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令和6年5月盛土等の規制に関する条例等検証特別委員会
静岡産業大学経済学部教授 小泉祐一郎氏 【 意見陳述 】 発言日: 05/31/2024 会派名:


○小泉参考人
 静岡産業大学経営学部の小泉と申します。よろしくお願いいたします。
 本日はこの静岡県議会にお招きいただきまして、私に発言させていただく機会をいただきまして、大変名誉なことでございます。本当にありがとうございます。
 内容に入ります前に、今日は大学の立場でございますが、県のOBとして、一言御礼方々申し上げたいことがございます。
 私、県職員のときも、特別委員会、大変お世話になりました。特に空港対策特別委員会の委員の方々には、県当局と一緒になって、就航先に行っていただきました。議会が就航先を訪問いただいたということで、就航先の県議会の方々に、静岡空港ができたことを認識いただきまして、また、就航先の県当局のほうにも、議会がということなので、例えば福岡県は、福岡空港は国の空港なので全然関係ないのですが、議会が動いたということで、福岡県の当局も動いて、知事も動いたということがございました。本当に特別委員会、特に空港特別委員会ではお世話になりました。
 そういうことで、ぜひこの特別委員会で、この部局をまたがっていろんな課題について御審議いただいて、県に対して、さらなる、叱咤激励とか、施策の方向性を示していただくということは、本当に当局としてもありがたいことでございまして、私もOBの1人として、その点はお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、説明に入らせていただいてよろしいでしょうか。
 それでは、資料を御覧いただきたいと思いますが、読めば分かる点もございますので、ある程度ポイントを絞って申し上げさせていただきます。
 今回は、盛土規制法の開始、これから区域指定がされて開始されますと、盛土条例がございます中で、この盛土の県条例の在り方や課題、対応方策等ということでお題をいただいておりますので、これについて私のほうから説明をさせていただきます。
 目次としまして、前提となりますその法律と条例の関係についての話をさせていただきまして、盛土法と盛土条例の関係、そして、条例の特に汚染土壌対策の関係が今後、条例の改正では議論になるかと思いますが、その関係と、そもそもこの条例ができる経緯になりました熱海土石流災害との関係で、この条例ができた経緯や意味といったことをもう一度整理させていただきます。熱海土石流災害からの教訓とか、この盛土の問題については、静岡県の立地特性もあるかと思いますので、特に首都圏との関係等についても申し上げさせていただきます。後は、規制だけではなくて、今回の頂いたお題のそのものではないですが、関連ということで、土砂の受入場所の確保の問題も少し申し上げさせていただきまして、最後に、条例を改正するのであれば、県と政令市の役割分担についても検討されてはどうかということを申し上げさせていただきます。
 まず、3ページを御覧いただきたいのですが、話の前提となりまして、法律と条例の関係を申し上げます。法律との関係で、条例は2つに分かれまして、法施行条例と言いまして法律に基づく事務を実施するために条例や規則を定めてやる場合、これを法施行条例と一般的に申します。それとは別に、法律とは関係なく、法律に基づかないで自治体独自の事務という形で条例を制定して、やっている場合がございます。今の盛土条例は法律と関係なくやっておりますので、独立条例ということになります。今後、盛土規制法ができた関係で、盛土規制法は、条例で定めるよう委任している事項や、また、もともとその法律で全てを決め切るわけではないものですから、条例で補完したり、手続きを書いたりしなければいけない事項がございます。そうなりますと、実は今後、今の盛土規制条例とは別に、盛土法の施行条例というものを整備しなければならなくなりますので、そういった意味で言うと、法律があって、盛土法の施行条例があって、もし今の条例があるとすると、3つの形になってしまいますので、当然、当局も考えているとは思いますが、こういった中で、その今の盛土条例をどう見直すかということが、今議題になっている、それで私も今日、お呼びいただいたものと理解しております。
 4ページにいきまして、1つは二重規制ということが議論になりますので、この話も少しさせていただきます。まず、二重規制と申しますのは一般的に、規制目的と規制の対象の両方が同じ場合を申しまして、いずれかが違う場合は、一般的には二重規制とは申しません。
 法施行条例の場合は、当然法律に基づいて条例を作り、法律に基づく事務について条例を作るものですから、当然規制の目的も規制の対象も同じですが、一般的に法施行条例はそれが当たり前でございまして、これは二重規制とは申しません。法施行条例で盛土法の施行条例が整備される場合には、新たな規制が入るわけではございません。
 ということで、問題となりますのは独立条例で、今の盛土条例のように独立条例の場合は、法律と目的と規制対象が同じになりますので、二重規制の議論になります。ただ、二重規制が全ての場合に問題となるかと申しますと、そうでない場合がありまして、法の規制内容、例えば規制の基準が法の規制では、非常にこの地域では問題があるといった場合には、条例でもって、上乗せの規制を定める場合がございます。実際、公害対策におきまして、静岡県も生活環境の保全の条例がございますが、全国のこの公害対策の水質基準の条例は、市町村も含めまして、一般的に上乗せ基準が適用、条例で定められて規制が上乗せされているのが一般的でございますので、そういう場合もあるということでございます。
 ですから、今回、盛土法の施行に伴いまして、どうなるかということでございますが、5ページを御覧いただきますと、盛土規制法と盛土規制条例の目的と対象を見ますと、目的は盛土規制法は災害の防止のみで、盛土規制条例は災害の防止と生活環境の保全の2つを目的としておりまして、規制の対象は、厳密に言うと細かい点で違うところがあるのですが、おおむね盛土という点では同じでございますので、そういう点では、この災害の防止を目的とした盛土の規制ということになりますと、これは今の盛土規制条例と盛土規制法は、いわゆる二重規制になるという点がございます。
 一方、生活環境の保全のほうは目的が異なりますので、いわゆる二重規制ということではございません。むしろこちらのほうは、二重規制の問題ではなくて、業界からも要望が出ていると伺っていますが、規制の内容が課題だと言いますか、事業者の方にしてみると、規制が厳しすぎる、簡単に言うと厳しすぎるのではないかということの問題、議論点かなということで、二重規制の問題と、二重規制ではないけれど規制が少し厳しすぎませんかという2つの話があるということで、それを前提に申し上げさせていただきたいと思います。
 6ページは、先に災害の防止を目的とした関係につきまして、先ほど申しましたように、盛土規制法の関係で、盛土規制法の施行条例を整備する必要がございますので、その結果、今の条例で書いてあることも、一部そちらにいくようなこともあるかもしれませんが、そうしますと、今の盛土規制法による土砂災害の防止が必要なのかという検討がされまして、もし、災害の補償の規制については、もう法律と同法施行条例で対応すれば十分だと、対応されるということになりますと、現在の条例を改正して、災害の防止の目的も削れますし、その関連で、盛土の構造の関係の規制とかについては削除になるということになろうかと思います。
 生活環境の保全に関する部分の目的と、それに関係する部分だけが残るということになると思いますし、条例の名称も、場合によっては単純な改正じゃなくて、法のほうが盛土法の施行条例というと、そこにまた盛土という名前の条例になるというと、一般的に、聞いたときにこんがらがっちゃうんじゃないかなという気がいたしますので、そうするともう、名前から含めて抜本的に変える、目的も変わるわけでございますから、当然内容も改正になるということで、いずれにいたしましても、相当大幅な、抜本的な改正になるのかなという気がしております。
 7ページにまいりまして、今度は汚染土壌のほうですが、汚染土壌の規制がどうなってるかというと、これは当局からも御説明があろうかと思いますが、簡単にこの後話をする関係で、一応申し上げておきますと、条例上は第7条で土砂基準というものを規則で定めるようにしておりまして、確か29の物質だと思いますが、規制がかかっていると承知しております。第8条では、何人も土砂基準に適合しない土砂等を用いた盛土行為等をしてならないということを定めてございまして、これは、実は許可制とは全く関係なく、そもそもそういうことをしてはいけないよということを定めていまして、土砂基準に適合しない土砂等については、停止をしたり、措置命令をしたりする、と定めています。これは例えば、富士山麓にダンプで土砂を積んできて不法投棄する場合に、それが廃棄物であれば廃棄物法の対象になりますが、残念ながら汚染土壌は廃棄物法の対象にならない場合が普通でございます。要は廃棄物法の廃棄物の定義が狭すぎる面があるとは思いますが、廃棄物法の対象にならない。そうなりますと、取り締まれないので、こういう不法投棄を取り締まる意味でも、この8条というのは必要かなということでございます。これは許可制とは別でございます。
 また、撤去命令などもできなければいけません。この8条が重要なのは、これがあることによって、不法投棄を取り締まったりもできるのですが、もし仮に不法投棄されたものがあって、それを地元で、これは困ったといった場合に、もし県が代執行でこれを処理しようとしますと、この8条の規定がないとできません。要は義務付けがあって、それに対して違反があるので、事業者がやらないから県が代わりにやる、ですから、この8条というのは非常に重要でございます。大井川、安倍川の上流の集落で、20年前に、山の上のほうに土砂が捨てられまして、これが汚染されてるんじゃないかという問題があったときに、そのお話を聞きますと、県も市も、法律も条例もないので手が出せないということでございました。結局どうなったかというと、地元の集落の人たちがお金を出し合って、自分たちで処分場に持っていったと伺っております。ですから、この8条というのは、その不法投棄を防止する、もしくは県民が、どうしても困っているという場合に、県が最終的に代執行をやるという場合の根拠にもなります。代執行というのは、こういう規制法がないとできない法律ですから、この8条というのは、この条例上、非常に重要だと思っています。
 次に、この不法投棄とかの一般的な規制とは別に、許可制度をやっております。事後的な対策は8条ではある程度違反を見つけてできるのですが、この許可制度は、事前にチェックしないとなかなか対応できないということでできているものだと思っております。
 こういった中で、特徴的なものに、土地所有者の同意や資力信用要件がございます。こういった中で、特に申請者の資力信用要件というのは非常に重要でございまして、これは都市計画法の開発許可にも入ってるのですけれども、これによって暴力団ですとか、今まで違反をやってきたものとか、ペーパーカンパニーで名前だけの会社で申請してきて、実態は別の人間がバックにいるといったようなものを排除するという点で、この申請者の資力信用というのは非常に重要です。許可基準に、技術上の基準も当然ありますが、これはもともと、土砂基準がありまして、そういったものを捨ててはならないという規制基準がございます。
 また、後で申しますが、どうも規制については、許可の話よりも、許可後の義務についての負担が、事業者の方にとって重たいという話があるように聞いており、新聞その他を見ても、そういうことではないかと見ております。特に、土砂の搬入の報告が別にあるのですが、水質調査の報告と、土壌汚染関係の調査の報告、これらが特に業界のほうで問題になったと私も承知しておるところでございます。
 次に、立入検査、これがまた重要でして、これは8条との関係もあるのですが、結局、土砂を運搬しているものに立入検査をして、その土砂を無償で取り上げなければ証拠になりません。そうすると、これは他人の物ですから、条例で取っていいよという規定がないと取れませんので、この立入検査とか土砂を採取できるとか、この規定は、この不法投棄的なものへの対策という意味でも非常に重要でございます。
 あと、無許可の場合に対する命令や、違反があった場合の措置命令というのも、これは違反であれば、当然命令等が必要でありますし、罰則も、今の条例、特に無許可行為は地方自治法上可能な最高刑罰になっています。不法投棄の場合、無許可の場合には、条例で懲役2年以下もしくは100万円以下の罰金という、地方自治法上の一番の最高刑罰までとしていると理解しているところでございます。
 次に、8ページにまいります。私も業界の要望を全部把握しているわけではございませんけれども、こういった業界要望の検討について、まず基本的な考え方として、これらに対応する場合の課題や方策ということでお題を頂いていますので、まず基本的考え方を申し上げさせていただきます。規制は目的と手段の間に合理性が必要でございます。場合によっては、合理性を否定されますと、裁判で負けるという点がございます。ですから、規制の目的に対して、規制の方法があまりにも過大という場合になりますと、実は、違反だということで、命令しても向こうが争ってきて、裁判で負ける場合がございますので、そういう意味でも、規制がある程度、合理的な内容でなければならないということが、まず基本でございます。そして、規制の内容が今回幾つか議論になっているようでございますが、その場合は、これは当局が最終的には考えることではあるのですが、議論する段階でも、議論の対象の規制が実際は条例の規定の問題なのか、規則の規定の問題なのか、運用の規定の問題なのかということを特定しておく必要があるかと思っております。その例を9ページでまた申し上げます。
 あと、これはまた後で申しますが、やはり条例の規制は、悪質な業者に対処する必要もあるものが、実は非常にありまして、どちらかというとそちらを念頭に置いてやっているところがございます。したがって、条例の原則というのは一般的に言うと厳しくなっているのが普通でございますが、ただ、そうしますと、真面目な業者さんにとっては過大になる場合もありますので、通常は条例にただし書等で、規則で定める場合は緩和できるようにして、規則で具体的に緩和するものを列記する、これが一般的な方法かなと思っております。
 そういう意味では、今回の盛土規制条例につきましても、そういった対応が必要な部分があるのではないかということでございます。
 また、この条例と規則ということを申しましたが、それ以外にも、実は運用規定で、決めていることに、行き過ぎといいますか、改正の余地があるという場合がございます。実はこの盛土の場合に限らず、私も今は学者の立場で来てますが、県の在職中も開発許可とか、いろいろやりましたが、よくよく見てみると、本当にこの運用でなきゃいけないのかというところがあります。自分のことで恐縮ですが、私は平成13年から16年まで開発許可の仕事をしましたけれども、いろんな業界や、申請者の方のお話も伺って、実は私の独断ではないですが、規制緩和を、相当見直しをさせていただきました。そのときは土木事務所や静岡市、浜松市も含めた形で意見を集約しまして、これが多分、何十項目になったかなと思ってます。規制の運用ですから、要は、皆それを単純に緩和するのではなくて、こういう場合はいいじゃないか、ああいう場合はいいじゃないかというのをどんどん増やしていくわけです。それによって、場合によって少しは規則の改正もしました。今日は議会に申し上げる機会だったので言いますが、本来は当局のほうに申し上げる機会があれば、当局としても規制の運用のところが、今までどおりやっているということであれば、やっているものを見直すことができるはずだということ、これは本来当局に言わなきゃいけないことですが、申し上げておきたいと思います。
 あと、許可後の義務で特に問題になっている土砂の汚染土壌の調査は、私が見た限りでは、運用規定に見直しができるように、もう条例規則上はなっているはずなので、この規制の緩和が可能なはずでございます。
 先ほどの7ページに戻っていただきますと、実は、この許可後の義務の中に水質調査の報告があります。この水質調査の報告は、条例ができた当初は、業界や事業者の方から相当問題提起があったと私も聞いております。なぜ問題になったかというと、私も開発許可をやっていましたが、宅地の開発をする場合に、宅地を開発した後に水質を調査するって、それは普通やらないし、できないです。水質調査というのはどういう場合にやるかというと、廃棄物の処分場の管理などの場合に、そこで出てきた排水を今度は一般の水路とか河川に流すものですから、その下に暗渠で水を排水します。それはそのまま流してはまずいということで、水路に流れていくものはその水質をちゃんと検査して、安全なものにしてなければいけない。それはそうなのですが、宅地分譲の場合は、普通、コンクリートやブロックでちゃんと擁壁しまして、むしろ降った雨は、調整池や水路で、浸透させずに表流水で速やかに流してしまいます。そういう意味では、水質調査をすること自体があまりなく、どうやってやるのという話になるわけです。ですから、確かに業界のほうでも問題になったというのは、当然でありまして、どうなってるのかと聞きましたら、さすがにもう県のほうで見直ししてまして、宅地分譲や開発の場合は水質調査は不要にしてます、ということです。それでは、どうやって不要にしたのかと聞くと、運用で、申請書の中に、ここはそういう排水設備を設けるような処分場とかではありませんって書いてくれればいいです、ということで、運用を見直していました。ですから、水質調査については、運用の見直しで、宅地開発などの場合、要らなくなってるということでございます。実はこの土壌汚染の状況についても、9ページで見ていただきますと、工事施行中の土壌調査という定期調査がございまして、これ実は規則で、規則からさらに知事に委任して、これは運用規定で、知事が定める方法でやっていいというのが別にあります。原則はサンプリングだと書いてあるのですが、その他知事が定める方法でやってください、いいですよっていうのを規則で定めているので、この知事が定める方法を見直すという方法で、水質調査の場合と同じように、運用で見直すことができます。運用の見直しも順次やってきているとは聞いておりますので、今の見直しがどの程度なのか、またそれがさらに必要なのかどうかというのは、委員会のほうで当局の説明を聞いていただいて、どこまでやっていくのかということはあろうかと思いますし、委員会から提言を受けて、当局のほうで、知事が定める方法の見直しをしていくのかなと思います。そういう意味では、これはその方法でいけるのではないかと思います。
 また、その9ページの真ん中に、申請前の申請地の土壌調査とあります。これは土砂を搬入する前に、搬入する土地がそもそも汚染されていないかを調査するというものでございますが、実はこれは規則改正をしないと対応できなかったということでございますので、令和5年4月に規則改正がされて、土壌分析調査以外の方法も規則でできるように改正したと伺っております。具体的には、土地の履歴、すなわちここは昔から田んぼですよとか、ここは昔から森林ですよということで、工場なんかはありませんでしたということを書面で説明できれば、現状の土壌分析まで調査しなくていいというふうに規則改正をしたというものです。これは規則改正しなければ、運用の見直しではできなかった部分です。規則で、その例外を知事が定めるとなかったものですから、そうしたということでございます。
 ちなみに、何で現況の土壌についてまで調べさせるかということで、疑問があろうかという点があるので、少し申し上げますと、実は、これ工場跡地をどうこうしようという話ではないのです。むしろこの違反の現場で警察が動くときに一番困るのは、もともとここは汚染されていて、もともとあった土と混ぜたからじゃないのと言って、汚染した土壌を持ち込んだ人間が言い逃れをするんですね。他県におきましても、そこが結構ネックなので、いかにもともとのところは問題なくて、今問題があるっていうことを言うためにやってるのです。ただ、工場もなかったところで、土壌分析調査までというのは、やらせすぎということで、変えたということでございます。
 あともう1つ、確か業界からの要望で、住民説明会の開催があったと思います。これは、条例で住民説明会だけを特定して方法にしておりますので、実は、やむを得ない場合というのはあるのですが、これは条例改正しないとできません。ですので、これは見直す場合の例示で、例えばあまりに規模が小さい場合や通常の場合は説明会ではなくていい場合もあろうかと思いますので、住民説明会は大規模な場合などに限定して、それ以外は別に周知する方法があるのではないかなということでございます。
 私、9ページで申しますのは、これをこう変えたらいいという意味ではなくて、条例事項は条例改正、規則事項は規則改正しないとできない、運用の改正は運用の改正でできますので、そこを御説明するためのものであります。
 あと10ページは、ここまで今回聞かれているのかどうか、分からないのですが、業界の話とは少し離れますけども、個人的見解で申し上げますと、それ以外にも検討してはどうかという御提案でございます。
 1つは、そもそもこの規制緩和の方法として、許可不要を増やすという方法があります。要は、許可制度はあるけれど、これは許可要らないよ、あれは許可要らないよということで、主に条例から規則に定めるのですが、今見てみると、土地改良事業、またはこれに準ずる事業は、規則改正で許可不要になったと承知しているのですが、土地改良事業やこれに準ずる事業というのは、役所が関与して補助金を出したり、支援したりしているということで許可不要にしたのだと思います。要は行政と一緒になってやってるというのがありますので、それであれば土地区画整理事業だってそうじゃないかと思うわけでございます。そういう意味では、ぜひ改正しろとまでは申しませんが、土地区画整理事業も改正の対象として検討してはどうかと思います。
 あと、土地改良事業だけではなくて、これに準ずる事業を令和5年12月に規則改正でしたのは非常に重要だと思っております。この準ずる事業は、換地をしないような、農業法人が1者や農家が2件だけで、土地を改良するようなものになります。土砂を入れて改良するようなものも対象になっておりまして、土地改良区ではなくて、農家が直接発注してやる事業でございますから、農家にとってもそういう形でやれるのであればいいかなと思います。
 ただ一方で、農地は非常に危なくて、農家は良い人なのですが、だまされてつけ込まれて、農地をかさ上げしてやると言われて悪い土を入れられ、もう農業はできなくなってしまうとか。以前、御殿場市、小山町では、山盛りに土砂を入れられてしまい、それで御殿場市や小山町では条例を作ったわけでございますが、そういう意味では、農地というのは、農家の方がだまされてしまうという事例、これは三島でも以前あったと伺っておりまして、箱根西麓で非常に困った事例があったと聞いておりますけれども、やはりある程度サポートする事業の中でやる必要があると思っています。
 あと、許可不要をもう少し拡大するとなりますと、今度は、許可不要の認定という簡単な手続を作って、それでもう少し許可不要を広げられないかということです。何で許可不要の認定が必要かと言いますと、単に許可不要だよと言ってしまうと、悪質な業者は、許可不要だと言い張ってどんどんやってしまうというところがございます。ですので、一応、私は許可不要のようにしっかりとやりますよということだけは一応申し出てもらって、それでやってもらう。そうすると事前に、工事が始まることも分かりますので、監視もしやすいということで、特に、造成区域の外から土砂を搬入しない場合、要は区域内で切り盛りする場合は、外から土砂が来ないわけですから、別に土壌汚染の問題は普通ないと思うわけです。これ災害の防止だったら分かります、盛り方が危ない。ですから、そういう意味で、熱海土石流災害はまさにこれでございまして、私が情報公開請求で見たところ、熱海市に事業者が出した手続きでは、開発許可のほうは隣の土地に持っていきます、谷に持ってきます。谷のほうは、隣の開発許可を受けた土地を、土砂で余ったものをここに置きますという届出が出ていて、外から持ってくるとは書いてないのです。ところが実際のところ、熱海土石流災害は、外から大量な、しかも悪質な土砂が持ち込まれたということです。本人は持ってこないよと言ってから持ってくる場合もあるものですから、一応持ってこないよという手続きだけはさせないと、この監視も届かないということで、ある日知らないうちに工事が始まったということもございますので、もちろん規模が小さいものは許可不要ですが、許可の要る場合においても、外から持って来ないものは許可不要とする。
 あと、都市計画法の用途地域です。こういったところは通常、宅地利用になりまして、そんなに悪い土を入れられない。5メートルも10メートルも谷を埋めるような用途地域はあまり少ないのですが、1メートル以下の場合は通常宅地造成で、農地をかさ上げする場合だったら大体1メートル以下だと思います、そういった場合、用途地域内はこれも許可不要の認定という手続で、許可不要にしてしまうことができるのではないかなという気がしますので、この辺の検討もしてはどうでしょうか。要は、許可不要ですよと認定をすることで、悪質な業者を排除することで許可不要をもう少し増やすという検討もしてはどうかということでございます。
 あと11ページは、そもそも盛土が悪いと申しますが、これは業界からも言ってといわれていますが、盛土が悪いわけではございません。私も論文で書きましたが、処分型盛土といいまして、処分型盛土とは一応つけましたが、これは盛土というよりも土砂の投棄であります。ですから、一応盛土と言っていますので仕方なく、開発型盛土と処分型盛土に分けましたけど、この処分型盛土の方の規制をやっているということを、特に念頭に置いていただく必要があるかと思います。
 ただ問題は、偽装があることです。特に郊外では、地価も安いものですから、なかなか土地利用もないということで、農地や森林を、資材置き場にしますよと言って、一応利用があるかのようにして偽装する場合もありますので、注意は要する、ということがございます。
 あと12ページは、これはまた参考です。何で熱海土石流災害が起こったかという前提として、実は法の規制がなかったということでございます。土地利用の適正化の法律はありました。現況の保全、森林法とか、砂防法とか、農地法とか、自然公園は、現況をできるだけ保全して行為をやるなというものはあります、やる場合もできるだけ最少で。ところが、安全に土砂を盛らせる基準がない、そもそもそういう規制ではないということでございました。ですから、今回盛土規制法ができて、土地利用でもない、現況の保全でもない、土砂の処分の場合を法律で規制したということは、法律の意味があるということでございます。
 あと13ページで、熱海土砂災害の関係で、1つ目は法律の規制がなかった。2つ目は、条例も、この土砂の処分の問題は千葉県から出まして、神奈川県、静岡県ときまして、1996年に小山町や御殿場市で条例を作って、あとだんだん作ってきたのですが、熱海市には条例がなかった。県の条例は先んじてあったのですが、これはこの土捨ての問題の生ずる前の条例で、土地利用とか土砂の土採取だったものですから、土砂の処分のものではなかったということでございます。
 14ページには、県の土採取条例は、届出制であったり、罰則が軽かったりということで、首都圏に比べて規制が弱かったという問題があって、という反省が書いてございます。あと、届出制というのは非常に危ないです。これは行政手続法という法律ができまして、届出制は必要な欄に内容が埋まっていて、添付書類が間違っていても、一応付いていれば、届出義務が完了したことになります。これは行政手続法に書いてございます。ですから、届出後に行政側から指摘しなければいけないということです。許可の場合は、そんなの出しても許可しませんよって言えるのですが、届出が完了しちゃうと義務が果たされたことになります。あと、資力信用、暴力団排除の審査ができませんし、内容を確認しようと思っても、向こうはもう届出したと言い張ってしまうわけですね。許可制のように条件がつけられないし、何よりも罰則が、許可制の場合は懲役ができますが、届出制では懲役がありません。罰金でありますので、警察もなかなかそういう意味では動きにくいわけです。もう届出はしたということになってしまいますので、この内容ではおかしいと行政が命令して、命令の内容に従わない場合、本当にいけないと言うほどいけないのかという判断が、警察にはできないという問題もあります。何より、届出制は真面目な業者さんにとっては、書類も全部作るし、許可制とほとんど同じ負担です。ですが、悪質な業者にとっては先ほど申し上げたように、好都合という点がございまして、熱海の場合はそういった県の条例にも問題があるということでございます。
 あと、熱海土石流災害につきましては、最近静岡新聞で報道されまして、私もびっくりしましたが、崩れずに残った、不安定な土砂の処分に、運搬だけで4億6000万円、汚染土壌の処理に6億7000万円と、11億円かかったということでございます。また、土石流災害は、土砂災害ということで注目されたわけですけれども、実際は、汚染土壌の問題ということがもう1つ重要なことであります。国は、この国土交通省の盛土法だけではなく、今、環境省の土壌汚染対策法で土砂の搬入を規制しておりません、搬出するときにしっかりやりなさいです、土砂の搬入の規制がありません。これはやはり、国のほうに問題があるかなと思っている次第でございます。
 あと、16ページに書きましたが、これはマスコミの皆さんにも申し上げたいところもあります。どうしてもこういう事件が起きますと、なぜ防げなかったのかという行政対応、これは確かに大きな問題であります。ただ、いろいろな事件、問題が起きたときには、心理学で対応バイアスと言うようですが、対応が悪かったということで片付けてしまいますと、実はなぜ防げなかったかということではなくて、なぜ発生したのかということの話が十分検証されないまま、規制だけが厳しくなるということになってしまいます。ですから、そういうことではなくて、その原因をしっかり見る必要があるということでございます。警察とか熱心なマスコミは原因も調べていただいているようでございますが、まだ検挙されておりません。ぜひ警察にも頑張っていただいて、ここら辺の闇ビジネスの実態が出てこないと、ということでございます。あの伊豆山の土地は35万平方メートルも所有していて、周りに土が幾らでもあるわけでございますから、谷を埋めるのに、周りの自分の土を使えばいいわけでございます。そうでなくて、ほとんどが遠方から土砂を持ち込んで、運送費がかかる。これは悪質な土砂を受け入れることで資金を稼ぐということにほかならないと思われますので、そういう意味では、この土砂ビジネスというものについてしっかり厳罰化していかないといけないということがあります。
 そういう意味では、悪質な事業者に対応するためには、無許可とか、土砂基準とか、水質基準に違反するという外形上の違反が非常に重要でして、そうしますと警察は非常に動きやすいということです。悪質な業者は非常に言い逃れが得意でございまして、そのつもりで最初からやっておりますので、先ほど許可不要の認定と申しましたけれども、そういう形でやるとか、無許可だとか基準違反だとか、行政側が断定して対抗できるようにする必要があると思います。
 ただ、この17ページのところでも申しましたが、首都圏が危ないわけでございますので、首都圏に向かって、規制が弱いと見られないように、ちゃんと発信は重要だと思います。ただ、真面目な事業者の方が、過大な負担にならないようにするということで、規則や運用規定、場合によっては条例の改正も含めて、仕組み上、例外的な緩和をする。条例が原則で、規則運用が例外でございますから、例外のほうが多くても別に構わないわけでございまして、例外の場合を、いろいろ規定を、変えていくということも必要かと思います。
 特に東部地域を中心に、水資源が非常に豊かで、企業立地もございますし、産業経済もございまして、ファルマバレーなどいろいろございます。そういった中で、土壌汚染は水質汚染になりまして、農林水産業や企業立地や、そういった意味での悪影響もございますので、ぜひそこら辺は悪質な業者を外から来るのを排除しつつ規制する。あとは土砂の受入場所の確保もぜひお願いしたい。これは今回の話ではございませんけれども、平成3年に天野進吾さんという、県議会議員を長らくやって、議長もやられた方が、静岡市長になられたときに、業界から御意見があって、非常に困っているという話がありました。天野市長が就任されて、土砂処分の専門の室を作って、公共で受け入れられるところを探せという指示をして、安倍川の上流で、今、中学校の隣にスーパー堤防みたいな形でできているところですとか、子供たちの遊び場として結構にぎわっておりますが、用宗港の東側に、もともとは海岸だったところに、道路や子供たちが遊べる公園になっておりますが、あの下にはその土砂を入れているわけでございます。そういう形で、土砂の受入れの誘導ということ、またもしくは残土処分を兼ねた公共施設の検討ということで、ぜひ、公共施設を造るときも、これは一つのアイデアでございますけども、例えば野球場を造るにしても、残土で盛ってやるとか、何らかの形で入れることを検討いただければと思います。
 あとはゼネコンの幹部の方と、私も国の関係でこの研究会をやっていたものですから、その方々はマル適マークが欲しいという、ここが優良だということを言ってほしいということがありますので、そういった優良場所の認定なども検討いただければと思います。
 あと最後に、18ページで、私、総理府で地方分権推進委員会におりまして、地方分権推進法の関係をやらせていただきました。そのときに、国と都道府県と市町村の役割分担ということがございます。政令指定都市と都道府県は、役割分担ができるところでございまして、実際、役割分担しております。法律上は土壌汚染対策法ですとか、今回の盛土規制法は政令市の権限でございますので、そういった意味では、条例を見直すということであれば、この盛土規制の条例の新たな条例が改正された場合に、静岡市、浜松市のような政令市を対象にするというのは、私はいかがなものかと思っておりまして、そこについても十分に検討していただいてはどうかと思っているところでございます。当然、政令市との連携調整は必要だということは承知しておりますが、その辺も検討いただければと思っている次第でございます。
 以上、一方的に、長くなりましたが、ありがとうございました。

○杉山(盛)委員長
 ありがとうございました。
 以上で小泉様からの説明は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 委員の方にお願いを申し上げます。質問はまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いをいたします。
 それでは、御質問、御意見等がありましたら御発言願います。

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