本会議会議録
質問文書
令和6年6月定例会厚生委員会 質疑・質問
![]() | 質疑・質問者: | 伊藤 謙一 議員 |
![]() | 質疑・質問日: | 07/01/2024 |
![]() | 会派名: | 自民改革会議 |
○伊藤(謙)委員
6番委員の伊藤謙一です。1年間よろしくお願いします。
それでは、分割質問方式にて大きく4点お伺いをさせていただきます。
1点目、第110号議案「損害賠償の額の決定及び和解について」伺います。
まず、本件は医療事故ですので、被害に遭われた患者の方また御家族様には心からのお悔やみを申し上げます。二度とこういった医療事故が起こらないよう本件に関して伺います。
厚生委員会説明資料にも記載がありますが、2022年9月22日に行われた本県東部に住む70代男性の腸閉塞手術の麻酔導入時に患者が嘔吐し、その後に気管支鏡を使用せずに気管内の吸引をしたため吐物に気づかず手術後に誤嚥性肺炎が起こり、呼吸不全で死亡された大変痛ましい事故です。
報道内容を見ると、麻酔導入方法また吐物があった中で気管支鏡を使用しなかった事実が事故要因ではないかと報じられています。
まず1点目、示談の具体的な内容と示談金4000万円の根拠や妥当性について当局はどう考えているか伺います。
続いて2点目、令和5年度がんセンターの決算の概要に関して伺います。
決算書を見ると約4億8000万の赤字で、後々決算特別委員会で報告とのお話がありましたが、収入及び支出の増加理由を伺います。
また、収支改善に向けての対応策に関しては、資料を拝見すると外来患者、また入院患者がそれぞれ減少していたり、経営に関して例えば構造改革であったり、いろんな課題が端々に感じられるお話でした。具体的な課題認識について伺います。
○堀川がんセンター事務局長
まず、本件の医療事故に関しましては県民、県議会の皆様に御迷惑、御心配をおかけしまして大変申し訳ございませんでした。当センターといたしましては、今回の事故を深く反省し病院を挙げて再発防止に努めてまいります。
それでは答弁いたします。
まず、示談の具体的内容についてお答えします。
1つ目として、病院は本件医療事故について真剣に受け止め改めて謝罪するとともに、故人の看病に当たられた御遺族の心情を真剣に受け止め、同種事故の再発防止、医療スタッフの育成に努めてまいります。
2つ目として、本件事故の解決金として4000万円を県議会の議決後に支払うこと、それから3点目として、和解後は病院や医療従事者、個人に対し民事上、刑事上、行政上の責任追及を行わないこと、示談の内容としてはこの3つでございます。
引き続きまして、賠償金額の算定について御答弁いたします。
本件の賠償金額は、一般的に用いられている損害賠償の算定基準に沿って相手方と協議させていただき合意に至ったものでございます。慰謝料、葬儀費用及び逸失利益について算定したものになります。
賠償額は国内での訴訟上の算定基準に基づいており、単純な比較はできないですが、昨今の賠償事案と比較しても金額に大きな乖離はないことから賠償額とすると妥当と考えております。
○鈴木がんセンター局マネジメントセンター長兼経営努力室長
まず、収入及び支出の増加理由ですが、収入は入院、外来ともに患者数は令和4年度実績を下回ったものの患者1人当たりの診療単価がいずれも上昇しており、この差引きの結果それぞれ増収となりました。一方、支出はベースアップや人員増などによる給与費の増、近年の物価高騰による薬品費の増、また労務単価上昇による委託料の増などが主なものとなっております。
次に、収支改善に向けた具体的な施策について、収入面では病床稼働率91%、1日平均手術件数20件などの経営努力目標を掲げ、その達成に取り組んでまいります。併せて診療報酬加算の算定を徹底し、令和5年度以上の収入確保を図ってまいります。
また、支出面では時間外勤務抑制による給与費の伸びの圧縮、効果的な医薬品価格交渉、委託業務の内容見直しなどを行い、削減を図ってまいります。
なお、4期連続で赤字決算となったことも踏まえ、外部有識者を構成メンバーとした委員会を設置し、今後当センターに求められる医療とさらなる経営改善について幅広い見地から御意見、御提言を頂くこととしております。
○伊藤(謙)委員
それでは、それぞれ再質問を1点ずつさせていただきます。
まず1点目、再発防止策についてお伺いします。
オペ中の事故で、誤嚥性肺炎を引き起こした部分に対しての医療操作上のミスといった直接的な要因に関しては資料を見た中で読み取れます。
ただ、今直接的な要因に関しては言いましたが、間接的な要因、例えば事務方サイドまた経営サイドとして医療従事に当たっている方々の日々の労働環境が判断ミスを引き起こした要因として考えられなかったかの振り返り自体が行われたかどうか、もう1点こういった事例に関して、絶対再発をしないと病院だけにとどまらず外にもしっかり公表していく必要があると思っています。そういった中では、経営サイドまた事務職員や医療従事者の皆さん方がこういった医療事故を定期的に振り返るような機会があるかどうか伺います。
もう1点、先ほどの収支改善の説明の中で構造改革があり、外部有識者を招いて経営改善を図っていくとのことですが、詳細を教えていただけるとありがたいと思います。
○堀川がんセンター事務局長
医療事故の再発防止策に関してお答えします。
まず、当事者である医師の労働状況等は、事故発生後の事務サイドにおいて時間外勤務での勤務実態、健康診断結果を確認して特段の過重労働はなかったことを確認しております。
なお、6番委員御懸念のとおり医者、医療スタッフの過重労働につきましては、本人の健康への悪影響はもとより業務遂行力の低下であるとか医療事故の要因となり得ることは明らかですので、職員の健康管理には一層留意してまいりたいと考えております。
それから、再発防止の振り返りについてです。
当院では、医療安全管理部門として医療の質・安全管理室を設置しています。ここでは大きな医療ミスだけではなく、日常の業務の中の小さなミスあるいはヒヤリハット事案など検証して再発防止に向けた対策を講じています。
医療行為の多くは共通の手順ですとかマニュアル等のルールに従って行われますが、必要に応じてルールを作成したり改定し改善を図っています。
本事案につきましても事故調査委員会での結果も踏まえ、再発防止のため関係する業務マニュアルの改定、それから院内周知を行いました。
また、本件示談の成立に当たり、総長と病院長から全職員に対して医療事故の再発防止の徹底について注意喚起もしました。
当センターといたしましては、今回の事故を深く反省して病院を挙げて再発防止に努めてまいります。
○鈴木がんセンター局マネジメントセンター長兼経営努力室長
外部委員を招聘して第三者委員会を開催しますが、例えば国立がん研究センター、がん研有明病院あるいは他県のがんセンター等の収支等も比較参考しながら、当センターがこれから県民に求められる医療、それから持続可能な医療がどういったものであるのかを比較検討しながら御提言頂いて、今後続けていきたいと考えております。
○伊藤(謙)委員
大変恐縮なんですが、外部の方を招き入れることについて再々質問します。外部から招く方々は、恐らく経営収支がうまくいっている病院の方で、経営面についてのアドバイスを頂きたい形で、御発言頂いたと思うんですけれども、よく言われることとして病院の院長さんが経営者になったときに少し畑が違う経営までできるのかという話があって、外部有識者は経営能力を評価して招いているのか、別の事項で病院の院長さんとして招くのか。どう人選しているか伺います。
○鈴木がんセンター局マネジメントセンター長兼経営努力室長
広く御意見を伺うために、委員の方には他病院の院長経験者、公認会計士、経営の専門家、病院以外の専門家もお招きして、病院の維持、継続につきましては患者の代表の方も入っていただき幅広い御意見を頂くことにしております。
○伊藤(謙)委員
いろんな人たちをお呼び頂けると分かりましたので、引き続き収支管理をよろしくお願いします。
3つ目の質問に移ります。
所管事務調査に関連する前に1点、新知事を迎えるに当たり健康福祉部局の姿勢に関して伺います。
皆様御存じのとおり17日間の選挙戦が終わり、15年ぶりに新知事として鈴木康友知事が誕生されました。私見で恐縮ですけれども、私はこの選挙を通じて、県政の重要課題であるリニア新幹線を初めとする諸課題の中身に関して、広く県民に知っていただいた上で争点とすることで選挙中に論戦をし、民意を得たリーダーが誕生したことはよいことだと思っています。
私の完全な主観ですが、残念だったことは例えば今社会が直面している少子高齢化また人口減少等の社会保障や健康福祉部局が所管する施策に関しての議論が主要な争点として論じられる機会は少なかったのではないかという部分です。
振り返れば、本定例会、一般質問の中でも鈴木知事の著書「市長は社長だ」内にて、スタートアップや行政改革に関してのリーダーシップは感じることができるものの、医療、保健、介護分野に関して知事のリーダーシップをただす質問があったことも事実です。
また、本書を販売する書籍ECサイトアマゾンのレビュー欄の書き込みを見た中で1つのコメントを取り上げさせていただきます。
鈴木康友氏は自治体運営は企業経営だと強い信念を持っており、浜松市政において債務削減や産業政策の面ですばらしい成果を上げてきました。本書を読めばリーダーシップを持って様々な取組がなされたことが分かります。
一方で、防災、育児、介護、教育などに関する市長の強い思いはあまり感じられず、本書ではほとんど触れられていません。公平を期して言えば、浜松市の介護や育児などの環境がほかの自治体と比べて見劣りするということはありません。ただ特別なプラスアルファもない、一般的な社会福祉サービスが過不足なく行われているのが正直なところでしょう。しかし、納税者の立場から言えば、税金を無駄なく使う強い意志を持つ市長がいることはとてもありがたいとのコメントを拝見させていただきました。
このレビューを見た印象に関して、直接県民のニーズに寄り添うべき、もしくは自治体サービスの最適化すべきとそれぞれ見た方によって賛否は分かれると私は思っていますが、そこでお伺いします。一般質問の中で、知事が本委員会の所管する事業に関して幾つか今後取り組むべき事業を進める考えを答弁する場面がありました。
ただ、知事就任から今日まで具体的な健康福祉部所管の範囲で事業の調査、研究を指示、または自らのビジョンを示す機会があったのか伺います。
そして、知事は選挙戦でもその後、行政改革に関して強い思いを語っています。税金を1円たりとも無駄にしない民間感覚に関してその考えは私も共感しますが、一方でどのような行政の行為や事業が知事の考える無駄かは議会を交えた一定の議論が必要であると思いますし、特に社会のボトムを支える社会保障には莫大な税金が投入され成り立っている事実があると思います。今後少子高齢化や人口減少を背景に、本委員会の所管する社会保障分野の事業や予算は間違いなく増加をすると思いますが、この知事の唱える税金を1円たりとも無駄にしないという考えにどう担当部局として向き合っていくのか、新知事を迎える中で改めて職員の皆さん方の県民との向き合い方また企画立案能力が重要になると思います。部局としての方向性を伺います。
○青山健康福祉部長
まず、鈴木新知事の健康福祉施策に対するビジョンは、知事提案説明の中で少子化対策につきましては結婚、妊娠、出産、子育てに対し切れ目のない支援をしていきたいこと、それから地域包括ケアを進める、医師確保をしていくと述べられておりました。さらに、本会議の天野一県議の御質問の内容が今の6番委員からの御質問と似ていたわけでございますけれども、質問に対する答弁におきまして、高齢者人口がピークを迎える2040年を見据えながら、それぞれ医療、福祉、それから健康に関わる課題を述べつつ、今後どう対応していくかをお答え頂いていたと思っております。
その中で、さらに弱い方々に手をしっかりと差し伸べることも述べられたので、そのためには人と財源を医療、健康、福祉に振り向けていかなければならないので、大きなビジョンでいうと2040年に向けて健康福祉部の最大の課題は十分認識しておられるのかなと考えているところでございます。
例えば施策に関して言いますと、まだ就任されて1か月余りでございます。これまでの浜松市長の時代は、市のトップとして様々な行政サービスを行う立場でありましたが、県知事になりますと直接的なサービスを行うというよりも、市町また関係の事業所等を含めてどう支援していくか考え方を変えていかなければならないところもございます。恐らく知事の答弁にもありましたが、総合計画の見直しを今年度もうスタートさせている状況ですので、その中で今年度経営方針を定めると聞いております。私たち健康福祉部に関連する新しい施策も打ち出していく形になるのではないかと考えております。
それから、2つ目の今後健康福祉部の関係の仕事がどんどん増えていくことにどういう姿勢で臨むかでございます。
もちろんおっしゃるとおりでございまして、社会保障に関する経費につきましては、介護、医療の関係等々毎年度60億円から80億円ぐらいの予算が増えていく状況でございます。それらにつきましては県全体の予算の中から財源を出していくことになりますが、私どもとしましては2040年の高齢化が進みかつ生産年齢人口が今よりも6割から7割程度になる中で、最大の課題は人材確保と思っておりますので、そこに対する必要な施策、予算の確保をしっかりとしていかなければならないと考えております。
○伊藤(謙)委員
1点要望させてください。
青山健康福祉部長には気を遣っていただいて、議会の中で今まで起こったことを並べながら今の時点での社会課題に対して理解はしていただいていると思いますという言い方をしていただきました。ただ、いわゆるビジョン等も示されているかに関してはこれから示されるでしょうとのお話でした。
違ったら申し訳ないですが、総合計画は本年度から10年単位の非常に大きな計画を全体としてまとめていくと思います。県庁の中でも一番屋台骨になるような計画を本年度からやっていって、具体的な細かい施策を寄り添うところまで知事から指示があるかと言うと、いみじくも部長が、浜松市から県庁に変わって静岡県全体を見る中でもかなり環境が変わってきたことをおっしゃっていましたので、総合計画をつくるにはやはり健康福祉部としての主体性が何より大事かなと思っています。確かに知事のいろんなことに対してのスピード感はすごいなと思っていますが、恐らくこうなりますという話ではなくて、健康福祉部として積極的に関与をしていただくべきかなと思っていますので、これは1点要望とさせてください。
もう1点ですけれども、先ほどの行政改革に対しての意見も踏まえた上で今回所管事務調査の少子化対策について伺います。
少子化対策は全部で420億円ぐらいの予算がかかっていると思いますが、この中でいわゆる明確に効果が出たものをどう捉えていますか。
○豊田こども未来局長
正直申し上げますと、少子化対策はいろいろな複合的な要因が絡んでおります。いずれの施策が直ちに少子化の合計特殊出生率の向上等につながったかというと、なかなか判断は難しいところでございます。
私どもはふじのくに少子化突破戦略の羅針盤をかねてよりつくって、各市町における合計特殊出生率に影響を及ぼす要因を把握、分析しております。その中で、各市町における強み、弱みに対して対策を講じ、市町に対する取組に助成を出して県と市町が連携して取り組んでいます。
本年度こども計画を策定することになっております。その中で改めて県としての取組また市町の取組あるいは国の制度を確認して、足りていないところ、補わなければいけないところをきっちり判断いたしまして、計画の中に落とし込み、来年度の予算に反映させていくことを考えております。
○伊藤(謙)委員
ありがとうございました。
個人的な私見でちょっと述べさせていただきます。
420億円を使っている中で、具体的な社会的要因があるので効果に関して明確なものは今お答えできなかったのかなと思います。
少子高齢化にしろ人口減少にしろ、それくらい大きな社会的要因なので状況は致し方ない。ただ、鈴木康友知事がおっしゃっている、これから効果を最大化していくという視点に立ったときに、何を効果として持っているかの事業検証は多分今までより明確に厳しくされると思うんですよね。だとするなら、ここに対してきっちりと答えを出していくという県政運営や政策提案が求められるんじゃないかと思います。
その上で申し上げたいのは、少子化対策は今どの事業も効果が明確になっていないので、コストによる判断が優先順位を上げていると思うんですよ。例で言うと、昨年12月の一般質問で第2子からの保育料無償化を提案させていただきました。あのときも答弁の中で言われたのは、例えば静岡県内では静岡市と長泉町はやっていると。これを否定されるとするならば、例えばこの事業効果に関しては明確な検証結果が出ていないし効果があるとは思えないので、この事業に対しては県としては取り組めませんという言葉が返ってくるかなと思ったら、第2子からの無償化をすると30億円のお金がかかり多大な経費がかかるからこれはできませんと受け取れました。そうすると、かかるお金で優先順位や施策の決定順位が決まってるのではないかと思います。こういった効果の部分に関して、今後検証する必要があると思いますが答弁を頂きたいと思います。
○豊田こども未来局長
昨年12月に一般質問頂きました答弁の中で、健康福祉部長の答弁といたしましては、30億円という大きなお金がかかります、ただ効果はあると考えておりますので、それを全て県で賄うのではなく国、県、市町で費用負担を考えながら全国一律で行うべき制度だと考えるので、全国知事会を通じて国に要望してまいりたいとの趣旨で答弁申し上げました。費用がかかるから、効果の把握が難しいからではなく、エビデンスベースドプロセスメイキングの視点に立ちまして、どういうことが有効かこれからしっかりと考えてまいりたいと思います。
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