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委員会会議録

質問文書

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令和5年2月定例会産業委員会 質疑・質問
質疑・質問者:森 竹治郎 議員
質疑・質問日:03/02/2023
会派名:自民改革会議


○森委員
 数点、分割質問方式でお尋ねしたいと思います。
 最初に、議案説明書令和5年度関係103ページの中小企業国際化推進費について、およそ20年ぐらい前に小泉内閣は規制緩和あるいは新自由主義、小さな政府、そのような政策を取って日本の経済の構造改革に乗り出してきた。
 一方、平成の終わりから令和の今日は円安が非常に進み、中国の武漢から始まった新型コロナウイルスは世界中に蔓延して大きなマイナスの影響を与えた。国内は円安等によって原油価格、食料品等も高騰し、我が静岡県にも大きな影響があった。企業も以前は小泉内閣の新自由主義の頃は海外展開する方が企業にとっての利益が上がることで、静岡県も県内企業の海外進出を支援し続けてきましたけれども、岸田内閣は新しい経済政策、経済安全保障に取り組む。企業ももう円安のメリットが海外でなくなってきている。原材料の供給についてもいろんな面でマイナスが出てきた。そういった状況が今出ているわけです。
 静岡県の中小企業の国際化推進について、今経済が非常に変わってきている状況をどのように捉えているのか、この予算に合わせてまずお尋ねしたいと思います。

 それから2点目ですけれども、産業委員会提出案件の概要及び報告事項72ページの事業承継について、今このコロナで県内の企業、事業、商売をやっている皆さんも大変な憂き目を見ている状況の中で地域の商店街の状況などを見ると、家業を含めて今店を畳もうかと非常に深刻な状況が出ている。そういう中で何としてでも事業を承継して地域経済をしっかり守っていただくことが肝要である。これに皆さん方も取り組んでくれていることには敬意を表するわけですが、事業承継の実施についてのいろんな条件について、年を追うごとに相談件数も診断実施の件数等も増えてきているわけですね。親族内承継支援あるいは第三者承継支援、そして実施に伴う金融支援と説明資料にあるわけですけれども、事業承継診断の実施件数と事業承継資金の利用状況等を見ると事業承継診断の実施と事業承継の結果の件数に大分差があり、より一層努めていただきたいと考えますが、現況の取組についてのお考えをお尋ねしたいと思っております。
 この事業承継について国も法律等で支援を重ねているわけでありますけれども、皆さん方の現場の状況と今申し上げたように実るような方向で努めていただきたいのですがお考えについてお尋ねしたいと思います。

○高橋商工業局長
 まず1点目の中小企業の国際化、海外展開支援について、2番委員から御説明頂きましたとおり今経済状況は二、三十年前の円高の頃から大きく変化しております。円安、コロナさらにウクライナ侵攻もあり地政学的なリスクも高まっていることは十分承知しており、国内回帰の動きもございますのでそこはしっかり捉えて県内への誘致、それから県内企業への定着と、まず県の中できちんと事業所を構えて企業に稼働していただくことは当然やっていくところでございます。
 今海外展開しても当時ほどメリットがないのではなかろうかとお話がございましたが、現地に拠点を置くメリットは今円安ですのでさすがに少なくなっていると思うんですが、一方でコロナ禍を踏まえて越境ECサイトとか現地に赴かなくても市場としてアジアを捉える動きもございまして、中小企業の皆様は国内もしっかりやりながら、例えば必ずしも現地に出かけるわけではなくECサイト、要はオンラインでの販売などを通じて販路を開拓したいといった御要望が非常にございます。
 ですので、必ずしも現地に行くのではなくて、そういったオンラインの販路開拓も含めてニーズをきちんと捉えて支援していきたいと考えております。
 もう1つ、米中対立で非常にリスクが高まっていることについては、中国に拠点を設けている方々が単純に国内に引き返すのではなくて東南アジアの別の国に行きたいという御要望も結構頂いておりますので、現地のサポートデスクと連携して、きちんとそういったニーズに応えていきたいと考えております。

 2点目の事業承継ですが、2番委員から紹介があったとおり本当に大きな問題ですからすごく力を込めて取り組んでいるんですけれども、支援件数が事業承継の成立件数にそのまま直結はしておりませんが、ここに記載がございますとおり今年度から事業承継推進月間という新たな取組を始め、かなり反響がありました。来年も引き続き継続するんですが、まずは掘り起こす件数が増えて支援させてもらう件数も増えてきて、少しタイムラグがありますがこれから大きく花開いてくるのではないかと考えていますので、今まで以上に力を入れてやり方も工夫しながら何とか円滑な事業承継が進むように親族内や第三者の事業継承に取り組んでいきたいと考えております。

○森委員
 商工業局の皆さんは、コロナの大変なときに県内の事業をやっている皆さんに制度融資から経営のいろんな計画、支援を局を挙げて取り組んでおられる。その成果で倒産件数も減ってきているし、コロナで厳しい状況の中にもかかわらず失業率も少なくなってきている。これは皆さん方の取組が県内経済にプラス効果を表していることは間違いない。ただこれからのアフターコロナについても非常に見通しが立ちにくい状況が続きます。コロナ関係の融資もいよいよ返済が始まった。借換えだとか返済の猶予とか、そういう面についてもなお一層取り組んでいただきたいとお願いしたいと思います。

 次は、農業関係についてお尋ねしたいと思います。
 食料関係、あるいは燃油関係が高騰している時期で国の食料政策についても非常に難しい局面が現れてきております。食料安全保障なども今取り沙汰される状況になってきています。自給率38%、政府も少しでも外国からの食料輸入を減らす、肥料、飼料の輸入も減らす。国内で何とか対策を取らなければならない時代が来ているわけです。
 説明資料76ページに、農地の確保と有効利用に向けた地域計画の策定の促進という説明があるわけであります。法改正もいよいよ間近になってきて、各市町が農地利用計画を立てなければいけないと、法改正のもとに今取組を始めてくれた。そういう中で特に食料生産等をやるためには農地の集積、集約化事業がやっぱり大事な政策かと思いますけれども、県の集約化計画の取組、県が市町に対する指導等も含めた進捗状況はどうなっているのか。今までも農地の集約事業は取り組んできているけれども、今県内ではどれくらい進んできているのか。そしてこの法改正に伴って市町が計画を策定するんですけれども、これに対する県の役割についてはどのようにお考えになり、どのように取り組んでいくのかお尋ねしたいと思います。

 次は、説明資料96ページの昨年の台風15号による災害復旧について、昨年の台風15号による被害状況と今後の対応策について説明がありますが、特にお尋ねしたいのはグラフの中にいろいろ書いてありますけれども、例えば被害報告と査定の結果について大分差が出ている。例えばワサビ田の被害報告は24件ですけれども査定結果は12件になっています。茶畑の被害報告は109件ですけれども査定結果は10件と大分差が大きい。この原因はどこにあるのか。ワサビ田農家が困っていないか、茶畑農家が困っているんじゃないのか。査定に漏れたワサビ農家、茶畑農家の皆さんには災害対策の制度融資等で支援しているのかどうか。この状況について、また今後の取組についても併せてお聞かせ頂きたいと思います。

○横山農業局長
 農地の確保と有効利用に向けた地域計画の策定促進について、限りある農地を最大限に活用して利活用することは2番委員御指摘のとおり食料の安定確保にもつながる重要なことと認識しております。そうした中、農業経営基盤強化促進法が改正され、今後各市町が地域ごとの将来像を明確化した地域計画を策定することとなっております。これに向け現在、取組方の全体のマニュアルづくりや各市町におきまして今年度モデル地区をつくるなど今後地域計画の策定に向けて推進していくところでございます。
 特に、各農林事務所ごとに農業と農地の両部門が入った推進チームをつくり、各管内の市町に向けて作業の助言等を行うこととしております。
 特に、伊豆地域は2番委員の問題認識の中にもあると思いますけれども、やはり小さな市町がたくさんありなかなか市町に単独でお任せすることもできないと思いますので、賀茂農林事務所がリーダーシップを取りながら農業と農地の部門は市町と共に推進していくことを考えております

○田保農地局長
 台風15号によります農地、農業施設災害の復旧について、まず被害状況について早急に把握するため全ての被害状況について報告していただいております。その後国の災害復旧事業を申請するに当たり、市町や県の職員が現地に入って詳細に調査することにより国の復旧事業に該当するものについて案内させていただいております。
 その中で、被害状況が軽微であり農業者が自力復旧すると選択したものについては除外して、ワサビ田については実際の申請件数が12件になっております。被害のあった24件に対しましては農家さんお一人お一人のところへ伺って、こういう事業があると御説明して自力で復旧するのか災害復旧事業を申請するのか確認させていただいています。
 また、国庫を用いた災害復旧だけではなく、市町の持っております単独の事業費で復旧するものが半数以上ございます。
 今後は、こういった突発的な災害に対しましては早急な被害把握と災害復旧が必要になりますので、今回の災害に関しましても本県職員292名を派遣して市町を支援したわけですが、そういう災害復旧体制を構築して市町を支援してまいりたいと考えております。

○森委員
 もとより我が静岡県は付加価値の高い農林水産物、特に農業製品を出して生産農家が独特の作物を提供している。ですので食料の自給率というと非常に低い状況であることは否めないわけです。国も食料安全保障の観点から国内の農業振興について予算措置を取り始めた状況にありますから、ぜひ積極的に取り入れて持続可能性があり、さらに本県の農業が活性化できる方向でさらに努めていただきたいと思います。

 それでは、次に林業関係についてお尋ねします。
 林業も昭和20年、30年、40年代の初めぐらいは戦後の復旧・復興で国産林も非常に需要が高く、その後外材に取って代わられて静岡県の林業は冬の時代が長過ぎた。ようやく近年明るい兆しが出てきたことは御案内のとおりであります。
 そういう中で、国もいろいろ法律改正等をやって林業についてもさらに活性化を進めてきております。
 お尋ねしたいことは、森林環境譲与税でありますけれども、この法律ができてから市や町の取組の状況はどうなってきているか。この法律の目的に沿って大分進んできているのかどうか。ただやっぱり35市町の中にも小さな市や町はスタッフが足りない、あるいはいないという状況で県の役割が重要となります。
 市や町の譲与税に対する取組の状況、県の指導、役割、進捗状況についてお尋ねしたいと思います。

 それからまた、昨日9番委員の質問でも分かりましたけれども、長い間静岡県の林業行政をリードしてきた清水経済産業部理事が勇退されます。清水理事に私は伊豆半島の山林、林野行政について何回もアドバイスを受けております。改めて感謝申し上げます。
 これから静岡県の林業はかくあるべしというあなたの見識をお尋ねしたいと思います。以上2点です。

○浅井森林・林業局長
 森林環境譲与税ですが、現在県内35市町の中で様々な取組が少しずつ進んでいる状況です。具体的には地域の実情に応じた森林整備ということで、今までなかなか財源的に措置できなかったものや里山の整備といった地域の中で課題感のあるものについて各市町で取組が進められている状況でございます。
 それ以外にも森林整備を促進することで人材の育成、木材利用、それから普及啓発的な取組も少しずつですが広がっている状況で、県としてはこの取組をさらに伸ばしていく支援が引き続き必要だと考えております。
 その支援については、森林整備アドバイザーという技術者を各市町に派遣いたしまして各市町が具体的に森林整備の計画づくりをしたり、実際実行に移すに当たっての技術的なアドバイスを行っております。
 こういったものをなるべく活用していただき、各市町に譲与された譲与税が有効に活用されるように県としても支援していきたいと考えております。

○清水経済産業部理事(林業・森林保全担当)
 今後の林業の在り方について、森林は災害の防止、水源の涵養など様々な働きを持っていますが、加えまして森林資源の木材を循環利用することで林業であったり関連産業を振興し中山間地の雇用、地域の活性化にもつなげていくことが必要だと認識しております。
 林業を再生して成長産業化につなげていくためには、県産材の安定供給の強化、それと需要の拡大、この2つを同時に一体的に図る必要があると考えております。
 安定供給につきましては、ウッドショックが生じ国産材への回帰の動きが高まっておりますが、こうした急激な需要変動にも応えられるような体制の強化が必要だと捉えております。
 このため、まず生産基盤となります林道といった路網整備が不可欠ですので、3次元点群データを活用した森林情報により丸太の生産に適した森林を抽出して、木材生産団地を設定してこの団地におけます路網整備を重点的に整備することに取り組んでまいります。
 また、林業の活性化に向けデジタル技術などの様々な新技術の導入、活用が重要だと考えておりますので、森林林業分野のイノベーションの取組をFAOIプロジェクトという形で推進してまいります。
 こうしたことにより林業所得の向上、安全性の確保につなげて、林業が若者や女性にとって魅力のある産業に転換していきたいと考えております。
 さらに、こうした施策を進めるためには林業経営体の管理者の皆様の現場の御意見を伺いながら、時代のニーズの変化にも柔軟に対応していくことが必要と考えております。
 この林業の再生につきましては、取組を始めた頃の平成23年9月の本会議において2番委員から御質問がありました。内容としましては森林・林業の再生は県全体の中山間地の雇用の創出の観点からも重要なことである、このため県は今後森林・林業の再生にどのように取り組むかという内容でございました。これに対して知事が、今年の秋には本県で全国育樹祭が開催される、そこで来年をふじのくに森林林業再生元年と位置づけ県産材生産45万立方メートルを目標に掲げ新しい雇用にも貢献する力強い林業の再生を図ると答弁しました。
 これを契機の1つとして取組が加速し、現在県産材木材生産量が目標とします50万立方メートルの一歩手前まで来ております。その結果林業も中山間地も少し元気になってきたのではないかと感じております。
 2番委員には、林業再生に向けてこれまで様々な御指導を頂きましてありがとうございました。この場をお借りしてお礼を申し上げます。
 今後、県はこの再生しつつあります林業をさらに成長産業化につなげ、県民の皆様のニーズに応えていく必要があると考えております。

○森委員
 ありがとうございました。今大変心強いお話を頂きました。
 近年、例えば熱海の伊豆山の災害、函南町におけるメガソーラー、大井川の水問題、南アルプスの自然環境の保全の問題など非常に心配される問題がある。そういう中でかつて高名な哲学者が自然は善、文明は悪ということを言った。今の清水経済産業部理事のお話を聞いて、私はやっぱりこれから自然をしっかり守っていく、一方では県民の皆さん、我々の生活もありますから、いかに文明と自然の取組について、ある面では妥協も必要かもしれないけれども基本的には自然は善、文明は悪というものを今後も静岡県の山林行政等については守っていただくことが大事なのかなと思い浮かべたわけであります。
 これからもぜひ立場は違っても静岡県の山林、あるいは林業についてアドバイスを願いたいと思います。ありがとうございました。

 次に、水産漁業についてお尋ねしたいと思います。
 水産漁業ですけれども、1次産業の農業も林業も今申し上げたように非常に厳しい状況にあることには変わりはないけれども、なお一層厳しい環境にあるのが水産漁業であることは板橋水産・海洋局長や両課長が御認識されているとおりであります。
 最初に少し細かなことを聞いて恐縮ですけれども、昨年の台風15号で安倍川から大量の流木やごみが用宗海岸や静岡海岸の周辺に流れてきた。そしてこの一部がシラスの船引き漁の妨げとなっている。例えば1月7日の静岡新聞でも大きく取り上げられた。このシラス漁業が春漁が間もなくまた始まるわけですけれども、流木あるいは沈殿しているごみの処理が大変じゃないのか。
 取組状況と、シラス漁についての心配はないのかについてまずお尋ねしたいと思います。

 それから、キンメダイについても毎回丁寧な説明資料を頂くわけでありますけれども、キンメダイについても非常に厳しい状況であることは変わりない。例えば30年ほど前は下田の魚市場には、私の記憶ですと年間の水揚げが50億円から55億円あった。ここを基地とするキンメ船も40杯から45杯あった。今これが年間14億円、15億円の水揚げに減ってきている。下田を基地とする外キンメの漁船もかつての40杯から45杯がもう10杯を切って6杯とか7杯になっているのがキンメ漁業の現状であります。
 こういう中で、水産庁はキンメダイも絶滅危惧種の心配があるということで、資源管理をしっかりやってキンメダイを守っていこうという誠に貴重なお考えであります。
 一方、現場の漁業者は板橋水産・海洋局長や花井水産振興課長は御存じのように、他県も含めて資源管理を漁業者がしっかり取り組んでいますが、これ以上厳しくTACで管理するとキンメ漁業そのものがもう成り立たなくなるんじゃないのかと危惧しております。こういう状況の中で板橋水産・海洋局長が東奔西走していることは承知していますけれども、現時点の水産庁のTACに関する取組の状況についてお尋ねしたいと思います。

○板橋水産・海洋局長
 まず、1点目の安倍川沖の流沈木の状況について、昨年末に漁業者から県に対して用宗の安倍川沖に流沈木が大量に発生していると情報が寄せられた。このままではシラス漁に支障が出るという御連絡でした。このため1月16日に安倍川の沖合で駿河丸が調査できる水深で魚群探知機を用いて流沈木があるかどうか調査を行いましたが、このときはその水深では流沈木らしき構造物は確認できませんでした。
 その後、改めて1月26日にもう少し水深の浅いところ――ここは駿河丸の行けないところですけれども――を漁業者と水産・海洋技術研究所の職員が共同で調査を行いました。このときは魚群探知機に加えて水中カメラを用いて調査を行いました。調査したところ丸太状や枝状の流木といったもの――細いものもありますがかなり太いものもございます――が広い範囲に分布しており、かつ横たわっている沈木が複雑に絡み合っている状況であると確認できました。
 現地の漁業者や漁協からは、応急処置的な簡単な除去ではシラスの船引きですから網を引いているうちに網が破損してしまうことが懸念されるため、沈木を全て除去して安全に安心して操業できるようにしてほしいとの要望を伺っております。
 したがって、沈木を完全撤去するとのことですので、重機などを用いた大規模な撤去工事が必要になることが想定されます。具体的な予算規模はまだ分かりませんけれども、最大で数億円規模の工事になる可能性もございます。
 工事を行うに当たり沈木撤去工事の規模、方法を確定する必要がございますので、まずは規模を確定させるために専門業者を使った調査をやろうと思っています。令和4年度中に専門業者による実態調査を実施し、その結果を踏まえてできるだけ早期に流木の撤去に向けた調整を行っていきたいと考えております。
 その間のシラス漁につきましては、流木があるエリアを避けて操業していただき、収入については収入の補償として漁業共済などを御活用頂くことにならざるを得ないと思っております。

 2点目のキンメダイのTACの取組状況ですけれども、水産庁から先日各県の資源の関係者に向けて説明会があり、その後各漁業者にも説明され進展がありました。TACについて今後水産庁はステークホルダー会合をいろいろな魚種でやっていくことになりますけれども、そのステークホルダー会合が終わり次第速やかにTACの指定魚種にしていくと。最初のうちは比較的緩やかな措置を取るけれども最大で3年以内に本格的なTAC措置を開始していくというアナウンスがありました。
 我が県の魚種について特に現場から声が大きいのはキンメダイ、トラフグでありますが、まだステークホルダー会合を始めることができていない状況です。というのはその前の部会の段階で、前提となる資源調査、資源評価について様々な問題点が寄せられております。当委員会でも何回か申し上げましたけれども黒潮の大蛇行や漁業者の自主的な資源管理を的確に評価できていないといった声を現場が上げてきて、その一部は国としても取り入れていますが取り入れられていない部分もある。そういった指摘も踏まえて今後論点を整理していく段階にあります。国は確かにステークホルダー会合が終わった後直ちにTACを開始していくと言っておりますが、今の段階で我が県のキンメダイやトラフグに関して直ちにTACを開始される状況にはございません。

○森委員
 キンメダイの今のTACの状況については、昨年の秋に私も水産庁へ行きました。現場の漁業者とマグロの件やキンメダイのTACについて意見交換して大変骨折り頂き感謝しています。これについては本県を初め、神奈川県、東京都、千葉県、三重県、あるいは四国、九州にも幅広いキンメダイの漁業者がいるわけですから、さらに水産庁との協議を重ねてもらいたい。今大分明るいお話を頂き、これからも引き続いてお願いしたいと思います。

 それから、今前段触れたように漁業が大変ということは県内の漁業協同組合の経営も非常に厳しいと。3月の年度末に県内の17の漁業協同組合が決算をされて、恐らく月末あるいは4月中にはそれぞれの総会があろうかと思います。私の聞いている範囲では17ある漁業協同組合の過半数以上が赤字になっています。黒字を計上している組合では無理やり職員の皆さんの給与を厳しく抑えたりしてやっと黒字を出している。これが実態であるということは県漁連等からも伺っているわけであります。農業協同組合は全てが黒字、20ある県内の森林組合も皆さんの指導がいいのか黒字。こういう中で漁協の経営者も塗炭の苦しみを味わいながら経営していると。皆さん御存じのとおり経営の努力だけではもう限界に来ているのが水産漁業、漁業協同組合の経営であります。そこで県下の漁協の強化については私も本会議等で櫻井農林水産担当部長にお尋ねし答弁頂いていますけれども明るい兆しがなかなか出てこないのが現状です。
 そういう中で、これからも磯焼け対策、食害対策、海水温の上昇あるいは黒潮の大蛇行といろんな技術的に取り組むべきものが次から次に出てきている。そういう状況ですから本県の水産・海洋技術研究所体制を抜本的に強化していかなければいけないと思いますけれども、板橋水産・海洋局長はどのようにお考えになっているのかお尋ねしたいと思います。

○板橋水産・海洋局長
 おっしゃるとおり、県内各地で不漁が深刻化して、その影響は漁業者、水産加工業者、そして水産漁業協同組合や水産加工業協同組合など水産業協同組合法上の組合の経営にも及んでおります。非常に危機的な状況にあることは間違いないと思います。
 ですので、一刻も早く水揚げ量を回復することが漁業者にとっても水産加工業者にとっても漁協にとっても最重要の課題であります。これによって漁協の経営を改善していくことがあると思います。したがって水揚げ量をいかに回復させるかという観点から、水産分野の研究機能を進めていく、強化していく、維持を図っていくことは大変重要であると思っております。
 一方、コロナ禍で継続的な財政出動をしてきた中で、水産分野の研究機能の維持強化のために他分野の予算を減額する措置はなかなか困難であると承知しています。したがいまして基本的な方針としましては令和3年度に議会で御承認頂いた試験研究機関に係る基本戦略に記載されているとおり、外部の資金を確保していくことが重要であると考えています。外部資金として典型的には国の競争的資金あるいは受託研究の費用も考えられますけれども、これに加え今年度から設立されました海の保全基金におきましては民間からの寄附金を原資として各市の取組を実施しております。水産・海洋技術研究所でもこの基金で静岡県の静岡特産海藻の増養殖研究を行って、磯焼け対策関連の技術開発を進めております。令和5年度からは新たにシラス漁場を短期的に予測する手法の開発研究にも取り組みます。
 引き続き外部資金の獲得も含めて、充実した調査、研究の実施に取り組んでいきたいと思っております。

○森委員
 今お話を頂きましたけれども、我が静岡県はかつては昭和62年に漁獲量が37万トンあった。これが令和2年になりますと半分以下の19万トンを切ってきている。これが静岡県の漁獲、水揚げのデータなんですね。近年非常に厳しい状況が続いているわけです。これを何とか打破しなきゃならない。板橋水産・海洋局長には静岡県に来てから八面六臂の活躍をしていただいていることは承知しております。これからもぜひこの水産王国静岡の名前を取り戻すことができるように、さらに御尽力をお願いして、私の県会議員40年の質問を閉じたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)

○木内委員長
 それでは、続けて発言を願いところですが、先ほど御説明頂きました非常勤特別職設置計画に関する補足説明につきまして、既に質問がお済みの方で関連で御質問がありましたらお願いいたします。

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