本会議会議録


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令和6年決算特別委員会厚生分科会 質疑・質問
質疑・質問者:川崎 和子 議員
質疑・質問日:10/29/2024
会派名:ふじのくに県民クラブ


○川崎委員
 分割質問方式で2つ質問させていただきます。
 まず1つ目は、決算審査意見に対する説明書49ページから51ページの不用額についてお聞きします。
 一般会計において大変重要な少子化対策、保育対策、子育て支援対策ですが、特に不用額の多い子ども・子育て支援給付費負担金、保育対策等促進事業費助成、こどもの安心・安全対策支援事業費助成、放課後児童クラブ運営費助成、そして児童入所措置費について大変需要が高い事業と思います。多額の不用額が生じた当初の予算措置についての見解を伺います。

 また、子育て支援対策として、必要な方や事業所などに十分に事業内容が周知され、活用されているのかについても伺います。

 それから、多額な不用額の背景には想定以上に速い少子化が考えられると思います。当初の予算措置の際、人口動態などの人数や規模などを鑑みて設計されているのか伺います。
 さらに、精度の高い所要額の査定に努め適切な予算措置をどう図ったかについても伺います。

○松本こども未来課長
 1点目、当初の予算措置の状況ですけれども、まず子ども・子育て支援給付費負担金や児童入所措置費といった予算額が100億円を超える事業費につきましては執行率は98%以上となっておりますが、どうしても予算額が多い事業のため不用残の額も大きくなってしまっている状況です。
 また、児童入所措置費以外につきましては事業の実施主体である市町に対する助成や負担金が主な経費となっているため、予算計上に当たり市町からの所要額見込みの積上げ結果をベースとして財源不足にならないように積算を行っております。結果的に見込みに対して事業実績が少なかったため不用残が出た状況です。
 また、児童入所措置費につきましては予算計上に当たり前年度の上半期措置児童数の実績を基に計上しておりますが、結果として見込みに対して措置児童数が少なかったため不用残が出た状況です。

 2点目、支援対策の内容が事業所等に十分周知されているかについて、こちらは事業主体の市町に対し予算編成時や交付申請前に新たなメニュー等の追加事業についても説明を行い、市町から事業所に周知しております。
 また、認可外保育施設に対しては県から直接メールや文書で事業内容について周知しており、実際活用されていると認識しております。

 3点目、当初予算措置の際の人数や規模等を鑑みた設計については、実際に事業主体である市町の積上げをベースに、前年からの変化の多い箇所については人数や対象事業所数などを確認し積算しております。
 また、これまでも市町の所要額の積上げ結果に対して、過去3か年平均の決算乖離率を乗じて算出するなど精査しているところですが、市町に対して積算誤りがないよう積算に当たっての留意点等を指導していくほか、例年より所要額が増加している市町に対しては個別に理由を確認するなどきめ細やかに対応してまいります。
 また、市町の積上げとは異なる児童入所措置費につきましては、当該年度の上半期入所児童数実績を基に翌年度当初予算を計上していることから、今後は過去数年間の措置児童数の減少率を加味するなど精度の高い所要額の算定に努め適切な予算措置に努めてまいります。

○川崎委員
 御答弁ありがとうございました。
 最後に触れていただいたように、少子化対策は市町においても少し甘いと思っています。磐田市でも小学校1年生が1クラスになっているところがかなり増えており、今回も積上げでかなりの不用額になっていると思います。この減少率について松本こども未来課長から答弁がありましたが、これからの総合計画などにおいても積算時点でしっかり見ていくことが重要と思います。
 意見ですが、この不用額をもう少し当初予算の中で他の使える予算に充当していただきたいと思います。

 それから、主要な施策の成果及び予算の執行実績についての説明書12ページ、静岡社会健康医学大学院大学の理念が健康と医療、環境を統合する俯瞰的な視点を基軸として健康寿命の延伸に資する教育研究を通じ、国際社会に貢献する知と人材の拠点を目指すとうたわれています。
 鈴木知事が目指すウエルビーイングにとても通じるものと感じています。このウエルビーイングの中で肉体的、精神的、社会的の発信地が今後この静岡社会健康医学大学院大学になっていくのではないかと感じますが、当大学院大学について幾つか質問させていただきます。
 令和5年度から博士課程及び修士課程の専門コースで聴覚・言語コースが新設されています。また令和6年度から開始する準備として、修士課程の専門コースで遺伝カウンセラー養成コースを準備したと記載されておりますが、その内容と静岡社会健康医学大学院大学としてどのような人材育成を考えているのかまずお伺いします。

 2点目は、静岡県の健康寿命延伸に向けて静岡社会健康医学大学院大学に社会健康医学研究を委託して実施したとありますが、その内容と検証を伺います。

 3点目、静岡社会健康医学大学院大学は県内外の大学や研究機関、企業、自治体と連携して行う大規模コホート研究をされ、令和3年度には伊豆半島、令和5年度には袋井市にも拡大したとされていますが、このコホート研究が全国的に、また世界の中でも研究されていると感じますが、目的と方向性、また社会実装としてどのように検証されたのかお聞きします。

 4点目、先ほども青山健康福祉部長から研究成果として、8月31日を野菜の日として野菜マシマシキャンペーンの展開を図っていると説明がありましたが、成果について伺います。

○鈴木健康政策課長
 まず、静岡社会健康医学大学院大学の博士課程と修士課程の2つの専門コースの内容及び人材育成についてお答えいたします。
 まず、博士課程につきましては修業年限が3年で、科学的知見に基づき従来の施策の体系化や医療データの要因分析等を進め、県民の健康寿命のさらなる延伸に取り組みます。最新の生命科学や情報解析学など関連領域の学識を基本に社会が必要とするエビデンスを導き出し、社会実装を通じて医療、保健、福祉に関する高度な学識と広く人々の健康に貢献できる能力を身につけたプロフェッショナルな人材である研究者の育成を図ってまいります。
 次に、聴覚・言語コースについては、先天性高度難聴児に対する早期の診断、音声言語の獲得に向けた適切な介入の実践や老人性難聴者に対して適切な聴覚補償を実施することにより、聴覚・言語能力に関する学識を習得し高度な機能評価と適切な介入を担う専門人材の育成を図ってまいります。
 なお、医療関係者においては診療内容の質の向上、保健福祉関係者においては職場での指導的立場となることが期待されており、聴覚障害児の障害の軽減にもつながるものと考えております。
 続いて、遺伝カウンセラー養成コースについては、最先端の遺伝医療等に関する学識の習得を通じて、遺伝医療を必要としている患者や家族に様々な情報提供を行い、当事者の自律的な意思決定を支援する専門人材の育成を図ってまいります。コース修了時には認定遺伝カウンセラーの受験資格が得られますので、将来は認定遺伝カウンセラーとして遺伝医療やゲノム医療の様々な分野で不可欠な人材として活躍することが期待されています。

 社会健康医学研究の内容と検証については、県民の健康寿命をいかに伸ばし研究の成果を着実に県民に還元する研究を実施していくため、社会健康医学研究推進基本計画に掲げた3つの研究分野である医療ビッグデータを活用した研究、特定の集団を対象とした疫学研究、遺伝情報を対象としたゲノムコホート研究について静岡社会健康医学大学院大学に委託して実施しています。
 主な成果は、高血圧対策事業の実施と効果の評価において潜在的な未治療高血圧者の状況を明らかにし、血圧測定の習慣化に向けた普及啓発を行っているところです。
 疫学研究の一環として実施している市町別の生活習慣等のモニタリング研究におきましては、現状では数年置きに都道府県単位でしか把握できない食品の摂取量について、市町単位での把握が可能な調査手法を開発して現在も継続して実施しています。
 多目的コホート研究におきましては、県内で生活習慣や健康状態を追跡調査するため参加者を募集して検診を実施いたしました。
 令和3年度及び令和4年度の研究対象地域として賀茂1市5町を選定し、2年間で延べ1,287名の健診を実施しました。令和6年度は袋井市にて検診を実施しており、中長期的な健康長寿に関する研究の基盤整備につながっております。
 コホート研究につきましては、対象者の長期の追跡が必要ですので、将来において多角的に立証度が高いエビデンスが得られる利点がございます。その中で調査に御協力頂いた方については、結果をすぐにお返ししたり研究成果を踏まえた生活習慣病等の研修会の開催等を通じて、短期的な研究成果の還元も行っております。
 社会健康医学の研究を継続して実施していくためには、県民の皆様の理解と協力が不可欠ですので、研究成果を県民の皆様が実感できるように引き続き具体的な健康増進施策や疾病予防対策へ反映してまいります。

 続きまして、大規模コホート研究の目的と方向性、また社会実装としての検証についてお答えします。
 先ほど少し触れましたけれども、脳血管疾患、認知症、フレイルやその背景にある生活習慣病などの原因究明、予防方法の開発、研究成果の社会実装による県民の健康づくりを目指すことを目的として令和3年度から賀茂地域、令和5年度から袋井地域において大規模コホート研究を実施しております。
 フィールド調査の結果と医療・介護のレセプトデータ等を連結することで医療サービスに関する詳細なデータを入手し、従来のコホート研究では得難い治療薬の有効性などの知見の獲得を目指しております。
 また、頭部MRIや頚動脈と心臓の超音波検査、動脈硬化度の測定結果等を参加者に提供することで、疾病の早期発見にも直接貢献してまいります。
 毎年できる成果として、調査に協力頂く方への結果通知や検診結果の簡易分析、市町へのKDBとコホートの検診の突合データの変換が可能となります。
 2、3年で還元できる成果としましては、研究成果を踏まえた生活習慣病等の予防対策研修会の開催や、科学的な根拠に基づいた各市町の健康増進施策に対する助言が期待されます。
 長期的に考えている成果として、県外の大学等との連携も進んでいることから、様々な立場から実施地域における生活習慣病の要因分析や健康寿命の延伸に資する施策の提言を行っていくことが期待されております。
 今後につきましては、県内の地域への展開も図り、科学的知見の創出により県や市町の健康施策への活用につなげていきたいと考えております。

 最後に、野菜マシマシキャンペーンにつきましては、健康寿命の延伸のために脳血管疾患を予防することが重要であり、本県の健康課題である脳血管疾患に関係の深い高血圧の予防に着目して、県民の野菜摂取量増加を目指すことを目的としております。
 令和5年度の取組につきましては、県では8月31日の野菜の日に合わせたシンボルイベントとして静岡社会健康医学大学院大学とも連携し、「健康寿命をのばそう!講演会」を開催したほか、市町や企業と連携して行うキャンペーン等の取組を共通ののぼり旗などの啓発素材を使用することにより、県民の皆様に対して官民が一体的に取り組んでいるPRを行うことができたと考えております。

○川崎委員
 御丁寧な御答弁ありがとうございました。
 意見で終わりたいと思います。
 静岡県では、高血圧などのビッグデータや住民の国保データを全体的に管理しているとお聞きしております。この管理に関してはかなり慎重にしていただきたいことが1点、それから高血圧、脳卒中、認知症、フレイル等とても重要な項目をお持ちですので、ぜひ市町とも連携をしながら進めていただきたいと思います。
 今回は決算特別委員会ですので令和5年度事業に関してですが、大規模コホート研究はこれからも進めていくとのことですので、ホームページでも何でもいいのでぜひ報告をよろしくお願いします。

○望月委員長
 ここでしばらく休憩とします。
 再開は13時30分とします。

( 休 憩 )

○望月委員長
 休憩前に引き続き分科会を再開します。
 質疑を継続します。
 では、発言願います。

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