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委員会会議録

委員会補足文書

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令和4年10月28日逢初川土石流災害検証・被災者支援特別委員会
調査事項に関する説明 【 当局側説明 】 発言日: 10/28/2022 会派名:


○難波県理事
 それでは、お手元にありますA4の横資料、第3回委員会説明資料、静岡県理事難波喬司と書いているもので説明させていただきます。
 次のページを開いていただいて、はじめにですが、検証結果についての現時点の県の認識になりますが、結果として逢初川源頭部に盛土が残置され、その崩壊により、27名の方がお亡くなりになり、1名の方が行方不明となられるなど住民の生命や財産、暮らし等に多大な被害をもたらしたわけであります。砂防、河川、森林等の行政に関わるものは、逢初川源頭部の盛土の危険性を軽減、除去するためにもっとできることがあったと思います。あったと思うではなくて、ありました。盛土の崩壊による災害の発生を防ぐことができなかったのは、行政対応の失敗であると。これは検証委員会でもそう書かれておりますが、私、県としてもそう思います。このことを深く受け止めて、県は大いに反省し、二度とこのようなことを起こさないよう行政運営の根底からの改善に継続し努めなければならないと思っております。
 冒頭、委員長から再発防止というお話がありましたが、再発防止については、やはり根底からの改善が必要だと思っております。適切にできなかったことについて、できなかったことの表層を見るのではなくて、なぜそういう行動を起こしてしまったのかというところに入って改善をしていかないと、結局はまた同じことが起きると思っております。その観点からこの後の説明もまとめております。
 次のページをお願いします。
 まず、逢初川土石流災害の行政対応の内部検証、発生源の内部検証において気をつけたことです。この両方とも外部検証が入っておりますが、内部検証をやる場合に何を気をつけたかということです。
 まずは、ゼロとなっていますが、これは根本です。被害者、被災者の無念、深い悲しみ・苦しみに思いをいたし、事実関係を明らかにし、誠心誠意の検証を行うことです。
 1ですが、事実、科学的根拠、適切な法令の解釈に基づき、客観性のある検証を行うこと。
 2番目、事実の確認のために必要な情報公開を徹底すること。
 3番目、人の考え方や意見、物の見方(認知の仕方)は多様。考え方等の違いの表層ではなく、根底を見ること。これは、なぜ危険性を予測、予見できなかったのかというところをしっかり見ていかないといけないということです。
 4番目、内部検証に当たって組織防衛や自己保身をしないとしても、無意識に認知バイアス、これは後ほど説明しますが、認知バイアスが発生してしまうことに常に注意するということです。この認知バイアスは、放っておけば私たちは勝手に物事を偏って捉えてしまうという思考の枠組みの偏りがあります。したがって、組織防衛や自己保身をどうしてもしてしまい、それによって、物事を偏って捉えてしまうという傾向があります。人の物の見方、認知の仕方には、認知バイアスがほぼ必ず生じます。認知バイアスがあると偏った情報を選択しがちになって、物の見方に偏りが生じやすいと、これをしっかり認識をしていく必要があると思います。
 検証結果に関する幾つかの論点ですけれども、これは論点といいますか、検証結果に対していろんな指摘がございますので、ここでは典型的な3つを取り上げています。
 行政対応検証において、砂防法に関する検証が不十分ではないか。
 2番目は、上流域の開発行為への行政対応について、もっと検証すべきではないか。
 3番目は、土石流の発生原因が地下水の湧水を主因としていることへの疑問です。上部域の開発行為によって、逢初川への表流水の流入量が増えたことが主因ではないかという意見があります。
 次のページですが、事前にこういうことについて検証結果の再検証をするときに、事前に確認すべきことがあります。これは今の3つの論点ですけれども、県の見解と、一部報道等でなされる見解と全く論点がかみ合っておりません。あるいは深刻な見解の相違が発生しています。これはなぜかを見ておかないと、その見解が違うところだけ議論をしても、その根本があるということです。これは、3つありますけれども、1つは、先ほどの双方間で認知バイアスが発生していないかです。それから2番目、同じ基準、同じ土俵の上で議論をしているのか。それから3番目ですが、検証結果には正解があり、かつ、それは1つと思っていないかです。
 次に、行きます。
 何度も認知バイアスということを言いましたが、学術的な感じになってしまいますが、これは非常に大事ですので、あえて御説明させていただきます。
 人には人の判断を誤らせる様々な認知バイアスが働きます。認知バイアスとは、さっき申しました放っておけば私たちは勝手に物事を偏って捉えてしまうという思考の枠組みの偏りになります。この中で、確証バイアスと正常性バイアスというのがありますが、確証バイアスは、与えられた情報の中で、自分の中で、自分の都合のよいものだけを選択して、都合の悪い情報を無意識に排除することがあります。正常性バイアスですが、これは避難べきするときに避難しないというケースが出てくるときによく使われますけれども、自分にとって不都合な情報を過小評価し、時には無視してしまうこと、こういうことが発生します。
 それでは実際に、この今回の検証の中でどういう認知バイアスが発生をしたのかという1つの例は次のページです。
 これは土石流の発生の予見に関する認知バイアスですけれども、土石流発生前には確証バイアスと正常バイアスが発生していると思います。土石流発生前を見ると、このときの認知の前提と、認知といいますと、盛土はどのように崩壊をするかという認識の仕方と思っていただいたらいいと思いますが、認知の前提となる状況は、行政関係者は盛土のほぼ全体の崩壊、今回の災害ですけれども、その土石流の発生映像を見ていません。
 それから事業者は行政指導をしても適切に対応していないという事実があります。そうすると行政関係者には次のような確証バイアス、正常バイアスが発生しやすい。恐らく盛土の全壊は、全体は崩壊しないだろうと思い、表層には草も生えていて安定しているように見える。盛土のほぼ全部の撤去命令をしても撤去はしないだろうと、こういったことを見て、このまま残置しても大きな災害は起こらないだろうと思いがちになってしまいます。
 事業者にも同じバイアスが発生するので、これは注意しておく必要がありますが、行政と事業者では認知の根拠が違います。よって、行政関係者と事業者では予見可能性の根拠は異なります。事業者は自分で事業をやってますから、あの場所に湧水がもともと多かったことは分かっています。それから排水施設を、十分な排水施設を入れていないとか、締め固めをしていない事実を知っています。行政関係者は十分にそれを知らなかったことですから、事業者と行政関係者では認知の根底が違いますので、よく言われることですけど、行政関係者が予見可能性がなかったら事業者も認知可能性がないんじゃないかというお話がありますが、それは違います。これは本当にそこでやっている人と、そこを外から見る人では予見可能性は全然違います。したがって、あまりそこは気にする必要はないと思います。これは法律の関係者からもそのとおりと言われておりますので、私が勝手に言っているわけではございません。
 土石流発生後ですけれども、今度は認知の前提となる状況は、既に盛土のほぼ全体が崩壊し、かつ水分を含んだ土石流、あのSNSで出てくる映像ですけれども、あれを見ています。したがって、あのような場所に盛土をすれば、土石流が発生することは専門家は予見できるはずだと、今我々みんなほぼそう思っていると思います。それはあの映像を見た後ですからそう思うのであって、あの2010年頃の時点で同じように予見をできたかどうかというと、それはやっぱり違います。認知の前提が違います。
 行政への評価の例ですけど、なぜ発生することが分かっていながら適切な対応をしなかったのかと。発生することを予見できなかったとすれば能力不足ですとか、あるいは無能だとか、いろいろ言われます。しかし、これは完全に両方で認知バイアスがあります。
 次のページですけれども、同じ基準の上で議論をしているのかということですけれども、これは、上の科学的根拠に基づいて対話を進めようとしているんですが、対話で進められないときは、同じ基準に立っていないという状態が非常に多いです。違うところの考え方でやっている。法的問題についても同じで、1つの例は比例原則という基準に立って論理を組み立てる者、それで県はそういう比例原則の基準に立って論理を組み立てる者、後で比例原則は御説明します。比例原則は考慮せず、砂防法の適用が重要。砂防法を適用すれば災害は防げたという基準に立って論理を組み立てる人もいます。この2つは同じ基準に立っていません。したがって、この同じ基準に立っていない同士が議論してもほぼかみ合わないことになります。その例が次のページです。
 このAの基準は、これは県の考えですけれども、土採取規制条例の届出があり、森林法も規模によっては適用可能だったと。現に規制できる法令があったのだから、なぜその法令による規制が機能しなかったことを重視して検証、議論しようと、これは県の見解でもあるし、検証委員会の4人の委員の考え方もそうです。
 Bの基準は、土採取等規制条例と森林法による規制は機能しなかったと。とりわけ土採取等規制条例は適正に運用されていた。他に規制をかける法令があったのに、なぜその法令による規制をかけなかったのかという基準に立ってものを考えています。ここで重要なのは、とりわけ土採取等規制条例は適正に運用されていたと、この見解の人は思っています。したがって、その方がどういうふうに判断したか、その例になっていますけれども、県の基準について熱海市はしっかり対応していた。県の砂防関係者がしっかり対応しなかったので災害が発生した。砂防関係者の不作為のせいで人が亡くなったと指摘している人がいます。これは県の基準と全く異なります。Bの基準はどうかということですけれども、砂防法の問題だけではなくて、土採取規制条例、森林法も含め、なぜ規制が機能しなかったのかを議論すべき。砂防法による規制をかけても土採取条例等と同様に機能しなかった。つまり危険の予見性ができてなかったら同じように機能しなかったはずです。その可能性があります。だから砂防法の問題だけを強調するのは適切ではないと思います。
 次ですけれども、検証結果には正解があり、正しい検証結果があり、それが1つと思っていないかですけれども、これは長いので省略しますけれども、正しい検証結果はありません。5つのポツのうち一番下ですけれども、法的問題においても裁判の一審と二審で判決が異なることがあります。法律の専門家が行う判断においても正解があるとは限らないわけです。したがって正しい検証結果というのはなくて、ある検証結果があり、それとは違う検証もあるということにすぎないと私は思います。
 その下ですけれども、これは難波私見と書いてますけれども、ある検証結果はその時点の情報量に基づくその検証を行ったものによる1つの判断です。検証結果が報告書として提出された後に、その判断の一部に不十分あるいは不適切な点があると考えれば、その一部を何らかの方法で再検証すればいいわけです。検証を行った者に再検証を求めることもあれば、他者が検証を行うなど様々な方法があります。私は、大変な労力と時間をかけて行われた検証結果の全体については、その労にまず感謝して、検証結果には素直に向き合いたいと思っております。以上が論点です。
 砂防法についての検証ですけれども、砂防法を適用すべきであったのかという問題があります。これは、この比例原則が大事ですので、12ページにいきます。
 法令適用における比例原則ですけども、比例原則というのは、達成されるべき目的と、そのためにとられる手段としての権利・利益の制約の間に均衡を要求する原則。分かりやすい事例は、警察比例の原則ですが、警察権の発動に際して、目的達成のために幾つかの手段が考える場合に、国民にとって最も温和で侵害的でない手段を選択しなければならないというもので、素手の相手にピストルは用いないというのが1つの例です。
 したがって、何でも規制をかければいいというものではないということです。その規制をかけなければ目的が達成できない場合に規制をかけるべきであって、何重にも規制をかければいいというものではないということです。
 論点としては、既に県土採取等規制条例及び森林法がこの場所では適用されていました。それが機能したか機能しないかは別にして、法律は適用されていました。達成されるべき目的のために、さらに砂防法の規制をかけなければならないかですけども、次のページを見ていただきます。
 3−2とありますが、比例原則を考える視点で、まずは、既存の規制がどうかかっていたかですけれども、まず、1ヘクタールを超える開発行為には、森林法の開発規制がかかっていました。したがって、1ヘクタール以下では規制がかかっていません。
 もう1つは、1,000平方メートル以上または2,000立方メートル以上の切盛土については、県土採取規制条例によって管理されています。
 したがって、この2つの法令で規制されていないのは、1,000平方メートル未満かつ2,000立方メートル未満の盛土になります。この2,000立方メートルの盛土は、仮に崩壊すると、下に砂防堰堤がありますから、砂防堰堤で捕捉できます。
 したがって、災害は下流には起こりません。防ぐことができます。
 したがって、比例原則の観点から、砂防法による規制はしなくてもよいという結論が導かれます。つまり、他の法令により管理可能だということです。
 こういう議論があります。実態として、県土採取等規制条例と森林法では適切に管理できなかったので、砂防法により管理すべきであったという論理、これは成り立ちません。まず、県土採取等規制条例と森林法で管理することが可能であったかをまず議論して、もしそれが可能でなかったら砂防法を問うべきであって、かつ管理可能であったかどうかは、実際に機能したかどうかとは別です。法令があっても適切に適応しなかったらできませんが、熱海の場合はそうなります。
 論点の2番目でしたが、上部域の開発行為の行政対応について、今日も新聞等でいろいろ出ておりましたが、重要なことは、逢初川源頭部の盛土の形成及び崩壊を行政対応によって防ぐことができたか、これが論点のはずです。そのときに上部域の開発時期と源頭部盛土の形成時期の関係が重要になります。上部域は崩壊地よりもさらに上ですけども、上部域の開発時期のほうが、源頭部の盛土の形成時期より早いわけです。
 したがって、盛土の形成方法の是非を考えるときは、上部域の開発内容は、所与の条件になっています。
 したがって、その所与の条件の基で源頭部の盛土の形成に行政対応すればいいのであって、それを以前にやった上部域の開発のせいにしては、何も適正な議論はできません。
 したがって、上部域開発行為に関する行政対応については、盛土の崩壊を防ぐことができたのかという行政対応を検証するという目的においては、上部域の開発を議論する必要はないと私は考えます。
 3番目の論点、土石流の発生原因で、表流水が盛土崩壊へ影響を与えたのではないかということがあります。
 見解の存在ですが、周辺開発により表流水の流れが変わり、それが盛土崩壊の主要因ではないかということです。下の図を見ていただいて、これは下側が下流部になって、真ん中に道路があって、左側に草が生えてますが、その間に境界のところに側溝と土のうが積んであります。これは、熱海市が積んだものですけれども、これはなぜ積んだか。これを積んだということは、ここから水が入っていたんだろうと指摘する人がいますが、それは違います。場所がイメージできればいいんですが、その図を持っていないので、さっと説明させていただきますが、表流水が盛土に大量に流入した明確な痕跡は見当たりません。仮に、そのような状態が発生した場合は、後で御説明しますが、ガリー侵食や表層崩壊が先に発生して、盛土全体の崩壊には至りません。よって、表流水は盛土崩壊の主原因ではない。ただし、源頭部に残っている盛土の安定のためにはできる限りの措置が必要なために、道路境界部に小形土のうを積んで、道路を伝って表流水がこの盛土の中に入ってきてしまうので、そこの境界のところに側溝を置き、それから土のうを置いたものです。
 最後になりますが、主要因でないということです。いろんな説明はできますが、直感的に分かりやすいものを16ページ、5−1で示しています。
 まず、流れの観測です。表流水というのは流下速度が速いので、降雨発生後はすぐに表流水が観測できます。
 したがって、ここに雨が流れていたかどうかですが、まず、災害の翌日の7月4日朝5時から6時に、県職員、私を含め4名がここの場所に行って、右の赤のルートの形でここを踏査をしております。それを見たときに表流水の明確な流下痕跡はありませんでした。ただし、崩壊斜面上部、上部というのは崩壊地の崩れたところです。その中から水が吹いていました。つまり、地下水がまだパイピングホール――湧水孔からどんどん吹いて出ていました
 したがって、地下水が物すごく出ていた状況を私たちは見ています。
 もう1つ、2021年8月15日ですけども、ここで1時間47.5ミリの雨を観測しています。表流水は反応が早いので、ほぼ時間雨量で影響が非常に大きいです。源頭部が崩壊したときの7月3日の最大時間雨量は時間24ミリでした。8月15日は、その倍の雨が降ってます。表面地形は7月3日と8月15日は変わりません。47.5ミリの雨が降って、表流水として逢初川源頭部に大量に流れ込んでくれば、それが観測されているはずで、源頭部には県の職員が常駐していましたが、そのような現象を見ていません。
 また、中下流域では、7月3日以上に逢初川の流量が増えていたはずです。倍の時間雨量の雨が来ているのですから、表流水が主流になったら、とんでもない流量が逢初川に流れているはずですが、そんな状況を見た者はいません。
 さらに、盛土造成後の1時間雨量の最大値は、2016年7月20日ですけども、これは63ミリですので、2.5倍近い雨が降ったことになりますが、そのときも逢初川下流域で洪水を発生した状況の記録はありません。
 したがって、表流水が、この地形が変わったことによって、そんなに逢初川には流れていないことは、観測した事実からあります。
 したがって、そうではないのであれば、この観測した事実を覆す材料がない限り言えません。
 次に、表流水の盛土内の浸透量は大きくないということですけども、次のページですけども、2011年8月30日の写真です。見ていただいて分かりますように、小段という盛土の水平になっているところに水がたまってます。放流水が流れてきて、盛土の中に水がどんどん浸透していって盛土を流す現象があるとすれば、表流水はこんなところにたまりません。盛土の中にどんどん入ります。このときに雨がどういう状況だったかというと、2021年8月の雨量ですけども、これは30日の写真ですが、28、29、30日は雨量ゼロです。8月21日から27日までに降雨は大量に降ってます。その降った雨が浸透しないでこの表面にたまっている事実があります。ということは、この盛土の表面からは水がほとんど浸透しないということです。浸透しないときにどうなるかというと、その下にガリー侵食がありますけど、谷のような侵食を起こして流れます。見ていただくと、8月30日の写真でも水がたまっているところの手前に溝みたいのがありますけども、これは排水施工後に作っていったせいもあると思いますが、こういうところに水は流れ、盛土のところは水がたまってます。
 次のページを見ていただいて、これは県が行った盛土が崩壊に至る現象の再現解析です。少し分かりにくいですけども、右に飽和度分布というのがありますけど、飽和度分布は、土の中には空隙があって、そこの中に水が入り込むわけですけども、その空隙の間に水がどのくらい入っているのか、100%入ると空隙がなくなって全部水になったという状況です。ここの場所を見ると、この解析結果ですけど、7月1日0時から8時間経過時と思っていただいたらいいですけども、そのときにはもう80から85%で飽和度が高い状態で、その後が雨が降ったり地下水が入ったりしますけど、地下水位はどんどん上がっていきますが、盛土の飽和度はほとんど変わりません。それは何かというと、盛土の表面から水がここへは入らない土だということです。
 したがって、ここは表流水が幾ら流れても、盛土全体は崩壊をしない地形だということです。
 もう1つだけ申し上げたいのは、盛土は水で壊れるんではなくて、水と土の連動した動きによって壊れます。当たり前だと思いますけど、水は水で流れるのであって、水と土が一緒になったときにその塊がどういう現象を起こすのかは、これは力学で検証しないといけません。
 したがって、これは、土質力学とか地盤工学の観点から検証してこうなってます。水が来た来たとおっしゃる方は、水は来ているのかもしれませんが、土との関係を何もおっしゃっていません。水では土は壊れません。土と水連成です。
 最後になりますけれども、こういうことがありながら、やはり最初にありましたように再発防止に当たっては、反省をしなければいけないことが非常に多いわけであります。行政対応は失敗でした。
 まず、考えていただきたいのは意識改革で、認知バイアス、正常性バイアスが働きやすいことを意識しておかないといけない。だから、最初に申しましたように、この盛土は崩壊しないだろうと、さらに言うと、これ対応すると面倒くさそうだなという意識でいると、どうしてもそこに認知バイアスが発生して、まあ大丈夫だろうとなります。
 したがって、そうならないようにしないといけないことを研修とかそういうことで徹底的に意識付けすることが必要です。
 2番目、意識改革ですけど、それと似ていますが、最悪の事態を想定すること。まあ落ちないだろうと思ったとしても、ひょっとするとこの盛土全体が崩落したら下流域は大変なことになるので、どうしようかという、最悪の事態の想定が極めて大事です。
 それから、初動全力です。後々になってどんどん盛土がされてくると、後の対応が大変になってきます。土量が増えてくるので、それを撤去させるとお金がかかる。それを避けるようになります。
 したがって、初動全力をとにかく心がけて、最初の段階で盛土がされたときにすぐに対応するというのが極めて大事です。
 3番目です。これが本当に最後になりますが、自分が所管する法令の射程内での対応ではなくて、行政組織が射程、行政として何ができるかで問題の解決・解消に努める意識の必要があります。
 今回の砂防、森林、河川の行政関係者の何が問題だったかというと、砂防の関係者は砂防指定地がかかっていないので、自分たちの法令の射程の範囲ではありません。河川管理者も逢初川の源頭部は河川区域ではありませんので、河川法は適用できません。森林法は面積の関係で、これについては議論があり、さらに検証が必要かもしれませんが、1ヘクタール未満だったので自分たちではないと。そうするとそれで終わってます。しかし、行政組織の射程というのは、河川管理者あるいは砂防管理者は、その地域の人たちの安全のために仕事をしているわけですから、自分の法律は射程になかったら、ほかの法律は何か適用できないかとかもっと何かできることはないだろうか働きかけていかないといけないので、自分のところは関係ありませんで終わっては駄目で、つまり、今回の行政対応の失敗の一番の原因は、自分たちの法律の所管だけ考え、もう1つは、今日、熱海市の参考人質疑があったそうですけれども、それは熱海市の仕事でしょになった瞬間にいろんなものの見方が変わってしまうということです。だから、土採取条例は、確かに熱海市の条例で熱海市がやらないといけないけれども、河川法と砂防法でできないのであれば、熱海市に働きかけて必死でやっていかないといけない。結果を出すことをやらないといけなかったと思うのですが、それができていなかったんですね。だから、そこは一番の反省材料だと思います。砂防法の問題では私はないと思います。
 したがって、最初に申しましたが、こういう問題でああいうことを起こしてしまったので、二度と災害が起きないようにするためには、こういうところを徹底して理解し、研修等あるいはいろいろなことで理解してもらって、今回のような対応をしないようにすることが極めて重要だと思っております。

○竹内委員長
 ありがとうございました。
 以上で、説明は終わりました。
 それでは、ただいまからこの説明を含め、執行部に対する質疑に入ります。
 委員の皆様に申し上げます。
 これより質疑応答に入りますが、御質問・御意見等の内容は、この特別委員会の調査事項の範囲内で、また、本日、出席を要請した説明者の所管内の質問でお願いします。
 また、今後、この特別委員会として提言をまとめますので、提言につながることを見据えた議論をお願いしたいと思います。
 それでは、御質問・御意見がありましたら発言をお願いします。

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