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ヨーロッパ駐在員報告
2000年10月 経済 駐在員 : 森貴志
英国のユーロ導入反対
最近、デンマーク国民投票でユーロ導入が否決されるという通貨統合にとっての大きな衝撃があったが、この否決以前に米証券大手メリルリンチが、シティー(ロンドンの金融街)の資金運用担当者を対象に行った調査結果によれば、英国のユーロ導入が2003年以降に先送りされるとの予想が96%に達し、永久に実現しないとの予想も初めて20%を突破した。
1997年10月時点では83%が2002年末までのユーロ導入を予測していたが、ユーロ支持派が多いとされる英金融業界でも、導入の期待が大幅に後退している現状が浮き彫りになった。
調査結果からは、欧州通貨統合参加が英国経済の長期的な利益になるとの見方も40%前後にとどまり、初めて過半数を割り込んだ。
ただし、英国が欧州連合(EU)から離脱すべきとしたのは8%と少数で、EU加盟国としてユーロ圏外にとどまる立場を支持する意見が大勢を占めた。
資金運用担当者の間では、ユーロ安や広範な国内世論の反対に加えて、通貨統合に経済基盤の弱いギリシャが加わる一方、“優等生”のデンマークが参加しないことで、英国のユーロ導入の可能性は一層小さくなるとの見方が強い。
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