中国駐在員報告
2024年6月 経済
駐在員 : 石川 祐介
北京首都航空による杭州−静岡線が7月10日から復便する。円安を背景に海外から日本への観光需要が高まる中、戻りが遅いと言われてきた「中国の訪日客数」の回復が顕著になってきたため、そのポイントを紹介する。
訪日外客数(対2019年同月比) (単位:%)
区分 | 2023年 | 2024年 | |||||||||||
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | ||
全体 | 68.5 | 72.0 | 77.6 | 85.6 | 96.1 | 100.8 | 100.0 | 108.2 | 100.0 | 107.1 | 111.6 | 104.0 | |
中国 | 17.8 | 23.7 | 29.8 | 36.4 | 39.8 | 35.1 | 34.4 | 44.0 | 55.2 | 63.5 | 65.4 | 73.5 |
海外からの訪日外客数は、2023年10月から対2019年を上回る状況が続いている。中国からの訪日客数は回復が遅れていたものの、2024年4月には対2019年比で7割を超え、右肩上がりの回復が続いている。
日中間の航空便数(対2019年比) (単位:便)
都市名 | 2024.4.28〜5.4 | 2019.10.27〜11.2 | 回復率 a/b | |||
便数/週 a | 全体に占める割合 | 便数/週 b | 全体に占める割合 | |||
計 | 920 | 100.0% | 1,405 | 100.0% | 65.5% | |
上海 | 461 | 50.1% | 474 | 33.7% | 97.3% | |
北京 | 132 | 14.3% | 173 | 12.3% | 76.3% | |
杭州 | 31 | 3.4% | 52 | 3.7% | 59.6% | |
西安 | 6 | 0.7% | 54 | 3.8% | 11.1% | |
武漢 | 3 | 0.3% | 32 | 2.3% | 9.4% |
一方、日中間の航空便数は、対2019年比6割超で回復途上である。内訳を見ると、「上海線はコロナ禍前と同程度まで回復した」が、「西安・武漢線など内陸部の戻りが鈍い」ため、現在は「日中間の航空便の半数を上海便が占める状態」となっている。中国からの訪日客数の増加につれて、この増便の流れは、地方へと波及するとみられる。
今回の杭州線の復便に伴い、県上海事務所が浙江省の旅行社にヒアリングしたところ、「北京首都航空の杭州−大阪線と組み合わせた回遊型の商品を造成したい」などの前向きな声が寄せられる一方、「日本旅行の需要は底堅いが、ホテル・バス代金の値上がりが顕著で、コロナ禍前と同程度のツアーでも割高感が出てしまう」との声も聞かれた。
中国現地では、杭州市内での観光プロモーションや、浙江省・本県企業のビジネスマッチング等を通じて、復便の効果が県内に広く波及するよう取り組みを進めていく。
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