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委員会会議録

委員会補足文書

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令和元年10月多文化共生推進特別委員会
日本インターネットスクール協会 理事長 山下泰孝氏 【 意見陳述 】 発言日: 10/24/2019 会派名:


○山下泰孝氏
 ただいま御紹介いただきました、NPO法人日本インターネットスクール協会の理事長の山下と申します。
 手元の資料に基づいて、若干の訂正と補足を加えながら、説明させていただきます。
 外国人児童、生徒への学習支援の必要性と取り組みについて、虹の架け橋菊川小笠教室、志太教室、ふじのくに中央日本語学校を中心にお話をさせていただきます。よろしくお願いします。
 きょうの説明の流れですけれども、当協会の外国人児童、生徒の学習支援の歩み、それと虹の架け橋について、ふじのくに中央日本語学校について、そして、虹の架け橋教室や、リッキー・ガビリオ君の指導経験から、日本語を母語としない児童・生徒の日本語の初期支援について、お話をさせていただき、最後に運営面の課題について、御説明させていただきます。
 まず、当協会の外国人児童、生徒の学習支援の歩みについて、まずは日本人の不登校の解消を行ったことから、外国人の不就学の解消という事業に移った経過を説明します。
 1976年10月、私が二十歳のときですけれども、静岡大学在学中に、学習塾併設のサバイバル的な活動を行う有限会社を設立。その出資者の1人のアメリカ人の子女に日本語の指導を依頼されたことが、そもそもの最初のきっかけになります。
 2003年から約3年間、私が理事長を務めるNPO法人静岡県教育フォーラムが、文部科学省スクーリングサポートネットワーク事業研究を受け、不登校、ひきこもり等の解消について報告したことがきっかけで、後に虹の架け橋事業を文部科学省から委託されるようになりました。
 2009年10月には、当協会が県の多文化共生課の委託事業として、静岡県内一円の不就学実態調査を行って、そこで不登校の存在が中部地区で当時8人出たことから、虹の架け橋事業を受けるに至りました。
 先週の金曜日に、不登校、ひきこもり等を解消した人数が214人目になりまして、焼津の中3の子が学校に登校を始めたというのも、もう一方のNPOでやっております。
 次のページです。
 先ほど申しましたように、2010年の4月に、当協会静岡事務局が、文部科学省国際移住機関の委託事業である虹の架け橋事業を受け、虹の架け橋菊川小笠教室を菊川に開校しました。翌4月に、虹の架け橋志太教室を焼津市に開校しました。
 2012年の4月に、再び静岡県の多文化共生課の委託事業で、外国人の子供の不就学実態調査を全県下で行いました。
 2015年の3月には、虹の架け橋が5年の時限事業で終了したため、静岡県人材育成事業に応募して採択され、1年間、両教室を継続運営し、2016年3月からは、虹の架け橋菊川小笠教室は、菊川市、掛川市、御前崎市の3市と文部科学省の支援によって、継続運営しています。志太教室については閉校し、かわりにふじのくに中央日本語学校を藤枝市内に自主運営しています。
 次のページです。
 虹の架け橋の目的について、まず1番目に、一番大事なのが、日本語を母語としない児童、生徒の日本語の初期指導です。ほかに、基本的な生活習慣ができるようにする、平仮名、片仮名、小学校1年生程度の漢字の読み書きが理解できるようにする。容易な日本語での指示が理解できる、理解しようとする力を身につける。5つ目として、自分の気持ちや体調を、片言の日本語でもいいから伝えられるようにする。以上の状態になって、初めて公立学校に転入させるということを行っています。
 6番目に、2番目に大事なことなんですけれども、子供ばかりじゃなくて、保護者に、日本の学校の仕組みや規則、習慣、子供への教育、日本での生活等の指導をすることも大事な目的であります。
 子供たちは居住地区の公立小学校、中学校での学校生活を始めていきます。虹の架け橋での在籍期間は約3カ月から大体6カ月がめどで、学校に転入させています。入室対象なんですけれども、学齢期である小学校1年生から中学校3年生までが対象になっています。来日直後で日本語の簡単な指示が理解できない児童、生徒であって、中学校3年生については、来日時期によって、保護者と相談することもあります。
 次の経緯なんですけれども、冒頭申し上げましたとおり、表をごらんになっていただきたいと思います。現在、菊川小笠教室では、校納金として、送迎が必要な子は月1万円、送迎が不要な子は月8,000円いただいています。職員の自家用車で、職員全員が送迎しているため、その費用として校納金を充てています。今まで事故はありませんが、事故があったときは、職員が掛けている保険で処理することになっています。
 次が、これまで在籍した人数なんですが、ごらんの表のとおり、菊川、小笠、志太教室で、この9年間で合計623名を指導し、547名を公立学校に転入させていただきました。残りは帰国とか転居とか、あるいは就職になります。
 次の資料をごらんください。
 虹の架け橋をやっていまして、問題として、まず保護者の都合で来日していることが多くて、学習に前向きになれない子がいるということ。ブラジル人は金銭的な理由で、日本の学校へ通うことを希望する保護者も多いんですけれども、子供のほうは、どちらかというとブラジル人学校に通いたいという気持ちがあるんですね。フィリピン人の多くは、幼少期に保護者と離れ、その両親が日本での生活基盤が確立すると、子供を呼び寄せる。子供は両親と暮らすことがうれしい気持ちと、母国の友達と別れ、あるいは生活がよかったと思う気持ちが混在し、反抗的になっている場合が多いです。いずれにしても、両親の支えがないと、学習に前向きになれないことが多いです。
 母国での学習状況によって、母語の読み書きができず、日本語の習得において苦しむ子も最近はいます。日本語という第2の言語を習得するためには、第一言語である母語の読み書きができることが、日本語習得定着には必要です。その母語ができないと、基本的な言葉、思考する力の土台を持っていないことになります。例えば、母語でリンゴを何と言うかを知っていると、日本語でリンゴと言って何を指すかが理解できます。また、日本での生活が長くなると、母語で話すよりも日本語で話すほうが楽になってくる子供たちが多くて、母語を喪失し、保護者の日本語が片言な場合、親子で会話ができなくなるという事態が最近出てきています。当教室では、家庭での母語維持をお願いするようにしているんですけれども、やはり日本語の初期指導と並行して、特に小学校の低学年の母語指導ができる支援者が欲しいというのが現実です。
 学習の定着には、母国での学習習慣やその内容が大きくかかわってきます。平仮名の読み書きの定着に時間を要する場合に、母国での学習習慣がなかったためか、それとも発達に何か問題を抱えているか、判断してもらい、発達障害の場合は、専門の先生に指導を委ねたいというのが現実です。学習内容は、国によってその国でも住んでいた場所や学校のレベルによって違うために、特に算数学習においてみても、小学校高学年で繰り上がりの足し算や繰り下がりの引き算、あるいは掛け算の九九、あるいは小数や単位などがわからない子が非常に多いです。また、分数については、特に、フィリピンでは、分数については高等教育で学ぶことになっているもんですから、見たことないという子がやっぱり多いです。
 当教室で受け入れることができる児童、生徒は限られているため、ことしは実は待機をお願いしました。というのは、日本語を指導できる職員は現在3名です。昨年度、教室生徒数の最大が35名であって、各クラス11から12名となってしまいました。それぞれの学習内容に差があるために、個別の指導になっています。その場合、全員を同時に指導することができないために、指導が行き届かない子も出てしまいました。それを解消するために、1名当たり8名という指導が有効として、今年度は受け入れ人数を制限しています。限られた予算と場所で行っているために、その人数を超した場合は、保護者に事情を説明して待機してもらい、在籍児童、生徒が小学校及び中学校に転入した時点で入校を受け入れてきました。ただし、日本国籍を有する場合は就学義務が発生するために、待機することはできません。ようやく、来る11月11日の入校者から待機がちょうどゼロになります。今現在も待機の児童が5人ばかりいます。
 3教室しかないものですから、それで1人が8人を指導するとして、24人を定員としています。やはり指導が粗くなると、学校へ行って困ることがありますので、指導の効果を出すために、定員を設けさせていただき、そのかわり待機している間に、平仮名の宿題を出してあります。
 次のページです。
 課題として、子供たちが困らないように、先生方と連携を密にしたい。これは、学校の先生方との連携を密にしたいということです。彼らと毎日接している、日本語を母語としないというだけで、子供の本質は変わらないと感じていますけれども、学校現場の先生方で、外国籍児童、生徒にふなれな方だと、どう接してよいか困惑しているという話があります。初期指導だけでは、彼らを全てをカバーし切れないために、県のほうで、支援員をふやし、さらにその支援員の待遇も上げていただいて、子供が学校に転入してから困らないような支援をお願いしたいと思います。そうすれば、より一層、彼らの笑顔がふえるかと思います。
 母語がわからないと、自分が何者かわからなくなって、アイデンティティーが維持できなくなります。だから、そういう意味で母語の喪失はなるべく避けたいと思っています。彼らのアイデンティティーを維持するためには、家庭内では母語、学校では日本語で会話を続けるように促したいと思っています。母語の言葉と日本語の言葉の両方を正しく使える大人を育てることが、今後彼らの自己肯定感を高めることになり、人生も豊かになると考えています。
 次のページです。
 後でも述べますけれども、高校受験のチャンスを広げていただきたいと思っています。現在、静岡県の外国人選抜枠では、中学1年生以降に公立学校に在籍した場合のみ、外国人枠で受験できるんです。しかし、実際、学習が高度になる小学校の高学年以降に在籍した児童、生徒にも、この権利、資格が与えられると、進学を考えることができる児童、生徒はふえるのではないかと思っています。
 さらに、外国人選抜枠で受験することは可能なんですけれども、その枠が、ごらんのとおりに非常に少ないのが現実です。そのため、中学校では、進学先として私立高校を提案することもあるんですけれども、金銭的な理由で諦める生徒が多いです。また、高校に進学しても、高校での支援がないために、挫折してしまって、中途退学してしまう子も多く聞いています。高校進学率を上げることはもちろんのこと、高校卒業率、高校卒業後の正社員採用率を上げることで、彼らが日本で生活意欲を見出せると考えています。
 次の資料です。
 全ての子供に同じ学習環境を整えたい。来日したときに、どの都道府県、市町へ移住を決めるかによって、得られる学習環境が現在違っています。せめて、静岡県はどこへ行っても同じ支援が受けられる環境であればよいと思っています。
 例えば、当教室へ通うことができるのは、菊川市、掛川市、御前崎市の住民のみで、牧之原市では通うことができない。過去には、初期支援を受けるために、牧之原市から菊川市へ転居した児童・生徒も何人もいます。日本語が全くわからない状態で、公立学校で学習することは、子供たちのみならず、現場の先生方も困惑してしまうように感じています。
 次のページです。
 ふじのくに中央日本語学校について、先ほど申し上げたとおり、2016年で虹の架け橋志太教室が閉校しました。そのために、直接、公立学校へ行くことが不安な家庭のために、藤枝市瀬古にて、ふじのくに中央日本語学校を開校しました。委託事業でないために、家庭では授業料が3万3000円、送迎費8,000円の負担がかかります。虹の架け橋と同様に、職員が送迎しています。職員といいましても、私が送迎するんです。日本語指導職員は2名、教科指導は私1名で今やっております。こちらの学校のほうは、学齢期以上の生徒も受け入れているために、中卒認定試験、あるいは高校、大学進学等に向けての学習指導もしている生徒もいます。現在4名と提携の通信制高校生2名の児童、生徒が通っています。通常は8名前後が在籍しています。10名以上は教え切れないものですから、定員は10名とさせていただいています。
 在籍人数は、ごらんのとおり、一番下の欄、今まで3年間で指導した39名中20名を転入させ、3名を高校に進学させました。
 問題と課題、ここからはちょっと皆さんにお願いしたいんですけれども、特に、高校進学率が非常に低いんですね。失礼ながら、皆さん、静岡県の外国人の高校進学率というのは、御存じですかね。去年のデータでいくと、全国トップが神奈川県で64%なんですね。ところが、静岡県は16%です。外国人の高校進学率ですよ。全国平均は34%なんですね。ということは、静岡県はその半分以下ということになります。
 日経新聞の編集長である深沢正雪氏が、昨年、静岡新聞で、日本人と同じ進学率になって、初めて多文化共生だと言っていました。同感です。当校では、東京の世田谷にある科学技術学園高等学校の通信制eラーニングコースと提携した「うなぽるて」を運営し、現在、先ほど進学した3人のうちの2人が在籍しています。中部地区には、外国人の選抜枠を擁する高等学校が1校しかないために、進学を諦める生徒が多いため、開校しています。ここは、授業料が年間で何と10万2000円です。そういう特別提携をさせていただいています。でも、今来ている生徒2人は、家庭の収入のために、全額返されています。
 さらに、中学校の卒業後の進路に迷いがあります。外国籍及び外国にルーツがある生徒が中学校卒業後、働くことを選んだ場合、正社員での雇用はほとんどありません。派遣労働者になることが多いです。というのは、16歳、17歳の子供たちは、法的には残業や夜勤ができません。また16歳、17歳の子供たちは遊びたい盛りで多感な年齢であるために、欠勤することが多いんです。15、16、17歳の子供たちを採用してくれるところは、中部地区ではたった2社です。それも派遣会社とつき合いで採用している、やっと採用してくれるような状態です。中部地区、焼津市から牧之原市にかけて2社だけです。
 18歳以上の子供たちがつける仕事はありますけれども、高校を卒業していないために、やはり現実は派遣労働になっています。
 次の資料です。
 行き場のない子供たちということで、日本語の初期支援や中学校での十分な日本語の支援を受けることができなかった生徒は、日本語の会話や学習習得が難しい。その結果、現実に不登校になっています。
 以下の事例は、実はいずれも焼津市内の事例です。
 事例の1番、フィリピンの中学校卒業後に来日。日本語がわからずに、仕事につくことができなかった。それで、愛知県の豊橋の外国人青年の窃盗グループと出会い、バイクを盗み、検挙されました。当校で日本語指導の更生計画を立てまして、それが認められて、当校に在籍、1カ月後、愛知県に転居しました。2017年の例です。
 事例の2は、2018年の事例です。日本語がわからず、中学校で不登校になった。浜松の外国人の窃盗グループに合流し、自転車やバイクを盗み、検挙され、週1日のボランティアによる日本語指導の更生計画が認められず、少年鑑別所送致になりました。うちでの日本語の指導も依頼されたんですけれども、費用がかかるために、ちょっと家庭では無理だということで、結局、少年院、鑑別所に送致されたということです。
 事例の3、日常会話はできるけれども、やはり学習言語がわからずに、中学校で不登校になり、市内をたむろし、不純異性交遊を繰り返し、相談を受け対応した生徒は、実は5、6人います。
 次の資料です。
 最近、外国人児童、生徒の発達障害が取り上げられることが多くなりましたけれども、言葉がわからない、イコール、みんなと同じことができない、だから勉強ができない、そういって特別支援学級に行ってしまった子を指導したことがあります。日本語がわからないだけで、実は知的発達のおくれはありませんでした。藤枝の中学校で、当時1年生の子です。小学校4年のときに、知的発達のおくれがあるということで、特別支援学級に送られたんですけれども、実際は言葉がわからなくて、勉強ができなかったんです。それで、榛原の外国人の通訳ができる先生に診断してもらった結果、知的発達のおくれはないということがわかって、私のところに来まして、半年日本語を教えまして、学校に戻っています。今現在は中学校2年生です。
 近年の研究で、実は発達障害の因子を生まれつき持っている子供でも、生後の養育スタイルで発症しない場合があります。ところが、養育環境が、親の、両親の不在や育児放棄などの虐待によって発症することが明らかになっています。外国籍及び外国にルーツがある子供たちでは、幼少期に両親と離れて暮らしている、あるいは望まれずに生まれた子供で、養子縁組や人身売買等で、生後1歳半ごろまでに養育者との間で築かれるはずの信頼関係が育まれないために、愛着障害を起こしている子供たちが、最近多く見られます。特にフィリピンの場合は、カソリックのために離婚ができなくて、かつ堕胎が禁止されているんですね。ですから、望まれなく生まれた子供をいわゆる売買されるという実態があります。それで、結局養子縁組で日本に来て、5歳になってようやく自分の養育者と出会ったという子がいます。そういった場合は、ほぼADHDと同じような症状を示します。
 発達障害と思われる症状があって、集団生活や学習に悩む子供たちが見られるように、最近なっていると思います。
 次のページを見てください。
 悔しさをばねに努力したリッキー・ガビリオ君、現在、静岡中央高校単位制の1年生ですけれども、年齢は18歳です。その資料に書いてあるとおり、彼は2001年にフィリピンのダバオ市で生まれ、日系三世のために、2016年9月22日に日本で働く両親に呼ばれて、フィリピンの中学校を2年生を修了して、弟、妹と一緒に来日しました。弟、妹は、小学校の転入が認められたんですけれども、当時、中学校3年生の10月というときで、彼は中学校編入が認められずに、ふじのくに中央日本語学校に入学してきました。ところが、半年後、ほぼ日常会話をマスターしたために、日本人の中学校3年生が使う夏期講習のテキストで、中卒認定試験の勉強を指導しました。そのやり方は、電子辞書で、手入力で漢字を書き、その読み方を調べ、それをまた電子辞書で英語に翻訳したものを私がチェックして、英語をまぜながら教科指導をしました。それで、わずか7カ月で中卒認定試験5科目を初めて受験し、英語と数学、理科、社会に見事合格しました。その後、当校で、合格しなかった国語の勉強のみならず、合格した教科も冬期講習のテキストでレベルアップを図りながら、静岡県立中央高校の受験に備えました。1年後の10月、再び中卒認定試験の国語を再受験し、12月に見事合格し、翌、ことしの3月、静岡中央高校の単位制を受験して合格し、今現在、バスケット部に入部して高校生活を楽しんでいます。合格したときに、毎日新聞の取材を受け、記事がそこに載せてあります。
 次の資料です。
 さて、ここからは、日本語を母語としない子供たちの課題として、まず、転入後の学習に苦しんでいる児童、生徒が多い。これは、日常会話は大体1年、2年で習得できるんですけれども、学習用語というのは、7、8年かかると言われています。下に書いてあるように、子供たちに名前という言葉は教えているんですけれども、氏名と言うとわからなくなるんですね。誕生日というのは教えているんですけれども、生年月日と言うとわからない。学校へ来る時間というとわかるんですけれども、登校時間はわからない、そういった例がそこに書いてあります。つまり、日本人としては同じことを言っていても、彼らにとっては全く別の言葉なんです。
 次に、会話の中で言い回しの違いがあります。テストや教科書に出てくる言葉には、高度な言語となってしまいます。それが学習用語なんですね。
 そこの表に書いてある、クエスチョンマークがつけたのが、リッキーが自分で調べた英語なんですね。線を引くというとpull a line、でも実際はdraw a lineなんですね。そのdraw a lineが私が直してあげて、彼に教えたことなんです。次の値を求めなさいというと、彼が調べると、ask next valueとなるんですね。次の値を探す、求める、意味がわかんなくなっちゃうんですね。ところが、簡単に言うと、calculateでいいんですね。問題を解くというと、解くというのはひもを解く、結んでいるのを解くと子供たちは理解しちゃうんですね。だから、untie the questions、でもこれは、solve the problemと直してあげたんです。もっと簡単なのが、示すというのはshowで書くと見せるという意味なんです。示すなんですけれども。でも、英語で正確に訳すとproveになるんですね。あるいは、今度は国語の問題で、心情をつかむ、あるいは心情を読む、そうすると、辞書で調べるとread the feeling、あるいは、fold、つかむだからfoldを使って彼は意訳したんですけれども、実際はread one’s mindで説明して意味がわかったんです。あるいは、もっとおもしろいのが、国語の場合、下線部を考えて答えなさいと。下線部というと、線が下なんですが、国語の場合は縦の文章ですから、下線部というのはおかしいんですね。そこで迷ってしまうんですよね。彼が訳したのが、think from underlined part、下線部っていっても下にないよということなんですけれども、正確に言うと、read the verticallined partというのが正確な、僕がそうして訳してあげたんですね。
 このように、リッキー君が中卒認定試験を受験する際に作成した学習用語集のこれは一部なんですけれども、日本語をそのまま翻訳しても意味がわかりにくい表現があるんですね。それを実は、数学方言とか国語方言と言うんですけれども、そういった言葉が彼らにはネックになるんです。
 次のところで、この課題解決に向けてできること、これは皆さんにちょっとお願いしたいんですけれども、日本語を母語としない生徒・児童で、日本語の指導が必要な子供たちには、通常の教科書ではなく、ルビつきの教科書が配布されると非常にありがたいですね。読み方を調べる時間が短縮できるので。実は、虹の架け橋で送った子供たちは、読み方がわかれば、簡単な日本語の辞書をプレゼントしてありますので、それで自分で調べて、あとは翻訳して自分で理解するという力をつけてあるんですね。ですから、ルビふりの教科書があると非常にありがたいです。
 菊川市では、地域のおじさんたちが、全部教科書にルビをふってくれて、コピーを使わせてもらっていますけれども。
 あるいは、2008年に施行された教科用特定図書普及法というのがありまして、日本障害者リハビリテーション協会が提供している障害者向けの音声教材、マルチメディアデイジー教科書というのがあるんですね。これが、外国人児童、生徒の日本語の習得に効果があると、ことしの8月、文部科学省で報告されています。こういう教材も使わせていただくと、子供たちは助かると思います。
 リッキー君と一緒につくった学習用語の翻訳集では、全部で2,400語ぐらいをつくりました。一般や文部科学省などにも翻訳はありますが、とてもとても足りないんです、言葉が。やっぱり2,500語ぐらい必要だと思います。それも、僕の場合、英語で翻訳してありますけれども、ポルトガル語、中国語とかに翻訳できれば、中学生はそれを見ながら勉強すれば、中学校の勉強についていけると思うんですね。そういうのも開発していただければと思うんです。
 最後になりましたけれども、運営、財政面の課題として、実は、虹の架け橋教室というのは、毎年3月は運営できないんですね。これはなぜかというと、3月中に文部科学省へ報告書を提出しなければならないという業務上の都合で、2月末をもって一旦教室は閉鎖しています。3月ができないために、日本語の定着が不安定でも、2月の中旬をもって初期指導を修了し、公立学校へ転入しなければならないと。したがって、学校の先生方が困り、本人も困っているという状態があります。
 2月に修了することが前提のために、最低でも3カ月の指導期間を考えると、12月から2月に来日しても、受け入れることができないという事態が起こっております。このような子供たちは、新年度まで自宅待機をお願いしています。本来ならば、平仮名や片仮名を習得できる期間が不就学になってしまい、その時間が無駄になってしまいます。
 また、3月も、家賃や水道光熱費、人件費は発生するために、毎年約200万円の赤字運営です。このお金はどうしているかといったら、私の別の事業から補っているというのが現実です。
 さらに、今借りている場所は、退去時に壁を張りかえて、床も張りかえる修繕費の負担があるために、100万円以上かかるんですね。敷金は、補助金では賄えないものですから、そのために個人の負担がふえるという状態です。ですから、教室として、県の施設が利用できたり、あるいは子供たちの送迎を県や市が担っていただけたらありがたいです。今は、送迎に朝1時間、夕方1時間を要しているんですね。掛川市まで送ってくると1時間半ぐらいになるんですけれども、そういった時間に授業準備ができれば、さらに充実した日本語の初期支援ができます。
 ふじのくに中央日本語学校は、自主運営のために、通いたくても金銭的な理由で通うことができなくて、直接公立学校に行く子供たちも多いのではないかと思います。
 以上、最後ですけれども、47都道府県のうち、静岡県を選んで住んでいる彼らが、将来、この静岡県にとって貴重な人材になるための先行投資と考え、今の彼らをみんなで支えていける静岡県であってほしいと思っています。
 以上です。

○植田委員長
 はい、ありがとうございました。
 以上で、山下様からの説明は終わりました。
 これより、質疑に入ります。
 委員の方にお願いをいたします。質問はまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いをいたします。
 それでは、御質問、御意見等がありましたら、御発言願います。

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