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北米駐在員報告

2003年2月 経済
駐在員 : 松下 育蔵


ユナイテッド航空の破綻と米航空業界の今後(在米ジャーナリストからの情報)

    世界第2位の航空会社であるユナイテッド航空の持ち株会社、UALが総額228億ドルと米航空史上最大の負債を出して、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)を申請したのは昨年12月9日で、米航空産業が直面する状況がいかに深刻なものかを浮き彫りにした。ユナイテッド航空の破綻により、現在米国内を飛んでいるフライトのまさに3分の1は、倒産した航空会社によって運航されている計算になる。米国の航空産業の現状は厳しく、過去2年間だけでも全体で160億ドルの赤字を出し、2003年にはさらに45億ドルの赤字が出そうだ。ユナイテッド航空の場合、フライトを行うだけで1日平均2,300万ドルの赤字を出しており、これは、乗客1人を運ぶのに100ドルの赤字を出している計算になる。ユナイテッド航空は「破産宣告」後、JPモルガンやシティグループなどから15億ドルの事業再生資金を得る確約を取り付け、すでにその半分を受けている。後の半分を得るためには2月15日までに労働コストを25億ドル削るなどの厳しいリストラ措置を取らざるを得ず、さらに、5月までには新たな財政上の努力目標をクリアせねばならないという。
    ユナイテッド航空の場合、まず、巨大な組織規模ゆえの「不健全経営を容認してきた企業カルチャー」が再建の足かせになっている。ユナイテッド航空は8万1,000人の従業員を擁し、一日平均1,800便(米国内全便の20%)を運航する巨大航空会社で、しかもパイロットや整備工ら従業員は会社の株の55%を所有している。さらに、その規模の大きさだけでなく、経営上層部に人が多すぎること、複雑な労使問題を抱えていることなどからリストラは困難を極めている。労使関係でいえば、ユナイテッド航空の労組は経営陣との長い闘争の歴史を持つだけでなく、パイロット、乗務員、整備工など3つの大労組が三つ巴で争ってきた経緯がある。
    航空業界の経営を悪化させているもう一つの要因は、2001年9月11日の米国同時多発テロ事件以降、上昇し続ける警備保障コストだ。同事件以降、米航空業界は40億ドルの警備保障費とそれに課税される税金の支払いに窮々としている。特にユナイテッド航空の場合は、ハイテク産業の落ち込みで打撃を受けているデンバー、サンフランシスコ、ワシントンなどを重要なハブ空港としているだけに事態は深刻だ。また、日本の経済不況も減収の要因となっている。アジア路線で稼いできたユナイテッド航空にとってはダブルパンチになっているからだ。
     ユナイテッド航空の「生き残り戦略」のカギは、二つあると言われている。一つはルフトハンザ、全日空、シンガポール航空、タイ航空など外国の主要航空会社と結成している「スター・アライアンス」の関係強化だ。これら外国の航空会社はユナイテッド航空の航空券を販売してくれるし、ユナイテッド航空の客を乗せてもくれる。第二には、一度は合併計画まであったUSエアウェイズとの関係強化を引き続き行うことだ。結局、合併話は政府の横槍でだめになってしまったが、その後関係が切れたわけではない。ユナイテッド航空は現在USエアウェイズとの「コード・シェアリング」便まで運行している。万策尽きてユナイテッド航空の再建計画が失敗に終わったらどうなるのか。米航空業界は大規模な業界再編の時を迎えざるを得ないだろう。
    *コード・シェアリング便:提携している航空会社同士が、1つのフライトにそれぞれの便名を付けてチケットを販売する形態。他社の機材や乗員による運行便も自社の便名をつけて販売する。


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