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委員会会議録

委員会補足文書

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令和5年11月地域公共交通対策特別委員会
一般社団法人静岡県バス協会 専務理事 堀内哲郎氏 【 意見陳述 】 発言日: 11/21/2023 会派名:


○堀内参考人
 平素は、バス事業に多大な御支援をいただきまして、誠にありがとうございます。この場をお借りしまして御礼を申し上げます。
 本日は私から、地域公共交通の現状と課題、そして今後の公共交通につきまして、僭越ではございますが、御説明をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まず、1枚おめくりいただきまして、静岡県バス協会の概要につきまして、先に簡単に説明をさせていただきます。
 静岡県バス協会の会員の構成率でございますが、静岡県内には86社のバス事業者がございまして、そのうちの72社がバス協会に加盟しております。83.7%の加盟率となっております。
 車両数で見てみますと、車両数が県内全体で1,315両のところ、1,306両のバス車両がバス協会に加盟しています。これは乗合バスに限っております。
 その次に貸切バスでございますが、貸切バスは1,100両中1,035両、94.1%の車両がバス協会の車両となっております。
 しかしながら、車両数につきましては、新型コロナの影響によりまして、大幅に減少しております。一番下に、車両数の推移と書かさせていただいておりますが、2018年のコロナ前に比べて、2022年に参りますと、約20%程度の車両数が減少している状況となってございます。
 会員事業者数76社、そして2,358両と申し上げましたが、バスを保有しない車両会員を含んで76社という形になっております。いわゆる親会社の静岡鉄道、伊豆箱根鉄道、富士急行、東海自動車の4社を含んで76社になっておりまして、実質のバスを持っている事業者数は72社ということになります。
 その下に書かれているのが、乗合と貸切の兼業事業者、いわゆる旧鉄道系の会社でございまして、乗合バスと貸切バスと両方やっている会社が18社で1,776両、乗合事業だけをやっている会社が3社で27両、貸切バスだけをやっている会社が48社で541両、特定専業事業者というのは、いわゆる荷主が特定している事業者でございまして、例えば葬儀の共バス、こういったものだけをやっているバス会社でありまして、3社で14両という形になっております。
 次のページを御覧ください。次に、乗合バス事業者の現状になります。
 静岡県内の乗合バスの輸送人員と運送収入は、新型コロナにより大幅に減少しております。これは利用者の行動変容であったり、リモートワーク、また自転車、マイカーへの転換といったような理由が大きいかと思います。
 乗合事業で、定期観光、高速バスを除きますと、2018年度、輸送人員が7498万3000人だったものが、2022年度では5841万2000人と、20%少し減っている状況となっております。運送収入についても同様でございまして、2018年度比で78%という減少でございます。
 その下に2023年度、直近の輸送人員を書かさせていただいておりますが、4月が単月で2018年度比で78%、5月が単月で83.8%といった状況でして、なかなか85%の壁が破れないといった状況になっておるところでございます。
 次のページを御覧ください。これは日本全体のバス事業における収支状況の資料でございます。これは日本バス協会の資料となってございまして、左側が一般乗合バス、右側が貸切バスとなっております。
 一般乗合バスにつきましては、コロナ前でも収支が赤字の状況がずっと続いておりました。コロナ禍になりまして、赤字が大きく広がっている状況になっております。
 一方で、貸切バスを見ますと、コロナ前は若干プラスの状況にはなっております。平成26年4月に、貸切バスについては運賃の下限が定められたというところがございまして、平成26年、27年と収支はプラスという状況となっております。しかしながら、インバウンド等が増えまして、事業者数も増えたところから、若干減少傾向になっていたというものでございます。そこで、コロナが始まってからは需要が蒸発してしまいまして、大きなマイナスになっております。
 下に書かれてありますが、コロナ禍3年間の累計収支額は、乗合バスで約4000億円、貸切バスで約400億円の損失となっています。これは日本バス協会が発表している資料となります。
 次のページが、乗合バス事業の経常収支率の表になります。これは国土交通省の資料でございまして、青いグラフが大都市部で、赤いグラフがその他地域で、総合して計という形になっております。
 新型コロナ前までは、大都市につきましては、経常収支率は黒字の状況が続いておりました。しかしながら、コロナで落ち込んでいるという状況でございます。地方部につきましては、新型コロナ前もずっと赤字の状況でございました。この赤字部分というのが、いわゆる高速バスであるとか、貸切・観光バス等の収益で内部補塡をしていたというものでございます。コロナ禍におきまして、その内部補塡ができないといった状況に陥ってしまっているのが現状でございます。
 次のページは、静岡県内だけを抜き出した、乗合バス事業の経常収支率になります。
 静岡県内の乗合バス車両の保有車両数が30両以上ある事業者のうち、いわゆる期間内に分社・合併等がない統計が取れる事業者6社を集計したものとなっております。
 例えば、収支率がA社の場合は、2018年度が96.8%だったものが、2022年度では83.7%というふうに、経常収支率がさらに下がっている状況になっております。
 F社については、70.5%から58.2%まで経常収支率が下がっているといった状況となっております。これにつきましては、いわゆる補助金をもらっても、黒字にはならないといった状況でございます。というのは、バス事業者の赤字の額と、いわゆる補助金の額に差が生じているところから、バス路線維持に必要な額がバス事業者に支援されていないといった状況となっているのが現状でございます。
 次に、バスの運転者の推移でございます。これは全国ベースの数字でございまして、よく新聞情報で、2030年にはバスの運転者が3万6000人不足しますよということがうたわれております。その基になった表になっております。
 2022年度が調査年となっておりまして、下の表にあるように、2022年度は運転者数が11万3000人、必要人員が12万1000人、つまり7,000人不足していますというのが2022年の数字でございました。その前年が2021年になりまして、2021年の運転者数は11万6000人、つまり1年間で11万6000人から11万3000人まで減っているといった状況のトレンドで、右下がりになっておりまして、2030年には、運転者数は9万3000人になるでしょうという表になっております。
 そして、2022年で7,000人不足しているものが、2024年、これは2024年問題と申しまして、運転者の残業期間の規制等が始まりますので、その時点で2024年4月では、必要人数が12万9000人必要となります。その差の2万1000人不足するというものでございまして、必要人員を12万9000人そのままと想定しますと、運転者数の減少のトレンドによって、2030年には3万6000人不足するといったような表になっております。
 次のページを御覧ください。次に、静岡県内の乗合バスの運転者の推移を見てみます。
 静岡県内の乗合バス事業者の運転者数も減少しております。これも先ほどと同じように、静岡県内の乗合バス車両数30両以上の事業者のうち、統計が取れる事業者6社を集計したものとなっております。
 2017年度末で、A社には415人の運転者がいたものが、2022年には379人と、だんだんと減っています。乗合バスの運転者は、2017年度比でほぼ2割減少しています。
 そのような中で、2024年問題。改善基準告示というものがございまして、ハンドル時間であるとか拘束時間であるとか、インターバル時間、こういったものが定められているものでございますが、それが変更になりまして、それに対応がなかなか難しい状況になっております。したがって、廃止であったり、減便が今後の課題になります。
 バスはホワイトと書かれておりますが、そもそもバス事業につきましては、そういった改善基準告示という厳しい告示があるものですから、それに従ってやっているので、今現在は違法状態にはございません。その中で2024年問題が来ると、そこからその分、減便せざるを得ないという状況になっております。
 一番下に参考に、タクシー運転者数の推移も調べてみました。タクシー運転者数についても、2017年から2022年に比べて1,520人ほど減少している状況でございまして、いわゆる自治体市町が取り組んでいるデマンド乗合タクシーも、今後は運行ができない状況になるおそれがあるといった状況になってございます。
 次のページを御覧ください。これは大型二種免許保有者数の推移でございまして、警察庁の交通局運転免許課が出している免許統計の数字となります。左側の表が大型二種免許保有者数の年別推移でございまして、2018年から2022年に向けて、毎年、大型二種免許保有者数が減少している状況となっております。
 女性については、2018年から2022年まで若干増加している状況になっております。いわゆるバスの女性ドライバーが少しずつ増えているといった状況があるかと思っております。
 右側の表は、大型二種免許の年齢別の保有者数の表になっております。全体で80万人いる中で、60歳以上が47万人以上いるという状況になっておりまして、今後は実際に運転ができるドライバーが年々減少していく状況になっており、大型二種免許保有者数が足りない状況となってございます。
 次ですが、参考と書いておりますが、皆さん御承知のことだと思いますが、現状をおさらいという意味で書かさせていただきました。
 乗合バス事業につきましては、いわゆる収支が悪化しますと、単独継続困難の申出をするというルールになっております。その単独継続困難の申出をすると、市町で、それに対してどういった対応をするかということを議論しまして、補助金の支出決定をするのか、また補助金の増額をするのか、それとも、その他支援として、利用促進策をやるのか、あるいは乗車券等を購入して支えるのかというような対応をしていただくということになります。
 その結果でございますが、そのバス路線を維持していくのか、またもう少し継続して協議を図っていくのか、赤字が拡大して維持が困難になっていくのかという状況になるかと思います。
 それで、赤字拡大で維持困難になりますと、その下になりますが、バス事業者は路線退出の申出をします。いわゆる収支の悪化がひどくなり、また運転者も足りなくなってしまった状況で、路線を退出したいという申出をします。
 それに対して、市町の対応としましては、路線を廃止した場合の代替案の調整を図ります。いわゆる利用者と意見調整して、この路線は廃止していいのかどうかという議論をすることになるかと思います。ここに市町の政策判断があるわけでございますが、その結果として、もう廃止はやむなしですという場合と、いわゆる自主運行バスというものを市町で主体的に走らせて、いわゆるコミュニティバス化するというような状況になるかと思います。
 そこで、中段になりますが、自主運行バスを運行することになりますと、その自主運行バスは、市町が自主的に運行しますので、自由に運行概要を決定でき、自由にコーディネートできるようになります。路線もどこを走らせてもいいですし、車両もどんな車両でもいいし、運行回数も増やしても減らしてもいいし、バス停の位置の変更も可能、また運賃の変更も可能と、今、こういった法的な制度になっております。
 そういうコーディネートしたものに対して、運行事業者を決定していくわけですが、入札等が行われまして、乗合バス事業者、もしくは貸切バス事業者が参入することもございます。市町が自家用バスでやるというようなケースもあるかと思います。
 そうしたコミュニティバス化された自主運行の運行実証実験を踏まえて、運行開始します。自主運行バスになりますと、県の自主運行バスの補助が得られます。また、国のフィーダー補助というものもございます。しかしながら、運行経費は利用者が伸びないために拡大していく可能性はございます。
 下になりますが、その結果として、利用者が増加しない場合であったり、運行経費だけが増加してしまう。結果的に収支率が悪化します。バスを小さくしようとダウンサイジングしても、経費はそんなに変わらないというような状況、またそういった経費をかけることに対して、バス路線維持の住民の理解が得られないといった状況に陥るケースがございます。
 では、次に考えるのが、デマンド化。予約制で走らせたらどうかというようにデマンド化に変更されていきます。
 次のページでございますが、デマンド化された場合は、乗合タクシーというケースになります。乗合タクシーには、定時定路線型とデマンド型がございます。定時定路線型については、いわゆるバスの小型化ということで、ジャンボタクシーで運行するケースとなります。デマンド型につきましても、いわゆる乗降場所、バス停を固定しておきまして、そのバス停間をデマンドタクシーで移動するもの。また、乗降場所を決めておきまして、自宅と乗降場所間、目的地間をデマンドタクシーで結ぶもの。それから、ドアtoドアで、地域を特定して、このエリア内であれば、どこからどこまででも自由に運行できるのがドアtoドア型と、乗合タクシーも大体こういった3つぐらいの形があるかと思います。利用者につきましては、事前登録制になってございまして、予約制により運行するという形になります。
 デマンド乗合タクシーを導入している自治体も数多くありますが、それについては、いわゆるタクシーの運賃料金、タクシーの運賃、時間制・距離制運賃でそのまま借り上げるケースがございます。その場合には、乗合率が低いと市町の負担が増加することになります。つまり1回当たりの運賃を決めておきますので、たくさん乗れなければ、自治体の負担が大きくなるというものになります。そうなってきますと、タクシー利用券を交付している場合との差は余り変わらないのではないかという状況になっております。
 次に、一般乗用タクシーをそのまま活用している自治体もございます。これにつきましては、利用者と利用時間帯、目的地を特定しまして、定額で運行する。タクシー運賃との差額を自治体で補助するという仕組みになっております。いわゆるタクシー利用券の交付との差はほとんどないというような状況になっております。
 それから、自家用有償・無償運送がございますが、これについては、市町またはNPO等が主体となって運行しております。有償運送で行う場合には、国交省の登録が必要になりますが、無償運送は法的手続が不要という状況になっております。
 次でございますが、そんな中で、いわゆる課題と考えますと、今までバス事業者が主体で公共交通を維持してまいりましたが、これはバス事業者が事業許可を取って、事業運賃認可を取って、事業性を考慮した一定間隔でバス停設置等をして、公共交通を維持してきました。しかしながら、マイカーの普及であるとか人口減少、少子化・高齢化や利用者の減少によりまして、バス事業者主体での運行が困難となっている状況でございます。いわゆる補助金をもらっても対応が不可能という状況になっております。
 したがって、自治体が公共交通に関わることになります。そうなると、住民の公平性の観点から、きめ細かい移動サービス支援が求められることになりまして、市町自主運行バス、コミュニティバス、デマンドタクシー等をやりましても、最終的にはラストワンマイルといった、家から出て家まで帰るまでの移動についての対応も求められるようになってきております。そうなると、自治体の公共交通に係る予算の増大というのが、今現在の課題かと考えております。
 ここで、私も国交省の出身ということもございまして、御承知のところもあるかと思いますが、簡単に今現在の国交省の取組を説明をしたいと思います。
 地域公共交通活性化及び再生に関する法律、今まで地域活性化再生法と呼ばれていましたが、今年の10月に一部改正がございました。
今後、地域交通法と呼びましょうと言われておりますが、その改正の内容としては、背景が上段に書かれております。地域公共交通は、地域の社会経済活動に不可欠な基盤、人口減少や少子化、マイカー利用の普及やライフスタイルの変化等による長期的な需要減により、引き続き多くの事業者が厳しい状況。加えて、新型コロナの影響により、一気に10年以上時間が進んだとの見方もあるほど深刻な状況と書かれております。
 そのような背景の中で、2つ目でございますが、自動運転やMaaSなどデジタル技術の実装をする交通DX、車両電動化や再エネ地産地消などの交通GX。それと3つの共創と言われていますが、官民の共創、交通事業者間の共創、他分野共創の3つの共創。すなわち、地域の関係者の連携と協働を通じて、利便性、持続可能性、生産性を高めて、地域公共交通のリ・デザインを進めるとしています。
 交通DXとしては、自動運転やMaaS、交通GXとしては、車両電動化や効率的な運行管理を通じて、エネルギーマネジメントの推進。3つの共創としましては、官民の共創は、官と民が一緒になって交通サービス水準を維持しようというもの。それから、交通事業者間の共創では、複数の事業者による共同経営などを展開するもの。他分野を含めた共創では、交通と医療であるとか、介護とエネルギー、教育などとの共創を進めるということとしています。それを総称して、地域公共交通のリ・デザインと今呼んでいるところでございます。
 この3つの共創について少し触れたいと思います。次のページを御覧ください。
 これは地域公共交通リ・デザインに関する令和4年度の補正予算と5年度の予算になります。
 地域公共交通確保維持改善事業としましては、令和4年度補正で415億円、令和5年度予算で207億円計上されていますが、地域公共交通確保維持改善事業につきましては、運行費の支援や公共交通のバリアフリー、公共交通計画の策定支援など、今までどおりの支援事業となっております。
 今回新しく創設された事業としまして、エリア一括協定運行事業が創設されております。これは地方自治体が事業者と協定を締結して、一定エリアの公共交通を一括して運行する場合の補助制度になっております。
 詳しくは15ページになりますが、エリア一括協定運行事業でございまして、自治体と交通事業者が複数年かつエリア単位で、黒字路線も赤字路線も一括して協定を結ぶことによりまして、国が複数年にわたって定額支援を担保する仕組みとなっております。
 要件的には下の図のように、交通手段が様々重複しているものを、路線統廃合のように集約して、いろいろな交通モードについて、効率的な運行を図り、利便を増進するという計画となります。
 これは特に新しい補助制度ができたというものではございませんが、ポイントとしては、複数年の運行を保障するというもので、複数年の支援額が担保される仕組みになっております。したがって、協定期間中に収益が改善された場合には、交通事業者の収益も上がる仕組みとなっております。
 公共交通をそれぞれインフラと位置づけて、公的支援を活用するものでございまして、長期間のサービス保障を国が支援していくものになっております。
 次は16ページでございますが、これはつい最近、9月29日に北陸信越運輸局がプレスリリースしたものでございます。エリア一括協定事業の全国初の認定が行われたというものになります。
 松本地域公共交通利便増進計画が認定されております。この利便増進計画というのは、交通ネットワークの再編であるとか、ダイヤ・運賃などを改善することによって、より利便性が高い運送サービスの提供を図るための計画になっております。この計画に基づく利便増進事業に国の支援が得られるというものになっております。この利便増進計画にエリア一括協定運行事業が含まれていることで、初の認定となったというものでございます。
 その内容が次のページ、17ページでございまして、松本地域公共交通利便増進実施計画エリア一括協定運行事業となっております。
 松本地域におきましては、地域公共交通をインフラとして捉え、行政が主体となった路線再編や系統の新設等を実施しております。いわゆる交通事業者が主体でなく、行政が主体となっているところがポイントかと思います。
 交通事業者は、プロポーザルにより選定しまして、5年間にわたり負担金を支出する公設民営型のバスネットワークを行おうと言っております。
 事業の内容としましては、複数路線が運行する区間は重複を解消、長大路線は分割、既存路線のルート変更で効率化を図るというものでございます。
 また、通勤通学などの地域ニーズに応じた、朝夕時間帯の増便や新しい系統の新設なども計画しております。さらに、キャッシュレス化といったDXも推進するものとなっております。
 次に18ページでございますが、今申し上げましたエリア一括協定を含まない利便増進計画は、全国でも58地域が認定を受けておりまして、静岡県では沼津市と富士市が認定を受けております。
 18ページは、沼津市の地域公共交通利便増進実施計画で、令和4年2月に認定を受けています。主に複数のバス事業者からなるバスネットワークを、より利便性の向上を図る目的での計画となっております。実施予定期間は、令和4年度から7年度までとなっております。詳細は割愛させていただきます。
 19ページは、富士市の利便増進実施計画でございます。これにつきましては令和5年、今年認定を受けたものでございまして、令和5年度から8年度で、主に路線の再編、集約により利便性向上を図る計画となっております。詳細は省略させていただきます。
 20ページでございますが、先ほどの3つの共創のうち、2つ目は交通事業者間の共創でございましたが、3つ目が、他分野を含めた共創ということになります。
 この他分野を含めた共創が、地域の公共交通リ・デザイン実現会議において議論が始まっているものでございます。令和5年9月から始まっておりまして、いわゆる関係省庁が連携して、デジタルを活用した交通デザインと地域の社会的問題を解決するための会議ということになっております。
 9月と10月に2回開催されておりますが、国土交通大臣が議長になって、内閣府であるとか、警察庁、総務省、文科省と複数の省庁が一堂に会した会議となっております。21ページ以降が、10月に開催された2回目の会議資料となっております。
 22ページ以降は、想定される関係者の共創の方向性が複数示されております。
 22ページは、文科省の教育・スポーツ・文化分野での共創になっております。
 23ページは、介護と福祉分野の共創になっています。これは考える方向性としては、先ほどと同様、各種施設の送迎サービスに係る地域公共交通との連携、連動となっておりまして、いわゆる送迎サービスを公共交通事業者への委託であるとか、送迎サービスを行っている車両、ドライバーを空いている時間帯に他の輸送資源に活用できないかというものになっております。
 24ページが、農林水産分野との共創です。これは考えられる方向性としては、農泊施設へのアクセスを改善するために、地域公共交通と連携、連動して、二次交通に向けた工夫が検討できないかというものになっております。
 25ページは、新たな車両、ドライバー確保等の関係となっておりまして、いわゆる警察庁との共創の中で、高齢者や子育て世代が安全・快適に移動できる手段として、三輪電動アシスト自転車等、新たな車両ができないかとか、バス・タクシードライバーの確保に向けて、二種免許特例講習の活用や、二種免許取得費用支援の活用、AT限定大型免許の導入の検討などをしております。
 以上、複数の部署との考えられる方向性が示されているわけでございますが、いずれにしましても、多様な関係者による共創を進めるために、地方自治体が自治体内で交通政策部局と他の関係部局と連携が図れるかとか、都道府県警察や地方運輸局との連携が推進できるかが課題となっております。
 次に、26ページでございますが、これは国土交通省の令和6年度予算のうちリ・デザインに対する支援となっております。官民共創プロジェクトの推進、DX・GXの基盤強化、エリア一括協定への長期安定的な支援、バス運転者の職場環境、人材確保対策の強化としております。
 以上、長々と国土交通省の方向性を話してしまいましたが、本日のまとめといたしまして、公共交通と言われておりますが、実は民間会社が経営しているものでございまして、公共事業ではないというわけでございます。
地域公共交通は、民間事業者が主体となって維持しております。乗合バス事業が赤字であるにもかかわらずというところでございますが、やはりバス事業者としては地域の足を守るため、地域のブランドを守る、また自分の会社の乗務員の雇用も守らないといけないという状況がございまして、バス事業の収支構造としては、乗合バスの赤字を貸切や観光バス等の利益で内部補塡をしてきたものでございます。
 しかしながら、自治体の補助は、赤字路線の系統のみの補助しか頂けないということで、その補助金だけでは事業としては黒字にならないといったものになります。
 さらに、新型コロナ禍によりまして、内部補塡ができないこともございます。地域交通のもろさが顕在化してきてしまっているのが現状でございます。
 現在、地域公共交通は民間事業者の努力では維持が不可能となっております。したがって、地域公共交通は公共事業にシフトしていくほうがよろしいのではないかと考えております。
 今後の地域公共交通としましては、市町をまたがる路線、いわゆる地域幹線系統は引き続き国や県の御支援をいただきながら維持していく方向性で進めていきます。
 また、高速バス等の都市間輸送につきましては、今後の乗合バスの大きな役割になるかと考えております。
 また、インバウンドの対応であるとか、鉄道の代替であるとか、災害の輸送手段として、都市間輸送はなくてはならない輸送モードになると考えております。したがって、こういった方向性でバス事業の維持が図られればと考えております。
 一方で、市町やその周辺地域で完結する交通ネットワークにつきましては、バス事業者だけでは維持が困難であることや、タクシーを含め他業種、多数の関係者が存在することから、その地域全体で交通ネットワークを構築する必要があると考えておりまして、市町のパッケージと書かさせていただきましたが、自治体が主体となって、自治体内の関係者と共創して、いわゆる公設民営というような方向性で進める必要があると考えております。
 市町内の路線バス、コミュニティバス、乗合タクシー、デマンド交通、自家用有償運送等、あらゆる交通モードを活用して、いかに効率的なネットワークを構築するか。そのためには、乗合バス事業者だけではなく、いわゆる貸切バス事業者、一般タクシー事業者、自家用有償事業者等と連携した取組であり、協定が必要になると考えております。また、市営バス等に移行して、管理の受委託という方法も可能かと考えております。
 そして、タクシー事業は正規の事業といたしまして、一般タクシーや観光タクシー、また早朝・夜間等の対応ができる環境を構築しなければならないと思っております。
 そのような官民一体となった交通ネットワークを構築することが、利便性だけではなく、持続可能性につながりまして、そして生産性につながると考えております。そのような環境が整ったところで、いわゆる本来のMaaS、いわゆる決済システムだけの話ではなくて、本当の意味でのMaaSが実現できるんではないかなと考えております。
 次のページは、スライドには入っておりませんが、そういったいわゆる官民共創するためには、コーディネーターやプロデューサーが必要になるということで、コーディネーターやプロデューサーを養成するプロジェクトもスタートしているというところでございます。
 最後になりますが、まずは、どのような計画におきましても、担い手がいなければ進みません。今、まず何をしないといけないかということで、運転者、担い手の確保が最優先だと考えております。
 今、バス事業者各社におきましても、様々な採用活動を行っています。テレビコマーシャルであるとか、求職・求人サイトの活用、就職相談会の開催、バス運転体験会の開催。一方で、運転者の賃金改善であるとか、雇用条件、雇用環境の改善等々を行っております。
 バス協会におきましても、中部運輸局や静岡労働局の御協力を頂きながら、バス運転者に特化したバス運転者合同就職相談会、合同でのバス運転体験会などを行ってきております。開催すれば、ある程度の参加者がありまして、採用に至るケースはあるものの、採用人数はまだまだ足りない状況が続いております。
 また、実際採用しても、教育期間が必要なために、すぐに運転できるものではございません。養成運転者となれば、免許を取得するところから始めますので、運転できるまでには相当な期間がかかります。そのため、さらなる運転者確保の取組として、とにかく採用活動の機会を増やすことが必要だと考えております。
 また、運転者の魅力を発信できる機会も増やす。テレビや新聞広告などでの運転者の魅力を発信できる機会を増やす取組が必要だと考えております。
 また、雇用条件の向上は不可欠でございます。そのためには、皆様の御支援を必要としておりますので、何とぞ御協力をよろしくお願いいたします。
 そして、できれば先ほどの市町パッケージとつながりますが、バス運転手だけではなくて、あらゆるモードで人材不足と言われておりますので、事業用、自家用、バス、タクシー問わず、公共交通を維持する担い手を増やすことが早急な課題だと考えております。
 人を運ぶという仕事は、まだまだバス1台、タクシー1台、自動車1台に必ず1名の運転者が必要となります。市町内で交通ネットワークを維持するためにも、移動を担う人材が必要となります。そのためには公共交通の維持確保に皆さんが関心を持ってもらう取組が必要だと考えておりますし、静岡県内の公共交通に携わる全てのモードが参加できるような取組も必要だなと考えているところでございます。
 行政、事業者、NPO等が連携して、持続的に取り組むことが必要だと考えております。そういった企画を静岡県全体で、静岡県が主体となって開催していただけることを強く要望したいと思います。
 私が考える公共交通についての説明は以上でございます。御清聴ありがとうございました。

○宮沢委員長
 ありがとうございました。以上で、堀内様からの説明は終わりました。
 これより質疑に入りたいと思います。
 委員の方々にお願いいたします。質問はまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いいたします。
 それでは、御質問、御意見等がありましたら発言願います。

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