韓国駐在員報告



2015年11月 社会・時事
駐在員 : 松村昭宏


韓国統計庁によると、2015年上半期に10%を超えた青年(15−29歳)失業率は9月に過去10か月で最低の7.9%に低下したとのことで、これは、2014年同月の8.5%に比べ0.6ポイント、2015年8月の8.0%に比べ0.1ポイントそれぞれ改善している。また、9月の青年就業者数は395万6千人で、2014年同月の386万5千人に比べ9万1千人増え、失業者数は同じ期間に35万8千人から34万1千人に減少した。統計数値上は青年の雇用状況が大きく改善したように見える。しかしこれは、就職をあきらめた求職断念者が前年より増えたことを考えると錯覚である可能性が極めて高い。失業者に等しい求職断念者が増えれば、失業者数が減少したように見えるからである。2015年9月の求職断念者は48万8千人で、前月(53万9千人)よりは減少したが、2014年同月(46万3千人)よりは2万5千人増えた。このため、求職断念者を含むいわゆる「体感失業率」は10.8%で、前年同月を0.4ポイント上回ることになる。また、増加した働き口が正社員ではなく、主にアルバイトなどのパートタイム労働や非正規社員である点にも注目すべきである。韓国では国際労働機関(ILO)の基準に従い、1週間に1時間以上働けば就業者と分類されている。非正規社員とパートタイム労働者が多い週53時間以下の就業者は2,019万8千人で、2014年同月の1,974万5千人に比べ2.2%(45万3千人)増えた。これに対し、正社員の割合が高い週54時間以上の就業者数は576万人で、2014年同月(583万2千人)を1.2%下回った。青年の良質な働き口は急速に減少している。青年層の雇用のうち、パートタイム労働の割合は世界的な金融危機以前の2007年に7.6%まで低下したが、2015年は15.1%に倍増した。また、2015年初めに高校、大学などを卒業し、初めて就職を目指した青年の失業率は33.9%で、青年層全体の3倍を超える。

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