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中国駐在員報告
2005年9月 社会・時事 駐在員 : 小杉 長生
上海に駐在している地方自治体の職員が、ほぼ中国全省を回った後の感想で「中国で一番気をつけなけ
ればならない都市は広東省の深圳だと思う」と発言していた。理由を聞くと「人間の目つき」との回答が
あった。また、深圳で仕事をしていた中国女性に聞いた話では「昼間、業務で市内を移動する時は、男性
の同僚が常に同行してくれる。」とのことであった。
日系企業も多く進出している深圳は香港から近いので、多くの日系の工場等があり、域内総生産(GDP)
も高く、高額所得者も多くいる。しかし、それら企業に働くための地方出身の工場労働者の所得は低く、
そのため深圳内部での所得較差が大きい、特に地元出身者と地方出身者では生活水準に大きな隔たりがある。
また、仕事を求めてきたにもかかわらず、就職できなかった者や失業者もいるため治安が悪く、また犯罪
者は地元の人間ではなく地方出身者が多いとのことであった。
中国の政府機関の昨年の調査では、深圳は中国都市ワースト5の4冠となっている。
| 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 |
行政・公安・司法が腐敗 | 深圳 | 東莞 | 厦門 | 恵州 | 福州 |
治安が悪い | 深圳 | 東莞 | 長沙 | 合肥 | 鄭州 |
偽造・コピー商品が氾濫 | 深圳 | 珠海 | 広州 | 福州 | 温州 |
貧富の差が激しい | 深圳 | 上海 | 広州 | 重慶 | 北京 |
深圳・東莞・恵州・珠海・広州(広東省) 厦門・福州(福建省) 長沙(湖南省) 合肥(安徽省)
鄭州(河南省) 温州(浙江省)別の調査において、都市の市場規模、労働力、物流コスト等により順位
付けした商業環境の優れた都市順位がある:
1位杭州(浙江省)、2位寧波(浙江省)、3位大連(遼寧省)、4位上海、5位温州(浙江省)、6位北京、
7位蘇州(江蘇 省)、8位無錫(江蘇省)、9位紹興(浙江省)、10位深圳(広東省)
その2つ調査で興味深いのは深圳、上海、温州、北京が両方に名を列ねていることである。この4都市は中国
国内で歴史、経済、文化等で特別なものを持っていると考えられる。北京は政治の中心であるとともに歴史の
街である。上海は経済だけでなく中国全域をリードする文化の街であり、温州人は中国国内で商売上手であると
言われている。現在の中国の実態を知るにはこれら4都市を訪問するのもおもしろいと思われる。
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