東南アジア駐在員報告
2015年3月 社会・時事 駐在員 : 芦澤裕之
2015 年1月28日から2月3日にかけて、インドのデリー旅行博(SATTE)及び訪日旅行セミナー・商談会に参加した。
2014年のインドからの訪日旅行者は、前年比17.1%増の8万7900人となり、過去最高を更新した。インドは、12億5千万人の人口を誇り、経済成長も続いていることから、引き続き海外旅行者の増大が見込まれている。
こうした状況の中、さらなる訪日客の増加を目的に、観光庁及びJNTOがデリーとムンバイで開催された旅行博にジャパンブースを出展し、本県は、デリーのジャパンブースに北海道、大阪などとともに共同出展した。
タイやシンガポールなど、東南アジアの国々で開催される旅行博と違い、デリー旅行博は一般来場者のない、旅行会社向けのイベントである。一般来場者のないイベントであるにもかかわらず、3日間、多くの旅行関係者が来場し、会場には人が途絶えることがなかった。
驚いたのは、旅行会社の職員であっても、日本に関する基礎知識がほとんどなかったことだ。富士山や新幹線を知らない方が多く、知っているのは東京、大阪、京都、広島、長崎程度である。したがって、私は彼らが知っている東京などからの距離から説明を始めた。富士山がいかに綺麗かを話した後、静岡の温泉への行き方について説明しようとすると「新幹線とは何か」「その風呂は天然なのか。」と聞かれる状況で、非常に苦労した。
ブースを訪れた旅行会社の方に話を聞くと、日本行きツアーは是非作ってみたいが、どんな観光資源があるのかの情報が少ないため、作れないのだという。私は今回、静岡のモデルコース、ランドオペレーター(日本国内の行程を手配してくれる旅行会社)、県内インド料理レストランの一覧表とマップなどの情報が入ったDVDを配布したところ、大変喜ばれた。特にインド人旅行者は生魚が食べられない方も多く、食事の好みも保守的なため、インド料理レストラン情報は好評であった。
一方で、信頼できるパートナー探しには難しさを感じた。今回、多くの旅行会社と名刺交換をしたが、先方の実績等が分からないため、県内の受け入れ先とのトラブルになる可能性を考え、初対面で突っ込んだ話をすることを躊躇せざるを得なかった。今後、連絡があった会社とは、受け入れ先のランドオペレーターや施設の方のご意見を伺いながら、慎重に話を進める必要がある。
インド市場には期待が大きい反面、誘客に当たっては、日本からの基礎的な情報提供やインド旅行業界の体制整備など、国レベルでの取組がまずは必要であると感じた。
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