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中国駐在員報告

2013年5月 社会・時事
駐在員 : 野村芳一


     4月半ばに日本に一時帰国した際には、会った人からは必ず「上海は大変ですね。」と声を掛けられた。このところ、PM2.5、鳥インフルエンザ、四川省の地震と中国は災難続きである。しかしながら、中国に住んでいる多くの人にとって、そのほとんどが他人事である。上海に住む多くの日本人も平穏に過ごしている。マスクをしている人もほとんど見かけない。
    【大気汚染問題】
    2010年の上海万博の年には、政府も環境に配慮していたせいか、大気汚染はほとんど話題にもならなかった。ただ、その頃でさえ、日本人駐在員の中では、上海で暮らしていると、喉に痰がからんだ状態が普通になり、日本に帰ってきれいな空気を吸うと、却って喉の調子が悪くなるとか、市内でジョギングをした後にうがいをすると、口から黒い水が5回くらい出てくるとかいう話を聞いた。唾を吐く中国人をよく見かけるが、これは多分に空気に原因があると私は考えている。大気汚染は今に始まったことではないのである。何をいまさら騒いでいるのか、と考える人もいるだろう。
    ただ、一昨年、昨年と徐々に眼に見えるかたちで大気の汚染が気になるようになってきたのは事実だ。上海でも霧のような‘もや’が、街を覆って、わずか数十メートル先のビルが、よく見えなくなるような現象が起きるようになった。
    また、昨年のPM2.5が今ほど話題になっていない頃から、北京の大気汚染は深刻で、日本人の駐在員の中には、夜でもマスクをしながら寝ている人がいるという話を聞いた。そういう状況にもかかわらず、昨年、今年と出張で北京を訪れても、マスクをしている人は、ほとんど見かけなかった。日本からの出張者が特別なマスクを準備してきても、誰もしていないので、結局使う機会を逸したというケースもあるそうだ。
    日本でもかつて光化学スモッグによる大気汚染問題があった。中国も同じ道を歩んでいると思うが、この国では、問題が非常に極端なかたちで現れる。環境問題は、即効性のある対策は難しい。現在の中国の経済成長が環境を犠牲にしている面も否定できない。政府が本腰を入れて対策を打ち出せば、徐々に効果は表れるだろうが、そのコストが経済成長の足かせになるとも考えられるだろう。
    【鳥インフルエンザ】
      3月にH7N9型鳥インフルエンザの初感染が上海で確認されてから、1か月が過ぎた。最新の情報(5月6日現在)では、中国本土の感染者は、上海、北京等2市8省で129人、上海に限っていうと感染者が33人、その内死亡したのは13人となっているが、このところ急激な感染の広がりは見られない。このような状況から、中国国家衛生・計画出産委員会は、4月24日、これまで毎日実施していた新たな感染者の数などの最新情報の公開を同日以降、週1回にすると明らかにした。
    先にも述べたとおり、ほとんどの上海市民は、普段と変わらない平穏な生活を続けており、マスクをしている人はほとんど見かけない。ただ、鶏肉や卵を食べないようにしている人が増えているのは間違いのないところで、中国人の大好きなフライドチキンの売り上げも大きく落ち込んでいるという。
      現在の状況からは、当面、感染者が大きく拡大していくような状況にはならないと予想される。SARSの時に起きたようなパニックも起きる可能性は少ないだろう。それは、SARSの時と異なり、政府の情報公開が隠ぺいの意図なく的確に行われたこと、人から人への明らかな感染が認められないことが要因だろう。
    情報公開に関して言えば、SARSの時の教訓が活かされたといえ、風評などによる誤った情報が流れているような状況ではない。そもそも13億の人口がいる中国で、129人という感染者は、決して多い数ではない。自分の周囲に鳥インフルエンザ感染者や保菌者がいること自体、少ないのではないだろうか。ただ、公表された感染者の多くが、病気に対する抵抗力が弱い高齢者や子供であることから、潜在的な感染者がいるのではないか、という疑念は否定できない。
    今後、ウイルスが蔓延しやすい冬の時期に、ウイルスの突然変異によって、人から人への感染が認められるようなことになることが、最悪のシナリオだろう。政府としては、それに備えて、衛生管理などを強化していくものと思われる。少なくとも、現在はそれほど恐れる状況ではない。治療にあたって、感染初期に、タミフルを処方することが、重症化を免れる上で極めて効果的であることも報告されている。


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