• 携帯電話向けページ
  • Other language
  • 文字サイズ・色合いの変更
  • 組織(部署)から探す
  • リンク集
  • サイトマップ
  • ホーム
  • くらし・環境
  • 健康・福祉
  • 教育・文化
  • 産業・雇用
  • 交流・まちづくり
  • 県政情報

ホーム > 交流・まちづくり > 国際交流 > 地域外交課 > 海外駐在員報告 > 中国駐在員報告

ここから本文です。


中国駐在員報告

2008年1月 経済
駐在員 : 若田部 孝


2008年1月1日から施行の労働契約法、企業所得税法
〜中国進出企業にとって節目となる重要な法律の施行〜

 本年1月1日から県内進出企業にとって重要な「労働契約法」と「企業所得税法」が、施行された。
 最初に「労働契約法」であるが、従来、中国の労働政策は「中華人民共和国労働法」(以下、「労働法」という。)を根拠に実施されており、企業等による労働者の雇用についても、労働法を根拠に実施されていたため、労働契約に係る特別法は存在しなかった。そのため全国人民代表大会(以下、「全人代」という。)では労働契約行為を特に定める同法の制定に着手し、2006年3月に法律草案が全人代を通過し、全社会的公聴会活動を経て2007年6月に第4次稿が公布され、半年間の準備期間を置いて2008年1月1日から施行された。
 今回、法律により定められた労働契約制度は、中国の経済社会が計画経済システムから市場経済システムへ構造的に転換していくために必要不可欠な雇用制度として導入された。
「労働契約法」が制定された背景として、国有企業の組織改革と私営企業や外商投資企業等の増加による雇用システムの変化とそれにともなう労働契約制度の導入があったが、労働法の無視と悪用が横行した結果、比較的労働環境に恵まれた都市部でも都市戸籍労働者と外省労働者あるいは農民工(出稼ぎ農民)との格差と矛盾が拡大していることが挙げられる。また、違法な労務派遣行為等の頻発と劣悪な労働条件を強いられる労働者が激増するとともに労使紛争の多発などの状況も理由の1つである。
 労働契約法は、内外資企業を問わず適用されるものであり、労働者の合法的権益を拡大するために制定されているが、中国固有の社会制度の実情等が加味されているため、日本や欧米の労働法等と比較して相違する部分も散見される。特に労働契約を2回連続締結した後、労働者を「無期限=終身」雇用しなければならないという「無期限労働契約」については、特に欧米等からの反発も強く、その対策として3回目の契約を避けるために2回の連続的な契約だけで労働関係を終了させることが予想されており、「労働契約法」だけでなく同時施行された「中華人民共和国雇用促進法」の目的にも真っ向からそむく結果になるだろうといわれている。
次に「企業所得税法」は、昨年3月の全人代において可決されたもので、「簡潔な税制」、「広範囲な課税ベース」、「低い税率」、「厳格な徴収体制」を従来の企業所得税制に加味することとした。また、これらに並行して、外資系企業等に対する優遇税制を見直し、国内における統一的な税率を設定した。
 具体的には、国内企業と外国企業の税率は25%で統一し、一定の小規模かつ薄利企業に対しては20%、一定の条件を有するハイテク企業に対しては15%の税率が適用されることになった。これにより、国内企業(従前の課税率33%)は課税が軽減され、逆に優遇措置を受けていた外資系企業(同15%他)は増税されることになった。ただし、これらの優遇措置の変更は法施行後5年以内に段階的に実施される。
 以上のように重要な法律の施行が続くとともに、物価の上昇にあわせ労働者の最低賃金も上昇するなど、中国における企業経営は決して容易とはいえない状況である。「世界の工場」から「世界の市場」へと変貌しつつある中国は、別な見方をすれば魅力的な市場であるが、今後、新たに中国に企業展開を検討する場合には、十分な事前調査を行うことが今まで以上に求められることとなった。


日付別一覧  地域別一覧  分野別一覧


お問い合わせ

知事直轄組織地域外交局地域外交課

静岡市葵区追手町9-6

電話番号:054-221-3066

ファックス番号:054-254-2542

メール:kokusai@pref.shizuoka.lg.jp