本会議会議録


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令和6年決算特別委員会危機管理くらし環境分科会 質疑・質問
質疑・質問者:藤曲 敬宏 議員
質疑・質問日:10/29/2024
会派名:自民改革会議


○藤曲委員
 分割質問方式で質問させていただきます。
 最初に、主要な施策の成果及び予算の執行実績についての説明書215ページの被災者住宅再建事業助成についてお伺いします。
 予算現額が250万円に対して支出済額がゼロ円、執行率ゼロ%となっています。一番右の説明の欄に熱海市伊豆山地区の早期復興を図るための被災者の住宅再建を支援する経費とありますが、事業の詳細についてお伺いします。

○稲垣住まいづくり課長
 令和3年7月に熱海市伊豆山地区において土石流災害が発生し、多くの方が被災いたしました。熱海市は警戒区域を令和5年9月1日に解除しましたが、警戒区域の指定は県内初のため指定が長期間になり、警戒区域内の被災者には大きな負担が発生しておりました。そこで被災者の早期帰還と伊豆山地区の復興に向けて、区域内の被災者の住宅再建を図るため、本制度を創設しております。
 制度の概要につきましては、熱海市伊豆山地区に設定された区域にもともと住んでおり、金融機関等から融資を受けて警戒区域内で住宅を建設、購入または補修する被災者に対して、住宅建設等を行う際の借入金に係る利子相当分を熱海市と協調して支援するということで、県は利子相当分の2分の1を熱海市に補助することを考えております。おおむね1000万円を35年間借りる場合、250万円程度の利子額となりますので、その半分の125万円を熱海市に補助することを想定しています。

○藤曲委員
 令和5年度当初予算に計上した予算なのか、途中で補正予算になったのか、どういう形で計上したのかをお伺いします。

○稲垣住まいづくり課長
 熱海市の警戒区域の解除がまだ決まっておりませんでしたので、本制度につきましては、令和5年6月補正予算によってお認め頂いたものとなります。

○藤曲委員
 分かりました。
 道路、河川の整備がいまだ遅れているために住宅再建も当然遅れていることから、住民の皆さん方の計画が予定どおりいかずに先延ばしになることで、当然こういった予算が先延ばしになっていると思います。市と県の両方で住宅再建の利子への助成事業は今の時点で延長しています。今年度も執行されないということでしょうか。

○稲垣住まいづくり課長
 5番委員御指摘のとおり、インフラ整備が遅れているということと、高齢者の方が多いものですから将来の不安等から令和5年度内には助成がなかなか使いにくいことがありました。現在の状況ですが、熱海市への聞き取りの結果、被災地に戻って建て替えや改修の意向を示しているのが14世帯ございます。令和6年度中に本制度を活用したいという意向が1世帯ありますが、現在建設中であるため、助成の執行が令和7年度になるかもしれません。令和7年度につきましては7世帯が本制度を活用したい意向を示しています。

○藤曲委員
 全体的に執行時期が後ろに移行していますが、地元に戻って自宅を再建したい意向がある方には、利子助成の事業をぜひ継続していただきたいと思います。
 先日危機管理くらし環境委員会の視察で熊本県に行ったときも、熊本地震による住まいの再建支援を県が主導で非常に手厚くやっており、前熊本県知事が様々なチラシの前面に出ている様子を見てきました。
 また、これは当県で進めていただきたいと思いますが、今後の災害時にも適用できるように県がある程度、協議会などの枠組みを作る必要性を改めて感じました。
 今回は特に熱海市のことですが、全県下に広げるような形でこの復興の助成事業をまずは継続していただきたいと要望させていただきます。

 続いて質問します。
 説明資料の91ページから96ページのユニバーサルデザインについてお伺いします。
 まず、91ページ上段に全庁でのユニバーサルデザインの導入促進とありますが、具体的にどのような取組かお伺いします。

○白鳥県民生活課長
 平成11年度以降、全庁でユニバーサルデザインの視点での行政サービスの提供、各部局で実施施策へのユニバーサルデザインの浸透を進めております。
 具体的には、庁内会議の開催や部局の施策の実施状況に係る情報共有及び今実施中の第6次推進計画の指標の進捗確認などにより、第6次推進計画に基づく取組を共通認識を持って、全庁で着実に進めております。

○藤曲委員
 分かりました。
 説明資料92ページに心のUDプラス実践講座の実施とあり、活動実績として動画を作成したとあります。どのような内容で作成し、どのように使っているのかお伺いします。

○白鳥県民生活課長
 まず、動画の内容ですが、心のUDプラス実践講座は集合かつ対面で行われるものですので受講人数が限られてしまうことから、より多くの方に受講頂けるよう企業等が実施する社内研修などで活用できるような内容の動画を作成いたしました。
 具体的には、ユニバーサルデザインについての基本的な知識を解説するユニバーサルデザインの概要編と、障害のある方や高齢者への配慮が必要な場面を題材に受講者同士で対応方法を話し合った後に回答例や解説を視聴するグループワーク編の2部構成となっております。
 動画自体が令和5年度に1年間かけて作成したものですので、令和6年度になってから活用しており、大学生等がユニバーサルデザインの情報発信を行うユニバーサルデザイン特派員の研修で活用したり、過去に心のUDプラス実践講座を受講した企業に対して御案内をしたりしており、今複数の企業から前向きな答えを頂いているところです。

○藤曲委員
 説明資料94ページに一連のユニバーサルデザインの成果指標として、困っている人を見かけた際に声をかけたことがある県民の割合が出てきています。令和7年度には40%になることを目標にしているということですが、ユニバーサルデザインの考え方の中で、困っている人を見かけた際に声をかけたことのある県民の割合が成果として40%という数字にどのように反映されているのか、ユニバーサルデザインとどのような関係があるのか、もう少し詳しく教えてください。

○白鳥県民生活課長
 まず、成果目標に設定した理由ですが、建物や設備などのハード、製品やサービスなどのソフトの分野につきましては、誰にでも100%行き届いた整備をすることが現実的にはなかなか難しい状況だと思います。
 そこで、相手の立場に立った手助けなどの心のユニバーサルデザインによって補完できることがあるという考えから、ハート分野の進捗がユニバーサルデザイン全体の進捗に関わると考えて、成果指標としたところです。
 言い換えれば建物や設備がハード、製品やサービスをソフト、さらに心のユニバーサルデザインをハートと捉えて3本柱でやっているのですが、ハートの部分が満たされることで隙間を埋められるのではないかとその指標にしたところです。昨年度、5番委員と同様の御意見を複数頂いており、有識者会議において、より適切な指標の可能性についてただいま議論を進めているところです。

○藤曲委員
 イメージ的にバリアフリーとユニバーサルデザインの違いが一般的には分かりにくくて、さらに心のユニバーサルデザインが指標になるのかが疑問です。例えば全庁でのユニバーサルデザインの導入であれば、公共施設の中で年間いくつぐらいのユニバーサルデザインが導入できたかという点での目標数値を設定するとか、あるいは県内市町でユニバーサルデザインの基本計画、実行計画、行動計画といったものをつくるようにするとか、企業への説明会や啓発事業の件数とかいったことが成果指標としてふさわしいと思うのですが、いかがお考えですか。

○白鳥県民生活課長
 貴重な意見をありがとうございます。
 有識者会議でも、そのような意見を取り入れた形で検討してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○藤曲委員
 分かりました。
 せっかくやっているので、もう少し県民に分かりやすい形で事業を進めていただきたいと思います。
 小中学校でノーマライゼーション教育をやるのですが、今子供たちはそういう意識の中で障害者と一緒に生活しているので、逆に言うと、例えば子供たちからユニバーサルデザインの企画案を募集して実現していくとか、もう少し一歩前に進めるようお願いしたいと要望させてもらいます。

 次の質問をします。
 説明資料79ページ、それから211ページにわたるのですが、移住・定住についてお伺いします。
 説明資料211ページに、ふじのくに移住・就業支援事業費という科目があり、昨年の決算額の不用額が1億1570万円余発生しています。結構大きな額だと思うのですが、不用額となった理由について教えてください。

○大石企画政策課長
 この事業は国庫補助制度を活用して市町との協調助成により実施するもので、県は市町に対して補助をして、対象となる移住者には市町から支給をする流れとなっております。
 県では、市町の見込みに基づき年間予算額を確保しておりますが、利用実績が見込みを下回ったため残額が発生したものです。
 この不用残額1億1500万円余ですが、35市町で割り1市町当たりに換算すると330万円余ということで、この金額は子育て世帯に対する支給額の2世帯分に相当するものとなります。
 不用額の発生理由としては、県の年間予算額を確定させるために、この11月に市町に対して年間見込みの調査を実施しましたが、市町では移住検討者から急遽相談があった場合に備えて、予算が不足しないように余裕を持って対応をしているといったことが考えられます。このような実情がありますが、適切な執行管理を行うことができるよう毎月の執行状況調査を行うほか、年間見込みにおきましては前年度の実績を参考にするなど、不要残額の発生抑止に努めていきたいと考えております。

○藤曲委員
 各市町当たり子育て世帯への支給額2世帯分ぐらいに相当する不用額とのことですが、当然、家族が多い世帯もあるわけだから、支給額は上下をするにしても、こんなに不用額が出るのか。ここまで不用額が大きいというのは、一般的に見るならばニーズと合っていないのではないか。移住・定住の要望に対する必要な支援になっていないのではないか。あるいは条件が厳しくてなかなかこの事業による補助ができないのか。そういった課題があるのではないかと思うのですが、その点についていかがでしょうか。

○大石企画政策課長
 この制度は国庫補助制度を活用した事業で、東京圏からの移住者を対象としたものとなります。
 各市町におきましても、この事業を全く利用していないといったところはございません。各市町からも、使い勝手が悪いという声も聞いておりませんので、これからも移住者に対して使われるように周知を図っていきたいと考えております。

○藤曲委員
 今お話があったように東京圏はある程度区域を指定して、東京圏の中でも田舎のほうではなく中心地であるところがたしか条件に入っていたと思うのですが、静岡県の場合は東京圏だけではなくて西日本からの移住も関わってくるので、条件を見直して使い勝手をもう少しよくしたほうがいいかと思います。ぜひ来年度に向けて検討していただきたい。
 今財源不足が言われている中で不用額が大きいために予算額がカットされてしまうことのないようせっかくの事業ですので、使い勝手やニーズをもう少し精査していただきたいと要望します。

 最後、もう1点だけ質問させていただきます。
 説明資料89ページから90ページにかけての若者、移住者のNPO参画支援についてお伺いします。
 これは昨年の新規事業だったと伺っていますが、若者、移住者のNPO参画支援事業の狙いと目的について伺います。

○白鳥県民生活課長
 この事業の目的ですが、若者や移住者にはボランティアなどの地域活動に対する需要が高い傾向があります。そこで、NPOに若者や移住者の受皿になってもらうこと、移住者等と地域との結びつきを強めて定住につなげることを通じて担い手不足に悩むNPOに新たな人材の参画を促すことで団体の活性化につなげていくことを目的としております。

○藤曲委員
 説明資料90ページに団体の活性化につなげる目的で進められている幾つかの取組――若者・移住者のニーズ調査、若者等向け講座等、NPO向け講座そしてマッチング支援――があるのですが、同じ参加者が順番にこのプロセスで最終的な10件のマッチングに至っているのですか。4つの事業にどのような関連性があるのか、お伺いします。

○白鳥県民生活課長
 まず、若者・移住者のニーズ調査ですが、主に静岡県在住の若者や移住者に対して、社会貢献活動に関するニーズ調査をアンケートにより実施いたしました。その後アンケート回答者249人のうち、特に参加意向が高い19人に対してヒアリングを行いました。
 若者等向け講座等は、ニーズ調査の結果自ら解決したい社会課題や取り組みたい社会貢献活動が明確な方々を対象に目標を達成するまでの計画を磨き上げるワークショップや個別の伴走支援を行い、参加者のうち5人が具体的な計画を作成して実現に向けた取組を開始しているところです。
 NPO向けの講座ですが、NPOがスムーズに若者等を受け入れられるように、ボランティアマネジメントを学ぶ講座を基礎編、実践編の2回に分けて開催しまして、幅広い分野のNPOが参加しております。
 その次のマッチング支援ですが、既存のNPOの活動に参画したい方々と県内のNPOをマッチングするもので、令和5年度中に10人の新たな人材がNPOに参画しております。講座を受講したNPOの中には、若者や移住者とのマッチングが成立した事例もありまして、その後のスムーズな受入れにもつながっていると考えております。

○藤曲委員
 分かりました。
 新規事業ですのですぐに結果が出るわけではないので、少し見守らせていただきたいと思います。若者はNPOに入るより自分たちで自主的にやっているところもあり、NPOを実際に若者が立ち上げて新しい人たちを呼び込む動きもあります。この既存のNPOとの関わりがなかなか見えてこない部分もありますが、まだ新規として始めたばかりですので、いろんな形での新しい動きが出てくるか見守らせていただきたいと思います。定住・移住にしっかりと結びつける形で誘導していただきたいと思います。

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