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東南アジア駐在員報告
1999年8月 政治 駐在員 : 篠原 清志
ASEAN関係会議の主役は中国
7月23日からシンガポールで、ASEAN外相会議、ASEAN加盟国の他日本、中国、米国なども参加する拡大外相会議及び、安全保障問題を討議するASEAN地域フォーラムが開催されたが、一連の会議で存在感が目立ったのは中国だった。
カンボジアが加盟して悲願の10カ国体制となったASEANは、皮肉なことに、加盟国間の経済や民主化の格差が大きく、どの国も国内経済建て直しで手いっぱいな状況にあるほか、盟主的な存在のインドネシアは依然混乱の中にあり、マレーシアもフィリピンやシンガポールと軋轢が増すなど、求心力が低下している。
そもそも、中国などの大国の勢力伸張に対して域内の諸国が団結して対抗することが発足の目的の一つであったASEANも、今回の会議では、中国外交のパフォーマンスの場となった。台湾問題での強硬姿勢、北朝鮮問題では日本を牽制、東南アジア非核兵器地帯条約への参加の早期表明などその行動が目立った。
一連の会議の開催前の7月20日には、シンガポールの華字紙「聯合早報」が北京発として、中国は台湾の李登輝総統が退任する来年5月までに、台湾を局地的に攻撃し、「教訓」を与える決意を固めたと報じた。この記事について、信憑性を疑う見解が多いが、40年前に中国が金門島を攻撃したとき、中国は、同紙の前身の南洋商報にだけ攻撃中止の情報を流して、その記事どおりに攻撃を停止した過去があるだけに、今回の情報リークについても深遠な狙いが込められているのではと注目を集めている。
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