本会議会議録
質問文書
令和6年決算特別委員会産業分科会 質疑・質問
![]() | 質疑・質問者: | 小長井 由雄 議員 |
![]() | 質疑・質問日: | 10/29/2024 |
![]() | 会派名: | ふじのくに県民クラブ |
○小長井委員
一問一答方式でお願いします。
主要な施策の成果及び予算の執行実績についての説明書8ページ主要施策の総括のうち、2主要施策の実施状況及び評価、課題及び改善から3点ほどお伺いします。
まず、説明資料9ページの熱海市で発生した土石流による災害を教訓に森林内の違法な盛土に対し安全性把握調査や盛土の流出防止対策を実施した、今後も違法案件の解決に取り組むとのことですが、現在違法案件として解決に取り組んでいる事案があるのか。あるようでしたらどのように取り組んでいるのか現状をお聞かせください。
○伊藤森林保全課長
令和6年9月末現在で盛土対策課が公表している違法な盛土は県全体で160か所あり、このうち県が所管する森林法に関する事案は10か所あります。これらにつきましては、当事者に対して行政指導や監督処分により復旧指導をしています。
10か所のうち、人家や公共施設に被害を及ぼす恐れがある緊急度の高い盛土は4か所あり、このうち3か所は令和5年度から安全性把握調査を実施し対応を検討しています。
もう1か所につきましては、令和4年度の台風被害で国道や大井川鉄道に土砂が流出したため、行政代執行により県が復旧を行っています。
○小長井委員
熱海市での災害以降、県の盛土条例あるいは規制法が整備されて盛土対策課が中心に取り組んでいますが、森林法でも取り締まる部分もあるかと思いますので問題があるところはしっかりと処理して、また今後このような事案が発生しないよう関係機関とも連携しながら取り組んでいただきたいと思います。
次に、説明資料9ページ(3)に吸収源対策として森の力再生事業や造林事業などにより森林整備が実施されたとのことですが、森林の二酸化炭素吸収量を確保する間伐面積が目標に至らない見込みと記載されております。その理由と今後の対策についてお聞かせください。
○寺澤森林整備課長
間伐面積が目標に至らなかった理由としては、令和4年、5年と続けて大きな台風被害に見舞われ中部・西部地域を中心に森林整備の基盤となる林道等の災害が発生したことや、倒木処理等に林業経営体の人員が割かれてしまい計画していた森林整備が進まなかったことによります。幸い今年は災害が少なく復旧は進んでおります。
対策としては、引き続き復旧も含めた林道や作業道などの基盤整備を進め、林業経営体に対して当初予算に加え国の補正予算による補助事業などを活用して森林整備を支援、指導していくとともに、今年度も含めて計画期間が残り2年となった森の力再生事業による整備を着実に進めることで間伐面積の目標達成に向けて取り組んでまいります。
○小長井委員
確かに林道被害は台風や豪雨で起こるわけですが、林道を延長しないとなかなか間伐も進まない実情もございます。その辺のバランスもあるかと思いますが、間伐等で森林を整備することで二酸化炭素の吸収量を増やす意義は大きいと思いますので、森の力再生事業等を活用して今後もしっかり進めていただくようお願いします。
次に、説明資料10ページ(4)才徳兼備の人づくりの農林環境専門職大学についてお伺いします。
令和5年度の卒業生は、4年制大学22人及び短期大学部86人となっております。農林業関係へ就業した卒業生はそれぞれ19人と69人と記載されておりますが、農林業関連以外の就業者はどういうところへ就業したのかお伺いします。
農林環境専門職大学は農林業のための高度な実践力と豊かな創造力を培う専門職大学として設立され、農林業経営のプロフェッショナルであるとともに農村地域社会のリーダーとなる人材を育てるとのことですので、できるだけ多くの卒業生にそういった分野で就業、就職していただきたい思いがございます。たしか4年制大学は今年初めての卒業生になるかと思いますが、その辺の状況を教えていただきたいと思います。
○尾崎農業ビジネス課長
農林環境専門職大学の卒業生のうち農林業関連以外の就職先につきまして、4年制大学は3名おりまして公務員、建設業、輸送機械製造業に1名ずつでございました。
短期大学部は17名おりまして進学が3名、海外研修が5名、一般企業への就職が4名、その他未定が5名でございました。
○小長井委員
公務員との話が出ましたが、ホームページを見ると公務員も農林業関連という部類に入っていたと思うのですが、それとは全く違うところでしょうか。
○尾崎農業ビジネス課長
公務員に就職した場合でも農林業関連であれば含めておりますが、そうではない一般行政職などの場合は農林業関連にカウントしておりません。
○小長井委員
公務員になってもいずれ異動して農林業に関わる可能性もあるわけですよね。そういう意味では公務員1名も農林業関連にカウントしていいと思います。
県外へも就職されているとのことですが、卒業生に農林業関連に就職していただくために就職支援も実施していると思います。その辺をお聞かせいただければと思います。
○尾崎農業ビジネス課長
農林環境専門職大学では、就職に当たって学生の声を聞く相談窓口を設けて対応しております。
○小長井委員
卒業生は本当に幅広く農林業関連に就職されていると思いますので、1人でも多く、できたら全員が農村地域社会のリーダーとなる人材として育っていただくよう支援をお願いします。
それから、産業イノベーション推進課にお伺いします。
説明資料25ページ(5)イ知的財産活用促進事業費について、企業が保有する未利用特許等の流通促進のため特許流通アドバイザーによる県内中小企業への技術移転業務を静岡県発明協会に委託したとのことですが、活動指標では年間70件の目標に対して毎年70件以上の知的財産の活用マッチング件数があるとのことで、県内に未利用の特許がかなりあると思います。具体的にどんな特許をどんな企業に移転したのか紹介頂ければと思います。
○山家産業イノベーション推進課長
現在中小企業の知的財産の活用を促進し優れた技術の製品化を図るため、特許流通アドバイザー2名を静岡県発明協会に配置しマッチングにつなげる取組を進めています。
特許内容は公開されていないところもあり詳細はお答えできないですが、例えばAIの見積りシステムに係る技術を持つ企業と制作会社をマッチングした事例、セルロースファイバーの濃縮・乾燥技術を持つ企業と製造会社をマッチングした事例などがございます。また一次産業につきましては、植物体の害虫の抑制方法に係る技術、遺伝資源の保存技術のマッチング事例などがございます。
○小長井委員
未利用の特許の中には、一般的に知られていないにもかかわらず有用なものもあると思います。特許流通アドバイザー2名がそういった技術移転の業務に携わることは意義深いことですし、県内企業の発展に寄与するものだと思いますので、これからもしっかり取り組んでいただきたいと思います。
次に、説明資料26ページ(7)イのスタートアップ事業支援事業についてです。
説明資料27ページの評価の表の活動指標に2022年度から2025年度までの大学発ベンチャー企業支援件数の目標値の累計が50件と記載されております。大学発のベンチャーが日の目を見て大きく育つのはなかなか簡単ではないと思うのですが、支援の中で何かいい成果が出ている事例があったらお話し頂ければと思います。
○山家産業イノベーション推進課長
大学発ベンチャーの支援内容ですが、令和元年度から県内大学の研究室にあるレベルの高い技術や研究シーズを掘り起こして事業化や起業に結びつける取組を進めてきたところです。具体的には大学発ベンチャーの成長を目的に伴走支援や補助金、県内企業と大学の研究シーズをマッチングするために静岡県産業振興財団にコーディネーター2名を配置し大学教員等を講師としたラウンドテーブル、いわゆるマッチング会を開催しています。こうした支援の結果10件の大学発ベンチャーの創業に結びつきました。
主な事例として、株式会社eZovインターナショナルという静岡大学発のベンチャーは光触媒機能を活用したステンレスメッシュにより水や空気の浄化を行う技術を持っていますが、ラウンドテーブルの開催などの支援の結果、令和4年にベンチャーを設立しました。
こちらのベンチャーは県内で実施されたビジネスプランコンテストで数々の入賞を果たしており、10月24日にニュービジネス協議会が主催した静岡県ニュービジネス大賞にも選出されました。
○小長井委員
10件とのことで想像以上に成果が出ていると感じます。こういう事業は日の目を見ることが大変で事業化がなかなか難しいと思いますが、これだけの成果が出ており、将来さらに大きく育つことも考えられますので、支援の成果が出ないことを恐れずに取り組んでいただきたいと思います。
次に、説明資料108ページの鳥獣被害対策について食と農の振興課にお伺いします。
何年も前から大きな問題になっている鳥獣被害対策については、啓発活動や鳥獣被害防止総合対策事業等で被害を防止する人材の育成や技術力の向上、また肉の利活用等を実施されているとのことですが、鳥獣被害はなかなか減っていないと感じています。
鳥獣被害によって作物栽培をやめてしまう事例が多々ありますが、これらの事業成果についてお聞かせ頂きたいと思います。
○酒井食と農の振興課長
鳥獣被害対策の実施につきましては、市町への支援、人材の育成、捕獲個体の利活用を中心に取り組んでいます。
市町への支援の成果としては、市町の被害対策を中心的に担う実施隊が県内35市町のうち28市町で設置され、市町が被害対策をより強化して行う体制ができました。
また、人材の育成に関しては、県主催で地域で指導的な役割を担うアドバイザーを育成しており、昨年度は39人、2008年度からの累計で668人のアドバイザーを養成しました。
○小長井委員
鳥獣被害の対策は簡単な話ではないと思いますが、被害を防止するために柵を張ったり様々な対策をする予算は非常に大きいので捕獲等の抜本的な対策が必要かと思います。なかなか決定的な対策がないと認識しておりますが、他県を調査して有効と思われる取組があるのかどうかお聞かせ頂ければと思います。
○酒井食と農の振興課長
他県事例を参考に実施した点ですが、まず鳥獣被害は集落や地域によって個別の特徴を示しております。それを把握するアンケート調査を実施している県を参考に本県も昨年度に実施しております。
また、アドバイザー育成研修では埼玉県で鳥獣被害対策を研究していた方を講師に招き研修を行ったところであり、こうした他県の知見も入れながら県内の被害対策を進めております。
○小長井委員
被害防止の対策以上に鳥獣の数が増えているのが現状かと思います。私の記憶では40年ほど前までは静岡市の山でも鹿や猿、カモシカは見ることは全くなかったです。ところがこれらが一気に山から下ってきたと。よく森林が針葉樹になって食べ物が山の中になくなったからと言うけれども、当時でも植林はかなり進んでいて、言われていることが原因だと簡単には思えないんですね。
鳥獣被害の拡大についてはいろいろな理由があると思いますが、これによって農山村に住むことが非常に難しい状況もあるので、今後とも対策はしっかり取り組んでいただくことをお願いして質問を終わります。
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