本会議会議録


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令和7年2月定例会総務委員会 質疑・質問
質疑・質問者:鈴木 澄美 議員
質疑・質問日:03/06/2025
会派名:自民改革会議


○鈴木(澄)委員
 分割質問方式で質問します。
 最初に、令和7年度の国の地方財政対策に関連して2点質問します。
 1点目は、今非常に話題になっている103万円の壁の見直しによる県財政への影響です。
 令和7年度の予算案は3月4日に衆議院本会議で自民党、公明党、日本維新の会などの賛成多数で可決しました。この中で所得税が生じる年収103万円の壁に関して年収制限付の160万円の引上げが盛り込まれました。
 先ほど7番委員からも国への要望の話がありました。地方6団体として昨年の12月に令和7年度の地方財政対策についての共同声明を発表している中で、「いわゆる『103万円の壁』に係る基礎控除額等の引上げなど今回を超える恒久的な見直しが行われる場合の財政影響分については、地方の担う行政サービスに支障を来すことがないよう、国の責任において代替となる財源を適切に確保することを強く求める」と言っています。
 昨年12月時点で103万円の壁に係る令和7年度の地方交付税への影響は約2000億円と試算されています。国は令和7年度分について財源を確保したとしていますが、令和7年度分の本県に関する影響額、あるいは国からの補塡はどのような内容か、まずお聞きしたいと思います。

 2点目は、地方財政の健全化に関し、臨時財政対策債についてです。
 令和7年度の臨時財政対策債は平成13年の制度創設以来初めて新規発行額がゼロになり、また交付税特別会計借入金の償還繰延分2兆2000億円の償還が計上され、地方財政の健全化が大きく図られたと評価しています。
 本県の令和5年度の決算における監査委員からの審査意見書の中では、臨時財政対策債の残高は1兆1452億9618万円となっており、前年度に比べて約393億6600万円余減少したとあります。地方交付税が増えて臨時財政対策債の発行が抑制されたことが原因と書かれていました。臨時財政対策債は「実質的な地方交付税として扱われているとはいえ令和5年度の残高が1兆1450億円以上となっており、県債残高の41.3%を占めていることから、引き続き国に対してあらゆる機会を活用して中長期的に安定的な地方税制度の構築、臨時財政対策債の廃止を含めた地方交付税制度に係る改革や償還財源の別枠での確保を強力に働きかけられたい」と結ばれています。
 本県の令和5年度決算や令和7年度の臨時財政対策債に対する国の動きなど、県は臨時財政対策債の動向をどのように見込んでいるか、国への働きかけ等も含めて説明を求めたいと思います。
 また、この動きが令和7年度から取り組む中期財政計画にどのように影響するか、考えをお聞きします。

○鈴木財政課長
 まず、103万円の壁の見直しに伴う地方交付税の影響についてでございます。
 国の地方財政計画によれば、いわゆる103万円の壁の見直しにより地方交付税の原資が2000億円程度の減収影響を受けるものの、その影響を含めてもなお堅調な税収動向を踏まえ、地方税収と地方交付税などを合わせた一般財源総額は適切に確保されていると総務省から説明を受けております。 したがいまして、103万円の壁の見直しによる令和7年度の本県への地方交付税の配分には影響が出ない形で対応していただけると考えております。

 2点目の臨時財政対策債の発行見込みについては、交付税原資となる国税収入の見通しや地方の財政需要、財源不足の状況を勘案して国において判断されるものであり、現時点では県として今後の動向を見通すことは難しいところです。
県としましては、これまでも全国知事会など様々な機会を通じて臨時財政対策債の廃止を求めてきましたが、引き続き国への働きかけを行ってまいります。
 最後に、臨時財政対策債の動きの中期財政計画への影響についてでございます。
 臨時財政対策債は地方交付税の身代わりですので、発行可能額が減少しても一般財源総額が確保される限りは県の財政収支やプライマリーバランスへの影響はないと考えております。
 また、県債残高についても県がコントロールできる通常債の残高を1000億円程度削減することを目標としており、臨時財政対策債の発行可能額が減少しても中期財政計画の改革の取組を進めていくこと自体に直接的には影響しないと考えております。
県としましては、中期財政計画に基づく取組を着実に実行して、持続可能で健全な財政基盤の構築にしっかりと取り組んでまいります。

○鈴木(澄)委員
 臨時財政対策債については、地方としてもこれまでずっと国に申し上げてきて、ここにきてゼロになりましたが、国の動向等は本県の中期財政計画にも非常に大きな影響を与えると思います。
 今回ゼロになったことが特例ではなく、今後も地方交付税で賄っていけるのであれば地方としては一番ありがたいわけですが、地方6団体の不安はいわゆる103万円の壁も含めた恒久的な見直しによって、地方財政が厳しくなることが当然あり得るということです。
 そういうことを意識しながら、国の意向だけでなく中期財政計画の中で臨機応変に対応できるのかどうか。10年の計画ですが、今回の臨時財政対策債の変化をどう捉えるべきか見通しが分からなくてお聞きしました。
県の財政を預かってる皆さんはしっかり予想が立てられると思いますので、敏感に捉えて対応していただきたいと申し上げておきます。

 次に、総務委員会説明資料17ページ、中期財政計画の策定について具体的に聞きたいと思います。
 まず、令和7年度当初を基にしたプライマリーバランスの機械的な試算についてです。年度ごとの変動がかなりありますよね。令和16年度には落ち着く試算になっていますが、その後も変動はあるだろうと思います。今後社会保障費が増えていくとの説明が先ほどありましたが、なぜプライマリーバランスが隔年で変動する試算になっているのか説明頂きたいと思います。

 あわせて、今後の対応として地方税財源の充実強化を国に提言するとあります。国にどのような提言をしていくのか、現時点で分かる範囲で御答弁頂きたいと思います。

○鈴木財政課長
 まず、プライマリーバランスが年度によって変動する大きな要因は、食肉センターや新県立中央図書館の整備、県立学校の老朽化対策などの投資的経費が多い年度と少ない年度があることによるものでございます。

 次に、地方税財源の充実強化に関する国への提言についてです。
 国の地方財政対策により一般財源総額が据え置かれている中で、社会保障経費など歳出の増加を歳入で賄い切れないことが大きな課題だと認識しております。国に対しては、地方の持続的な行政サービスの提供に必要な税財源をしっかり確保できるよう、国と地方を通じた中長期的に安定的な税財政の枠組みの構築や必要な一般財源総額の確保について引き続き強く求めてまいります。

○鈴木(澄)委員
 次に、別添資料2の中期財政計画7ページ、(3)課題について伺います。
まず、本県を牽引・創造する取組とはどのようなものを想定しているのかお聞きします。

 2点目は、大災害発生に備える財政的余力の確保について、財政的余力という言葉の説明を求めます。

 3点目は、県債残高の抑制について、本県は防災に対する投資が多い事情があります。県債残高の抑制は確かに重要ですけれども、県民の命を守る観点とのバランスはどう考えているのかお聞きします。

○鈴木財政課長
 まず、本県を牽引・創造する取組につきましては、主に経済力を向上する取組、具体的には中小企業の経営力向上や新たな産業活力の創出に向けた成長産業の育成、企業誘致の強化のほか、観光業や農林水産業の振興にも取り組んでいくことを念頭に置いております。

 次に、財政的余力の確保については、大規模災害発生時には災害からの復旧・復興のために多額の財政出動が必要となることから、財政的余力を持つことが必要と考えております。具体的には財政調整用基金など財源対策として活用可能な基金残高をしっかり確保していくことや、復興に必要な建設事業を実施できるよう実質公債費比率などについても国の基準を超えないことが必要だと考えております。

 3点目の防災に対する投資が多い本県の事情を踏まえた投資的経費の在り方については、全ての経費を一律に扱うのではなくしっかり中身を見て優先順位づけや効率的な手法の検討などが必要だと考えております。

○鈴木(澄)委員
 分かりました。
 まずは、稼ぐ力をつけなければいけないとのことでスタートアップなどの新しい活力も含めてどう底上げしていくか、具体的に数値として成果が現れる施策の展開をお願いします。
防災と投資とのバランスについては中身を見てとの答弁でした。しかしながら、将来世代に過度な負担を負わせないという言葉が気になります。それは当然だと思いますが、大災害から将来の県民の命を守る目的は先行投資として容認できる部分があると思います。財政的な背景を持って、基準をつくった上で、投資的経費の水準を適正化していただきたいと思います。ここまではできるという基準が分かりやすくないと県債を減らすことだけが先行してしまいます。防災県として取り組んできたこと、今後やらなければいけないことも含めてやり残していることはまだまだたくさんあります。
県民をもっと安全に守っていかなければいけないことを踏まえた数字の出し方が必要だと思っています。ぜひとも御検討頂きたいと思います。

 次に、説明資料の47ページです。
 令和6年度の県税及び地方譲与税の収入は6124億円を見込み、当初予算から438億円の増額となる補正予算を計上しています。主な税目の状況と増額理由を伺います。

 あわせて、説明資料46ページ、令和7年度の県税及び地方譲与税の収入予算は令和6年度当初予算を442億円上回る6128億円を計上していますが、これはどのような状況を想定して算定したのか。また主要な税目の特徴について伺います。

○本橋税務課長
 令和6年度の県税の主な税目の状況は、法人二税が企業収益の改善により当初予算を186億円上回るほか、個人県民税が投資信託の運用実績の改善や株式売買高の増加等により75億円、地方消費税が88億円当初予算を上回ると見込んでおります。
 一方、軽油引取税が物流の効率化の進展に伴う軽油需要の減少などにより10億円下回ると見込んでおります。
また、特別法人事業譲与税が企業収益の改善に伴う全国譲与総額の増加により96億円の増収となる見込みであります。

 次に、令和7年度の県税等の収入見込みでございます。令和6年12月の政府月例経済報告では、景気は一部に足踏みが残るものの緩やかに回復しているとの基調判断を維持しており、海外景気の下振れや物価上昇等のリスクはあるものの緩やかな回復基調が継続するとの想定の下で算定しております。
 主要税目のうち、法人二税については円安影響の継続や金利の上昇などにより製造業、非製造業ともに企業収益の改善が見込まれます。
個人県民税については、均等割・所得割の増加に加え、株式等譲渡所得割、配当割も堅調に推移することから前年度を上回ると見込んでおります。
 また地方消費税については、マグロや液化天然ガス等の輸入取引額の減により貨物割の減少が想定されるものの、個人消費の伸びにより譲渡割の増加が見込まれることから、全体では前年度を上回ると見込んでおります。
 今後、アメリカの関税の影響や物価上昇等のリスクも考えられることから、経済状況等を注視し、税収動向の把握に努めたいと考えております。

○鈴木(澄)委員
 物価高騰はまだ続くと思われ、また国外の大きな動きなど不安要素もあり、決して右肩上がりにはいかないだろうと思います。
不安要素に対する備え、それからいつ起きてもおかしくない南海トラフ地震に対する備えも必要な中での財政運営は大変だと思いますが、ぜひともよろしくお願いします。

 次に、説明資料10ページ、知事直轄関係議案の概要のうち、予算規模内容についてです。
企画部の歳出規模が143億円との説明がありました。組織改正前の部局ごとの内訳を見るとその他が79億円余りと半分以上を占めていますが、その他の内容について説明を求めます。

○大坪知事戦略局理事兼総務課長
 来年度、スポーツ・文化観光部の総合教育課と大学課が統合されて企画部に移管されます。企画部の組織改正前の部局ごとの内訳その他欄の額の多くは、静岡県立大学と静岡文化芸術大学への運営費交付金であります。

○鈴木(澄)委員
 次に、総務委員会説明資料20ページ、仮想空間分野の人づくり・仕事づくりの推進についてです。
前回の委員会でも質問しましたが、改めて3点伺います。
 まず1つ目は、バーチャルリアリティーに関するデジタル人材の不足と確保についてです。県内の人材不足とはどの程度の状況か、潜在的なものも含めて推測しているのかお聞きします。また事業の評価に関わってきますので、目標とする確保人数をお聞きします。

 2点目は、ICT・サービス関連企業の誘致に取り組む担当課はどこになるのでしょうか。誘致の具体的な手法と担当課の役割をお聞きします。

 3点目は、育成した人材の県内定着についてです。県の寄附講座を担当する県内大学及び専門学校等で育成した学生が、本県に定着することが大事です。このための取組をお聞きします。

○曽根デジタル戦略課長
 仮想空間分野における人材がどれくらい不足しているかまでは追い切れていませんが、令和5年度においてICT人材を確保している県内企業の割合は約56%で、4割強の企業がICT人材を確保できていない状況です。このような中、産業界で広く活用が進められている仮想空間分野の市場が伸びていることもあり、仮想空間をデザインする技術を持った人材の育成に着手したところです。本事業は県内就職者数の増加を目標に進めております。

 次に、3点目の県内定着に向けた支援について先にお答えいたします。学生と県内企業等が交流、共創する場としてコミュニティーの形成に取り組んでいます。今年度立ち上げたこのコミュニティーには情報通信業や製造業、サービス業など幅広い業種の方に参画頂き、イベント開催などで学生や他業者との交流等も進めています。今後学生と県内企業等の連携プロジェクトも新たに実施してコミュニティーの充実を図り、育成した人材が県内へ定着するよう取り組んでいきます。

 最後に、2点目の関連企業の誘致について、人材を育成して県内に定着させるためには、当然受皿となる企業を増やしていかなければいけません。我々が進めている人材育成の取組について、ICT・サービス関連企業の誘致に取り組んでいる総合政策課と連携し県内定着を進めていきたいと考えております。

○三浦フロンティア推進室長
 総合政策課では、女性や若者が働きたいと思える業種・分野としてソフトウエア関連企業やデザイン、ゲーム、アニメの制作会社などを対象に首都圏企業のリストを作成し、令和5年度から東京事務所に企業誘致専任員を配置して積極的に誘致活動を展開しています。
その中で、本県に進出した企業が優秀な人材の確保に苦慮している課題が浮き彫りになったことから、デジタル人材の育成、確保のためのマッチングイベントの開催などにも取り組んでおります。今後もデジタル戦略課と連携し、本取組を推進してまいります。

○鈴木(澄)委員
バーチャルリアリティーも含めてICTの関係企業が来てくれる。しかしそこに人材がいなければ、企業としては静岡県に来た意味がないとなりかねない。企業誘致と人材育成は連携する必要がありますが、人材育成には時間がかかりタイムラグが出ます。この間をどう埋めるかについても考えていかなければいけない。県内で育成するだけではなく、ICTに関する専門的な教育を受けた県外にいる人たちが県内で仕事ができる仕組みのフォローやマッチングもぜひ考えていただきたいと思います。
 いずれにしても寄附講座をやっています。バーチャルリアリティーの専門的な教育を受けられることで人は集まるかもしれませんが、県民の税金を使っているのであれば県内企業に定着していただける仕組みはしっかり構築しなければいけない。ぜひ目標を立てて取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、説明資料24ページのうち、多文化共生推進月間の新設について質問します。
 県民への広報や啓発も必要だと思いますが、どういう効果を得ようとして取り組むのか、目的と関連する事業の内容、また市町との連携についてお聞きしたいと思います。

○石井多文化共生課長
 多文化共生推進月間は、県民の皆様の多文化共生意識の醸成のために、県と市町が一体となって多文化共生の機運を盛り上げるために行いたいと考えております。
 期間はこれから決定しますが、県の多文化共生推進基本条例を12月に制定していますので、12月を推進月間とし、11月にプレイベント、1月にポストイベントという形で行いたいと考えております。
 内容についてはシンポジウムや公開講座、また今5番委員から御指摘のあった広報については例えば県内大学の美術関係、デザイン関係の学生とコラボレーションした広報媒体の作成等を考えております。県内では既に多文化共生のイベントを開催している市町もありますので、時期が合えば関連イベントとして一緒に広報したいと考えております。
 また、市町との連携については、5番委員御指摘のとおり外国人県民が実際に居住する市町の役割が大きいため、県としては市町に伴走してそれぞれの市町が抱える外国人県民に対する課題を把握し生活環境を整備していくことが重要と認識しております。
県と市町が共通課題を検討する行政経営研究会に、今年度多文化共生をテーマにした検討会を設置しました。昨年8月と今年2月に検討会を実施し、令和7年度も継続して開催しますので、市町との貴重な意見交換の場とし、今後も市町と連携してよりよい多文化共生施策を進めていきたいと考えております。

○鈴木(澄)委員
 県民への啓発としては、地域にいる外国人との交流が一番分かりやすいと思います。今の答弁にはありませんでしたが、恐らく検討されていると思いますので、県民全体に広がるように取り組んでいただきたいとお願いして質問を終わります。

○勝俣委員長
 ここでしばらく休憩します。

( 休 憩 )

○勝俣委員長
 休憩前に引き続いて委員会を再開します。
 質疑等を継続します。
では、発言願います。

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