中国駐在員報告
2014年10月 社会・時事 駐在員 : 野村芳一
8月に中国の携帯地図最大手の企業が公表した「2014年度第二四半期中国主要都市交通分析報告」によると、中国で最も渋滞のひどい都市の第一位は上海市、第二位が浙江省の杭州市、第三位が北京市だという。カーナビの利用データを分析した結果だそうだ。
私にとっては、どの都市も馴染みのある都市だが、結果にはちょっと首をかしげざるを得ないところがあった。インターネット上でも、この結果に納得できない声があるらしい。特によく聞かれるのが、「北京と上海、どちらもよく行くが、明らかに北京の方が渋滞がひどい。」というものだという。全くこの意見に同感である。
確かに、上海市内にある当事務所周辺でも、金曜日の帰宅時間に雨でも降ろうものなら、車が全く動かずに数キロの距離なら歩いて行った方が早いこともある。しかし、通勤時などの車が多い時間帯であってもスムーズに進むこともあるので、一概には言えない。
私の実感としては、渋滞は北京の方がずっとひどい。昨年頃から北京に出張する機会が増えたが、午後の車による移動は時間が読めないので、なるべく避けて地下鉄を利用した方がよい、とアドバイスを受けた。
朝の渋滞もひどい。先日の出張で、北京から天津に行くため、市の中心部にあるホテルから通常タクシーで20分ほどの北京南駅に向かおうとした時のことだ。朝の通勤時間なので、移動時間は1時間半を見込む必要があった。これでは、いくら北京天津間が高速鉄道で30分の距離となっても意味がない。都市機能が破たんしている状況である。超大国となった首都の交通事情がこのようなことでよいはずはない。
最近、打ち出されている京津冀(北京市、天津市、河北省)の一体化政策の目的の一つは、首都圏機能を周辺に分散することで、一極集中化の弊害を解決しようというものだ。北京大学のある教授は、2020年にこの地域の経済の中心となる天津市のGNPは、政治の中心である北京市を超え、京津冀地域全体の1人当たりGDPは、2万米ドルを突破し、都市化率は70%になるだろうと予想している。
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