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委員会会議録

委員会補足文書

開催別議員別委員会別検索用


令和5年10月地域公共交通対策特別委員会
特定非営利活動法人全国移動サービスネットワーク 副理事長 河崎民子氏 【 意見陳述 】 発言日: 10/10/2023 会派名:


○河崎参考人
 皆様おはようございます。全国移動ネットの河崎と申します。
 全国移動ネットの事務所は、東京都世田谷区にありますけれども、私は非常勤で、ふだんは神奈川県の中央林間を御存じでしょうか。そのあたりに住んでおりまして、今日もそちらから参りました。
 地域公共交通の現状と課題などについて説明せよというお話をいただいておりまして、必ずしも私が適任かどうか分かりませんけれども、分かる範囲でお話をしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 最初のスライドですが、左側のガーデン号と書いてあるのは、今、乗合オンデマンド予約型というタクシーが大変注目されているところですけれども、その中でもAIを活用した、アイシン精機のチョイソコというシステムで動かしているガーデン号の写真です。また、真ん中の買物支援と書いてある写真は、特別養護老人ホームの空いている時間の車を使って、住民の方々が地域で買物に困っている方々を乗せて、互助型で買物支援をやっているものです。一番右側は、これは石川県輪島市で撮影したんですけれども、ゴルフ場の電動カートを改良したもので、今、GXといいますか、脱炭素が求められている中で、低速であって乗り合うというところでは、グリーンスローモビリティと言われていますけれども、高齢者の乗り物として、今後大変注目されているものです。
 次のスライドは、全国移動サービスとは何ぞやというところが書いてありますので、後ほどお読みください。
 そして、私のプロフィールも書いております。一番下にある国土交通省のラストワンマイル、ファーストワンマイルと言う方もあるんですけども、幹線の鉄道、それから枝のバス、その先というところで、タクシーや自家用有償運送、あるいは互助型の移動手段について、ラストワンマイル・モビリティ/自動車DX――デジタルトランスフォーメーション・GX――脱炭素のグリーントランスフォーメーションに関する検討会というのが、この2月から6月にかけて開催されて、そこの委員もしておりましたので、その辺りを中心にお話をしようと思っています。
 今日お話しする内容としては、ここに書いているとおりで、順にお話をしていこうと思っています。
 まず、国交省のラストワンマイル・モビリティ検討会というところで、何を課題としたかといいますと、皆様も御存じのように、過疎化ということで、地方部で特に深刻化する高齢化が大変課題になったところです。
 ここで少し、道路運送法上の位置づけについて、説明させていただきます。
 道路交通法は私たちになじみが深いものですけれども、道路運送法は主にバスやタクシーなどを管理する法律で、昭和26年にできた古い古い法律です。
 皆様方よく御存じのように、許可という仕組みがまずあって、その許可の仕組みの中に一般乗合許可と乗用許可の2通りがある。乗合のほうはバス型で、乗客1人1人から運賃がもらえる。それから、乗用のほうはタクシー型で、距離制だったり、時間制だったり、1人1人からは運賃が頂けない。
 先ほどから申しているデマンド予約型乗合タクシーをやるためには、タクシー側が乗合許可を取らなければいけないことになり、タクシーと名前はついているけれども、乗合でやるか、普通のタクシーかは許可の仕組みが違い、タクシー側に言わせると、こんな分厚い書類を作らないと取れない。
 それで長い間、この2つの許可しかなかったんですけれども、皆様方も御存じのように、社会福祉協議会や普通の団体が24時間テレビから車椅子のまま乗れるような車の寄贈を受けたり、あるいは日本財団の車もよく見かけるところですけれども、車椅子の方が外出しやすい環境をということで、1980〜1990年ぐらいから白いナンバーのまま、そういう人を乗せて運ぶ活動が現れてきて、長い間白タク扱いにされていたんですけれども、その状況をもう無視できなくなって、2006年に登録という仕組みができました。
 これは、自家用有償旅客運送と呼ばれています。許可を受けている事業所の車は緑のナンバーを付けていて、運転手は二種免許。自家用自動車というのは、法律用語では、緑のナンバーを付けていない。すなわち白いナンバーの車のことを総称して自家用自動車と言います。その白ナンバーが、お金をもらって、人を運んでいいよという仕組みがようやく、十六、七年前にできたわけです。この中には、交通空白地有償運送と福祉有償運送と2通りあります。
 まず、このあたりの説明をしてまいりますが、ラストワンマイル・モビリティ検討会では、許可制のデマンド乗合タクシーと一般タクシー、登録制の交通空白地有償運送と福祉有償運送に関して、主に改善策の議論をしたということです。
 改善策というのは、皆様方、検索をしていただくといろいろ出てきますので、それを参考にしていただきたいと思うところです。
 まず、タクシーの現状というところでは、輸送人員、収入、それから実働車両数などが大体ずっと下り坂だったんですけれども、コロナを機会にがっと減って、いまだに回復していないというところがあります。
 そして、タクシーの運転者数と平均年齢というところでも、乗務員自体がすごく減っているということと、緑色の線が一般の業種の平均年齢40歳くらいですけれども、タクシーの平均年齢はこの赤いところで60歳を過ぎているというところ。それから二種免許を保有している者の数もぐっと減少していて、もともと今、若い人が免許を取らないという現状もあって、今、国土交通省で二種免許を取るための補助金をタクシー側に出していたりする現状があります。
 先ほどから言っている、乗合タクシー、デマンドというところでは、もともと路線バスがあり、コミュニティバスがあったところが、本当にバスが空気を運んでいるような状態になって、そこをもう少し効率化するということで、乗合型オンデマンドが導入されるところが多くて、先ほども言いましたように、テスト運行のときはいいけれども、タクシー側が委託を受けるときは、乗合の許可も取らなければいけないというところでは、静岡県内でもこの乗合タクシーに切り替えるところが結構増えています。
 また、長泉町などはそういう形に切り替えたけれども、あまりうまくいかなくて、今はタクシーに個人的に乗ってもらって、マイナンバーカードをかざせば、運賃が半額になるという方向に切り替えていった。
 乗合型のタクシーが全てを解決してくれるわけでもないというところは、なかなか悩ましいところで、乗り合うということで、ある意味、タクシー1台分の経費よりも、利用者から頂くものが大きいというところを狙ってはいるんですけれども、全国的にその乗り合う率が1.2人くらいの状況が続いていて、ここがあまりうまくいっていないのが、悩ましいところです。
 それから、最初のスライドで御紹介したAIを活用したものというところでは、都市型で運行している「mobi」というアプリが結構注目されているということと、あと「チョイソコ」というアイシン精機が作った、これも本当に賢いです。私も視察をさせてもらったんですけれども、そのシステムを使う費用が大体年間300万円ぐらい。システムのほかに、車、それから運転手、報酬を用意しなければいけない。私が話を聞かせていただいた業者は、2台のワゴン型でチョイソコのシステムを使っているんですけれども、全部をチョイソコに丸投げしないで、日々の電話などは、自分のところのタクシーの運行管理をやる人がやっているので、月々18万7000円かかっていると言っていました。そこは電話でも受けているんですけれども、チョイソコのシステムの利用者は、全部登録番号がついています。本当にできるだけ自宅近くまで迎えに行くというシステムでやっているところで、この番号の人はどこから乗って、どこで降りるという情報が登録されているので、自分の番号を言ってもらって、パッとシステムをつなぐと、電話を受けている間に、2台のキャラバン型ワゴンのどちらが行けるかを、オーケーとかオーケーでないというのがパッと出てくる。今まで予約した人の時間と場所をAIが瞬時に判断して、行ける行けないというのが、電話を受けている間にパッと画面に出てくるので、この時間帯は行けないけれども、次のこちらだったら行けますよというのを瞬時に電話でも受け答えができるという、これはすごい賢いです。2台のどちらが行けるかを瞬時に計算してくれる。
 ただ、この時間に出発する乗合タクシーが、誰と誰と誰のところに行くというところまではできるけれども、ルートはやはりタクシーの運転手が自分で考えて走らなければいけないので、そこまでシステムでできると、ほぼ自動運転のシステムみたいになるかと思います。そういう形で、これはいよいよ期待できるけれども、ただシステムだけで年間300万円というところは、ちょっと高いかな。現在、チョイソコを使っているのが53地域ということなので、これがもっともっと多くなると安くなるのかもしれないと思っています。
 先ほど説明した自家用有償旅客運送に関しては、全国で今は交通空白地は市町村が運営する主体になることが多いですけれども、全国で670あり、福祉有償運送は、今、全国で2,500ぐらいあるというところです。左側が交通空白地で、右が福祉有償運送、緑が市町村が運営しているところです。福祉有償運送は、圧倒的に社会福祉法人とかNPOが主体になってやっている。
 これは、毎年、国土交通省旅客課から頂いている、どのくらいの団体が自家用有償旅客運送をやっているかという表で、静岡県では交通空白地がこのくらいで、福祉有償運送がこのぐらいの状況になっていて、近隣県と比べて福祉有償運送はもう少し増えていいかなというところです。
 次のスライドが、交通空白地有償運送と福祉有償運送について説明をしています。許可の仕組みのように、書類が整えば直接静岡運輸局に行けるというわけではなくて、前段として地域公共交通会議や運営協議会で協議が整わないと運輸局には行けないという仕組みになっています。
 今、静岡県内では地域公共交通会議で既に運営協議会を代替しているところもあるかもしれませんが、先日の地活化法の改正によって、運営協議会は全て地域公共交通会議に統合されることになりました。交通事業者が集まっている地域公共交通会議で、福祉に関してどの程度理解がある事業者さんがいるかどうか分からないですけれども、そう決まりました。
 運送の主体はここに書いてあるとおりで、運送の対価はタクシーの上限運賃の2分の1程度ということが結構課題になっていたんですけれども、ラストワンマイル検討会で、その2分の1という目安は廃止されることになりました。どんな目安をつくるかは、後でお話をします。
 交通空白地有償運送は、地域住民全体と観光客も対象にできるのですけれども、福祉有償運送は、ここに赤で書いてあるように、障害者手帳を持っている人、あるいは要支援・要介護認定を受けている人が中心になっています。交通空白地有償運送は、タクシー側がなかなか交通空白地有償運送やりましょうとならないところがあることと、福祉有償運送では、一般の高齢者は対象にできないという狭間で、後からお話します互助型でやる買物支援などに関しては、許可も登録も不要な形態という、これは通達で運用されているのですけれども、それで行うことが多くなっています。
 運転者としては、二種免許を持っていない場合は普通免許プラス国土交通大臣が認定する実施機関で研修を受ければよいことになっています。
 次のスライドです。ラストワンマイル・モビリティというところでは、国土交通省は、タクシーに関しては、身近で安全なラストワンマイルというところで役割を果たしていくために環境整備が必要ではないか。乗合タクシーに関しては、ニーズに対して十分に応えていくための環境整備。自家用有償旅客運送に関しても、かなり運営が厳しくて撤退するという団体も多いので、持続可能性を高めていく、というところを課題にいたしました。
 次のスライドの検討の理念は飛ばします。
 基本的な考え方も後でお読みください。
 5月に出た改善策ですけれども、タクシーに関して、あるいは乗合タクシーに関して、また自家用有償旅客運送に関してというところで出ています。
 次のスライドで、タクシーに関しては、営業所ごとの法人タクシー車両の最低車両台数というところが、今まではこのポンチ絵に書いてあるような状況だったんですけれども、そこを緩和をしますよということ。あるいは休憩場所を設けなければいけなかったけれども、それを駅や公共施設なども活用できるようにしたということ。次のスライドですけれども、個人タクシー事業も、地域にUターンした場合はもっと活用できるようにしようとか、あらゆる緩和をし、特に交通空白や過疎的な地域においては、この施策6のタクシーと乗合タクシーの事業用車両が別々でなければいけないということがあります。この間、沼津市の戸田辺りに行ったときに、ここのタクシーが乗合タクシーをやる日には、普通のタクシーが使えないんだという話があって、そのあたりも緩和されるのではないかと思います。
 この施策7の乗合タクシー事業における自家用車の活用。白ナンバーということで、私は結構タクシーに乗るんですけれども、今タクシーって一番来てほしいときに来てくれない。雨の日の朝など、一番タクシーが必要なときにタクシーに乗れないという状況があって、需要が膨らんだときには、白ナンバーの車、主婦の人とかアルバイトの男性などに広げられれば、ニーズに応えられるっていうことがあります。
皆さん方、ライドシェアって御存じですか。UberEatsの親会社のUberなどがやっています。今、中国からの観光客がかなりUberを使っているみたいですが、タクシー事業者にとってみると明らかに白タクですよね。許可登録不要の自発的なお礼というところでやっているんですけれども、実は、自発的なお礼が少ない利用者に対しては、次にアプリで呼んだときには誰も行かないとか、あるいは謝金を打ち込んだら動けるみたいな、そういう任意の謝金という許可登録料を活用というか、悪用というか。そこに今、タクシー事業者は、本当に白ナンバーという自家用自動車でやるということに関して、物すごくピリピリしています。けれども、利用者のニーズが非常に膨らんだときにニーズに応えていくというところでは、ある意味過疎的なところでかつ乗合タクシーというところで、白ナンバーを使えるようになったというのは、まず国交省としては突破口で、内閣府あたりからは、もうやんやと責められているのです。要するに、アプリなどを使った運行なので、アプリ業界からも、それから外国あたりからも、もう少し白ナンバーを使って運行できるようにしろという、政府からの圧力があるのですけれども、ここでようやく一歩進んだと。これが吉と出るか凶と出るかは分からない。
 自家用有償に関しても、事業者協力型で、運行のところはタクシー事業者がやって、実際の運転などは住民がやるという、ここを国は進めたがっていることがある。それから、少し注目できるのは、交通空白地有償運送という、交通空白の定義がなかなか難しくて、静岡県内にも交通空白地有償運送ができればいいところがたくさんあると思うのですが、なかなか導入できないという現状を、国としては目安を示すと言っているのです。半径1キロメートル以内にバス停や駅がないところであって、かつタクシーを呼んでも大体30分以上待たされるところは交通空白地として認めていこうじゃないかという指針を今回出すというところです。これは静岡運輸局が、静岡県内としてはこういうふうにしますという指針を出す予定になっています。これが基本になるというところです。
 ただ、半径1キロというと、高齢者はなかなか歩けないというのは、問題としてあります。
 それから、先ほど申しましたけれども、福祉有償運送、それから交通空白地もそうですけれども、タクシーの上限運賃の2分の1という目安が撤廃されて、タクシーの固有の適正利潤と固有経費を除いたものは、実費として認めていいのではないかというふうになります。
 あと更新登録の手続がすごく面倒ですけども、このあたりも簡素化をすると言っています。
 この7月に出た改善策は、DX・GXに関するものなので、今日は時間の関係で省略します。関心がある方は後でお読みください。
 DXに関しては、今後の方向性として、キャッシュレス化、あるいはタクシーの配車アプリ。今、普通のタクシーを呼ぶのも、タクシーGOというようなアプリを使っている方も増えています。またAIオンデマンド、先ほどチョイソコの説明をいたしました。それから、バスロケーションシステムなどもあると。私もバスを使うけれども、ちょっと遅れてるね、このバス今どこ走ってるんだろう、もうかなり待たなければいけない、だったら歩くんだけど、その判断が難しいっていう、そういうものも導入していこうという方向性になっています。
 あと、グリーンスローモビリティの活用だったり、あるいは自動運転なども、これからかなりのお金をかけて実証実験をやっていく。自動運転に関しては、個人の車というところもありますが、国としては、まず公共交通の部分から優先的に補助をしていこうという方向性になっています。
 将来的には、1人が複数のタクシーやバスを管理できるようにして、みんな自動で動くというイメージで考えているようです。
 ここからは互助活動に関してお話をしていきます。
 生活に不可欠な外出に困る高齢者が増える。その理由の1つとして人口減少、それから過疎化、それからもう1つ核家族化というところが大変大きいです。左側の円グラフは、先々月、厚生労働省が国民生活基礎調査の結果を発表して、その数字で私が作った円グラフです。
 右側は、もともとあった経年変化ですけれども、紺色のところは65歳以上でひとり暮らし、それから65歳以上夫婦のみの世帯がそれぞれ全国で32%ぐらい。もちろん同じ敷地内に住んでいる、あるいは上下で住んでいるけれども世帯は別という方もいるので、実態を正しく表しているかどうか分からないですけれども、今回びっくりしたのは、グラフの水色の、親と未婚の子のみの世帯が20%もある。もう今、若い人は結婚しない人が増えていて、ずっと家にいて、昼間は働いてる、閉じこもっているというのも中にはあったりして、ここがかなり大きいです。この経年変化を見ていただいても、三世代同居が急速に細っているのが全国的な傾向です。
 次のスライドですが、駅やバス停はあるけれども遠くて歩けない。右が国土交通省の調査ですが、続けて無理なく歩ける距離100メートルまでというのが75歳以上だと17%いて、300メートルまでというのと合わせると、大体27%ぐらいが遠くて歩けないというところがあります。
 それから次のスライドは、80代、90代高齢者が引き起こす死亡事故。免許返納の問題があって、免許を手放さない大きな理由は、買物のためというのが多いです。
また、これは農水省の資料ですけれども、農水省は食料品アクセス困難ということを大変問題にしています。左の上に凡例があって、緑のところは店舗がたくさんあるところで色が濃くなる。赤に近づくにつれて、例えば、赤だったら75歳以上の50%以上が食料品アクセス困難。定義は右の上に書いてあります。農水省は何を問題としてるかというと、店舗までの距離が遠くなることによる転倒や事故のリスク、それから低栄養化。買物に行きにくいので、ついついあるもので済ますという食品摂取の多様性が低下することによる低栄養化及びこれによる医療費・介護費増加。
次のスライドは、介護費というところで注目しますと、西暦2000年に介護保険制度ができて、その後高齢者はずっと増え続けて、当然、要介護になる人も増え続けて、介護に係るお金が一番左側と比べ急速に伸びて、今3倍になっている。
 介護保険の財源は、左側の円グラフ、半分が国・県・市の税金、それから半分のまたその半分が第1号――65歳以上高齢者の毎月納める保険料。給付費が3倍になったので、一番右下のところですけれども、65歳以上1人が払う平均月額、基準月額が3,000円弱だったのが、この23年の間に、2023年ではもう倍になっているという状況です。これは、毎月、夫婦だったらこの2倍の額が2カ月たまって、年金から差し引かれるところで、やはりこれから年金が上がる可能性がないところで、どんどん上がる可能性が高いので、高齢者にとっても非常にきついというのがあります。
 それで、左下の要介護者への給付という、要介護になると要介護1から5まである。中には入所する人もある。その方への給付、それに係る給付費が1人当たり年平均200万円弱。5人ぐらい増えると、もう1000万円です。あわせて、介護人材が今大変厳しい状況になっているというところでは、介護にならない介護予防の取組が、市町村の財政のためにも、あるいは高齢者自身のウェルビーイングのためにも、今大変重要な課題になっている。
 例えば、千葉県の松戸市あたりは、介護にならないために、もう閉じ籠もらずにどんどん出かけてもらおうということで、この1人200万円弱かかるということをてんびんにかけて、先ほど御紹介したグリーンスローモビリティを3台買って地域に分け与えて、皆さん方で運転して乗り合って、どんどん出かけてくださいという形を市全体で考えました。どういうふうにお金を使うかというところの問題ですけれども。
 これは、内閣府の高齢社会白書ですが、介護が必要となった主な原因は、認知症が一番多い。その下に男女があって、男性は脳血管疾患が一番多いのですが、女性は認知症が一番多い。
 次のスライドは、日本老年学的評価研究機構の調査ですけれども、右側、社会との多様なつながりがある人で認知症発症リスクは半減。これは全国の市町村が持っている10年間のデータを分析解析した結果で、運動したほうがいいとか、最近薬も出たみたいですが、多様なつながりとはどんなものかというと、家族内のつながりとか友達とか、地域のグループというところでは、やはり外出するということがすごく大事で、外出をするとなると多少のストレスがある。身なりも整え、女性だったら化粧もするという、そこのあたりが、やはり家の中でぼうっとしているよりも、出かけるというところが効果があるみたいです。
 次のスライドは、厚生労働省の方針です。地域包括ケアシステムということで、支え合う地域をつくっていきましょうというもの。もう全て介護保険で賄うのは限界ですというところで、高齢者の社会参加をすごく大事にしていて、高齢者の方々は現役時代の経験などを生かして、就労するもよし、趣味の活動に専念するもよし、できるだけ生きがいとやりがいを持って生活をしてください。その中で、ボランティアができる方は、生活支援の担い手として社会参加をし、サロンを運営したり、あるいは見守りだったり、外出支援だったり、家事支援だったりして、そういう社会を、都道府県や市町村がバックアップしていく。こういう地域社会をつくりましょうというもの。ある意味これができないと、もう日本は持たないという感じのところがあります。
 そういう国の方針もあり、また住民たちのやる気もあって、いろいろな取組が進んでいるんですけれども、最近、本当に四、五年ですか。急激に互助型で、高齢者の方々の買物支援などをやるところが増えてきた。その要因が3つぐらいあると分析しています。
 1つは、2015年に介護保険制度が一部改正されて、専門職としての生活支援コーディネーター、支え合い推進員、SCなどと言われていますが、そういう人たちが第1層、あるいは第2層、中学校圏域に配置された。この人たちが中心になって、市町村レベルと地域レベルで、第1層、第2層の協議体、自治会であったり、社協だったり、あるいは民生委員だったりで構成されている協議体ですけれども、そこが、地域の高齢者の困り事などに、何とかして解決の道筋を立てようという、そういう協議が行われるようになった。ここが1つ。
 それから、2016年に社会福祉法が改正されて、社会福祉法人。社会福祉法人は全国に2万くらいあって、特養をやっていたり、デイサービスだったり、知的障害者の施設だったり、保育園だったりをやっているんですけれども、そこが、今、普通の企業ももう社会貢献する時代に、社会福祉法人は、ほとんどが税金や介護保険などのサービスをやっているわけなので、公益性が高い社会福祉法人として、もっと改革をしてくださいということで、こういう骨子が出ました。その中の1つに、地域における公益的な取組を実施する責務。義務ほど強くないのですが責務。具体的には、日常生活で支援を要する者に対して、無料または低額の料金で福祉サービスをする。本来、デイとかやっているが、それとは別に公益的な取組をしなさいよ。これで、デイサービスの車が10時から3時ぐらいまで空いているから使っていいよという形で、車を確保しやすくなったというのがあります。
 それから、自治体や地方厚生局によって、移動支援活動が立ち上げやすいような環境整備。本当に一番有名なのは静岡県ですけれども、アドバイザー派遣とか、相談窓口、あるいは先ほど福祉有償運送あたりで、二種免許を持っていなければ一種プラス大臣認定講習。こういったものを、本来、互助型の活動は大臣認定講習とかは義務付けられていないんですけれども、福祉有償運送などと同じドライバーの研修を受けたほうが、利用者の安全安心には貢献するということで、これを無料で受けられるように整備をしてくれたりということがあって、静岡県は、全国で最も注目されています。免許返納という問題を契機に、交通事業者も集めて、今後、免許返納してもらう、そのために、地域で何をしていくかという会議をやった後、2019年はモデル3市で、それ以降は手挙げをする、希望する市町村にアドバイザーを派遣したり、相談に乗ったりということをやっています。それで、今、静岡県内75の地域で互助型の活動が行われている。
 次のスライドですが、互助型で買物などを支援してみたらどうだったか。住民が関わることによる効果、成果として、神奈川県秦野市の栃窪というところが一番分かりやすいので、御紹介します。
 まず、経過としては、一番最初に買物に行けなくて困っている高齢者がいるから、秦野市に何とかしろと自治会連合会から要望が来た。秦野市は、以前、この地域に移動販売車を導入したことがあるのですが、経年変化で、皆さんの購買力が減ってきたのでやっていけないということで事業者が撤退をした経験があったので、買物に行ってもらいましょうということを考えた。それで、全戸にアンケートしたら、この栃窪という地域、100世帯くらいですけれども、高齢化率が50%以上になっていて、11人の人がそういうのがあったらすぐにでも乗りたいと回答した。秦野市は、以前からドライバー養成研修を無料で受けられるようにしていて、その人たちが運転手になって、買物支援を週1回やったところ、3カ月たったところで、地域のボランティアにアンケートをしたら、わずか3カ月だったのですが、地域のコミュニケーションが活発化した。車の中で悩みを話す人、ひとり暮らしの人など、ストレスが解消され安心感が生まれた。ひとり暮らしの高齢者をみんなで見守ろうという意識が、栃窪自治会の中で生まれた。あるいは、あいつら運転やっているよねと、ボランティアが特別なことではないという雰囲気が地域で生まれて、別途、山林の下草刈りとか、自治会で空き家になった家の草抜きをするような里山クラブも生まれたというところで、厚労省は、外出支援が地域づくりにつながるというところに、今、とても注目しています。
 取組事例としては、大きく分けると2つある。1つは乗り合って、もう1つは個別にというところです。
 乗り合って行くというところでは、法人、あるいは今、法人以外の方も車を提供してくださったりしているので、乗り合って、順に拾って、買物に行って、また順に送る。あるいは地域の居場所、サロン、今、この通いの場のきちんとしたバランスの取れた食事がとれるとか、それからいろいろな方と交流できるというところでは、そのサロン、居場所も大変重要な役割をしているんですけれども、そこに乗り合っていく。そういう乗り合って、法人と連携してやるタイプ。あと、個別に、今、高齢者の困り事としては、電球の取り替えとか、ごみ出しとか、庭の草抜きとか、いろいろなものがあって、その一環、メニューの一つで、車に乗って病院に付き添うとか、買物に付き添うというもの。このタイプは許可登録不要の中でも、利用者から料金をもらっていい。登録不要だけれども、運賃ではなく、生活支援としてやるので、ある意味、利用者から料金をもらえる唯一の互助活動となっています。
 先ほどの道路運送法の枠外の許可登録不要というところが、どのようになっているかという説明をします。
 自家用有償旅客運送が道路運送法に位置づけられたと同時に、許可も登録も要らないというのは、こういう形態ですよという通達が出ています。
 ガソリン代実費ならいいよとか、いろいろあるんですよね。このようなピンクの表紙の解説書も作られていて、日常の買物や自宅と病院の間の移動など、許可登録を要しない輸送という形で、高齢者等を輸送することができますよと書いてある。これは検索していただくと出てきます。
 例えば、今、御殿場市は、買物支援が4地域で、それからサロン送迎が2カ所、これから生活支援と一体型を東山という地域で始まることになっていて、かなり本当に頑張っています。御殿場市の北久原という地域で、買物支援。これは社会福祉法人十字の園という特養が車を提供してくれていて、ボランティアさんたちが運転をして、週1回動かしている。コロナの真っ最中に本格運行になって、コロナの間もずっとコロナ対策を取りながらやったというところです。
さらに次、熱海市でも面白いこと考えたんですよね。熱海市は、海に向かってみんな坂というところで、その坂の上のほうにある中野という地域で、サロンをずっとやっていて、そこには皆さん歩いてきていたんですが、買物がすごい大変。海側が商店街だったり、町なかで買物をするとずっと1キロぐらい上り坂というところです。そこで社協が一計を案じて、この中野でやっているサロンを、ぐぐっと海のほうに、多賀文庫という貸室があるんですけれども、そこにサロンの会場を移して皆さんをボランティアさんが運ぶと。ここでサロンをやると、周辺にJAだったり、あるいはスーパーだったり、銀行だったりというのがあるので、皆さんサロンの合間に用が足せるという、こういう形をやっていたりします。
 次のスライドは、買物やサロン送迎の場合に、利用者から何を収受できるかというもの。それから市町村が団体に補助できる補助金など、それから団体がボランティアにどういうものを供与できるか、補助金なども一旦団体に入ったならば、運転行為に対しても分けていいよという通達になっています。
 利用者から収受できるものというところは、今まで長い間、保険料はもらえないことになっていたんですが、実は、ラストワンマイル・モビリティ検討会の後、非公開で、許可登録不要の通達を見直すという勉強会と称したのが5回開かれて、今の社会情勢を見据えて、互助型の活動がかなりやりやすいような通達、改正案になっています。まだ公開されていなくて、11月にパブリックコメントがあって、12月施行予定です。そこの中で、利用者から、外付けでつける損保ジャパンとか東京海上日動、そういう保険料はもらっていいとなる予定です。
 それから、これは自治会費で丸ごとやっているというパサディナという函南町の別荘地に住み着いた方々。ここもずっと函南町に要望してきたのですが、コミュニティバスを回してもらえるのは無理ということで、もう自治会で丸ごとお金を出して、車をリースしてやっているのです。この右上の写真は、地域に出入りしてる電気屋さんも運転を手伝ってくれているというところです。ここは運転はボランティアでやっているのですが、乗る人も乗らない人も同じ会費を払っている。そういうところで運行する分には、運転者に対して自治会費から謝礼を払ってもいいよというふうになります。
 先ほど言った新たな通達の改正案では、これってやはり自治会員にとっては、ある意味公平ではないです。利用する人たちだけが得している。だからその車両の購入費とか維持費とか、そういうもので会費に差をつけてもいいよというふうに、今度、パブリックコメントで何も問題がなければなる予定です。
それから、ごみ出し、電球の取り替え、庭の掃除などと一緒にやるというタイプ。これは島田市でも2団体やっています。次の奈良県の事例がとても分かりやすいので貼り付けていますが、包丁研ぎとか、エアコンのフィルターの取り替え、庭の草抜き、それから車で付き添う。そういうことも全部同じ料金になっています。実際、大体生活支援と一体的にやると、病院に行くとか、買物に行くという案件が一番多くなる、外出支援に偏る傾向があるけれども、それでも構わないというところです。
 次のスライドですが、右側に現在の通達内容が書いてあります。子供の預かりや家事・身辺援助の提供が中心となるサービスを提供するものであって、運送に対する固有の対価の負担を求めない場合。ここは、ほかの電球の取り替えなどと同じ料金体系でなければいけないというので、ガソリン代は今までもらえなかったのですが、今度の通達の改正で、ガソリン代実費をもらってもいいよというふうになる予定です。このあたりは、大体みんな30分ごとに400円とか、車を使う場合は、その乗車している時間もカウントしていいという判断が出ていて、ここがある意味で高齢者のニーズにもすごく合っているということで、こういう事例がこれから増えていくと思っています。
 それから、補助金に関してですが、介護予防・日常生活支援総合事業という、介護保険の中でお金が出せるという仕組みがあって、訪問型サービスBというのは、家事支援、生活支援型の補助金。それからDというのは移動支援と書いてあるんですが、次のスライドですけれども、Dだと送迎前後の付き添い支援という定義なので、ガソリン代とか車に関する補助金はつけられないですけれども、なんと不思議なことに、生活支援と一体的にやる場合は、車に関する補助金も全部つけられる。もちろん市町村がどういう補助金にするかというのは決めるわけですけれども。
 今、私が課題と思っているのは、静岡県は、75以上の地域で互助型が行われてるんですけれども、補助金を創設してる市町が少ないんですね。やはり、やろうって立ち上げた人たちは、物すごく意識が高くて、もう無償でいいよという感じでやっているんだけれども、何年かするとその人たちが皆さん高齢者なので、ちょっと無理になってきたときにバトンタッチする人がいない。だから、やはりそんな多くなくてもいいんですが、励みになるくらいの補助をつけていくというのも大事かと。今、介護保険事業計画が8期なんですけど、来年4月から第9期が始まるので、今、市町村は9期計画を立てている真っ最中なんですね。そこの中で、どうしていくかというところは、これから重要になっていくかと思います。実は総合事業でやると、対象者が要支援1などに限られたりというところがあって、それに関しては、保健者機能強化推進交付金という、以前はインセンティブ交付金と悪名高かったんですが、今は何にでも使えるということで大変重宝していて、島田市ではこれを保健福祉事業に充てて、高齢者全体に対象者を広げている。補助金の性格、ここのあたりも1つポイントではないかと思います。
 もう時間が来ているので、簡単にリスクマネジメントのところ。先ほども言いましたように、運転する人たちも何らかの安全運転の講習を受けてやるということが大事ということと、あと利用申込書。互助型でやっているという趣旨を、利用する人に分かってもらって、事故があったときは、契約している保険の範囲内で補償します。合意いただけるのだったら利用してくださいといった形で、利用する人の申込書も、事故の際の補償について了解しましたということで、本人と家族に署名をしていただく。あと自動車保険に関しては、人を乗せるとき特別な保険は必要ありません。これは実際の保険証券ですけれども、対人は、他人を死傷させる。対物は、他人の財物を損壊させる。つまり、他人のほうに厚くできてるんです。人身傷害というところで、初めて自分と家族が出てくる。そういう意味では、マイカーの保険を十分使ってもらっていいということと、あと、自分の保険、あるいは法人さんの保険を汚したくないというときに、その日だけ掛ける保険というのが2社から発売されている。これは、今コンビニで売っている1日自動車保険とは違って、団体さんがボランティアをする人の車にかけるという形になっています。そのほかに、車から降りた後も補償したいというときは、全国社会福祉協議会が、様々なボランティア保険とか、送迎サービス補償とか行事保険とか、これと併用するようにお勧めをしているというところです。
 終わりにというところで、いろいろ書いておりますので、また皆様方で参考にしてください。
 全ての高齢者を公的な資金で救っていくという考えは、ほとんど無理だと思うのです。
それで、免許返納とも相まって、高齢者が自分が持っている車を手放すと、1日にどのくらいお金が浮くかというところをもう少し意識をしてもらいたい。
 私、実は長い間家計簿をつけているんですよ、エクセルで。それで10年ごとに車を買い換えることにしてるんですけれども、車の購入費から、いろいろな税金とか、自動車保険とか、この10年間の部分を全部足して、それで月額を出してみたら、なんと私の場合は月々4万2000円も使っています。
 だから私は、タクシーが本当にいつでも来てくれるのだったら、車を手放してタクシーを使ったほうが、多分もういいんだろうなと思っているのですが、タクシーは必ずしも来てくれないというところがあるので手放せないというのがある。だから、これから高齢者の人は、車を持っているということがどのくらい自己負担になっているかということも含めて、公共交通を使う、あるいは互助型のものを使うというふうに意識を転換していただくことも大事かなと思っています。
 本当に過疎的な地域というところでは、何らかの公的支援を入れていかないと、やはり公共交通がなくなるということ自体がもう、その町の存続に関わるので、ここは本当に何とかしたい。私も国の委員会で、利用する人たち、都市の人も全部含めて、税金の1円でも乗車運賃に上乗せして、それを全部集めて、過疎的な地域を応援するみたいな、そういうものをつくってはどうかと提案したのですが、ちょっと駄目でしょうと学識の方もおっしゃっていて、だからここのあたりを何かうまい仕組みをつくっていかないと、本当に住み続けられないかなと思っています。
 すみません、時間が大幅に超過してしまいました。ありがとうございました。

○宮沢委員長
 どうもありがとうございました。
 それでは、これより質疑に入りたいと思います。
 委員の方にお願いしたいと思いますが、質問はまとめてではなく、一問一答で簡潔明瞭にお願いします。
 それでは御質問のある方は挙手を願います。

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