ここから本文です。
北米駐在員報告2002年11月 経済 金融界、一部政治家と竹中大臣との「不良債権処理をめぐる問題」をアメリカはどう見ているか(在米ジャーナリストからの情報)
更に言えば、先の日米財界人会議で米側が注文をつけたように「整理回収機構(RCC)が買い取った資産を塩漬けにせずに有効利用できるよう早く売却すべきだ」というのが本音とのことだ。 竹中金融相と銀行経営者たちが鋭く対立し、一部の政治家が銀行の肩を持って「竹中いじめ」をやっているが、ブルッキンズ研究所の有力研究員などは、「見込みのない銀行は一時国有化されても銀行の預金やローンや土地建物などのインフラは当然残るわけで、銀行自体が消え去るわけではない。退くのは判断を誤った銀行経営者だけだ。彼らに恩義のある政治家が竹中金融相のデフレ総合対策を問題だと指摘しているのだろうが、そうるすことで彼らの義理は果たせたことになる」と言い、竹中金融相には「鉄は熱いうちに打て」とエールを送っていた。 また竹中金融相が『ニューズウィーク』とのインタビューで「too big to fail(大きいから倒産できない)という企業などありえない」と発言したことで株価が下落したとの批判についても、同研究員は「政治的には不用意だったかもしれないが、経済学の原理からして当たり前かつ正しい発言だ。国際公約でもある不良債権処理に小泉内閣が指導力を発揮しない限り、これから新たな成長産業は生み出せない。役割を終えた企業から新しい富を生み出す成長セクターに人・物・資金を振り向けなければ日本は再生しない」とコメントを出している。それだけに今回の「デフレ総合対策」を「痛みを伴うリストラを避ける日本の伝統的な戦略に戻ってしまった兆し」(10月31日付け『ワシントン・ポスト』)と落胆している。 |
お問い合わせ