ここから本文です。
東南アジア駐在員報告
2001年1月 政治 駐在員 : 岩城徹雄
タイ総選挙愛国党圧勝も、不安解消されず
1月6日に行われたタイ下院総選挙は、開票の結果、野党の愛国党が定数500議席のうち単独過半数となる256議席を獲得し圧勝した。与党の民主党は126議席に終わり、チュアン党首(首相)は下野する考えを明らかにしている。1つの党が単独過半数を制するのはタイ史上初となるが、愛国党は新希望党、国民党とともに連立政権を組む計画である。
しかし、愛国党のタクシン党首は、昨年暮れ選挙戦の最中に、虚偽の資産報告の容疑で国家汚職防止撲滅委員会に起訴されており、憲法裁判所は4、5か月以内には有罪判決を出すのではないかとみられている。有罪になった場合、5年間は政治活動ができず、リーダー不在の政権となる可能性が大きい。また、選挙そのものも、不正が判明した場合にはやり直し投票が行われることとなっており、愛国党は多くの買収が指摘されていることから、今回の獲得議席そのものも不安なところがある。
いずれにしても、総選挙が終わっても政局の不安は相変わらずのため、愛国党が政策に掲げた農村振興がうまく実施されるのか、経済危機からの早期回復はなるのかなど、タイの社会の安定も当分先送りとなる模様である。
日付別一覧 地域別一覧 分野別一覧
|