本会議会議録


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令和6年10月人口減少社会課題対応特別委員会 質疑・質問
質疑・質問者:中沢 公彦 議員
質疑・質問日:10/08/2024
会派名:自民改革会議


○中沢委員
 瀬戸先生ありがとうございました。
 そのデータの問題で、私はずっと引っかかっている問題があるんですが、静岡県の場合、他県に比べてかなり早い段階で、情報共有のデジタル化を発注してるんですよ。平成21年頃に。ところが今はもう宝の持ち腐れで、ほぼ使われてないんです。
 1つの理由は、時代に対して早過ぎたという問題。ですから、国の補助金もなしで県単でやってます。
 もう1つは、実は、現場の人たちが何のために、どう使うことで、何が優位性を持たせるかということが理解されないまま下ろしたので、やはり使われないわけですよね。今後、さらなる飛躍の中で、2040年問題があって、団塊ジュニアの高齢化があり、そこを目指してやっていくときに、私は、このデータはもう使い道がないんだから、国なら国でプラットフォームみたいなのをつくって、多少のカスタマイズは都道府県でやってもいいけどというのをやらないと、まず互換性がない。今となっては、全く使い道がピントのずれたものになっている。それをカスタマイズしようとすると、初期でつくったのと同等ぐらいの金がかかる。言ってみれば、これは税金でつくったんだけれども、1回どぶに捨てないと駄目ではないかということがずっと引っかかっているんですが、先生の研究上、それを生かすべきなのか、それとも1回リセットして新規でつくったほうがいいという話になるのか、どちらですか。

○瀬戸僚馬氏
 今、御質問いただいた話は、病院同士を結ぶネットワークのお話をされていると思うんですが、それに関しては、どぶに捨てるという選択肢かと思っています。というのは、今のデータの持ち方は、本人が便利だから、何かのアプリに入れておきたいみたいな、患者主導というか、住民主導型の持ち方で、十数年前に、結構いろいろな補助事業の中でやってきたものは、医療主導のものです。医療主導のものは、やはりうまくいかず限界があって、それぞれの医療機関同士は公共的な仕事をしていますけれども、ある意味、営業的な競合関係、競争関係にもありますから、その中でどこまで協力し合うのってやると、非常に複雑な問題がいっぱいあって、うまくいかない面もいっぱいある。今言っていただいたとおり、国でまとめてやるしかないのではないかと。
 データの標準化もかなり進んでいないので、今回、厚労省が手がけている全国健康情報のプラットフォームは、めちゃくちゃ狭い範疇の情報しか共有できませんから、その範疇は国でやればいいのかなとは思います。

○中沢委員
 先ほど、経済産業省と総務省のデータを頂きました。実は私は経済産業省がしゃしゃり出たから失敗したと思っているんです。何でかというと、当時つくった、雨後のタケノコのようにつくりますよっていう会社があったときに、互換性がないようにつくっているんですよ。なぜかというと、互換性は別途注文を受けると、それもまた商売になるからです。互換性を担保したものを想定してつくれば、もっと合理性があったはずだけれども、それを別途でやると、また二重、三重の商売になるからとやっているので、結果、経済産業省にとっては、新規ビジネスが成功したという話になるんです。現場や厚生労働省的に言うと、優位性の全くないものができましたという話になるので、どこが先導に立つかによって、全く評価が違うものができてしまうのではないかなと思っているんです。
 ですから、どこが主導するかを明確にする、そういった主導的役割も、瀬戸先生たちのような研究者にぜひやってもらいたい。結果、私は経済産業省が音頭を取って失敗したと思っているんです、このことについては。だから、それがどこがやるべきかということを、研究の一環でぜひお願いしたい。
 もう1つは、私は56歳ですが、私の同級生のドクターが、DXの完成形はさらなる医師不足を招くだけだからと言っているんです。例えば、私の20年後が76、同級生の医者が76、DXが進みます。非常に患者の負担もなくなりました。医療従事者の負担もなくなりました。実は、その基にあるのは何かと言ったら、社会保障費の抑制ですよね。商売になるから医者になるやつがいっぱいいるんです。ところが、商売にならないと思った瞬間、この道に進まないからという話で、完成形は医師不足を推進する。ただ、医師不足になっても大丈夫なDXをつくるしかないと。医師不足になっても大丈夫な状態をつくるというのは、もうさっきの鉄腕アトムの絵みたいな話になってくる。そのことを、国民はどこまでの医療が自分たちに恩恵があるものなのか、そして、医療はどこまでのもうけ、もしくはどこまでの商売として成立するものなのか。社会保障費の抑制と言うんだけれども、どこまで抑制するのが妥当か、そこが曖昧のままやるべきではないという話だったんです。
 まさにそのとおりで、社会保障の抑制とみんな言うんだけれども、どこら辺が妥当かということを明確に言っている人は、いないのではないか。同時に社会保障費の抑制は、医療現場の収支構造も変えるのではないか。そのときに、それでもなお、医療従事者として働く人間がどれだけ育つのか。その三位一体の部分が果たして研究されてるんですかと、そのドクターから話があって、なるほどなと思ったんですが、社会保障費の抑制は、先生の研究の範疇ですか。

○瀬戸僚馬氏
 社会保障費の抑制は、ある程度前提として議論していますから範疇だと思っています。ただ、どこまで抑制するかは、医療政策学者、公共政策学者の範疇なので超えてしまいますけれども、減るのは間違いないことなので、2番委員から御指摘頂いたように、現に起きている現象でもあって、最近、美容外科に進まれる若い医師の方が物すごく増えましたよね。ですから、国のこの歯切れの悪い医療DXの定義は、要するに、医療費を削りたいんだというのがぷんぷん見える。だったらはっきり言えばいいんだけれども、行政当局としてもはっきり言うと、いろいろなブレーキがかかるところがあって、言えない、苦労されている。でも、そのディスコミュニケーションの中でその問題は起きているというのは、全くおっしゃるとおりだと思います。だから、県として何か考えていくときに、ある意味ディスコミュニケーションみたいなもので、都合が悪いけど現実だから伝えるというところ、ある程度は伝えざるを得なくて、その辺がACPの話題などにもあるわけですが、ある程度嫌かもしれないけれども、現実を行政の仕組みや、あるいは議会制民主主義が成立する範疇の中で、ある程度合意しながら、この範疇までは合意してしっかりと伝えようよというのは、与野党どちら側の議員方も何とかどこかで折り合っていただけるとありがたいと思っています。

○中沢委員
 とんでもない課題ですもんね。
 だけど、みんな口幅ったい感じで、悶々としたままやるじゃないですか。突っ込むと、医師会も反対してくるし、病院協会からも文句を言われるし、だけどそこをクリアしないと。この業界だけが特殊じゃないですか。工業、農業、サービス産業といろいろあったときに、DX化は差別化になり、差別化は集客力になり、もしくはそれが商品に還元されることになるけれども、それがこの業界はないですよね。減価償却といっても、別に商売のための減価償却ではないもんだから、差別化といったって、具体的な差別化は、A病院とB病院が同じことをやっていれば、なかなか患者にとってのメリットが見いだしにくいし、だけどやらなければいけないとなったときに、今まで年収1億だったのが年収4,000万になっちゃうんだけどと言って、やり続けるんですかということは、どこかでしっかりとしないと、成り立たないのではないかと思うんです。

○瀬戸僚馬氏
 結局DXの話はトリガーな面があって、そこを触ると、最終的には社会構造をどうしますか、どのぐらいの公的な財源の中で医療をやりますか。住民の皆さん、どのぐらいお金を出してくれますか。ここから先は公助ではなくて、もう出したい人が自由に買いたいサービスを買えばいいという範疇でいいと思うか、思わないかというところに触れざるを得なくなってしまうと思うんです。それに触れると、いろいろなバランスが崩れて、触りにくくてしようがないから、こういう話になっているんですが、このもやもやのままいくと、たくさんある工程表と一緒で、また進まないんです。だから、進めるところをつくっていかないといけないだろうと思います。
 人口が多い国は、正直進みにくいという印象はあります。アメリカとかもですね。人口が小さい国はがんがん進むので、シンガポールや北欧の国は、IT先進国でよく知られていると思うんですが、日本がDXでやりたいようなことは、十数年前にはもうできていますから、救急車に乗ったら心電図モニターがついて、それが病院で見えているし、入院が終わってクリニックに帰ったら、もうそのカルテもクリニックで見られるみたいなことは普通にできているので、さすがにこの辺まではやりませんかと提案するデータを、海外から持ってくるのも、研究者としての仕事に最近はなっているかなと思います。

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