中国駐在員報告
2016年2月 行政
駐在員 ： 井口真彦
12月７日から13日にかけて、「伊豆地域富士山静岡空港利用促進連絡会」（以下「連絡会」）が、重慶市及び湖北省武漢市において観光プロモーションを実施した。当事務所では、県の空港担当部局と連携の上、武漢市における活動全般について手配、調整を行うとともに、事業の円滑な実施のため行程に同行し、県の状況説明や通訳業務等に従事した。
重慶市は、北京、上海、天津と並ぶ４直轄市の１つで、人口は2,991万人（2014年）、中国の内陸部の中心都市である。
連絡会では、以前から重慶市に的を絞って誘客のプロモーションを展開し、大きな成果を上げているが、この方法は示唆に富むものである。
中国大陸でプロモーションを行う際、どこから手を付ければ良いのか迷う場合もあると思うが、地域を絞り込むのも一つの有効な方策である。
上海、北京のような成熟した巨大市場を狙う場合、国内外の強力な競争相手と対峙することになるが、中国大陸には、大きな人口、旅行需要を抱え、他国や他地方があまり手を付けていない有力な地方都市が数多くある。このような都市の旅行会社で話を聞くと、ゴールデンルートと言われる東京、箱根、大阪、京都や北海道、沖縄が人気であることはもちろんだが、静岡を含む他の地方都市にも興味がありながら、旅行商品造成担当者がそのような都市のことを「知らない」ことが旅行商品に反映されていない大きな理由の一つであることがわかる。このような都市に集中的にプロモーションをかければ、より大きな成果を上げられる可能性が大きい。
重慶市は、富士山静岡空港への路線は就航していないが、上海等への国内線も多く、上海経由で静岡に入ることも可能である。富士山静岡空港への直行便就航地及びその周辺はもちろんのこと、このように、就航地を経由した送客を考えれば可能性は更に広がる。
今回、連絡会では、武漢市でもプロモーションを実施した。
武漢市は、重慶市の東に隣接する湖北省の省都で、人口は1,022万人（2014年）、こちらも内陸部の中心都市である。2012年から、中国東方航空の上海−静岡便が武漢まで延伸して就航しているほか、一時休便していた中国南方航空の静岡直行便が、１月から復便している。
今回のプロモーションの対象は、湖北省内で日本への送客実績がある旅行会社15社の担当者であり、湖北省旅遊局、中国東方航空、中国南方航空からも担当者に出席していただいた。
当事務所から県全般の観光関連の状況、連絡会から東部・伊豆地域の観光資源等について全般的な説明を行った後、個別具体的な説明を実施した。
個別説明は、旅行会社を４つのテーブルに分けて配置し、連絡会側も４つのグループに分かれ、時間を決めて各テーブルを回って説明する形を取ったため、連絡会側は全ての旅行会社に対して説明を行うことができ、旅行会社側も席を外すことなく、無駄が無い効果的なものとなった。
これまで、多くのプロモーションや旅行会社訪問による売り込みに関わってきたが、このような工夫は有用であり、また、上述の地域の絞り込み以外にも、富裕層か一般層か、リピーターか初めての訪日客も対象とするか、団体旅行か個人の自由旅行客かなど、ターゲットを絞ったり、或いは少なくともターゲットを意識した取組が大変効果的だと感じる。
当事務所では、県の関係部局と連携の上、県内の各地域や団体が中国で行うプロモーション等の活動について、これまでの経験を踏まえ、今後も協働していきたいと考えている。
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