本会議会議録


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令和6年12月定例会文教警察委員会 質疑・質問
質疑・質問者:蓮池 章平 議員
質疑・質問日:12/13/2024
会派名:公明党静岡県議団


○蓮池委員
 分割質問方式でお願いします。
 来年度予算編成に向けた要求を現在各部局が上げており、先日も説明がありました。教育委員会が抱えている様々な教育現場の課題を解決するためにはそれなりの予算が必要になってくると思います。知事が替わったので、本県教育委員会が抱えている課題はこういうことをやらないと解決しないということを知事に理解していただくいいチャンスでもあるかと思います。本年度予算と比べて、来年度は様々な課題を解決するためにどのぐらい要求しているのかについて状況をお知らせください。

○上原財務課長
 予算要求の状況ですが、令和7年度当初予算の部局調整案は約2159億円であり、今年度当初予算に比べ約115億円、率にすると5.4%の増で要求しております。
 今回の予算編成に当たり、課題を踏まえ3本の柱での編成を行いました。
 1本目の柱である新たな社会を創造する力を育む教育では、国際バカロレア教育の導入や行きたい学校づくりの推進、高校の在り方の具現化や小1プロブレムなどの解消に注力した予算要求としております。
 2本目の柱である多様性を尊重する教育については、不登校児童生徒への支援の充実、特別支援学校の個別指導計画の高度化に基づく学びの進化などのための予算を要求しております。
 3本目の柱である学びを支える基盤については、教員の働き方改革や負担軽減に向けた支援の充実、AI等によるアシストの検討、学校の通信環境の改善などを進める経費を要求しております。
 また、施設整備面では特別支援学校の狭隘化の解消のための施設整備、老朽化している校舎での修繕費の充実などを要求しております。
 また、3本の柱の全てにおいて教育DXを推進し学びの高度化、校務の効率化を進めていくこととしており、先ほど説明しましたAIを使用した特別支援学校の指導支援や学校の通信環境の改善などを中心にソフト・ハード両面で予算要求しているところです。

○蓮池委員
 本年度に比べて約115億円の増ですが、増額の中身で一番大きい経費についてお伺いします。

○上原財務課長
 約115億円のうち、一番大きな金額は国の財源を用いた市町による端末更新経費の約70億円になります。また施設整備で14億円から15億円程度の伸びになっております。

○蓮池委員
 池上教育長、これはかなり課題解決ができる予算の額ですか。

○池上教育長
 十分かと言われると、まだまだ欲しいのが率直なところですけれども、私どもとしては予算は1つ重要な弾である一方、課題解決にはソフト面の運用も非常に重要な武器であると認識しておりますので、その両輪で対応していきたいと考えております。

○蓮池委員
 全ての教育現場の皆さんから声を聞いているわけではないけれども、やはり多忙化の解消はできないし、それぞれ現場で課題をたくさん抱え、根本的に教員が増えないと子供と本当に向き合った教育は実現できないんだと、これはもう切実な声です。そこへメスを入れないと抱えている課題を本当に解決できるのだろうかと思います。そういう意味で私は聞いたんですよ。確かに財政当局とかなり厳しい調整が続いており、我が会派の予算要求で知事に申し上げようと思っていますが、教育に思い切った投資をして子供たちや教育現場が抱えている問題にメスを入れないと、池上教育長は運用の面でと言うけれども、もう限界があると思います。少人数学級などいろいろとやっており、我々は応援したいと思います。限られた財源で不足が600億円を超えると言われると要求するほうも要求しづらいですが、しかし子供たちのために今投資をしておけば、すぐに効果として出てこないかもしれませんが将来大きなインパクトがあると思うので、ぜひお願いしたいと要望しておきます。

 続いて、説明資料6ページの障害者雇用の推進について今後の予定として令和8年6月までに59人程度、令和9年6月までにさらに18人程度を採用し、最終的に障害者雇用率を2.9%に引き上げるとの記載があり、具体的な取組として総務事務集約化に伴う事務補助を創出との記載があるのですが、考え方を説明してください。

○高林教育総務課長
 障害者雇用の取組について、静岡県教育委員会障害者活躍推進計画に基づき障害者雇用を計画的に確保していますが、計画途中で法定雇用率が順次引き上がっています。令和2年度2.4%から令和3年度2.5%、令和5年度2.5%から令和6年度2.7%へと上がっています。
 必要な雇用数については、労働局に提出した2年間の採用計画に基づいて指導を受けながら進捗管理しており、現在の法定雇用率2.7%に向けて59人程度の採用を年次で計画しています。具体的には令和7年度30人、令和8年度29人の雇用を計画しており、令和8年6月には法定雇用率を達成できる計画を今検討しています。
 具体的な雇用の確保に当たっての総務事務集約化に基づく事務補助の任用は令和8年度からです。そのほか、これまでの障害者特別選考による教職員の任用も引き続き確保していきたいと思っており、特別支援学校の自主支援員、また小中学校のスクール・サポート・スタッフ等々についての取組も着実に行いつつ、またこれだけでは2.7%は達成できませんので、新たな雇用の創出として今申し上げました総務事務集約化などにより新たな職を創出していくことで雇用確保に努めてまいりたいと考えています。
 総務事務集約化に伴う事務補助の創出については、学校で行っている教員の総務事務、給与や旅費の事務を1か所に集約して教職員の利便性向上、生産性向上による効率化を図る目的で令和8年度の総務事務集約化に向けて準備を進めています。

○蓮池委員
 障害者雇用の中身について、先ほど教職員との言葉をお使いになっていましたけれども、障害のある教員の採用は事務職員も含めて何か区分があるのでしょうか。それから障害者雇用の推進は正規職員として採用しているとの意味でしょうか。

○高林教育総務課長
 正規職員である教職員には、正規の教員と正規の事務職員の2つの区分があります。それとは別に非正規職員には会計年度任用職員、先ほど申し上げました事務補助、スクール・サポート・スタッフ、自主支援員等の雇用があります。また正規の教員で障害者免許を持った方はなかなかいないことから、その確保は限定的であり、雇用の確保に当たっては会計年度任用職員、事務職員の創出を積極的に考えています。

○蓮池委員
 正規職員で障害者資格を持っているとなれば、障害の種別では肢体不自由になろうかと思うんですが、そうすると会計年度任用職員がほとんどであると考えていいのでしょうか。

○高林教育総務課長
 令和6年6月1日時点で障害者雇用されている職員は289人おり、うち教員は127人で44%です。事務職員は162人で56%です。
 障害の種別ですけれども、身体障害は185人、知的障害は25人、精神障害は79人の内訳になっています。

○蓮池委員
 次に、説明資料7ページのモンゴル国ドルノゴビ県の高校生との相互交流で派遣受入れに係る予算はどのぐらいの規模で今後の予定はどうなっているのかについて伺います。

○秋野教育政策課長
 モンゴル国ドルノゴビ県との交流について、令和6年度の派遣と受入れを合計した予算額は785万円となっています。派遣規模は高校生20人、受入れが高校生25人となっており、来年度も同規模で実施する考えです。

○蓮池委員
 海外との交流について、受入れや派遣は教育委員会としてはモンゴルだけでしょうか。

○秋野教育政策課長
 このほかに中国との青少年交流を行っております。また今後については新たな国との交流も検討してまいりたいと思います。

○蓮池委員
 例えば、高校生による短期の海外留学も含めて、それぞれの学校で交流事業を行っているのでしょうか。

○大澤高校教育課指導監
 短期の留学については、例えば高校の国際科や英語科を設置している学校で3週間や1か月程度の留学、海外交流を行っている実績はあります。
 それ以外の高校では学校単位での短期留学はなかなかないのですが、生徒個人がふじのくにグローバル人材育成基金を活用したり国のトビタテ!留学JAPAN等を利用して自身で計画して出向いていくことはあります。

○秋野教育政策課長
 教育委員会の事業としては、ふじのくにグローバル人材育成基金を活用して留学する高校生を支援してまいりました。今年度は新たに国の事業に応募した結果、海外で探究を伴う留学に対する支援が採択され、国の助成で約50人の生徒を派遣しております。

○蓮池委員
 非常に意義がある事業だと思っております。高校時代にそういう経験をし、これからの将来を見据えて国際感覚を身につけて国際社会で活躍する子供たちを育む意味でもぜひ続けていただきたいと思います。県としては地域外交の面で様々な国との交流もあるので、これが次につながって永続的な事業となるように求めたいと思います。

 次に、説明資料10ページの令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査静岡県立学校の状況について、問題行動の発生件数が増えている理由として新型コロナウイルス感染症が5類に移行し人と関わる機会が増えたことにより、人間関係のトラブルを起因とする暴力行為が依然として多くなっているとの記載がありますが、これが原因でしょうか。原因をどうやって分析して把握したのでしょうか。

○池上義務教育課指導監
 8番委員御指摘のように、人との関わりが増えたことだけが原因ではないと思っております。子供が抱えている問題は非常に多様化しており、また子供の後ろにある家庭の問題など様々な課題がある中で子供たちの問題行動が発生するのではないかと考えています。

○大澤高校教育課指導監
 高校教育課も義務教育課と同じ考え方であり、人と関わることが増えたという理由のみで人間関係がつくれないとは考えておりません。多様な生徒が増えてきたことや様々な家庭環境も原因の1つかと思っており、成果が上がる対策を打っていくことはなかなか難しいとは思いますが、様々な視点から対応を考えていかなければいけないと考えております。

○蓮池委員
 発生件数を見ると小学校が当然多く、中学校はやや少なく、高校になると随分少なくなっているので、人としての成長に合わせて徐々に経験を積んでトラブルを自分自身で解消したりすることはあると思いますが、いじめも含めて教育現場、特に小学校、中学校は大変ですよね。
 様々な要因で教育現場で根本的に解決できないのであれば、教員数や対応する人たちを増やさざるを得ないと思うんです。理由が1つではないと十分に分かっていますが、そういう現場の問題を教育委員会としてもよく見ていただいて、対症療法的な対応かもしれませんが、人で解決するしかないのであれば手厚くするしかないと思いますのでぜひお願いしたいです。
 今の小学校の現場では35人学級でも余裕がないです。本当に余裕がない。これだけいじめや問題があって、そこに余裕がなければ教員になりたい人がいない状況がどんどん増えてくると思います。そこは余裕を持った対応も必要かと思いますので、すぐに解決できる問題ではないため、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 これに関連してですが、不登校の児童生徒に対するバーチャルスクールの来年度からの本格運用について本会議で池上教育長が答弁されました。
 バーチャルスクールは既に先進的な県で実施していると思いますが、どんな成果事例があって本県ではどう取り組もうとしているのか伺います。

○池上義務教育課指導監
 先進的な他県としては東京都、群馬県そして愛媛県等が挙げられ、そちらの知見を生かしていきたいと考えておりますが、学びの場に継続的につながっていないお子さんがバーチャル空間に入ってきて交流や学びなどを体験しております。その中で人と関わることのよさや自分が自信のなかった学びをバーチャルでやることによって少しずつ自分に対して自信が持てる効果が子供に見られると伺っております。
 本県では1月から試行が始まりますが、12月から体験を始めており、何人かの子供たちが私ども義務教育課指導班の指導主事とバーチャル世界で会話しながら体験している状況です。一人一人の居場所、学びの場になるようなバーチャルスクールの充実をぜひ図っていきたいと考えています。

○蓮池委員
 バーチャルスクールを体験するためには特別な機器が必要でしょうか。また指導される先生たちと子供たちはどんなやり取りをされるんですか。文字のやり取りなのか、言葉で直接やり取りできるのでしょうか。

○池上義務教育課指導監
 バーチャルスクールに入るためには特別な機器が必要かとの御質問ですが、子供たちは学校から支給されている1人1台端末を活用してバーチャルスクールに入室することができます。事務局はインターネット環境があるパソコンを使っている状況です。
 バーチャルの交流の場では、子供たちがアバターとして入ってきており、チャット機能がありますので文字での会話もでき、事務局とマイクで声を介しての交流も可能です。あわせてアバターがグッドなどの感情を表すアクション機能などがありますので、言葉を介して自分の思いを伝えることが苦手なお子さんや声を出して思いを伝えることができないお子さんに対しては、そのように体全体で表現する機能を使って交流を図っています。

○蓮池委員
 そういったことも必要なのでしょう。
 ただ、学校に行けずに人との関わりができないこと、学校が楽しくて行きたいと思う子が少ないことの根本的な原因を解決していかなければならないのは1つの命題だと思います。
 学校に全くアクセスできない子供に対してはバーチャルスクールも必要ですが、もう一方では何で学校に行きたくないんだろう、何で楽しくないんだろうという点でそれぞれの個人の問題もあろうかと思いますが、そこも併せてぜひ解決の道筋をつけていただきたいと思います。

 次に、子供たちのメディアリテラシーについて、ニュースではオーストラリアで16歳未満のSNSの禁止法案が通過し賛否両論があることは承知しております。日本においても1人1台のパソコンを配付して子供たちが学び始めたことについて教育委員会として現時点でどう評価していますか。

○池上義務教育課指導監
 8番委員御指摘のとおり、各学校では授業をはじめ様々な場面で1人1台端末を活用しております。授業だけではなく心の健康観察等にも活用し、活用する場面は広がっているところです。
 4月に行った全国学力・学習状況調査ではICTに関連する質問項目があり、ICTを使ってどうだったかとの子供への質問に対して肯定的な回答が約9割を超えている状況です。子供自身が1人1台端末を使った学習を肯定的に捉えている現状があり、ICTを活用することによって個別最適な学びや協働的な学びを意識した授業改善も進んでいると考えております。

○蓮池委員
 確かにそういう側面もあるのでしょう。子供たちの9割が肯定的とのことです。
 ただ一方で、保護者の皆さんからは家にパソコンを持たせないでもらいたい、学校だけにしてもらいたい、家で勉強以外に使っているので心配でたまらないとのお声も頂いています。運用は各学校に任せていると思いますが、先ほど運用面でと池上教育長が言われていましたので、そこはどうですか。

○池上義務教育課指導監
 もちろん学校によって約束事を決めているところもありますが、まず各市町で運用や約束事について決めております。それに従って各学校が実態に応じて正しく活用できるように、そして子供たちが安心・安全に使う意識の醸成も図りながら進めていると認識しております。

○蓮池委員
 オーストラリアやヨーロッパでも、長年子供たちに対するソーシャルメディアへの影響を研究してきて、特に精神的健康や安全に与える影響として非常に長くスクリーンを見続けることは影響が大きいとの研究結果がありますが、教育委員会としては各市町に任せていいとの方向性か、それとも県として使い方について方向性を出そうと検討しているのか伺います。

○戸塚義務教育課長
 現状として統一することはまだ考えておりませんが、各市町の状況を見ながら必要に応じて検討しなければならないと感じております。

○蓮池委員
 やはり懸念も大きいことから、どういう影響があるのかについて早めに現状をきちっと把握した上で県として方向性を検討する必要があると思います。もちろんコロナ禍で1人1台端末が大きな成果を上げたことは分かりますが、決してプラスの面だけではなくマイナスの面もあることをしっかりと捉えた上で方向性を出していかないといけないと思います。子供たちが使うのはパソコンだけではなくて、小学生でもスマホを持っているため、この使い方がいじめなどにつながっているケースも散見されます。国としての側面もありますが、本県としての方向性について検討を求めて質問を終わります。

○小沼委員長
 ここでしばらく休憩します。
 再開は15時35分とします。

( 休 憩 )

○小沼委員長
 休憩前に引き続いて、委員会を再開します。
 質疑等を継続します。
 では、発言願います。

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