旅に出たカエルをただ待つだけのゲームで、ストレスが極端に少ない。つまり、「ストレス社会への反発」がこのゲームの最大のヒット要因ではないか、と分析したのである。
「中国は競争が激しくてストレスだらけ」と、上海の友人たちからよく聞く。日々のストレスから束の間の休息を得る目的で『旅かえる』がヒットしたならば、ストレス社会に生きる中国の人を対象に、温泉や美しい自然など身も心もリラックスできる資源が豊富にそろう静岡県を、「リラックス静岡」としてPRしていくことも、一つの方向性であると考える。
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