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東南アジア駐在員報告2004年4月 政治 マレーシア 総選挙で与党連合・国民戦線が圧勝 名実ともにアブドラ首相時代に
また、イスラム急進派の勢力がどの程度伸張するかもメディアが注目した点だったが、最大野党でイスラム至上主義を掲げる全マレーシア・イスラム党(PAS)は、前回の27議席から7議席に激減した。PASのハディ党首は「今後も、イスラムの名のもとの闘いを継続していく」と言葉少なに敗戦の弁を語った。 マレーシアは、マレー系(全体の約64%)、中国系(約30%)、インド系(約6%)の人々で構成され、イスラム教、仏教、ヒンズー教などを信仰する多民族国家である。しかし、これまで経済が順調に成長してきたため、民族問題で大きな混乱は起きていない。今回もこうした傾向の表れと思われる。 一方、経済面では、この選挙結果を受けて、英系格付け会社フィッチ・レーティングスは3月上旬、マレーシアのソブリン格付け(*)見通しをステーブル(安定的)からポジティブ(強含み)に上方修正した。これは、与党の大勝で、アブドラ首相が統一マレー国民組織(UMNO)内でも安定した権力基盤を確立すると予想し、党内のパワーバランスに配慮することなく施策を遂行できるとの見方に基づくものである。 マハティール前首相が1981年に政権についてから、昨年、アブドラ首相に交代するまでの22年間、日本に学ぶという「ルックイースト」を提唱し、日本との関係も緊密であった。名実ともにアブドラ首相時代となる今後5年間の政策が注目される。 |
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