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東南アジア駐在員報告2004年4月 その他 シンガポール チャンギ国際空港内 航空ハブを維持するための熾烈な競争
1部上場しているSATSはシンガポール航空の子会社で、一方のCIASは国営投資会社テマセク・ホールディングスのCIASインターナショナルと航空会社5社(中華航空、ガルーダ航空、ルフトハンザ航空、エールフランス、KLMオランダ航空)の合弁企業である。 これまでSATSは、チャンギ国際空港で80%のシェアを持っていたが、最近相次いで航空会社との契約を打ち切られ、競合のチャンギCIASに顧客を取られている。 昨年11月、韓国アシアナ航空の貨物部門が貨物取扱業務をSATSからCIASに換え、その数週間後には香港キャセイ航空が貨物取扱い業務を同じく切り換えた。(ただし、乗客関連など貨物以外のサービスについては、SATSとの契約を続行している。)また、今後、アラブ首長国連邦のエミレーツ航空が機内食サービスを除くすべての業務でSATSとの契約を打切るとしている。 さらに、政府はコストダウンを目的にチャンギ国際空港の地上業務を行う3社目の企業を受け入れる計画を発表しており、一層の競争激化が予想されている。同空港については、香港など域内の他拠点に比べコスト高である、との声がよく聞かれており、最近では大手航空貨物輸送会社のDHLがその点を指摘していた。 また、前項でも触れたとおり、政府リー上級相が「長期的にシンガポール航空が競争力を維持するためには変化が必要である」ことや、「航空業界を取り巻く状況が大きく変化しており、世界中の大手航空会社が地上の荷物取り扱い事業を外部委託している」ことから、SATSを向こう半年から1年半の間に売却する方向で検討していることも明らかにしており、チャンギ空港の国際競争力維持のための取組が続く。 |
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