中国駐在員報告
2016年10月 社会・時事 駐在員 : 石井亘
中国大陸初のミシュランガイド、「ミシュランガイド上海2017」が9月21日に発表された。今回選定されたのは三つ星が1店、二つ星が7店、一つ星が18店である。また、従来の星による評価とは別に、安くおすすめできる店舗として25店が選ばれた。
唯一、三つ星に選ばれた「唐閣」は、外国人観光客が多く集まる上海市内の新天地にある広州料理店で、一人当たり平均単価は約570人民元(9,100円)である。また、二つ星の7店の内、3店は西洋料理で、その他の4店は中華料理である。三つ星の18店は15店が中華料理、3店が西洋料理である。
このように、西洋料理と中華料理の中でも広州料理が多く選ばれていて、地元の上海料理の店が少ないことや、名店として評価の高いレストランが選ばれなかったことなどに対して不満の声が起こるなど話題になっている。また、一つ星を獲得した西洋料理の「泰安門」は市内中心部の住宅地にあり、5階建て高級マンションの1階にあったが、発表の翌日22日に休業した。店側は「内部再編成のために営業を停止した」と発表したが、報道によれば、レストランとしての営業許可を取得せずに営業をしており、上海市関係部門の調査を受けていたとの事である。「厨房からの煙や騒音で生活に支障が出ている」とマンション上階の住民が区に対して陳情をしていたことや、料理は良いものの従業員のサービスが悪かったなどの批判も報道されている。
経済成長に伴い、消費構造が高所得型に移行している中国では、飲食業界の発展も目覚ましい。スマートフォンを利用したグルメ推薦アプリが次々と登場している中で、今後ミシュランガイドが中国国内で欧米と同じような信頼を築いていけるか関係者は注目している。
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