本会議会議録


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令和6年12月定例会危機管理くらし環境委員会 質疑・質問
質疑・質問者:藤曲 敬宏 議員
質疑・質問日:12/13/2024
会派名:自民改革会議


○藤曲委員
 分割質問方式で聞かせていただきます。
 まず、危機管理くらし環境委員会説明資料9ページの第154号議案「宅地造成及び特定盛土等規制法施行条例」についてお伺いします。
 静岡県では、令和7年5月から盛土規制法の規制区域を指定して法による規制を開始すると伺っています。
 まず、施行条例では許可を要する規模について引き下げるなど規制の上乗せを行うとのことですが、自治体の条例で定めることができることとしている内容及び県の条例案の方針について伺います。

○岩本盛土対策課長
 自治体の条例で定めることができる内容は、特定盛土等規制区域において許可を要する規模の引下げ、中間検査について規模の引下げと工事の工程の追加、定期報告について規模の引下げ及び報告期間の短縮、報告事項の追加です。
 これらの項目について、本県では上乗せの必要性を検討して、事業者の負担も考慮した上で真に必要なものを条例で規定することにしました。その結果、許可を要する規模の引下げを行い県下一律で同じ規制を行うこと、また定期報告に係る報告事項の追加として盛土等の安全確保のために必要な事項を報告することを規定いたします。

○藤曲委員
 県内で統一した規制をするとのことですが、県の中でも政令指定都市である静岡市や浜松市も同じように施行条例を制定するのか、そして許可を要する規模は同様にするのか、どういった形で引き下げていくのか教えてください。

○岩本盛土対策課長
 両政令市とも施行条例を制定する方針で、現在パブリックコメントを実施しており、条例案の概要が示されているところです。
 また、許可を要する規模の引下げにつきましては県内で統一することが望ましいことから、静岡市及び浜松市と調整を行った結果、両政令市とも県条例案と同様の引下げを行う案になっております。

○藤曲委員
 全国的に盛土規制法が施行されますが、実施時期は県によって違っており、先行でスタートしている県もあればこれから様子を見ながらという県もあると思います。他県の制定状況はどうなっているか、本県のように上乗せを行っている県はどれくらいあるのか、他県と比較した状況を教えてください。

○岩本盛土対策課長
 他県で施行条例を制定しているのは、現在4都県です。この中で広島県、鳥取県、東京都の3都県については既に規制区域を指定し、法規制を開始しています。神奈川県は来年4月の法規制の開始に向けて本年10月に条例を制定しています。
 上乗せの状況ですが、広島県と神奈川県は本県と同様に許可を要する規模の引下げを行っております。また鳥取県は許可の引下げのほかに中間検査と定期報告に係る規模の引下げなども行っており、東京都においては中間検査に係る規模の引下げと工事工程の追加を上乗せしております。

○藤曲委員
 分かりました。
 これから法律が施行されるといろいろな意見が出てくるかと思いますが、他県の状況を見ながら判断していただけたらと思います。

 引き続いて、現在の盛土等の規制に関する条例の施行状況についてお伺いします。
 令和4年からの毎年の許可状況、盛り土110番の申告状況、160か所ある不適切盛土の監視・是正及び行政代執行の状況についてこの3年間の推移を教えてください。

○岩本盛土対策課長
 まず、許可の状況ですが令和4年7月の規制開始から10月末現在までのトータルで申請が251件、年度別では令和4年が63件、令和5年が113件、令和6年が75件となっております。許可は令和4年度の申請に対して33件、令和5年度の申請に対して93件、令和6年度の申請に対して64件、トータルで190件を許可しています。
 次に、盛り土110番ですが受付状況は令和4年が138件、令和5年が104件、今年が10月末現在で57件でトータル299件を受け付けております。
 続きまして、160か所の不適切盛土の監視の状況です。160か所を危険度によりランクづけしていますが、その中で対応の優先度が高いものについては2か月に1回、それ以外の経過観察のものについては3か月に1回の定期パトロールを毎年実施しております。
 この中で是正については、これまでに66件が完了しております。また是正中のものが10件ございます。
 最後に行政代執行の状況は、熱海市については既に終わっておりますが、160か所の中では静岡市葵区杉尾・日向地区、島田市福用の3か所が行政代執行を実施中です。

○藤曲委員
 160か所の不適切盛土については指導して終わっているところもあるのですが、また盛り土110番等で出てきたとのことで、数が上下している状況だとは思います。法律が施行されると、今の160か所の不適切盛土に関して行政指導の取扱いが大きく変わることがあるのでしょうか。
 法律ができても以前の状況のものへは遡及できないのではないですか。160か所の不適切盛土は盛土規制法に変わった瞬間に今までと違う形の行政指導ができる形になるのですか。それとも今までどおりの指導をしていかなければいけないのでしょうか。

○岩本盛土対策課長
 盛土規制法では過去に実施された盛土にも指導ができます。これまでの160か所についても同様に指導を続けていきます。

○藤曲委員
 法律になると当然規制が厳しくなっている部分もあると思います。今までよりも強制力を持ったり、罰金も含めて取扱い方が変わってくるものがこの160か所の中に出てくると考えてよいですか。

○岩本盛土対策課長
 崩れている状況等があればすぐに行政指導を行いますが、それ以外の対応に変わりはないと考えております。

○藤曲委員
 分かりました。
 条例が法律に変わったとしても、引き続き執行状況は見ていただきたいと思います。令和4年度、令和5年度の説明資料には条例に対する施行状況――許可状況や盛り土110番の状況、不適切盛土の監視是正状況の記載がありましたが、残念ながら今年度になってからは出ていないですね。今みたいに聞けば分かるのですが、やはり委員会の場では情報をしっかりと提供する必要があると思います。説明資料としてもきちんと出して、推移が分かるような形で取り扱っていただきたいと思います。
 行政代執行をすると莫大な税金が投入されて、戻ってくる可能性が非常に低いので、行政代執行前にしっかり指導することを議会もチェックしないといけないと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 次の質問に行きます。
 伊豆山地区土石流災害についてお伺いします。
 12月定例会本会議でも5番委員から源頭部の小規模崩落の状況についての質問がありました。それに対して当局から、安全性の確保は問題ないと答弁を頂きましたが、質問の中で住民に対する十分な説明責任を果たしてほしいとの意見がありました。ホームページや回覧板等に情報はあるのですが、やはり地元町内の皆さんには丁寧な説明が必要かと思います。
 そこでお伺いします。
 河川工事の説明会が11月26日、27日、28日と3日間開催されました。地域でも被災者を中心にした説明がその前はあったのですが、11月26日からの説明会は町内の方々だったら参加でき、3か所の町内会の方々への河川工事の説明会が行われました。
 伊豆山地区で説明会が開催されたことは御存じだったのでしょうか。

○岩本盛土対策課長
 開催されることは明確には聞いておりませんが、うわさでは聞いておりました。

○藤曲委員
 11月26日の河川工事の説明会についてはある程度報道でも流れていて、地元に対しての崩落状況の説明が求められていた時期とリンクします。そのような状況であれば、地元土木事務所としっかりと連携を取って、地元の方々への丁寧な対応ができたと思うと大変残念です。
 今年7月4日に鈴木知事が伊豆山地区土石流災害の再発防止の意味も含めた訓示が行われて、他部局や市町と緊密に連携し迅速な情報伝達を行ってほしいと述べられています。
 そういうことがお互いの意識の中にしっかりとあれば、関係機関との情報共有し伝達ができたと思うのですが、知事の訓示が生かされていないことについてどう感じますか。

○光信くらし・環境部理事(水資源担当)
 県では、熱海市伊豆山地区の土石流災害を受けて副知事を筆頭に関係部局長で構成される盛土等対策会議を組織し、課長や担当者レベルでも随時、情報共有会議などを開催して情報の共有を図ってきたところです。また必要な情報については上司に直ちに上げるように努めてまいりました。
 ただ、御指摘がありましたように、十分できていないと県民の皆様から見られているのであれば、その点はしっかり反省しなければいけないと考えております。
 今後もこれまで同様に情報共有を徹底するなど、さらに連携を密にして取り組み、住民の皆様への情報発信についても機会を損なわないようにしっかり取り組んでいきたいと考えております。

○藤曲委員
 土木事務所は交通基盤部で、盛土対策課はくらし・環境部ということで、より緊密に連携しないと今みたいな情報の擦れ違いがあり得ますので、ぜひ幹部の方々がしっかりと情報共有していただく意識を持っていただきたいと思います。特別委員会の提言もありましたが、組織文化を変えていこうという意識を皆さんも持たれたと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
 伊豆山地区土石流災害の現場は今まさに復旧工事をやっています。そこでは地元住民との信頼関係をつくらないといけない。まだ土地交渉が100%全部済んでいないので、なかなか住民と信頼関係をつくるのが難しい状況です。対応が遅れることで感情的な擦れ違いができて復旧が長引いてしまうこともあります。地元住民に対する信頼関係はオール県庁でやっていただかないとできないので、ぜひお願いします。

 では、次の質問に移ります。
 伊豆山地区土石流災害の被災者に対する住宅再建支援について伺います。
 10月の危機管理くらし環境委員会視察で熊本県へ行きました。その際、熊本地震の復旧・復興についての様々な話を聞き、震災遺構も見てきました。
 熊本県では住宅再建支援として地域型復興住宅推進協議会を設置しており、行政、建築設計士、住宅事業者、大工、工務店、林業の関係者などの12団体で協議会をつくったとのことでした。当初は熊本地震対応のためにつくったのですが、その後豪雨対策など全県的に協議会を利用して様々な復興をしているとのことでした。特に自宅の再建や民間住宅を借りたり、公営住宅に入ったり、それぞれの方に合った住宅支援の形をつくってきたとのことで大変参考になりました。
 周知に当たっては、例えばチラシで心配しないでいろいろなことにお答えしますよと前熊本県知事が似顔絵で出るなど様々な形で住宅支援のPRを行っているとのことでした。
 静岡県の場合、今回の熱海市の住宅支援では熱海市が中心となってやっていますが、話を聞けば聞くほど、本来このような協議会が県レベルであったほうがよいと思いました。全県下的に大規模災害、特に地震が起こったときにはすぐ対応することが難しいので、今の時点でこのような協議会をつくっておく必要性があると思うのですが、その点について見解をお聞かせください。

○稲垣住まいづくり課長
 県では建築関係団体とは日頃から顔の見える関係を取っており、災害時に適切かつ円滑に相談対応ができるよう相談業務に関する合意書を12団体で構成する静岡県災害対策士業連絡会と平成30年に締結しております。また災害復興ではないのですが住まいづくり課が事務局を担う静岡県住宅振興協議会と合意書も締結しております。いざというときに対応できるよう引き続き連携を強化していきます。

○藤曲委員
 それぞれの組織がある程度固まっており、あとは連携していざというときに対応できればよいので、今から協定を結び、いざというときは協議会をつくれるよう関係者への呼びかけがあってもよいと思います。熊本県の例をぜひ参考にしていただきたいと思います。

 また、熊本県と熱海市の住宅再建支援の大きな違いの1つが、60歳以上の方が新しく家を建てようと思っても資金がなく今から造って借金ばかり残っても困ることがありますが、熊本県ではリバースモーゲージという高齢者向け住宅ローンを準備して住宅再建を支援したケースを教えていただきました。
 これは建てた人が亡くなったら売却し、1か月に数万円程度の支払いで新しい住宅に住めて、借金を子供たちに残さない再建支援としては非常によい制度だと思うのですが、このような制度は静岡県にはないのでしょうか。

○稲垣住まいづくり課長
 静岡県では用意していないのですが、今6番委員から御紹介のあった熊本県の制度は住宅金融支援機構の災害復興住宅融資の中の高齢者向け返済特例という制度になります。災害で住宅に被害を受けて罹災証明を交付されている満60歳以上の方が利用できる住宅復旧のための建設資金または購入資金であり、月々の返済は利子のみで最後に借入金の元金はお亡くなりになったときに一括して返還するものです。災害が起こった際には静岡県においても使っていきたいと考えております。

○藤曲委員
 そのような仕組みがあるのでしたら、伊豆山地区土石流災害の際に教えていただけたら、戻ってこれる人たちがいたのではと思いました。道路、ライフラインが整い戻ってくるまでにあと1年半以上の時間がありますので、こういった制度が利用できるのなら被災者にも伝えたいので詳しい情報等を教えていただけたらと思います。

 最後に、移住・定住の促進について伺います。説明資料12ページに今年の8月に移住者、移住検討者に対して意識調査を実施したとありました。調査の概要については記載があったのですが、調査によってどのような課題を把握したのか、また現在の事業のどのような部分を見直して強化充実していくべきと考えているのか伺います。

○大石企画政策課長
 今回の意識調査では、移住希望の有無にかかわらず、全国の4万人の方にスクリーニング調査に回答していただきました。
 このうち、直近10年以内に移住を検討した方が約6,000人、その中で本県への移住を検討している方が約500人という結果でした。移住先の候補地として静岡県を考えている人は1割弱という結果でしたので移住を考えているがこれまで本県に目が向いていない方々にさらにアピールしていくことが必要ではないかと課題感を持っております。
 今後の見直しの方向性ですが、これまでは主に豊かな自然環境など本県の暮らしやすさをPRしてまいりましたが、今後はこれまでとは違った形でのアプローチ、例えば本県で体験できることやもの、趣味やプロスポーツ等に関する情報をセミナーのテーマとして発信することで、移住に関心のある層を積極的に取り込むことを検討していきます。

○藤曲委員
 本県は東京圏、中京圏からの移住者が多いとの調査結果があります。決算特別委員会のときに移住就業支援金に1億円以上の不用残が発生しており、ニーズと支援策が合っているのかと意見しました。
 中京圏に対しては移住に対する直接の支援はないのですが、国の事業であり、不用額が出ていることを考えると県単の予算も検討することも考えられますが、中京圏からの移住を推進させるためにどのような支援を考えているのかお伺いします。

○大石企画政策課長
 今回の調査結果では本県に移住する前の居住地は東京圏が6割程度、その次に中京圏が15.4%との回答がございました。
 移住支援金制度については、国庫補助事業であるためこれまで本県では国の制度に沿った形で実施をしています。
 中京圏向けの取組ですが、昨年度、今年度と名古屋市内で開催されるフェアに西部地域の市町とともに参加しているところです。これに加え、これまで主に首都圏をターゲットに実施してきたセミナーなどのイベントの告知を今年度は県と西部地域の市町が主催する移住セミナーの周知先として、中京圏に向けたターゲティング広告を実施して情報発信の強化をしています。

○藤曲委員
 分かりました。
 最後に要望します。最新の民間リサーチで、移住希望先の第1位が今まで静岡県だと言われていたのですが、ある民間会社のリサーチでは長野県が1番、沖縄県が2番、3番目が静岡県とありました。長野県が選ばれる理由は支援策が充実しているからで、沖縄県と静岡県は環境がよく温暖な気候だからとのことでした。支援金があればよいというわけではないと思いますが、移住の選択先の1つとして検討されていることも事実だと思いますので、ぜひ中京圏からの、特に県西部地域に対する移住の推進も検討していただきたいと思います。

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