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2000年7月 社会・時事駐在員 : 今村理一郎
中国社会の一面 企業関係者から中国では、債権の取立てが難しいとか経理担当者が支払いを遅らせることを自慢しているとか聞くことが良くある。また、裁判所で民事訴訟の判決が下り、確定してもその執行率は、極めて低いとか、弁護士は、示談、和解の方策を探る方向に相談者を指導すると言われている。また、最近上海に債権取立て屋(日本で言うヤクザ)が増えたとも聞く。これは、裁判所に訴えても解決にはならないため、債権の取り立ては力づくでという社会的背景がその原因の一つになっているのではないかと考えられる。 参考までに、債権の回収に関する法律相談とこれに対する弁護士の回答を紹介する。この回答は、中国人に聞くと中国の現実に即したものであるということであった。 <質問> 当社の関連現地法人X社が有する中国企業に対する債権が焦げ付いています。中国の銀行から保証も取得しており、X社は債権及び保証の履行を求めて提訴し、いずれも勝訴判決を得、上訴がなされなかったため、判決が確定しました。そこで、判決に基づいて執行官を任命して強制執行を行おうとしましたが、法院は債務者及び保証人に対して通知書を送付するのみで差押えその他の処分をしてくれません。X社としてはどうしたらよいでしょうか? <回答> 民事訴訟法によると法院は確定判決等の一定の債権文書(日本では債務名義と呼ばれます)に基づいてなされた強制執行の申請を実行する義務を負っております(218条)。法院に属する執行官は申請書を受領した場合、速やかに被執行人に通知書を発し、期限を定めて履行を命じ、かかる期限を徒過した場合には強制執行措置(差押え、銀行口座凍結、没収、換価、競売等の具体的措置が法定されています)を採るものとされています(220条)。従って、強制執行の申請をした債権者としては、かかる申請が適法になされてさえいれば、それに引続いて何らかのアクションを採ることは必要とされず、後は専ら執行を担当する法院の職責の問題として手続を進めていかなければならないというのが法の規定するところです。しかしながら、現実問題としては、申請書を出した債権者がその後の働きかけをせずに執行法院まかせにしていると、執行法院の多忙その他各種の理由によりなかなか事が進まないといった事態が生じることも考えられます。そこで債権者として第一になすべきことは、執行法院の案件担当者と緊密な連絡をとって適宜執行を促していくことではないかと思われます。本件では一応法定の通知書は出されているということなので、通知書中に規定されている期限が到来しているならば担当官に強制執行措置を促し、また期限が記載されていないのであれば法定の要式を満たしていない通知書ということになりますので、再度適正な通知書の発送を促す等の働きかけをしていくことが望まれます。このような担当者レベルの督促によってもらちが明かない場合には、次善の策として同一法院内の庁長や法院長に申し出ることを検討されるべきものと思います。法院の主要責任者が当該法院の職務が適法に執行されることについて監督する責任を負っていることは当然のことと考えられるからです。いずれにしても、強制執行においては執行官の業務の裁量性が強く、また執行官の働きの大小が回収額の多寡に直結することに鑑みれば、執行を担当する法院のやる気を出させることが肝心なので、まずは執行法院内部で問題を解決することを模索されるべきです。これらの働きかけについては、現地の弁護士の能力や熱意が重要になってきます。
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