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委員会会議録

委員会補足文書

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令和4年10月17日自然災害対策特別委員会
中部電力パワーグリッド株式会社 静岡支社長 中村佳津宏氏 【 意見陳述 】 発言日: 10/17/2022 会派名:


○中村佳津宏参考人
 ただいま紹介いただきました、中部電力パワーグリッド静岡支社長の中村でございます。
 本日は、このような大変貴重な時間、災害対応にかかわる私どもの対応の御説明の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 併せて、今回は比較的作業復旧が早かったと我々は認識をしているんですが、それでもやはり鉄塔倒壊という大変センセーショナルな事象があったこと、それから静岡市内中心部をはじめとして、大きな停電になったことで、地域の皆様に大変御迷惑をおかけしたことを、併せておわび申し上げたいと思います。
 本日は、このタイトルにあるとおり、台風15号災害対応の振り返りということで御説明させていただきますが、まずは気象の概況から始まって、鉄塔倒壊がどういう状況であったのか、それに対する復旧をどうやってやったのか、それから鉄塔倒壊とは違いますが、県内広域であった土砂災害の話、それに伴う災害復旧にどういったことがあったのかを、流れとしてはお手元の資料にまとめてございますが、ほとんど画面のほうで紙芝居的に写真、絵を御覧いただきながら御説明したいと思いますので、画面を御覧いただければと思います。
 災害対応のあと、バタバタした中で資料をまとめてございますので、資料が稚拙なところ不十分なところがあるかもしれませんが、御不足なところは後ほどの質疑の中でお答えさせていただければと思います。
 それでは、早速ですが資料に基づいて説明させていただきます。
 ここの前提は皆さん御理解いただいていると思うのですが、中部電力は3年前に分社化しまして、中部電力ホールディングのもとに、販売会社としての中部電力ミライズ、それから送配電事業者としての我々、中部電力パワーグリッド、それから発電は、東京電力と一緒にJERAという会社をつくって分かれているところでございます。御承知のとおり、販売や発電は競合他社が入ってきて、電力の自由化になっていますので、我々中部電力パワーグリッドは、電気を送るネットワークのところを中立部門として見ています。従来、中部電力は従業員がおおむね1万5000人ぐらいいたんですが、そのうちパワーグリッドは1万人ぐらいいますので、中部電力の中では最も規模的には大きく、県内各地に営業所とか電力センターという事業所を、例えば掛川市や磐田市、浜松市などいろいろなところに拠点をもってやっています。それを統括しているのが私ども静岡支社で、本通りにある支社ビルに私たちは在籍しています。
 では、全般御説明させていただきます。
 まず、気象の概況です。今回の台風がどういう台風だったかです。これも皆さん御承知だと思います。非常に特異な台風だったというか特異な災害形態でした。何かというと、台風としては恐らく皆さん、国民の皆様も少し安心していたのではないかと理解しています。なぜならば、見にくいかもしれませんが、今回の台風は大体どれくらいの規模感で日本に接近してきたかといいますと、1000ヘクトパスカルぐらいです。我々、台風を迎え撃つときに、大体950という数字を意識しています。950を切ってくるととんでもなくなる。数年前に台風24号で浜松に相当被害を受けました。あのとき上陸したのが940ヘクトパスカルでした。大体、伊勢湾台風もこれくらいですので、950を切ってくるとやばいなと思うんですけど、今回のは1000です。1000というのは、台風か低気圧かの境のところです。だから、今回は台風と言えども、ある意味、言い方は悪いですけど大したことないというか、そういう認識です。併せて上陸もしないのです。太平洋側をなめていくのです。この絵を見ていただいて分かるとおり、台風になったのはこの点です。日本にかなり近づいてから台風になって、静岡県の沖ではもう台風じゃなくなっているのです。台風だったのはこの間だけなのです。何でこんな台風であれだけの被害が出たのだという認識です。だから我々も、私は掛川市に住んでいるのですが、雷がすごくて、とんでもない雷だったという意識はもっています。だから夜も台風を心配するよりも雷をすごく心配していて、雨も夜になって降ってきたのですけど、そういった意味では少し初動において難しさはあったと思っています。今回は、ここに書いてありますとおり、台風がきたことによって雨雲が押し寄せてきて、いわゆる線状降水帯が停滞したことによって、ものすごい雨が降ったということです。ただ、御承知のとおり、前日までの天気予報を見て、それを言っていたところはほとんどないと思うのです。夜になって雨が降ってきて危ないと言い始めたのですけど、この台風は危険だとか雨が降ることをあまり予測されていなかった。そういった意味においても、最近の災害の激甚化が、予測しにくいというか、気象庁ですら予測できないような中での対応が求められているところが難しさだと思います。明らかにすごいのがきているぞといって、構えていたところではないということです。ただ、実際に、この雨がきてみると物すごい線状降水帯が停滞していて、この絵にありますとおり、これ解析雨量です。イメージだけ御覧ください。赤いところがとんでもなく雨が降っているところです。ここが伊豆半島です、この辺が静岡市中心部、この真っ赤っ赤がずっと西から東に動いていく。この赤いのは、例えば左が24時間降水量、右側が1時間降水量ですが、右側の1時間降水量で見ると赤だけ100を超えています。1時間100ミリ超えるというのはとんでもないです。こんな雨が降ったらとてつもない感じですが、もう静岡あたりは、もう真っ赤っ赤です。もう1時間100ミリ降ったと、そんなイメージです。これが気象庁の危険度分布を出しているホームページ、キキクルですが、これが災害危険度を見る上では非常に役に立つので、国民の皆さんも御覧になっていると思います。この紫は警戒レベル4です。これは土砂災害警戒レベル
ですけれども、紫が警戒レベル4、黒が警戒レベル5です。もう圏域全部が警戒レベル4です。もう警戒レベル5だと災害切迫ですので、この鉄塔が倒れたのは夜中の実は2時なんですが、静岡あたりは黒くなっている、もう災害切迫というレベルです。ただ、これはこのときにならないと出ないですから。1日前に出してくれればいいんですけれども、これは難しいということです。ただ、実際見てみると、すごい雨だったことは想像できると思います。これが浸水害の危険度ですけれども、これも同じく黒が警戒レベル5です。もう災害切迫です。御覧のとおり、黒いところが至るところに出ていて、これが清水区を中心とした浸水害を大きく出したという気象の背景になろうかと思います。
 これらの気象の背景によって何が起こったのかと、電力会社の立場で、停電の原因と地域別の内訳で整理しました。今回、我々が認識している停電原因は2つあります。
 1つは、赤い字の土砂崩落による鉄塔倒壊による停電です。もう1つが、土砂崩落、倒木等による電柱倒壊による停電です。この2つのモードがあるということです。その下に停電戸数、圏域で全体で最大で12万戸、延べだと18万戸止まったんです、これは物すごい数です、10万戸を超えるというのは。台風24号のときは実は100万戸止まったんです。それを考えると戸数的には10分の1ですが、ただ、集中的に停電したので、インパクトは大きいです。市町別で見ると、静岡市は葵区、駿河区で10万戸止まってます。最大12万戸止まったと言いますが、ほとんどが葵区と駿河区です。この赤いのは上に書いてあるとおり、送電鉄塔の倒壊による停電です。
 一方、至るところで土砂崩落が起こったことによる配電線被害の停電は、この青で書いてある清水区、藤枝市、牧之原市、掛川市、森町、磐田市、浜松市、いわゆる県内全域です。一つ一つは大したことないです。言い方は失礼かもしれませんけど、900戸だとか500戸だとか100戸だとか、それくらいの停電戸数です。そこそこの停電ですけれども、至るところでちょっとした停電がいっぱいあった。なぜこれが問題なのか。今回のはいつもの台風と違って、土砂崩落、倒木による被害ですから、復旧に入れないのです。新聞でもいっぱい出たように、孤立地帯がたくさん出てしまった。この青いやつが県内全域に点在している。清水区だけが浸水害で、結構クローズアップされていますが、今回は県内全域で同じような浸水害が出ています。ですので磐田市でも大分、神増地区とかで崩落していると思いますが、この青字を見ていただいたとおり、県内全域で浸水害、それに伴う停電被害が出ています。現在の停電戸数18戸、まだ止まっているところはあります。これは止まっているといっても、例の孤立地帯ということで新聞にたくさん出ていた川根本町の壱町河内でしたか。ああいったところで停電戸数が一部残っているところはありますが、ここは完全に孤立地帯ですので復旧しようがありません。なおかつ住民の方は避難いただいていますので、問題ないということですが、今のところまだ18戸停電しているということであります。
 以上を踏まえて、今日御説明したいのは2点です。
 この赤と青です。何があってどういう対応をしたんだということです。
 まず、鉄塔倒壊の話です。これもニュースでたくさん映像が出ていますので、インパクトがあったと思いますが、場所はこの赤丸のところです。ちょうど足久保のあたりです。安倍川の右岸、足久保の山中で鉄塔が倒れたのです。これが実際に巡視で発見した鉄塔倒壊の状況です。夜中の2時に停電しました。すなわち結果的に夜中の2時に鉄塔が倒れました。一番雨が降ったときです。2時に鉄塔が倒れたのですが、発見したのは朝の8時ぐらいです。遅いじゃないかと、こういう声も一部あるんですが、なかなか厳しいです。これは足久保の山中です、麓からは全く見えません。とんでもない土砂崩れが起こっていますので、怖くて現場には入れません。そんな中で、夜中の2時から我々も動き出して、危ないながらも現場に入って待機して、この場を見たのはドローンです。なぜヘリが飛ばせないんだと、とてもヘリなんか飛べません。ガスがかかっているためです。現地にドローンを持っていき、うちの保守員が入って、ドローンも無視界で飛ばす。目の見えないところまで飛ばすことをやって、辛うじてこれを見つけて、何か倒れているぞと、ここで驚いて、ここから対応が始まるということです。これが分かったのが朝8時ぐらいです。鉄塔2基が倒れました。御覧のとおり、ガスが相当かかっています、このような山中です。これが倒れているところを、もうちょっと明るくなってから実際にヘリを飛ばして我々が撮った。これは本物のヘリで撮った写真です。真ん中が全景です。奥から鉄塔がたんたんたんたんと手前のほうに流れてくるんですが、14、15、16と倒れているんですが、16号鉄塔がこれです。いわゆる鉄塔の周りが崩れたというよりも、山全部が崩れているイメージです。鉄塔が原因じゃないかという声もないことはないですが、この辺はこれからしっかり我々、原因究明をしていきますが、恐らくそんな次元ではないと思います。鉄塔の敷地なんてここ程度ですので、もうほとんど山全体が崩れる中で鉄塔をもっていかれたというイメージです。この鉄塔が山ごとごそっといってしまったので、倒れたというよりもずったという感じですね。辛うじてここが残っています、まだ。鉄塔が崩れずに足がくっついてますので、これが倒れたので引きずられて隣の鉄塔が折れ曲がったという倒壊の仕方をしました。倒れる前はこういう鉄塔です。結構立派な鉄塔です。鉄塔高は60メートルぐらいあります。かなり鉄塔の中でも大きいほうです。送電線は通常3本で1本、三層回路で構成され、ここに3つ電線があると思うのですけど、1、2、3、これで1つの送電線です。これに故障があってもいいように、もう1個横に予備をもっています。これがワンセット、ツーセットです。例えば一方が雷で故障しても、他方さえ生きていれば停電は絶対しません。ということで予備回線をもっています。さらに、ここには2ルート入っていて、これは珍しいですけれども、普通は下半分ないのですが、もう1個、下にあるのです。ここには4つ回路があるということです。今回は4つともだめになったということです。1個や2個がだめになっても、多分ある程度のバックアップは効くのですが、今回4つ一遍にだめになったのです。
 少し電気的な話をします。この倒れた鉄塔は、実はこの辺にあるんですが、これは静岡市の駅です、こっちは清水区方面です。浜岡のほうから電気がきて、実は浜岡は動いていませんから浜岡の電気はきませんけど、名古屋方面から電気がきて、安倍川の上に駿河変電所があって、そこからこう下に向かって電気が流れていて、市内中心部はこの赤いルートで送っています。市内の東半分は青いルートで送っています。2つ回路があると言いましたけれども、それがここで言う赤と青です。2つ回路があるのです。ですが、ここで4つとも倒れてしまったものですから、この赤の2ルートもだめ、青の2ルートもだめで、4つだめになったということです。ここのところで鉄塔が倒れると何が起こるかというと、この赤と青が全部止まります。静岡駅の駅前、駅、それからパルコ、県庁、私どもの支社ビルも含めて全部停電しました。市内、この赤い丸とか青い丸が配電用変電所、いわゆる街中に送ってる変電所です。これが全部止まりました。結果、この雲掛けのところが全部止まりました。これが夜中の2時です。変電所が10か所、特別高圧のお客様は電圧が高いので、例えば県立総合病院とかも止まりました。ただ、駅前の重要な施設は別系統から送れるものですから、これは全部送ることはできないのですが、駅前の重要な施設は逆系統から送れるので、実は2時に止まったのですが、20分後にはかなり駅前は復旧しています。例えばJR静岡駅やサウスポット、県庁も、確か20分で復旧してます。それから県立総合病院も20分で復旧しています。駅前は20分で復旧しているのですが、ほかの灰色で囲ったこの雲掛けのところは12時間止まったということです。午後の2時までですね。では何をして我々、復旧したか。なぜ鉄塔が倒れたのに12時間で復旧できたのかです。鉄塔が倒れたので直さない限り電気を送れません。我々、逆から電気を送りたいのです。逆から送ることができるものですから、逆から送るためには、ここを切り離さないと送れませんので、現場、山の中に入って作業員が朝方、実際にその60メートルの鉄塔にのぼって、この鉄塔の上で電線を切り離すことをやりました。部分的に電線を切り離すことができるものですから、この電線を切り離す作業を数時間かけてやると、ここを電気的に切り離せますので、要は、リード線を外すということですね。結果としてここを切り離しましたので、今度は逆から送る。今まで上から電気を送っていましたけれども、今度は安倍の方面から送る形で、これを午後の2時までにやって電気を復旧したということであります。これが1日の停電復旧のカーブです。夜中の2時に停電して12万戸ぐらいとまっていますけれど、ほとんどその日の午後2時には停電復旧してます。これは、先ほどの作業を全部終えたからです。ところが、まだ680戸とか数十戸が県内全域にわたって配電の被害が残っているので、ずるずると停電が残ったと、こんなイメージであります。
 今まだ鉄塔は倒れたままです。非常に危険な状態です。これが動かないこと、安定していることは、我々チェックしていかないといけないので、保全対応として今カメラをつけて、静止画を見ながら変動監視しています。こういった形で倒れてますので、こういった画像を常時、24時間ずっとチェックしながら、動いていないことを見ています。基本的に全く動いてません。こういった傾斜計もつけたりして、鉄塔が動いてないことも監視しております。こういうことをやりながら確認しています。基本的にこの鉄塔は、我々の目標としては、来年の3月までには撤去したいと思っています。ただ、これを撤去するのは大変です。危なくて、近づけないです。だから、どうやって撤去するか今、一生懸命検討しています。それを何とか年度内に撤去した上で、電気は送れていますが、信頼度を高めるために、もう一度、設備つくり直さないといけないので、それは恐らく数年かかると思いますが、一、二年の間に新しいやつはつくります。
続いて、配電線の被害について御説明します。
 さっき言ったように、配電線の被害がいろいろなところに点在していました。この赤丸です。西は浜松市浜北区から東は清水区まで、いろいろなところで山を中心に、土砂崩れによる配電被害がありました。以降、写真です。こんな状況です。これは川根本町の壱町河内で、新聞で一番話題になった孤立地帯です。こんな状況ですので、もうとてもとても現場に近づけないのです。我々も近づけないし行政も近づけないし、とにかく悩みながらみんなで復旧したのです。もう半端ない崩れ方です。これは別の場所です、川根町の笹間下。ここでも道が落ちてしまっている、崩れているということですね。それから、これが葵区の田代、もう道路の中に完全に山が落ちてきている。この葵区の蕨野あたりは道路が半分落ちてしまっている。こんな感じですね。こうしたものが県内至るところであるわけです。これは清水区の大平ですけど、この石はどこからきたってな話ですよね。この写真を見て何か不思議に思われませんか、これ普通の山の中の道路ですけれども、こんな巨大な石がゴロンゴロンあるのです。どこからきたのだろうみたいな、この石をどけないことには先の復旧に入れないわけです。こういう状況が続いたのです。この中でも我々は電力を復旧しなければいけないので、行政と連携しながら一生懸命やっているのですが、今回一番課題になったのは道路警戒です。入れないものですから、入れないことには復旧できない。あるいは、もっと言うならば、入れないことには、その先に誰がいるかも分からないという孤立地帯の問題もあって、今回は、協定の話が後ほど出てきますが、道路行政と連携しながら、毎日ミーティングをやっていました。メンバーは下に書いてあるとおり、国交省の中部地方整備局、経産省の保安監督部、それから静岡県の道路保全課、静岡市の道路保全課、浜松市の道路保全課、それから私ども中部電力もホールディングとパワーグリッドで、関係者が毎日、膝を突き合わせながら、どこを復旧すれば電力復旧に入れるのかという話も含めて、あるいは、そこに住民がいるのかいないのか、あるいは停電復旧がどうだから避難していただくのがいいのか避難しないのかを含めて、毎日調整していました。これがとても今回大事だったことです。
 それで、さらにもう1つ、孤立しているところは、いつまでも電気がないと困ります。ただ、復旧できないので、一部のところでは私どもがこういった高圧発電機車を持っていって、これは要は発動発電機の大きいものだと思ってください。こういうものを各営業所は持っていますので、これを持っていって孤立地帯に接続しました。今回も先ほどの壱町河内は、完全に孤立していましたので、この発電機車を5台ぐらい入れて、1週間ぐらいずっとつなげていました。ただ、ここのところはぜひ議員の皆様にも御理解いただきたいのですが、こういった発電機車があるなら停電したときにはすぐに出せばいいじゃないかという話にとかくなりがちですけれども、これは静岡県に8台しかない状況です。今回は災害と同時に、長野県から30人ぐらい、それこそ5時間かけておりてきて、この発電機車も長野県から持ってきて、それを今回、壱町河内のところはつなぎました。これは1回つなぐと発電機1台につき五、六人とられてしまうのです。それも24時間付きっきりで。すなわち、これを導入すると一部的には電力復旧できるのですが、ほかのところの作業ができなくなってしまうのです。五、六人がここに24時間付きっきりになってしまうものですから。要は交代制で、なかなか要員的にも厳しいですし、あと燃料補給もずっとやらなければいけないです。今回も石油会社に大分御尽力いただいたのですけれども、3時間に一遍ぐらい燃料を補給し続けないといけないのです。結構大変ですが、こういったことも今回はやりました。
 それから、もう1つ、情報発信の話をここでさせてください。
 今回こういった停電があったりと地域の皆様に御迷惑をお掛けしている中で、中部電力としてどうやってその地域の皆様に情報を発信したのかという大事な話です。
 まずはプレスリリースです。今回の災害中8回、プレスリリースしています。それから併せて鉄塔倒壊に関する記者会見もしています。私が説明者として立って、発災初日に記者会見をしています。それから県には、災害対策本部に我々からリエゾンと言われる調整員をずっと送っていました。それから、静岡市にもリエゾンという調整員を送って連携していました。さらに地域の人、停電していることが分からない人もいるものですから、広報車を出して、拡声器でもって、ずっと停電しています、気をつけてくださいみたいな話もやっていました。さらにホームページ停電情報をお知らせする、アプリで停電情報をお知らせする、もやっていました。それから、もう1つ、最近の災害で非常に重要なキーワードが、ツイッターです。ツイッターってなかなか馬鹿にできなくて、ものすごく情報の鮮度も高いし、リアルタイム性も高いので、今回、ツイッターを32回打ちました。これが記者会見のときの様子です。実際テレビ8社、新聞10社が入って、こういった形で発災初日に記者会見をやりました。それから、これはツイッターです。ツイッターもタイミングで中身を変えていくことが大事で、なかなかホームページを見てもよく分からないという話もあるものですから、ツイッターであれば機動性がきくのでバンバン出していきます。これは発災初日から、日によって減ってきていますけれども、32回出す中で、停電がどんな状況ですよ、復旧作業がどこまでいってますよ、通電時はこういったことに気をつけてくださいみたいな、その時その時で必要な情報を変えながらツイッターで出しています。文字情報だとなかなか関心がないので、写真をできるだけ見せながら、現場で起こっていることを皆さんにお知らせするようにしています。これに対するリツイート、反響の声も結構あって、ものすごいいっぱいそこに生の声が広がります。電力頑張れという声もありますし、何やってんだというお叱りの声もありますし、ものすごい反響がありながら、こういった対応もさせていただいています。
 それから、最後に、被災者支援の活動です。これは電力復旧とは全く関係ありませんが、今回、清水地区が大分、水でお困りになったということで、我々、災害復旧とは別に被災者支援の活動もやっていますので、少しPRさせていただきます。
 我々は会社の規模がそれなりにありますので、備蓄水をものすごく持っています。この際だから全部出せということで、1万5000リットルを全社から集めて、これを清水地区に持っていきました。ここに書いてありますとおり、浜岡原子力発電所も結構持っていて、ここに3,000本、6,000リットルと言ったのですけれども、真っ先に浜岡が持ってくる話になって、浜岡の部隊がこの水を持っていきました。併せて浜岡だけでなくて、1万5000リットルを全社から集めて、ここに書いてあるとおり、船越地区、江尻地区、三保地区、庵原地区と、いろいろなところへ持っていきました。これはどこを窓口にするか、なかなか悩ましいんですけれども、我々の拠点となっている清水営業所が、連合自治会と調整して運びました。こんな形で水を持っていって、お配りしたということです。これがどう役立ったのかは、正直その評価まではできていませんが、リアルタイムでこういったこともやったことを御理解をいただければと思います。
それから、最後に、課題の再確認です。
 以上、鉄塔が倒れた、配電線の復旧があった。要は、電力会社として、この災害に対してどういう課題感をもっているんだという話について、おさらいをさせていただきます。
 これは以前から我々、最近大規模災害を経験していて、例の浜松市が一番やられた台風24号をはじめ、それ以外のいろんな課題を積み上げて整理してまいりました。このグラフは大変大事なグラフですが、電力の復旧カーブです。緑は台風21号、あの関西国際空港が水没して、岐阜とかがやられた台風がこの緑です。この青いのが台風24号です。浜松市がコテンパンにやられたやつです。この赤いやつは千葉県がやられた東京電力の台風です。御承知のとおりで、あまり他電力の悪口を言ってはいけないのですけれども、千葉県が復旧が遅かったのは、多分皆さんも御理解いただいていると思いますが、千葉県は大変だったのです。ものすごく復旧に時間がかかりました。2週間以上復旧にかかっていました。私どもは比較的早くて、大体1日か2日で90%ぐらい復旧してしまいます。ただ、やっぱり遠隔地だとか孤立地帯は、道路との調整などいろいろあるものですから、時間が少しかかって、残されたところは最後5日、6日かかるので、大体、5日、6日で全部復旧しています。だからどんな災害でも、孤立地帯とかは5日、6日ぐらいはかかってしまうのです。ここを早くやるためには、やはり行政といかにしっかり連携していくかということが、ものすごく大事だと我々は思っています。こうしたことを振り返りながら、今回は実は10万戸ぐらいですから、これくらいだとは思っていないんですけれども、このときは100万戸止まっていますから、それでもこれくらいのスピード感でやるということです。こういうことを踏まえたときに、何が課題かということなんです。普通、台風の被害というのは、今回の台風15号とは違うんです。今回の台風はほとんど風が吹いてません。要は、土砂崩れだけなんです。ところが普通の台風は風です。だから、倒木がすごく問題になります。木が倒れて設備がやられるのが結構多いです。この絵のとおりですね。
 もう1つ、物が飛んでくるということです。一番厄介なのがビニールハウスです。大体こういうことになります。ビニールハウスがそのまま飛んできてこうなってしまう。これをとらないことには復旧できないものですから、なかなか復旧に時間がかかると叱られますが、このビニールハウスをとるのは結構大変です。人海戦術でビニールハウスをとり、設備の壊れたのを直し電気を送る、これを力技でねじ伏せるのが、今の復旧のやり方です。実際の倒木も木を切ればいいのですけれども、なかなか違うのです。普通の伐採事業者ではこの仕事はできません。やはり電線にかかっているとか、そういうことになるものですから、これをやるのは、私どもの社員であったり、トーエネックという関係会社だったり、プロの電気事業者がこの木の処理をやらないといけないです。こんなことを言ったら叱られますが、なおかつ我々は木を切るのがあまり得意ではないというか、その辺の難しさってあるのです。伐採事業者もこれはできない。我々も木を切るのはやりますけど、プロフェッショナルではない。そういった難しさが正直あります。1本の木を処理するのでも、こういった高所作業車を出しながら、集団で仕事をやっていきますので、これが県内いろんなところで普通の台風のときには起こります。幾ら人がいても足りない状況です。こういった形ですね。うちの社員が直接全部作業をやったりするのですが、木を処理するのはすごく大変だということです。
 細かくて見えないかもしれませんが、主な課題は大きく分けて3つです。設備復旧の体制をいかにつくり上げるかということ。2つ目は、お客様にどのように丁寧に情報発信するかということ。3つ目が、自治体を含めた関係機関とどうやって連携するかということ。我々はこの3つが災害対応の基本だと思っています。設備復旧の体制は、もう言うまでもないと思います。事前にどうやって要員配置していくとか、ここに書いてあるとおり、被害状況をどうやって把握するとか、復旧工程をどうやって管理するとか、後方支援をどうするとか、こういうことがいろいろ課題になるわけです。事前に要員を配置しておけばうまくいくのに、なかなか被害予測ができないものですから、事前要員配置できないとか、被害状況を把握しておけばよかったのにと言うけれども、さっき言ったような状況の中で、どうやって被害状況を把握するか、危ないところに行って、という話です。あるいはお客様の情報発信も、お客様から電話がバンバン入ってきて、コールセンターがパンクしてしまうとか、あるいは情報発信をいろいろ複線化しておかないといけないとか、あるいは外国人の方には日本語で情報発信してもだめだよとか、いろんな課題があるわけです。
 それから、最後に、自治体との連携においても、いろいろ課題があるので、これらの課題を踏まえて問題点を抽出した上で、我々はアクションプランを以前の台風の時につくりました。これは特に浜松市の大規模災害を踏まえて、社長をトップとする災害対応検証委員会を社内で立ち上げて、いわゆる改善のアクションプランをつくりました。3つの視点で19項目、設備復旧の体制、お客様への情報発信、自治体との連携、それぞれについてここに書いてあるとおり、初動の迅速化だとか、今言った反対の言葉でもって、いろいろな対応を徹底的に社内で整理してまいりました。ある意味、今回の災害対応は、こういった改善ができているがゆえに、ある程度スムーズにできたのかなと思います。ただ、ゴールがないので、いつまでもこれをブラッシュアップしていかなければいけないです。以降はこの赤い字のところだけ簡単に説明します。
 まず、停電情報は、皆さん御覧になったことないかもしれませんが、当社のホームページを見ると、いつでも停電情報が見られます。こういった階層になっていて、静岡県が停電してますと、静岡県に色がついていますし、静岡県をクリックすると、このように葵区が停電してますよと区切りますし、葵区をクリックしますと、ここのエリアが停電してますよと出ます、こういったのがどんどん階層で入ってきます。これを見ると、今どういう状況の停電になっているかが、リアルタイムでホームページで見られます。さらに、もっとプッシュで情報を知りたい方には、最近はスマホのアプリで、停電情報お知らせサービスというのがあって、これをインストールしてもらっています。今100万件ダウンロードを達成しました。中部電力管内です。相当皆さんにダウンロードしてもらっていますが、これを入れておくと自分の家が停電するとメールがきます。あなたのところが停電してますというメールがきます。あるいはコールセンターに電話はつながりませんが、これにはチャット機能がついていますので、そこが困るとか、ここは危ないとか、ここに電線が落ちてるとか、写真付で送ってきたりすると、チャットなので回線混雑の問題もなく、あるいは避難所のルートも出るとかで、このようなアプリも今展開しています。ぜひ皆様もインストールしていただけるといいと思っています。
 それと、県と各市町との災害協定の締結を、今、一生懸命やっています。静岡県とも昨年、知事と私どものホールディングとの間で締結させていただきました。この締結では、平常時にどういう連携をするかや災害時にどういう連携をするかを決めています。平常時の連携は、例えば、県の総合防災訓練に一緒に参加するとか、いろんな情報交換をするとか、あと、議員の皆様からもいろいろコメントいただいていますが、予防伐採をどうやって進めていくのかという話も含めてここには入っています。それから災害時も連絡体制を確立しましょうとか、さっき言ったような道路警戒の要請をしましょうとか、こういった協定があります。今回も朝方5時か6時ぐらいに、私は県の黒田危機管理監には電話を差し上げていますが、こういったものがあるので、即座に今の状況、電力はこうなっていますということを、県の災害対応をコントロールするトップには直に話ができますし、何かあれば向こうからも電話が入ってくるので、こういうこともできます。これは県あるいは中東遠5市1町と共同協定を結んだときです。今、県内全市町と協定を結ぼうとしていますが、あまりこれをクローズアップされたくはないのですが、残念ながら静岡市と藤枝市だけまだです。静岡市とは、基本合意はやれているのですけれども、細かいところでまだ詰めができてなくて、静岡市と藤枝市だけ協定ができてません。これは急ぎますが、いろいろと議員の皆様からも後押しいただけるとありがたいです。ほかの市町は全部協定が締結できています。富士市とか富士宮市は東電管内でありますし、うちのものも少しあるものですから、東電と一緒にいろんなことをやりながら、こういった関係も築いています。
 全国の電力会社による復旧支援という仕組みもあります。今回は我々、他電力から応援をもらっていませんが、千葉県のときは我々、千葉県に飛んで行っています。イオンモール木更津、千葉県に応援に行ったところで、イオンモールに日本中の電力会社の車が集まって復旧をやっています。このように現地にテントを組んで、これはすごかったです。どれくらいの規模感でいっているかというと、北海道から沖縄県まで全部の電力会社が千葉県に集まって、うちからは延べで3,000人行っています。物すごい数、発電機車も中部電力管内の発電機車を全部持っていって、こういった形で、日本中で電力会社が相互応援する仕組みがあります。台風24号のときも我々は応援をもらっていたりしました。さらに言うと、最近は自衛隊の力を借りるべきで、今回も自衛隊については静岡県ではいろんな議論がありました。こういった連携、もちろん人命大優先ですので、電力どころかもっと前段のところで、自衛隊の皆さんにもお力を発揮していただいています。台風のときは電力だけが被害を受けていることもあって、そういったときには自衛隊の力も借りられるので、陸上自衛隊とも災害協定を結んでいますので、災害時にはこういった形で、この倒木処理が大変なので、自衛隊の力をお借りすることもやっています。これはまさに中部電力と自衛隊の方が、一緒に作業しているような作業風景ですけれども、一緒に道路啓開をやるということもやっています。今回も自衛隊は入っていませんけど、日本で初めて自衛隊が電力復旧で入ったのは千葉県の復旧でした。長野県で千曲川が堤防決壊したときと、今まで自衛隊が入ったのは2回だけです。これからはこういった仕組みも使いながらということであります。
 もう1つだけ最後に、予防伐採の話です。これは台風24号のときに、県内でどれだけ木が倒れたかです。これだけ木が倒れました。これ全部配電線被害があったところです。台風24号でこれだけの点の数で配電線被害がありました。これを1つ1つ処理するので、これを5日、6日で停電を復旧するのは、なかなか大変だと思うのですけれども、これを力技でやりにいきます。右の写真のようなところです。これを何とか解消できる方法がないか、我々が考えているのが予防伐採です。木が倒れるんだったら、あらかじめ切っておくという話です。これは磐田市の神増です。今回ここで土砂崩れがあったものですから、いろいろな難しい問題がありますが、こういった形で切っておけば、この木が倒れてきて災害になることはないだろうということです。今、県でも予算をつけていただいて、市町と連携しながら県、市町、私どもの3者で費用負担を上手にしながら、この予防伐採を進めていこうと思っています。ただ、なかなかいろんな難しい課題もありますし、場所がとにかく膨大にありますので、どうやって優先順位をつけるかといったところについて、今、協議しながら進めているところです。
 ものすごく端折って説明しましたので、御理解していただきにくいところが多数あったかと思いますが、御質問いただきながら補足説明をさせていただきたいと思います。

○落合委員長
 ありがとうございました。
 以上で、中村様からの説明は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 委員の方にお願いします。質問は一問一答方式でお願いします。
 それでは御質問、御意見ありましたら、よろしくお願いします。

お問い合わせ

静岡県議会事務局議事課

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