東南アジア駐在員報告



2007年1月 社会・時事
駐在員 : 獅倉 浩


     2006年12月31日午後6時、タイの首都バンコク市街の6箇所でほぼ同時に爆発が起き、2人が死亡、20人以上が負傷した。また、1月1日午前0時頃にも2箇所で爆発が起こり、10人以上が負傷した。幸いなことに日本人が被害を受けたという情報は入っていない。
    誰が何のために爆弾を仕掛けたのか不明だが、三つの可能性が指摘されている。第一に、過日の軍事クーデターによって追放されたタクシン前首相の親派のうち軍部に近いグループが、新政権が進めているタクシン政権時代の汚職追及が、自分達の身辺に及んできたことを懸念し、新政権にこれ以上追及をしないよう警告の意味で起こしたとする可能性。第二に、タクシン時代から続いている南部のイスラム過激派によるテロが北上し、首都バンコクに至ったとする可能性。第三に、現政権が未だにくすぶるタクシン親派を決定的に悪者に仕立てるために爆破事件を起し、彼らを犯人に仕立てようとしたとする可能性。
     このうち一番有力視されているのは第一の可能性で、爆発物の種類や、爆弾がほぼ同時に爆発していることから、かなり爆発物に精通した者が仕掛けたものと考えられることや、人々が集まる地区ではあるが、あまり人に被害が出ないような場所に仕掛けられていたことから、警告が目的ではないかと考えられるためである。また、真相が第一の可能性であれば、これ以上爆破事件が続く危険性はかなり低いと考えられている。 
     爆破事件後、主要な駅には警察官が立つなど、現政権はいわば面子をかけて再発防止に取り組んでいるが、政府主催の公式行事が中止になったという情報は入っておらず、市民生活も至って平穏に行われている模様である。

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