本会議会議録
質問文書
令和7年2月定例会産業委員会 質疑・質問
![]() | 質疑・質問者: | 牧野 正史 議員 |
![]() | 質疑・質問日: | 03/06/2025 |
![]() | 会派名: | 公明党静岡県議団 |
○牧野委員
分割質問方式で6問ほど質問させていただきます。
令和7年度当初予算主要事業概要(経済産業部)28ページに食肉センター再編整備事業費が計上されております。今年1月に産業委員会で九州方面を視察しました。
福岡市の立派な食肉センターは衛生管理やトレーサビリティーシステム、ICT機器を利用した最新の競りシステムなど本当に目をみはるばかりで、これから静岡県が食肉センターを造る上で物すごいものができるとわくわくしていますが、まず本県の食肉センターはどのようなものを計画しているのか伺います。
○手塚畜産振興課長
新食肉センターと福岡食肉市場株式会社との違いについて説明いたします。
施設規模につきまして、新食肉センターに新設される豚施設は福岡食肉市場株式会社と同程度の大きさとなっております。また増改築する牛施設は処理規模が半分となっております。これは福岡食肉市場株式会社が中央卸売市場であり福岡県のみならず長崎県、佐賀県、宮崎県など九州一円の家畜を広く受け入れる九州の台所施設であるためです。本県の施設は規模的には及びませんが、静岡県内を中心とした家畜を集め安定して運営を行うこととしており、県内畜産業者の振興や県民の皆様への安全・安心なお肉を供給していくことは同じだと考えております。
また、衛生面がすばらしかったとのお話ですが、福岡食肉市場株式会社は食品の安全性のためにISO22000を取得しております。本県もそれに準じたHACCP認証を取得するため、同様の衛生レベルだと考えております。
また、福岡食肉市場株式会社は東南アジアに輸出する施設だと聞いておりますが、本県の施設も同じように東南アジアの輸出に向けた施設基準となっております。
○牧野委員
トレーサビリティーシステムについての言及がなかったことと、福岡食肉市場株式会社を見た懸念としてマンパワーが必要な作業だとすごく感じたのですが、これから施設が完成する中で、そうした雇用面で準備していることはありますか。
○手塚畜産振興課長
トレーサビリティーにつきましては、牛も豚も各家畜ごとに耳標番号がついて処理されることから、それに基づきトレーサビリティーが進められていると認識しております。
雇用につきましては、現在浜松市食肉地方卸売市場と小笠食肉センターの2つが運営しておりますが、小笠食肉センターの職員がそのまま残る形になっております。
ただ、今現在両施設の運営にJA静岡経済連が関わっており、浜松市食肉地方卸売市場にも働きかけていると聞いております。
○牧野委員
すごく大きい包丁でさばくなど危険な作業もあり、いわゆる3Kのお仕事でもあると思うのですけれども、そうした方たちがいるから我々はおいしい食事ができるのだと感じました。新施設なので当然きれいだと思いますが、安全面と働く人の衛生面を確保していただきたいと思います。
続いて、先ほど5番委員と6番委員からのお茶に関する質問では、ブランディングや茶園の集積などの取組の話題も出ていますが、産業委員会で鹿児島県の有機抹茶の輸出製造販売の工場を視察して、社長のバイタリティーやチャレンジ精神に物すごく感銘を受けました。本県もそういった方の力を借りた人材育成も必要ではないかと思いますが、県の考え方をお伺いします。
○佐田お茶振興課長
視察された西製茶工場は10年以上前にニューヨークで抹茶がはやり始めた頃から有機栽培をしており、管理する有機茶園は農薬メーカーの社員が本当に農薬を使っていないのかと驚くほどのきれいな茶園で、品質も非常に高いため見習う部分が大いにあると考えております。
当工場の社長は静岡県で煎茶についていろいろ学び、恩返しの意味でも有機栽培技術を教えるとおっしゃってくれたため、県では輸出向け茶の生産拠点の技術支援のため来年度農林事務所の職員が西製茶工場を訪問して有機栽培技術の情報を収集し、県内の有機栽培の技術向上に生かしたいと考えています。
また、茶業研究センターでも有機茶園を設置して技術構築しており、その研究成果も活用したいと考えております。
○牧野委員
社長に害虫対策などを県の支援や茶業研究センターと連携してやっているのですかと聞いたら、試行錯誤しながらすべて自分でやってきたとお話しされていて、本当にすばらしいと感じました。静岡県でもお茶は価格が頭打ちで上がらないという空気がある中で、社長はアイデアとチャレンジ精神にあふれた方で、東京都内にお茶の喫茶店を出したところ、それが今では海外にフランチャイズ化しています。ぜひ静岡県もそういう人に頭を下げてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次に、昨年2月議会でも茶のJクレジット化に触れたのですが、静岡県内の茶園を利用したJクレジットの創出について、現状はいかがでしょうか。
○佐田お茶振興課長
現在、お茶の木をバイオ炭にして、茶園に戻して炭素を固定する取組を始めております。茶園での初めての取組として、今年度中に申請して来年度クレジット化されると聞いており、それを成功事例に横展開を図りたいと考えております。
また、茶業研究センターでは、方法論として認定されている石灰窒素の施用や剪枝回数を増やして炭素固定量を増やすことの方法論化を進めており、今後Jクレジットの取組が県内茶園でも進むと考えております。
○村松経済産業部長
お茶の振興について補足させていただきます。
私は以前茶業農産課におり、全国お茶まつりをつま恋で初めて開催しました。その当時はお茶はすごく元気で私もお茶に思い入れがあります。静岡茶市場で価格が下がった話が毎年出ていますが、本当なのか確認したところ、茶市場で扱う静岡県のお茶は生産量の2割にも満たないということです。簡単に言うともうかっている人は茶市場を通さずに、もうかる場所で売っています。
鹿児島県の事例もありましたけれども、県内にもいろいろ取り組んでいる人が結構おります。島田市にある、ななやで有名な丸七製茶株式会社の社長は今の静岡県の売り方では駄目だといろいろなアイデアを出している方です。それから丸山製茶株式会社は早くから輸出にかなり力を入れていて、日本から輸出するお茶の結構な割合はあそこのお茶だそうです。
確かに静岡県のお茶は非常に上質でクオリティーも高いですが、新しいビジネスモデルをつくっていかないといけない。郷に入れば郷に従えということわざがあります。韓国は関税が高いから静岡茶が売れないと聞いておりましたが、韓国の方はコーヒーをよく飲むため、抹茶ミルクティーみたいな甘いお茶を飲んでいます。文化が違うため韓国では静岡県の普通のお茶は売れないとすごく実感しました。
今のものは今のもので伸ばしつつ、それぞれに対応する新しい時代に合ったビジネスモデルが必要です。知事が本会議で答弁したように静岡茶市場や団体の在り方をもっと変革して茶商や農家のいろいろな利害関係の垣根を越えて頑張っていかないと静岡茶の将来は少し難しいと思いますので、県が危機感を持ってリードしていきます。それから掛川や天竜、静岡などそれぞれの産地に優れたものがありますので、市町村とも一丸となって方向性を一緒にしてしっかりと取り組んでいくことが必要だと思いますので、御指導のほどお願いします。
○牧野委員
村松経済産業部長の集大成を聞けてよかったです。ありがとうございます。
続いて次の質問に移ります。
主要事業概要16ページの障害のある人に対する就労支援関連事業は肢体不自由と精神・発達障害のどちらにウエートを置いているのか。
また、今精神・発達障害の方が非常に多いのですが、そういった方を雇用するために事業所に対して具体的にどのようなアドバイスをされているのかお伺いします。
○八木労働雇用政策課長
この事業は、障害者の雇用促進として、全ての障害者に対して総合的な支援を行っている事業です。
専門家のアドバイザー派遣は、企業が障害のある方を雇用する際に精神保健福祉士をアドバイザーとして派遣する事業です。
精神障害の場合は、体調管理が特に重要なため服薬や睡眠時間などを日々確認する体調チェック表の活用、本人への声かけの方法などをアドバイスしております。
また、発達障害の場合は、自閉症やADHD、学習障害など様々な種類がございますので、それぞれの障害特性について説明し必要な対処方法を助言しています。
さらに対人関係に課題がある精神障害や発達障害がある方をテレワークを活用して雇用できるよう、テレワークの専門家もアドバイザーに追加して労務管理方法などのアドバイスを行っています。
○牧野委員
今は精神障害の方が多くて、普段は普通に仕事していても精神を病む身近な知人も見ております。せっかく県がこうした事業をやってくださるので、精神障害の方の勤務時間や職場環境、作業内容などを工夫することで引き籠もらずに自分で収入を得ることや、企業も本当に人手不足なので8時間働かなくてよいから3時間ずつ人を分けて雇用するなど双方にプラスになるよう事業を成功させていただくことをお願いします。
続きまして、主要事業概要25ページ、しずおかアボカド産地化プロジェクト推進事業について、アボカドに目をつけた理由と、静岡市清水区でもアボカドを栽培しているのですが、試行地として10か所を選定した理由について伺います。
また、気候変動に強い作物で今後新たに考えているものがありましたらお伺いします。
○勝地農業戦略課長
本県は日照時間も非常に長く冬も温暖な気候で、今後は地球温暖化により亜熱帯作物が栽培適地になるポテンシャルがあります。また消費面では近年の健康志向でアボカドの国内需要が非常に拡大しております。ただ流通するアボカドのほぼ99%が外国産で未熟な状態で輸入される中、それを国内で完熟したものを生産することで外国産と差別化できると考えています。こうした栽培面の特性と市場性の観点からアボカドを選定しました。
続いて今回栽培実証箇所10か所のうち、2か所は県農林技術研究所の果樹研究センターと伊豆農業研究センターです。残り8か所程度については、既に試験栽培している農家がかなりおり、清水区の生産者も調査に協力頂きましたが、県東部から西部まで幅広く産地化を目指したいと考えており、基本的には年度当初に栽培の実証圃場を公募したいと考えております。
それから、今後考える新たな作物についてですが、アボカドを選定する前にもいろいろな候補がありましたが、まずは3年間アボカドを極めていこうということで、今現在次の品目を想定してございません。
○牧野委員
本県は非常に豊富な農作物、水産物に恵まれていますが、気候変動によって収穫時期や収穫高の減少などの問題がありますので、アボカドのような新しい食物が非常に有効だと思います。今後の喫緊の課題であるとともに、熱帯の作物を静岡県で作って口にできるのは楽しみで期待していますのでよろしくお願いします。
次に、主要事業概要23ページ、しずおかリノベーションまちづくりプロジェクト推進事業費の内容をもう少し詳しくお伺いしたいのと、参加メンバーにはどういう方が入っているのかお伺いします。
○池谷地域産業課長兼商業まちづくり室長
県の役割としてまず交流機会の創出がありますので、しずおかリノベーションまちづくりフォーラムという多くの方々が参画できるプラットフォームをつくり、交流会やセミナーを通じてネットワークを掲載するほか情報発信してまいります。
また、人材育成も必要なため、リノベーションまちづくりを実践的に学べるリノベーションスクールを開講する市町に対して支援いたします。さらにリノベーションまちづくりの実践段階に移行する地域、市町に対してはエリア価値向上支援事業費補助金によりハード・ソフトの両面から支援するなど、地域の進捗度合いに合わせて支援していきたいと考えております。
○牧野委員
自分の捉え方が間違えているかもしれないのですが、このプロジェクトは、例えばアニメやドラマ、映画、アーティストの関係者などのコンテンツにより聖地化して若者や外国人を呼び込むものとは違うのでしょうか。
○池谷地域産業課長兼商業まちづくり室長
リノベーションの考え方は、元ある施設を生かしながら新しい価値を付与しそれを地域に何か所か作ってまち全体を活性化させるものです。7番委員がおっしゃられたコンテンツ産業を誘致するのも1つの方法ですし、全然違う業態で飲食店をホテルにするなどいろいろな考え方があります。各地域によって背景や構成がありますので、地域の特性や根づいている文化を生かしながらまちづくりを進めてまいりたいと考えております。
○牧野委員
このようなプラットフォームやまちづくり協議会に集まるのはどうしても年齢層が高い人になってしまうのですが、若者の声は当然として日本を求めて来る外国人の意見も取り入れつつ、最後にしっかりとグリップを握るのは経験豊富な県職員だと思いますので、ぜひよいものをつくっていただくようお願いします。
最後の質問ですが、主要事業概要18ページの未来へつなぐ採用力強化事業費助成について、奨学金返還支援制度の創設については、本当に感謝申し上げます。
その上で、採用活動支援と奨学金返還支援の2つの事業の詳細を教えて欲しいのと、採用活動支援のモデル事業を行う3市町はどこか。
また、どちらの事業も政令市を除くと記載されているのですが、その理由をお聞かせください。
○八木労働雇用政策課長
まず、市町のモデル事業につきましては、今年度県内市町と行政経営研究会を実施して市町の状況を確認し、意見交換によりどうしたらより効果的な事業ができるか研究してまいりました。今年度中に研究会をもう1回実施することとしており、これまでに出た課題を解決するために、どのような事業がよいか検討することとしております。実施市町は今後決めていきますが、広域で市町が集まって実施する事業が効果的だろうとの意見が出ており、こうした事業の組み立てを考えているところです。
政令市を除く理由につきましては、政令市への移行時に県と締結した権限移譲に関する基本協定で県民の生命財産の安全、保全に関わる補助金等を除き政令市への県単独助成は行わないと整理されております。今回の制度も対象外となっており、両政令市とも調整して御了解頂いております。
浜松市は既に個人向けの奨学金返還制度を実施しており、静岡市は首都圏への通学補助を実施するなど独自の取組を進めておりますので、引き続き連携して若者の県内就職の拡大を図ってまいります。
○牧野委員
少し理解が追いつかないのですが、静岡県に戻ってきてもらうために県が実施する奨学金返還支援制度は、静岡市に戻ってくる学生や受入れ企業は除外されるとの考えでよろしいでしょうか。
○村松経済産業部長
政令市との基本協定について補足させていただきます。
政令市になると県にあった財源が移動します。県の収入が市の収入に一部移るものですから、基本的には政令市で実施してもらうのが根底になります。静岡市が政令市になったときは全国調査を実施し他県も同じスタンスでした。ただ大規模地震対策のような補助金は生命に関わるため政令市も例外として限定列挙しています。
奨学金返還支援制度は、浜松市が先行して取り組んでいます。静岡市は通学補助などいろいろなやり方で取り組んでいますが、県も施行までに若干時間がありますのでぜひ一緒に同じような制度をつくっていただければよいと思います。その辺は静岡市ともディスカッションさせていただきたいと考えております。
○牧野委員
例えば、県の実施する支援に静岡市も一緒に乗っかることはできるのですか。
○村松経済産業部長
企業立地の事例では、県が市町と協調助成する土地取得時の補助金がございます。県が市町に支出し、市町が企業に支出する制度ですが、政令市とは基本協定があるため県は静岡市には出せないんですね。ただし県が静岡市と同額を企業に補助する形で整理したこともあります。
今回のスキームは、まず企業が就職する方に払いますが、月に2万円ほど返済できる人が多いため年間24万円の奨学金になっています。そのうち半分は自身で返済してもらい、残り12万円を県と市町と中小企業で分割して補助します。企業が12万円を従業員に出したら市町が8万円を企業に支出し、県は4万円を市町に支出することになっています。
制度設計においてどうやって政令市と関われるかはいろいろな方法があり、同じ制度の中で補助の問題を上手く解決できるかもしれませんので、また研究、検討させてください。
○牧野委員
産業委員会には葵区、駿河区、清水区選出の県議会議員がいます。政令市を除くのは仕方ないですが、政令市選出議員として一般市民や市議会議員からも何で政令市を除くのかと厳しい声が届きます。せっかく静岡県として今回すばらしい制度をつくろうとしているので、静岡市もうまく乗っかるスキームだったり、パスだけは出してほしいと思います。それに乗る、乗らないの判断は市の考え方ですので、ぜひよろしくお願いします。
○大石(健)委員長
ここでしばらく休憩します。
再開は15時とします。
( 休 憩 )
○大石(健)委員長
休憩前に引き続いて委員会を再開します。
質疑等を継続します。
では、発言願います。
○小笠原エネルギー政策課長
休憩前に6番委員から御質問頂いた国内のFCV普及台数は、2024年12月末現在でMIRAIの7,754台を含め全国で8,734台となっており、これにはMIRAI以外にクラリティ、クラウンなども含んでおります。県内の普及台数は154台、FCバスが3台となっております。
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