北米駐在員報告
2002年12月 政治
駐在員 ： 松下 育蔵
米下院の民主党院内総務に史上初めて女性議員が就任
米下院の民主党院内総務に史上初めてカリフォルニア州選出の女性議員が就任した。いったいどんな女性なのか。民主党はこれで変わるのか。今後なにかと注目されるナンシー・ペロシ院内総務について調べてみた｡（在米ジャーナリストからの情報）
１ 経歴について
メリーランド州生まれ。62歳。イタリア系移民の息子で12年間ボルチモア市長、その後下院議員になったトーマス・ダレサンドロ氏の娘。ジョージタウン大学大学院時代に知り合った同じくイタリア系のペロシ氏（実業家）と結婚して、サンフランシスコに移り住む。
５人の子供を育て上げるとともに民主党地方支部でボランティア活動を行う。その後民主党全国委員会支部長などを経験してバートン下院議員の後任として87年の下院選に出馬して当選。以後15年間連続当選。
ブッシュ大統領の一方的イラク攻撃承認決議案には反対、ゲイの人権保護法案などを上程するなどのリベラル派。歳出委員会や情報活動委員会の主要メンバーとして予算やCIAの活動をチェックしてきた。
１ カリフォルニア大学日米政治比較論を担当する教授のコメント
「中間選挙の敗北でがっくりきている民主党保守派幹部の間隙を縫って院内総務を勝ち取ったラッキーな政治家である。
その一方で、政治家の家系出身であるだけに、ただスローガンを掲げるだけでは選挙には勝てないことを骨の髄まで知っている。仲間づくりのうまさには定評がある。その意味では、政治家の家系であることは同じでも、田中真紀子氏とは対照的である。なぜならナンシー院内総務は、いろいろな意味で妥協ができる政治家だからだ。
彼女は、年間100万ドルの政治資金を集めては民主党候補にばら撒いてきた。議会閉会中には全米各地を回って地方選挙に出ている民主党候補を応援するなど、こうした地道な活動が現在のポストにまで彼女を押し上げた。ヒラリー・クリントン上院議員が名前だけ上滑りする中で、女性初の大統領候補となることも夢ではない。」
２ 院内総務とは？
日本では幹事長に当たる。米国では、院内総務は、野党の場合には幹事長であると共に対外的には党首として扱われる。上院と下院の院内総務では、どちらのランクが上かということがよく質問されるが、通常は上院の方が上のようである。ただし、アメリカの場合は予算関係では下院の方が先議権を持っているので、議案次第とも言える。
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