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委員会会議録

委員会補足文書

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令和2年9月情報通信技術利活用特別委員会
内閣官房IT総合戦略室 内閣参事官 奥田直彦氏 【 意見陳述 】 発言日: 09/02/2020 会派名:


○奥田直彦氏
 おはようございます。
 静岡県の県議会の皆さんには、ふだんから情報化、デジタル化について、いろいろと御協力いただき、本当にありがとうございます。
 静岡県からは、IT総合戦略室に非常に優秀な職員を派遣していただいておりまして、非常に感謝しております。私の部下でもいましたので、とても静岡県さんとは、親和性を持ってやっていけてるんじゃないかと思っております。
 早速ですけれども、デジタル・ガバメントの推進について、資料を見ていただきながら、説明させていただきたいと思います。
 落合委員長からもありましたように、50分程度説明させていただいて、その後、意見交換をさせていただければ、私どもとしても非常にありがたいと思っております。
 資料を見ていただければと思います。
 まずは、今年の6月、7月にですね、政府で閣議決定させていただきましたIT新戦略の全体像について、説明させていただければと思っております。
 この戦略につきましては、国民が安全で安心して暮らせ、豊かさを実感できる強靱なデジタル社会の実現という基本理念は変わっておりません。また、Society5.0にふさわしいデジタル化ということで、国民の皆さんの利便性を向上させる、国、地方、民間の効率化を徹底していく、不安なく国民の皆さんがデジタル化の恩恵を享受できることを目標にして、このIT戦略をつくらせていただいているところでございます。
 1ページの図ですけれども、下から見ていただければと思います。
 デジタル化に向けた社会基盤の整備、規制のリデザインということで、これが基本的なところになってございます。5Gのインフラの再構築というところを基にしながら、また、AIとかセキュリティ対策といった技術的なところを基礎にして、働き方の改革であったり、暮らしの改革をしっかり進めていく。また、経済活動におきましても、スタートアップであるとか、ベンチャー企業も含めて、経済活動、企業活動をしっかりと前に進めていく。またデジタル化に対応した人材の育成も重要でございますし、またデジタル化を活用した教育も重要かと思っております。
 また、デジタル化をどんどん進めていくと、デジタル化についてこれない方、また、デジタル化をうまく活用できない方も当然いらっしゃいます。こういった方々に対してもですね、しっかりとデジタル化の恩恵を享受できるような形でフォローしていくことを基本に、やっていくことが、IT戦略の基礎になってございます。
 それを基にして、大きな2本の柱で考えてございます。
 1つは、先ほど申しましたように、デジタル化の利活用というところでございます。
 このデジタル化が進んでいく中、いろんなデータを取り出せる、また活用できる環境となってございます。それを活用してさらに生活の安全性であったり、利便性を向上させていくことが必要だと思っておりますので、データの利活用の整備であったり、学習データ、医療関係のデータをうまく活用して、今後の社会にうまく生かしていく。また、データの利活用に当たっては、個人情報保護が重要となってきますので、法律の見直しであったり、国や独立行政法人、また、民間の個人情報保護につきましては、今、3本の法律がばらばら感がありますので、一元化した形で利便性を向上させることも、この戦略の中で書かせていただいております。
 また、地方の方々とも、密接連携をしっかりやっていくということも書かせていただいておりまして、マイナポータルなどを活用した国民の皆さんの利便性向上と、地方公共団体の中での業務を標準化して、効率的に進められないかという検討であったり、クラウド化やAIの活用をどんどん進めていくことについても、戦略の中で書かせていただいております。
 それを進めるに当たって、今回、コロナ対策で見えてきた萌芽と課題がございます。デジタル化やオンライン化を進めてきてはおりましたけれども、なかなかうまく活用できなかった部分がございます。それを今後は改善していくことも必要かと思っています。またワークとライフの近接化ということで、テレワークもかなり進んできており、出勤することなく仕事ができる状況も確立されてきておりますので、そういったものの活用も、この戦略の中で書かせていただいています。またデータの積極活用であったり、経済の再構築も、IT戦略の目的として書かせていただいております。
 コロナ後のニューノーマルな視点ということで、一極集中から分散へ、また迅速に危機対応できる社会へということと、対面、高密度から開かれた疎へという形で、過疎への対応についても、デジタル化を進めるに当たってうまく活用できるのではないかということで、戦略の中で書かせていただいております。
 それに先立ちまして、資料にあるような6つの取組を先行的に進めていこうということで、二、三年前から取り組んでいます。自動運転や食関連産業の持続的な発展、裁判手続のデジタル化、また健康データの活用、運転免許システムの合理化、高度化といったところを、先行的に進めていくことが戦略の全体像でございます。
 次に、デジタル手続法の概要になります。令和元年の12月に施行された法律でございます。
 デジタル技術を活用して、行政手続の利便性の向上や、行政運営の簡素化・効率化を図ることを目的として、行政のデジタル化に関する基本原則であったり、行政手続の原則オンライン化のために必要な事項を定めた法律でございます。基本原則としましては、デジタル3原則と言われておりますデジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップという形で、一貫してデジタルで完結する、一度提出した情報は二度提出することを不要とする、民間サービスを含めて複数の手続、サービスをワンストップで実現するといった方向性で行政分野についてはデジタル化を進めていくと、法律の中で定められています。またこのデジタル化のために必要な事項として、柱としては4つあります。
 行政手続におけるデジタル技術の活用というところで、国の行政手続につきましては、オンライン化を原則とすることを法律で定めました。これまでも通称オンライン化法という法律がありました。これは、紙手続でやっているもののうち、法で定めたものについては、オンライン化しても法律違反にならないという法律でした。原則としては紙という法律でしたが、今回のデジタル手続法は、原則としてオンライン化を進めていきます。オンラインがどうしても嫌だという方については、紙でも構いませんということで、どちらがメインで使用されるかというところをひっくり返して、オンラインが原則という形にしました。
 また、オンライン化を進めるに当たって、これまでいろいろ言われておりました、本人確認であったり、手続きをデジタルでしても手数料は収入印紙を郵送するとか、添付書類についても後ほど送る形ということで、だったら申請についても紙にしますよというところがあったと思います。そういったところも、原則としてデジタル化を進めていくことを掲げています。本人確認については電子署名かマイナンバーカードについております公的個人認証を活用したり、電子納付についても進めていく。また添付書類については、簡素化を進めていく考えでございます。そもそもこの添付書類が必要なのかというところから検討した上で、デジタル化を進めていきます。
 法律だけでいくと、なかなか進まないこともありまして、政治の観点から指示がございまして、ちゃんとした整備計画をつくった上で、進めていくことが法律の中でも明記されております。いつまでに、誰が、何をやるのかについても、計画としてはしっかり立てていくことになっています。
 また、デジタル技術の活用のために、能力等の格差の是正ということで、高齢者や、障がい者の方々、また、経済的な理由でデジタル化になかなか追いついてこれない方々に対しても、しっかりと援助をしていくことが法律で定められています。
 また、民間手続におきましても、デジタル技術の活用を促進していくことが法律で定められております。
 行政手続のオンライン化については、地方公共団体も、当然視野に入っています。ただし、国の行政機関については義務という形になっていますが、地方公共団体等は努力義務ということで、国の取組に準拠した形で、なるべく頑張ってやっていただければという法律の位置づけとなっています。
 次の資料ですが、デジタル化法と併せて、住民基本台帳法や公的個人認証法、マイナンバー法の改定もされました。本人確認情報の保存や、提供の範囲の拡大であったり、個人番号カードの利用拡大を定めています。また公的個人認証である個人番号カードの利用方法の拡大ということで、暗証番号の入力を要しない方式であったり、通知カードの廃止も、デジタル手続法と併せて制度改正がなされました。マイナンバーカードの健康保険証利用とセットでの法律改正になっています。病院とか診療所に行ったときにですね、マイナンバーカードが健康保険証となりますけれども、ID、パスワードを打つことなく、顔認証で、利用が可能という法律改正がなされております。
 また、罹災証明書の交付事務についても、番号利用可能という改定もされております。
 次に、手続法の中にあります整備計画の具体的な内容でございますが、デジタル・ガバメントの実行計画という形で閣議決定させていただきました。
 こちらは、8つの柱で計画を構成しております。
 1つ目が、サービスデザイン、業務改革の徹底による行政サービス改革でございます。すぐ使えて、簡単で便利な行政サービスを目指すことを計画の中で明記しております。これまで、デジタル化、IT化を進めましょうと取り組んできましたけれども、そもそもの業務の見直しをやることなく、現行の業務のままデジタル化、IT化、オンライン化していったところで失敗してきたと私も認識しております。10年ぐらい前から、オンライン原則に取り組んできました。そのときに、業務の見直しをせずに、今のやり方のままで、何から何までオンライン化を進めてしまいました。何が起こったかというと、年間数件しかない手続についても、オンライン申請のシステムを作ってしまった。そうすると、1件当たり数百万円というシステムになっておりまして、全然効率化は進まず、費用だけかかってしまうことがありました。そういったものは、そもそも手続自体が要るのかどうかというところから見直しをしなかったということで、失敗に終わってしまいました。今回についてはそういったことなく、まずは業務のデザインをしっかりと再構築した上で、デジタルを導入していくのかを考えることを計画の中でも書かせていただいております。
 併せて、基盤の整備でございます。方向性としては、グランドデザインをしっかりと見据えて作った上で、共通的に利用できるシステムで、機能については、政府の中でも一元化したシステム構築をしていくことを計画の中で書かせていただいております。併せて、その構築に当たっては、クラウドという新しい技術が出てきておりますので、クラウドの利活用を進めていくことを書かせていただいております。
 また、情報セキュリティであったり、個人情報保護も、この基盤整備に当たっては、システム面からもしっかりと支えていくという形で書かせていただいております。また政府におきましても、各省ばらばらでシステム構築がなされてきた反省に立ちまして、政府CIOにおけますプロジェクトをしっかりと一元的に管理していきますと書かせていただいております。予算につきましても、大体年間数千億円ありますが、まずは令和2年から一部ですけれども、IT総合戦略室に一括計上させていただいて、その中で各省に配分をしていく流れとなっております。そういった形でプロジェクトをしっかり管理した上で、各省ばらばらに作らせないで、障害が起きそうなシステムについては、IT総合戦略室のほうでもチェックしながら、システム構築していくことを書かせていただいております。
 先ほども説明しました、手続法に基づいたところですが、デジタル化、ワンストップ等の推進ということで、実際にオンライン化をどう実現していくのかをこの計画の中で書かせていただいております。この計画におきましては、国の手続の件数割合で9割ぐらいをオンライン化の実現をしていくことを考えています。現時点でも、オンライン化可能な手続として、件数ベースで6割から7割について、既にオンライン化でシステム構築などはされているところです。残り3割、4割につきましても、しっかりと進めていく考えでございます。
 また、添付書類の省略についても、登記事項証明書は令和2年度以降、戸籍は令和5年度以降に順次情報連携のシステムを作った上で、添付書類の要らない形で進めていくで考えてございます。またワンストップサービスということで先行的に、子育て、介護、引っ越し、死亡・相続といったものについてワンストップを進めていくと、計画に書かせていただいております。
 広報の実施については、政府も取り組んでいるんですけれども、なかなか宣伝が下手で、何でみんなが知らないのかと反省し、課題として認識して、分かりやすい言葉で国民の皆さんに取組について説明すると、計画の中にしっかり書かせていただいております。
 デジタルとITと情報化ということになると、専門用語をかなり多用してしまいますので、そのあたりは気をつけながら、分かりやすい言葉にして皆さんに分かっていただくことが必要と思っております。
 また、地方公共団体におけるデジタル・ガバメントの推進ということで、地方公共団体に関しては、やはり地方自治ということの観点もございまして、なかなか計画の中には多くを書いてこなかったんですけれども、昨今の状況を踏まえまして、地方公共団体の皆様と連携しながらやっていくことが必要だろうということで、かなり分量を増やした形で、地方公共団体の推進についても書かせていただいております。
 マイナポータルの活用や、自治体クラウドの推進とか、また業務やシステムの標準化の推進について、地方の皆さんと協力しながら進めていこうと計画に明記させていただいております。
 また、民間手続につきましては地方公共団体の皆様以上に、義務的にやってくださいということは難しいんですけれども、民間の方々がデジタル化を進めていくことがあれば、国としては支援していくという形で計画に書かせていただいています。
 次に、2016年の年末に施行させていただきました官民データ活用推進基本法の中で、地方公共団体の皆さんについても、データ活用であったりデジタル化について計画を立てていってもらいたいということで、議員立法で成立させていただいております。これは地方公共団体の皆さんにも、デジタル・ガバメントであったり、データの利活用にしっかりと取り組んでいただこうと計画をつくっていただいて、それに基づいてやっていこうということです。先行的な事例については、国で取りまとめて情報提供させていただいております。
 また、スモールスタートを推奨という形になってございます。大体国から地方公共団体の皆さんにお願いする場合は、このひな形に基づいてやってください、全ての項目を含めた形で計画を立ててくださいというのが、これまでの取組でございました。ただ、官民データ活用推進計画においても、皆様方が得意としている分野であったり、既に取り組んでいる部分、また力を入れていきたいと思っている部分について、まずはそこを取り組んでいただければという構成に変えました。1,700自治体、47都道府県が、同じ形で、同じものを全てそろえていくということではなくて、地域の状況であったり県の状況に合わせた形で計画を立てていただいて、また隣の県であったり、規模が似ている地方公共団体を見ながら、あそこの市町村がこんなことをやっているんだったら、うちもできるんじゃないかと、徐々に計画を拡充していっていただければと考えています。最初から100点を求めるのではなくて、できるところからやっていただくという方向性で、計画を推進しているところでございます。
 次のページ、6ページでございます。
 地方自治体の業務プロセスの標準化も、今、取組をさせていただいております。法令に基づく地方自治体の業務については、昔から電算化が進んでいましたが、各自治体それぞれ開発して所有しているという形になっております。極論すれば1,700通りのシステムが進んでいるということです。そうなりますと、制度改正が行われると、1,700個のシステムを改修しなきゃいけないので、そういったところで費用対効果も非効率になっていました。近年はクラウド技術の発達であったり、ベンダー間の競争環境もしっかり保っていかなきゃいけないということはありますけれども、国が主導して策定した標準仕様に基づいてシステムを利用していくという方向で進めていきたいと思っており、住民サービスの向上であったり、行政の効率化を進めさせていただいております。
 各自治体の皆さんがそれぞれシステム開発して使用していると、何かあれば、これを1個1個改修していく形になってございます。今回は標準仕様を定めた形でシステムを利用していくとなりますと、改修の部分についても国で分かりますので、ここを直せばいいですよとなります。各ベンダーは、それぞれごとに分析して、地方公共団体ごとにではなくて、標準仕様の形でやっていけば、いろんな割増料金とか高止まりとなった費用についてもある程度効率化ができるのではないかと考えて、進めさせていただいています。
 次の7ページでございます。
 標準化の内容については、住民の皆さんの利便性向上につながる、住民基本台帳関係の17業務について、まずは先行的に標準化を進めていければということで、取組を開始したところでございます。
 次に、8ページを見ていただければと思います。
 自治体ピッチというのを、国で取組をさせていただいております。これは地方自治体の職員の皆さんと、開発者、企業の皆さん、利用者視点に立ったサービスデザイン思考の下、対話を重ねながらいろんなことができないかということで、マッチングできれば、そこで開発ベンダーと自治体が協力していくことを進めております。
 昨年度は、3回開催して、今年度は年度初めから対応しようと思っていたのですが、コロナで人が集まることが難しかったので、Web会議の形で、先月末ぐらいから開始しております。幾つかのところでは、ベンダーの皆さんと地方公共団体の皆さんが、意気投合した形で取組が進んできているところでございます。
 開発ベンダーの方々にですね、7月末までに公募していただきまして、先月下旬から9月にかけて、オンライン開催という形でですね、実施させていただいております。
 詳細は、資料にありますQRコードを見ていただければ、CIOポータルという私どものポータルサイトになっておりますので、ぜひ御覧いただければと思っております。
 次は10ページでございます。
 具体的に国民の皆さんに、身近なところでデジタル・ガバメントを進めていく取組を説明させていただければと思います。
 ワンストップサービスの推進でございます。個人向けのワンストップサービスにつきましては、子育てや介護、引っ越し、死亡、相続といったライフイベントで、手続きが煩雑になっているところについて効率的にできないかということで、ワンストップを検討させていただいております。また法人向けワンストップサービスにつきましては、従業員のライフイベントに伴って企業が行う社会保険とかの手続についてもワンストップが進められないかということで、企業向けについても検討を進めさせていただいているところでございます。
 次に11ページであります。
国で提供しておりますマイナポータルのぴったりサービスの中から、サービス検索をしていただくと、役所に出向くことなくオンライン申請が可能というところを進めさせていただいております。プッシュ型のお知らせを受け取ることもできます。登録しておいていただければ、お子さんの予防接種の時期や、子ども手当などの手続についても、スマホで申請できる形で進めさせていただいております。これは地方公共団体の先行的なところから進めさせていただいています。先ほどの官民データ活用の基本計画と同じような形で、全ての市町村で全てのサービスが整ってからということではなくて、できる手続とできる市町村の方々からやっていただく形で進めさせていただいております。先行的なところを優良事例として情報共有させていただきながら、どんどん拡充していただければと考えております。
 次の12ページでございます。
 介護のワンストップサービスにつきましても、マイナポータルを通じて、提供を平成31年1月から開始させていただきました。要介護認定であったり、サービス利用の手続について、ワンストップで可能な形で、東京は進めていただいているところでございます。
 13ページは引っ越しのワンストップサービスについてです。
 引っ越しにつきましては、地方公共団体の手続に合わせて、民間手続も住所変更がかなり多くなっています。そういった手続きを民間のサービスを利用しながら、自治体に情報を流す。また事業者にも、住所変更の情報を流すという形でできればと考えています。これまでは引っ越しのワンストップとしてウェブサイトにいろんなリンク先を載せているだけで、それぞれ1個1個手続しなきゃいけないということでありましたので、あまり便利になったなという感覚はないかと思うんですけれども、今回は一度住所変更を登録していただくと、全ての関連するところに情報がいくような形を目指して取組を進めています。
 次の14ページでございます。
 死亡、相続のワンストップサービスの全体像というところでございます。
 もともと、死亡と相続の一連の流れという形で考えておったんですけれども、相続関係については戸籍などの情報を取るなど、手続が煩雑なので、死亡と相続を分けさせていただいて、まずはお亡くなりになったときにどういった手続が必要なのか、どういったことをやらなきゃいけないのかをプッシュ型で情報提供させていただいて、手続を進めていく。亡くなった後の相続については、フェーズを変えて、今後の戸籍とマイナンバー連携が進んでいく中で検討していければということで、2段階に分けた形で検討させていただいているところでございます。
 亡くなったときには、御遺族の皆さんがいろいろと対応しなきゃいけない中で、役所などでも手続をしなきゃいけない。しかし、どういった手続をしなきゃいけないというのも、なかなか分かりづらいこともありますので、そういったところを支援できるようなワンストップサービスを進めているところでございます。
 15、16ページが、企業向けのワンストップサービス、オンラインサービスでございます。
 現状でいくと、従業員に異動があったときは健康保険組合、年金機構、ハローワーク、市町村や国税などに、書面であったり、オンラインであってもいろんなサイトがございますので、ばらばらに手続をしないといけないというところでございます。しかし、これを一元的にワンストップで、1つ情報を流せば、全ての行政機関に情報がいく形で進められればということで準備しています。複数手続の共通の入力項目が1回で済むという形で、企業側の総務担当の方々の負担軽減につながるのではないかということで、進めさせていただいています。
 これは、フェーズ1――第1段階だと思っております。こういった作業をするに当たっても、各事業所の皆さんが、今、勘定奉行みたいなソフトがあるかと思うんですけれども、そのデータを変換した上で国に提出しなきゃいけないので、その作業にも負担感があるというお話を企業の皆さんからも伺っているところでございます。そこを何とか解消できないか、次の16ページにある新しい形でできないかというところでございます。
 先ほど申しました、勘定奉行みたいなシステムは、クラウドサービスでの提供になってございます。その場合は、データがクラウド上に保存されておりますので、この人のこのデータについては、申請に必要なデータですので、使っていいですよというマークを付けていただいて、行政機関がそのデータを取りに行く形ができないかと考えております。企業の皆さんからデータを出していただくのではなくて、ふだんの作業の中で保存していただいたデータを、行政機関が活用させていただくことができれば、データの変換作業もなくなってきますし、わざわざ提出する作業もなくなりますので、効率化につながるのではないかと検討しているところでございます。
 チェックも、国で主体的にできますので、行政機関の効率化にもつながるのではないかと、取組を進めさせていただいています。
 次に、17ページを見ていただければと思います。
 先ほど言いましたように、国の情報システムを作る際に、今まで各省ごとに作っていて非効率でしたので、政府CIOの下で、内閣府のIT総合戦略室がチェックをしながら、一元的に管理することで進めております。予算の効率的な活用にもつながると考えてございます。
 国の情報システム関係予算が、一般会計と特別会計を含めて約8000億円で、全てのプロジェクト管理をしていこうと考えています。これまでも予算要求段階で各省の情報システム関係の予算をチェックして、ここは要らないんではないか、こことここをまとめればいいんじゃないか、この積算は高いのではないかというチェックをして、財務省と協働しながら進めていました。ただ、予算要求段階ですと、もう既に内容が決まっていて修正しようがない場合や、逆にまだ内容が詰まっていない段階で、積算をチェックができないこともございました。そういうところを解消するために、年間を通じてプロジェクト案の内容をチェックするため、プロジェクトの計画段階からIT総合戦略室が管理していきます。そういった過程を経た上で、予算編成段階で積算について妥当性を見ていく。
 また、契約の前段階でもチェックして、IT総合戦略室の、言わば政府CIOのお墨つきがもらえないと執行できないというスキームに変えて、管理の制度をつくってきたところでございます。
 次に、18ページでございます。
 そういったシステム管理をしつつも、予算をIT総合戦略室で一元化していかないと制度がうまく回っていきません。そのため内閣官房の下で一括要求、一括計上ということで、情報システム関係予算の8000億円のうちの一般会計の4000億円について、一括要求という形で進めております。令和2年度におきましては、そのうちの約700億円弱をIT総合戦略室で計上しておりますので、執行の段階で、政府CIOのOKが出ると、仕様書や積算と合わせて、予算を各省に配分して、執行していただく形です。
 ですので、この700億円以外については、各省のほうに予算がありますので、ある程度自由に使っていけますけれども、この700億円につきましてはOKが出ないと予算が各省に回ってこないので、実際に契約に進めないということになってございます。ちょっと言葉は悪いですけれども、財布を握って、各省を管理していくというスキームになっております。共通部分については、この700億円から、数年かけて上積みしていって、IT総合戦略室で予算要求をしていく形で考えてございます。
 今回の令和2年の対象システムについては、19ページにあるようなシステムについて、内閣官房IT総合戦略室で一括要求とさせていただいたところでございます。
 次に、20ページになります。
 政府でも、クラウド活用をしっかり進めていこうというところでございます。民間の状況を見てみますと、クラウド活用前のシステムが、クラウド活用後は運用経費が3割ぐらい削減できているところでございます。国でも、クラウド活用をした上で、効率化につなげていきたいと思っております。
 ただし、クラウドの活用におきまして気になるのが、セキュリティ面は大丈夫なのか、いろんなサービスを組み合わせていくと高くなってしまうんじゃないかという不安があって、クラウドがなかなか進まないということを各省また地方公共団体の皆さんからも伺っております。それを解消するために、セキュリティ評価制度――ISMAPと呼んでおりますが、今年度から開始しております。これは、費用面というよりはセキュリティ面についてチェックする取組でございます。国際標準等を踏まえて策定した基準に基づいて、企業が提供するクラウドサービスの安全性をチェックした上で、このサービスは安全ですよという言わばホワイトリストを作って、そのサービスの中から、各省はクラウドを活用できるというスキームになってございます。
 これにより各省や地方公共団体の皆さんがクラウド活用する際に、このクラウドが効率的なのか、安全なのかというチェックをしなくても、このリストに載っているから使って大丈夫ということで、システム構築においても効率化につながり、クラウドの利活用の促進にもつながるのではないかということで、今年度から利用を開始しています。
 また、このシステム構築に当たって、契約方法についても試行運用をしております。システムを作るに当たって仕様書を作って、入札情報を出すという形になると、その後に企業の皆さんの意見に対応できない。あまり意見交換したり、情報提供していくと、談合みたいになってきますので、できないという形になっています。ただ、今回の新しいやり方は、仕様の確定の段階から、複数社と意見交換しながら、こういったことを国としてはやりたいんだけれども、あなたの企業ではどういったサービスがありますかというのを詰めた上で、仕様書を確定し、また積算についても確定して、内容によっては一般競争入札、1社しかできないものであれば随意契約するということを新たな取組として、試行的に始めているところであります。
 これまで仕様書を見ただけでは、企業もどこまでやるのか曖昧な形で入札していますので、その分、安全性を見て入札価格も高止まりになり、非効率になっていたところでもございます。
 また、内容について相互の理解がなされていないというところで、契約した後に、国としてはここまでやってほしい内容を仕様書に書いていたつもりであっても、業者はそこまではこの仕様書では読めませんといった意見のそごが出てきて、システム開発に手戻りが発生したり、契約変更することがありました。そのため開発工程が延びたり、また開発経費が高くなることもありましたので、そういったところが解消できないか、今年度については2つのプロジェクトについて新しい契約方法で進めているところでございます。
 最後の話題になります。
 政府内のネットワーク環境の再構築というところでございます。
 皆様方も、報道で御覧になったと思うのですが、政府はこのコロナの中で各省間でのウェブ会議ができませんでした。ふだん使っている業務用のパソコンからは、各省をまたいだ形でウェブ会議ができなかったという状況がございました。それぞれの省庁内のウェブ会議は可能だったんですけれども、各省またぎのウェブ会議ができなかったところがあります。
 これは、ネットワーク環境を省庁ごとに個別に作って、それを取りまとめるネットワークがあったんですけれども、それぞれセキュリティ基準が違ったり、使っているソフトウエアが違ったりということで、互換性がなかった。これを何とか解消しないと、今後、災害であったり、コロナのようなことが起こってきたときに、行政機関の政策の推進が止まってしまうので、早い段階で解消しようと取組を進めております。
 今年度中に、霞ヶ関については新しいネットワークを引いてしまってウェブ会議ができないかと考えております。また、これを地方法務局まで回線を延ばしていく方向で考えております。
 そうすると、地方公共団体の皆さん方も、そのネットワークの利用が技術的には可能ですので、国と地方の連携への活用ができればと検討を進めております。
 こういった形で、国も、地方公共団体の皆さんと協力をしていきたいと思いながら進めておりますので、どうか御協力いただければと思います。
 私の説明は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

○落合委員長
 ありがとうございました。
 以上で、奥田様からの説明は終わりました。
 これより意見交換に入ります。
 委員の方々にお願いいたします。
 質問はまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いいたします。
 それでは、内閣官房の奥田様に質問や御意見等ありましたら、御発言願います。

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