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委員会会議録

委員会補足文書

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令和6年3月盛土等の規制に関する条例等検証特別委員会
静岡県行政書士会 稲葉洋行氏、山本恭彦氏 【 意見陳述 】 発言日: 03/06/2024 会派名:


○稲葉参考人
 行政書士会の稲葉といいます。よろしくお願いします。
 私どもが作成した資料に基づいて、説明させていただきます。
 まず1つ、盛土条例に関してですが、提出する書類が少し多いということで、本日お持ちしましたこちら、例にも書かせていただきましたが、約5,700平方メートルの開発、土地利用で4,686.37立方メートルの盛土をしたときの盛土条例の許可申請書のコピーになります。これだけの書類が必要になっています。
 実際、ここでやったのは造成工事でして、最大の盛土高が1.39メートル、平均すると82センチメートル、つまり道路よりも低い田んぼの部分を埋めて平らにしたというだけの申請の手続で、これだけの資料を必要とされました。そこは施主さんに対しても負担になっていると思われる部分であります。
 もう1つは、許可までの期間が長いというのがあります。
 資料1に、申請書と許可書のかがみのコピーをつけてあります。申請日は、令和5年1月4日です。許可が下りてきたのが、令和5年7月10日。約半年以上の期間を要して、ようやく許可が下りたことになります。その間、工事が止まってしまうので、許可が下りてくるまでの時間が非常にかかっているというのが実感としてあります。
 もう1つですが、申請費用の高騰という部分があります。
これは資料2に見積りをつけさせていただいたのですが、御殿場市で工場を建設するための開発行為、それから土地利用、盛土条例の申請にかかる費用の見積りです。開発行為や道路工事承認など法律に基づく許可というのは、施主さんのほうも当たり前にこれは必要だということで、何も言われずに、その費用は認めていただけます。土地利用というのは、条例でも法律でもなく行政指導の部分になるので、いろいろ意見はつくのですけれども、長年やられていることですし、静岡県全域でやっていることなので、説明していけば承諾は得られます。
 ただ、盛土条例に関しては、静岡県独自でやっていることですけど、とにかく費用がかかるということで、これに関しては施主さんのほうから非常に意見を言われることが多いです。
 資料2の見積りは、合計面積が8万平方メートル−−8ヘクタールの工場の造成工事の開発行為の申請で、総額で4460万円の見積りを出しています。このうちの盛土条例の手続と、手続に関してかかる費用が1550万円。全体の約35%ぐらいで、今まで盛土条例がないときにはその費用が全くかかっていなかったので、単純にこの盛土条例ができてしまったがために、35%から40%の費用の増加があるということが1つあります。
 この中でやはり一番ウエイトを占めているのは、土壌の調査。これは見積りの後ろのほうにもついていますが、そのまま載せてきました。970万円、約1000万円近い土壌調査費がかかっています。
 これに関しては、面積が8ヘクタールと大きいということで、土壌調査の箇所が、面積割で11か所必要になります。1か所あたり5つのサンプルを取らなければならないので、全部で55のサンプルを取って分析しなければならないということで、費用がかかるのは当たり前かなと。
 さらに、半年に1回の中間検査があって、同じように検査をしていかなければならないと。そういうことで、今回8ヘクタールと広大な面積なので、工事期間が約2年かかります。そうすると、着手時、半年に1回で半年、1年、1年半、完了と、最低5回の検査が必要になります。それで見積もっていただいて、約1000万円という見積りをいただきました。
 業者さんにとっても盛土条例にかかる費用の35%増しというのは、かなり大きくて、それについての意見はよく言われます。ただ静岡県は、盛土条例が開発行為に与える費用負担は微細ですという主張をされてるのですが、35%はちょっと微細とは言えないかなと。
 あとは最も指摘を受けるところですが、現地へ盛土を搬入する際に、品質検査がされています。それを盛土材として入れて造成を行うのに、中間検査、完了検査がなぜ必要かと。その根拠としては、工事業者から取った見積りの中に、当たり前のように、その搬入土の管理費が計上されています。搬入前と搬入後の検査を二重に、要するに持ってくる土に対して、搬入前と盛土造成を行った搬入後、なぜ二重に検査を行わなければならないのか。そういう合理的な説明をしろと言われても、私のほうも、施主さんに対して合理的な説明ができなかったということが1つあります。
 それに伴って、工事業者の搬入土の管理費がなぜ必要なのかというのを聞かれました。
 これらの質問に私は答えるために、合理的な説明ができなくて、静岡県で条例が出来上がってしまったから、申し訳ないけどこれを出さないと、県では許可にならないですよという説明しかできないです、実情は。そこが苦しいところで、実際この案件は、御殿場市にあります事務機器のオカムラさんです。一応了解を得たので、あえてこの場でオカムラさんの意見を発表させていただきますが、今回の計画というのは、既存の自社の御殿場工場の増設が目的だったために、御殿場市の近辺の駒門工場地内に建設するということで、申請見積りを取ったと。その中で、最も問題になったのが、県の盛土条例の手続で、多額の費用と期間を必要とする、新規の工場建設という状況であれば、静岡県には作らないですということも言われました。事業者としては、新規事業の必要経費を極力抑えて、期間を短縮して建設するというのが、立地を選ぶ条件の1つになっているということを言われて、それは当然だろうなとは思ったのですが、今回は今ある既存の工場の増設が目的だったので、仕方ないからやりますよという判断で、契約にはこぎつけました。何といえばいいのか、皆さん、施主さんのほうもあまりよくは思っていないのは実情です。
 盛土に関する条例の運用に関する要望を少しまとめてきましたので、こちらのほうは、同席している山本から説明させてもらいます。

○山本参考人
 お手元の資料、盛土等の規制に関する条例の運用に関する要望ということで、まとめさせていただきました。
 県の盛土条例が令和4年4月1日から施行されて1年経過して、その間、再三の見直し等がされてきているのが今の現状でございます。
 業務上、盛土条例に抵触する相談案件は、結構ございます。その中で、依頼人から、当然仕事を受注するに当たっては見積り、スケジュール表を提示して業務委託を受けるわけですけれども、先ほど稲葉からお話がありましたように、盛土条例も理解をしていただくということが非常に難しい部分があります。
 まず、事務処理期間が非常にかかるということ、事務処理申請の前に地元の説明会をしなければならない。例えば宅地造成事業で、4区画か5区画ぐらいの申請で、地元の土地利用の要綱にかからないような場合であっても、盛土条例に抵触する場合は地元説明会を開催する。これは結構、地元の区にとっては非常に業務が、区長さんも大変です。その中で、細かいこの条例の説明会を開催してくれというのは、通常、要望書を出して会場を設定するのですけれども、なかなか説明会の会場を提供していただく、それに理解が難しい部分がございます。
 そういう中で、事業について、じゃあこの案件はやめたい、保留させていただきたい、こういうお客さんからの話はございます。
 例えば2,000平方メートルぐらいの宅地造成をするに当たって、盛土条例、開発に抵触をする。通常であれば、お客さんは理解ができるのですけれども、盛土条例を提出するということになると、非常に抵抗がございます。結果的にどういうことになるかというと、例えば2,000平方メートルの宅地造成、8区画をやる場合、3つに分けて、盛土条例を避ける形でやれというのが、依頼人の要望になります。最初3区画やって、あとの5区画は塩漬けで、1年、2年、塩漬けにして再度申請をする。開発行為であれば、最小区画50坪とかいう面積になるんですけれども、開発にもかからない。土地利用にかからない。そうするとミニ開発になってしまいます。これが本来の都市計画から考えるとどうなのかなという、非常に疑問を感じてます。
 我々としては、いい宅地分譲を提供したいと、行政もそういう姿勢があるんですけれども、ミニ開発をやられた場合は、行政が介入できない部分がございます。そういう意味で、盛土条例がスタートして、今日まで非常に、我々としては苦労しているのが実情でございます。
 今回要望ということで、一番大きなものは、先ほどお話もありましたように、水質・土壌調査、非常に費用がかかります。分析をする環境調査会社も県内には数が知れております。これを全体的にやるということになると、今回のこの事業を計画するに当たって、依頼を受けてくれるのかというのがまずスタートになります。非常に業務委託が頻繁でございまして、特にダイオキシン関係は県内で調査するよりも県外の、横浜市や神奈川県の業者さんが実際やっているのが実情でございます。
 今度、盛土法がスタートしますが、盛土法と県条例と、リンクしている部分が非常に多いです。盛土条例の中で費用がかかる水質調査と土壌調査については、今度盛土法がスタートするに当たって上乗せ規制がかかるのかなというのを、少し懸念しております。国の法律であれば、お客さんに対して、これは国の法律なのでということで理解はいただけるんですけれども、その後ろのほうに資料として添付させていただいておりますが、国の規制も非常に厳しいものがあります。
 今の条例が、基本的には30センチメートル以上の盛土に抵触をするということなのですけれども、国は1メートルの盛土、2メートルの切土が該当することになります。あとは、土量が該当してくることになるのですけれども、実質的に国の盛土法について、切土盛土の申請案件が非常に今後、多くなるのではないかと想定しております。市街化区域内で3区画ぐらいの造成をするに当たって、1メートル盛土して、1,000平方メートルだと当然該当してきます。通常、開発行為に該当しないような案件であっても、申請を出さなければならない。切土については、2メートルの切土というのは、比較的裏の崖を補修したいということで、一定の立方メートル数に該当してしまうと、盛土法の申請をする。日常茶飯事的にこういう行為はあるのではないかと思います。
 それらを踏まえると、現状で盛土法がスタートしたときに、土壌調査もプラスになってしまうと、非常に静岡県に進出する事業者が足踏みをしてしまうという影響があるのではないかなと思います。
 希望としては、盛土法についてはやむを得ないと考えておりますけれども、上乗せ規制は、もう少し考えていただき、まず水質・土質調査、費用がかかるということと、なかなか理解していただけない部分がありますので、土壌調査のほうについては、盛土法をスタートするに当たっては、非常に考えていただければと思っております。
 あとはその次のページ、対象事業ですけれども、ここに盛土法における静岡県の取扱いの見直しということで書かせていただいたのですが、今の条例の中では、工期の延長、あるいは発生土砂の変更については、変更許可案件になります。工期の延長は日常的にある話なので−−今は条例は許可制ですけれども−−法のほうがスタートしたときにどういう取扱いになるのか分かりませんが、小規模の行為については変更届で処理していただければと考えております。
 あと、補足要望は、土砂の分析費が高騰しているということで書かせていただきました。
 実情的に、再生砕石、例えばコンクリートのがらを破砕して、再生砕石として路盤材に使ったり裏ごめに使ったりするケースはあるんですけれども、一定規模の砕石、再生砕石を保管する場合は許可制度になっております。それと同時に、製品の種類ごと分析するという行為が必要になるのですけれども、一般的にコンクリートのがらの破砕しているところについて、分析表を公開している業者さんってほとんどないです。そうなってくると、そこの再生砕石は不適正な土砂という解釈になる可能性があります。あとはしゅんせつ土、田子の浦港あたりのしゅんせつ土は、海水に触れております。今までは土砂ということで処理されてきたんですけれども、当然海水を含んでいるということであれば、フッ素が含まれており、汚染土という解釈になろうかと思います。
 あと、静岡県の場合は、結構海が隆起して、地形を作っているケースがあります。貝殻とか、そういうものがあるところについては、まずフッ素は100%基準値を超えると思われます。あと戦争中の鉛、鉄砲の弾などが山中に点在しているときには、鉛が検出されます。ただ、こういうものについては、一般的に今まで汚染土という形での取扱いはされてなかったのですけれども、これを汚染土として取り扱うということになると、その処分をどうするのか。処分の方法とすれば、例えば良い土と悪い土と混ぜて、基準値を抑えればそれでいいのか。今までやってきた既成事実というのが、なかなか難しいという、そういう背景がございます。

○稲葉参考人
 最後に1つだけ。
 盛土に対する正しい知識の啓発をお願いしたいということがあります。
というのは、熱海の土石流災害でできた条例ですが、不適切な盛土の公表であったり、違法業者の摘発であったり、そういうことで一定の成果はあったと思います。
 ただ、そればかりがニュースに出ていて、例えば適法に残土処理場を新しくやりたい場合に、説明会を開かなきゃならないが、一般市民のレベルで盛土イコール悪いこと、悪だというイメージが出来上がってしまっている節があります。そうすると、説明会を開いたときに必ず紛糾して、地元の同意が得られない。それによって土地利用の許可が下りない、先に進まないという状況が、実はあります。
 違法盛土は当然悪いことですが、適法に、適正にやられている盛土は安全なのですということも併せてアピールしていただかないと、ちゃんとした盛土、残土処理場というのが今後一切作れなくなっていく可能性があるので、その辺はお願いしたいと思っています。

○杉山(盛)委員長
 ありがとうございました。
 以上で静岡県行政書士会の皆様からの説明は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 委員の方にお願いいたします。質問はまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いします。また、聴取した内容に関連する執行部への質問は、別途の時間を取りますので、ここでは参考人への質問に限らせていただきます。
 それでは、御質問、御意見等ありましたら、御発言願います。

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