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東南アジア駐在員報告
2000年12月 政治 駐在員 : 岩城徹雄
タイ、総選挙へ
タイ下院は11月9日に解散し、来年1月6日の投票日までの選挙戦に突入した。与党民主党は、産業の近代化、競争力の強化に重点を置き、法人税の引き下げや減税などを主な政策としている。民主党と第1党を争うと見られる愛国党は、農家の債務返済猶予、農村に基金設立など地方票の取り込みを狙った政策を打ち出している。
民主党の党首でもあるチュアン首相は、愛国党タクシン党首の資産隠しや現職議員の引き抜き、金権体質などを批判しているのに対し、携帯電話などの通信事業で成功し「通信王」ともいわれる富豪のタクシン氏は、現チュアン政権の経済失政をつき政権交代を訴えている。タイ経済を立て直すにはビジネス界出身のタクシン氏の方がいいのではないかと経済界の中にも愛国党の支持が広がっている模様。
タイでは今年になって、上院、バンコク知事選に続き、3つ目の大きな選挙となり、キャンペーン用の衣類や広告、印刷、報道など選挙に関連する業界には「特需」となっている。しかし、選挙戦は序盤から波乱含みで、他陣営の議員の引き抜きや選挙民の買収にとどまらず、選挙運動員が銃撃され死傷者が出るなど悲惨な状況になっており、国民の政治離れが心配である。
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