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委員会会議録

委員会補足文書

開催別議員別委員会別検索用


令和5年10月地域公共交通対策特別委員会
株式会社電脳交通 Communication Center乗合CCセンター長 兼営業戦略部地域交通推進セクション リーダー 堀口駿氏 【 意見陳述 】 発言日: 10/10/2023 会派名:


○堀口参考人
 株式会社電脳交通で、地域交通を担当しております堀口と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 まず初めに、私の簡単な紹介ということで、基本的にはお手元の資料と同じものでございますので、どちらでも見やすいほうを御覧いただければと存じます。
 改めまして、堀口と申します。
 電脳交通には2019年10月に入社いたしまして、当初より事業開発や地域交通の業務に一貫して従事させていただいております。
 2022年から、弊社としても、地域交通に関する取組であったりですとか、需要の高まりから、専門の部署を立ち上げるということで、その立上げの際にリーダーとなりまして、さらに、この地域交通推進セクションというところでは、主にシステムを中心とした取組をさせていただいたのですが、今年の8月からは、乗合専用CCといいまして、やはりシステムだけではなくて、昨今、高齢者の方の需要が多い中で、まだまだどうしても電話の需要です。例えば乗合タクシーであったりですとか、デマンド型交通とよく言われますけれども、そういったところの電話の対応、いわゆる予約の受付と配車をする必要があるというところでございまして、今年の8月よりコールセンターのセンター長ということで、地域交通推進セクションと兼務する形で、今の業務をさせていただいております。
 今、1週間のうち、大体6割ぐらいの時間、私も電話を取っています。高齢者の方々の、実際にデマンドタクシーの予約受付や配車業務もしながら、こういった取組をさせていただいているというところでございます。
 業務の担当としても、地域交通関係の担当であったりですとか、サービス開発等、年に二、三回ぐらいですが、こういった形でお話をさせていただく機会をいただいておりまして、最も規模が大きなものといいますと、行政の職員の方であったりですとか、運輸局の若手の職員さん向けの国交省主催のセミナーにも登壇させていただいたということもございます。
 一応メインは、タクシー業界と地域交通及び関連法令のところです。昨今でありますと、ライドシェア等の話も出てきている中で、既存の道路運送法との絡みであったりですとか、そういった実際に担当させていただく案件によっては、運輸局との折衝もさせていただきながら、業務に取り組んでおるところでございます。
 また、業界内のコネクションというところで、静岡県内にも我々のお客さんもいらっしゃいますし、本当に北から南まで、各地のタクシー会社の経営者の方とも日常的に意見交換させていただきながら業務に取り組んでいるというところでございます。
 続きまして、会社概要でございますけれども、社名は電脳交通と申しまして、本社が徳島県の徳島市にございます。
 私も、ふだん徳島で業務をしておりますが、東京のほか、幾つか拠点もあるというところでございます。
 設立が2015年12月ということで、かなり業界の中では、新しめの会社という部類に入るのかなというところでございます。
 一方で、主要株主のところに少し記載がありますけれども、交通系であったりですとか、通信系、業界内のタクシー会社も含めて多彩な株主様に経営含めて御参画をいただいているというところが、1つの特徴なのかなと考えております。
 主なビジネスとしては3つありまして、1つはタクシー配車システムと呼ばれる、皆さんタクシーを電話で呼ばれることがあるかと思うんですけれども、電話で呼ばれたときに、車両が御自宅に到着するということであれば、何らかの形で、電話を取った配車室と車両の間でコミュニケーションというか、通信をされてるんですけども、そのタクシー会社の管理拠点。配車室と車両の間を主につなぐ動態管理のシステムであったりですとか、顧客情報の管理です。恐らく電話すると、何々さんですね、いつもありがとうございますであったりですとか、その人の自宅の住所ってセンター側でもう分かっている場合がほとんどだと思うんですけれども、そういった管理のシステムを1つ目の柱としてやらせていただいてます。
 システムがあるのであれば、先ほどの話と重なる部分もありますけれども、なかなかシステムだけではなくて、配車室のこの運営人員を確保することが人手不足の中で非常に難しくなってきているということで、そうであれば弊社で配車センターも保有することで、最近よく言われますけれども、配車システム自体がクラウド型という、サーバーがインターネット上にありますので、極端な話、インターネットさえあればどこでも業務ができるという特徴を生かしまして、例えば、静岡県内の配車を徳島で受けるといったとも可能になっているというところでございます。
 この業務代行サービスがコールセンターサービスといって、TaxiCCと弊社で呼んでいるんですけれども、こうしたサービスを実施しております。
 3つ目が、私がおります地域交通というところで、タクシーの配車システムやコールセンター運営で培った経験を基に、地域交通に関して乗合タクシーやデマンド交通の取組をさせていただくというところで、大きく3つの業務内容でやらせていただいているというところでございます。
 少し前置きが長くなりましたが、最近のタクシー事情を御紹介できればと思います。
 タクシー業界に関する昨今の報道というところでは、例えばこの一番左側のところです。バス事業の撤退であったりですとか、減便、いわゆる路線の再編が最近非常に増えているという中で、さらに深刻なドライバー不足というところ、実際どれぐらい減っているかとかはこの後出てきます。あと、ライドシェア含めた規制緩和の議論です。
様々な課題がある中で、今すごくホットな業界と言えるのかなというところです。タクシー事業者としても、今まで以上に、自動運転であったり、ライドシェア解禁の文脈みたいなところを踏まえて、我々はどうしていけばいいのかというのを思いながら、それでも毎日使ってくださるとか、毎週使ってくださるお客様がいらっしゃるので、営業されてるといった状況であるというところです。
 実際、タクシーがどれぐらい減ったかですけれども、2007年がピークで22万台いました。これは全国での数字です。22万台いたところが、今なんと17万5000台にまで減っているというところです。この2021年の時点で8割まで台数が減っているので、昔に比べてつかまりにくくなったなというのは、実際車両の総数自体も減っているというのが一つのデータになります。
 コロナ禍で何が起きたかですが、稼げないタクシードライバーという形で、よくコロナ当初の2020年は報道でも出ていたかと思うんですけれども、もともとタクシードライバーも、実は減っていたんです。コロナで何が起きたかというと、退職者がさらに増えたので、減少の傾きが大きく増加したというか、速いスピードで減っていくようになったというところです。
 コロナ禍で減ったドライバーがなかなか戻ってこないという現状もありまして、実際、ドライバー数も85%まで減っています。
 その一方で、2022年あたりから少しずつ観光であったりですとか、生活も含めて需要が戻ってきているというところで、タクシーはピーク時よりも2割減っているという中で需要が戻ってきているので、全国小さなタクシー会社から大きな規模のタクシー会社万遍なく、どこに行っても必ず聞くのが、人がいない、タクシーがなかなかつかまらないと皆さんから言われると。
 ただ、なかなか募集をかけても人が来ない、あるいは募集にかかるコスト。とある事業者の場合は今まで1人当たり30万円ぐらいの採用コストで行けていたところが、今年入っての数字で100万円ぐらいと3倍なんですよね。そうすると、同じ事業規模の中で、採用できる人数はどうしても減ってしまうので、タクシーがつかまらないのは分かると。採用も強化したいものの、どこの業界も人材不足というのと、採用コスト自体も上がっているというところで、今非常に厳しい状況にあるというところで聞いています。
 最近、アプリ、静岡だったらGOとかDidiとか恐らく使えると思うんですけれども、アプリによって何が起きてるかというところです。タクシー事業者側から見た景色ですけれども、地元のお得意さんから電話がかかってきて、空車がなかった場合、今ちょっと空きがないので空いたら行きますねという話を大体されると思うんですが、空いた瞬間に、例えばこのアプリで呼んでるお客さんに車両を取られてしまうと。それで電話のお客さんのところにいつまでたってもいけないといったことも起きたりしていて、このタクシー会社さんと複数の依頼経路の利用者さんで、タクシーの取り合い状態になっているのも一つの特徴なのかなと思っています。
 会社さんによっては、忙しい時間はお客さんの利便性が少し下がるのは理解をしてでも、例えばアプリは一旦停止にしたりですとか、そういったことをしないと、やはり車両、1台の車を奪い合うような状態になっているというところが、タクシー事業者にとってもやはり人材不足からくる悩みの種になっているというところです。
 時間帯別の利用傾向ですが、タクシーでは基本的に朝と夕方の2つのピークタイムがあると言われています。地域にもよるんですけれども、大体11時から少し落ち着いてきて、13時から16時ぐらいの間が一番オフピークと言われている時間であります。
 休日は、もう少し、特に日曜日は利用が少なくなっていまして、なぜ少ないかというと、病院であったりですとか、買物に行かれる方が、主に昼間のメインユーザーであるというところで、メインの乗客の方々が病院が開いてないのであまり動かないということで、平日のほうが、この平均空車時間というところでも数値が小さくなっている。空車の時間が短いというところで、日中の少し余裕がある時間帯にデマンド交通の受託ができると、タクシー会社にとっては一番ありがたいよねというのが、よく言われてることでございます。
 ここまでが、タクシー業界の簡単な現状でございました。
 ここから、デマンド交通のあれこれということで、デマンド交通について、少し御紹介をさせていただければと思います。
 デマンド交通はどこから始まったかですけれども、元をたどりますと、2002年に道路運送法というタクシーであったり、バス、トラックなんかも入ってくるんですけれども、いわゆる緑ナンバー、営業用のナンバープレートがついている車を管轄するメインの法律がありまして、こちらが改正になりました。何が改正になったかというと、今までであれば、バスを基本的に優先にしてくださいと、バスを廃止することに関する基準が物すごく厳しかったんです。それが、2002年に許可ではなくて届出をすればいいという形で緩和されました。いわゆるバスを辞めやすくなったというところです。それで、じわじわじわじわと、収益が確保できる路線を残す、そうでない路線は撤退したりとか、コミュニティバスの導入とありますけれども、運行する事業者はそのままなんですけれども、自治体で費用負担であったりですとか、運行に関する主体になりますよというところで、コミュニティバスが導入されてきたというところです。
コミュニティバスも増えてきたんですけれども、コミュニティバスでも、結局人が乗らなくても動かさないといけないという課題はあります。
 デマンド交通と言われる、需要に応じて走る交通をやろうというところで、デマンド交通に移行してきたのが、大体2005年から10年ぐらいのところの1つの状況の変化というところです。
 2010年近くになってきてから、だんだんこの配車システムと呼ばれる情報通信技術の発達もありまして、アナログデマンド、人が頭で考えるという形です。例えば、AさんとBさんの予約があります。これを人間の頭で組み合わせて、じゃあAさんを乗せて、Bさんを乗せて、先にBさんを降ろして、最後Aさんを降ろして、これで1運行ですということを頭で最初やっていたのですけれども、これをシステムにしましょうというのが、特に直近の動向です。つまり、どういうことかというと、結局、システムはなくても、デマンド交通は運営できてしまうというところです。
 私も8月からずっとデマンドのことやっているので、システムはもちろんあるんですけれども、システムがなくなった場合を考えると、確かに慣れるとできなくはないんですよね。ただ、システムがあれば、データの利活用であったりとか、需要が可視化できたりとか、そういったところもありますので、システムは非常に有益なものだと思っているんですけれども、必ずしも必須でもないというのが、我々の考え方でもあります。
 そうなったときに、なぜ配車システムを入れたいかというところが、1つ重要になってくる、我々としても考えているところです。
 以下の2パターンが多いと書いてありますけれども、アナログ型のデマンド交通へシステムを導入するパターンと、最初からシステムを使って、システムありきでデマンド交通を実施するというパターンで、弊社のシステム等、お声がけをいただくことが多くなっています。
 一口にデマンド交通と言っても、非常にたくさんの種類があります。
予約方式というところで、左から、例えば何日前予約締切りですとか、前日締切りですとかがあれば、右側で、今からでも乗りたいといったリアルタイム配車と呼んでいるのですが、こちらに近くなっていくというところです。
 乗降方式というところで、自治体によって、例えばバスと同じように停留所の間だけ乗り降りできますとか、迎えに行くのは御自宅まででもいいんですけれども、行き先が制限されてますよとか、場合によっては、自由乗降という形で、運行しているエリアの中であれば、どこでも本当に乗り降りできますよといったパターンもあるというところです。
 これを見ていきますと、普通のバスを予約制にするところから、運行時間内であれば、今から家にでもエリア内の目的地でもどこでも行きますよといったところまで、利便性が低いものから高いものまで様々なものがあるという中で、地域や状況によって、運行事業者さんの配置であったり、利用の動向によって、合うものが変わってくるというところです。
 乗り合いさせやすい、させにくいというのもあって、当然ながら、いろいろなものを制限していけば、需要も固まってきますので、乗り合いをさせやすい。より自由度を高めていくと、乗り合いさせにくいというところです。例えば、自宅からA病院までに行きたいというのが、例えば9時便に制限されているとすれば、AさんもBさんもみんな9時便を予約する。どちらかというと、1台の車にまとまっていく方向になるんですけれども、それが、今からでもいいですよということであれば、どんどん需要がばらけていきますので、なかなか乗り合いしにくいということになるというところです。
 サービス設計のバランスというところですけれども、利用者にとっての利便性と、自治体にとって乗合率、コストパフォーマンスという書き方をしていますけれども、根本的にはいかに少ない台数でたくさんの人を運ぶかというところがあると考えてまして、実際に利用者さんからの評価と、行政の皆さんからの評価は一致しないことがあると。さらにタクシー事業者さんに聞いてみると、また違う意見が出てくるというのが、実際によくある話、よくあるお悩みです。
 それでは、どうやって選んだらいいのかですが、まず1つ目、運行エリアの特徴、特性にもあると思っています。
 よく、都心部であれば、ある程度リアルタイム配車でもと聞いたりもするんですけれども、この左側のリアルタイム配車です。ある程度狭いエリアの中に需要がたくさんある、呼び出しがたくさんあるようなところであれば、狭く四角い地形ならという書き方もありますけれども、リアルタイム配車と言われるデマンドが比較的向いているというところです。
 それで、中山間地域です。中山間地域は、利便性は、左に比べると確実に落ちるんですけれども、便制、路線バスのような形にどちらかというと少し近くなるんですけども、便制運行というほうが向いてるのではないかなと考えています。
 利用者さんのメリットを考えていくと、左側のこのリアルタイム配車、乗りたいときに乗車依頼ができるほうがいいですけれども、中山間地域になると、なかなか運行する車両数自体も潤沢にないケースがほとんどであるというところで、いかに、例えば1日20人が平均乗るデマンドがあったときに、じゃあ20人をいつでも乗れますよとしたときに、果たしてどこまで需要が集まるのか。そうすると、もし需要が集まらなかった場合は、実際予約したらいつでも来てくれて、安いタクシーになってしまうというところで、行政側の負担も増えていきますし、タクシー事業者さんとしても、通常のタクシーの需要を実際に食ってしまうというところで、あまり成功していないと言われる事例も一定数あるというところです。
 我々は中山間地域での取組が非常に多いので、基本的には右側のこの便制運行をお願いしている形になります。
 こちらをやるということで、できるだけ1台の車に複数のお客さんが乗る、複数のお客さんが乗るということは、1人当たりの輸送コストを低く抑えられる傾向にあるということで、基本的には便制運行でやるようにしているというところでございます。
 イメージとしては、左側のリアルタイム配車であれば、車が利用者の呼び出しに合わせて動くというもので、右側のこの便を設けて、例えば9時便、10時便とかいった形でやると、利用者が車両ですとか、その便に合わせて動く形になるというところです。
 具体的な事例として少し書かせていただいてますけど、左側です。他社様の事例になっていまして、こちらmobi様というところですけれども、こちらの場合ですと、一番離れてるところでも車で10分程度なので、あっちこっち呼ばれたとしても、片道で5分10分あったら迎えに行きますよということで、比較的リアルタイム配車が向くところと思っています。
 静岡県内であれば、静岡市の周辺であれば、恐らくリアルタイム配車にしても、一定、乗り合い、複数の人が乗り合わせたりするというのは発生すると思うんですけれども、例えば、山間部に行ったときは、この右側ですけれども、また後ほども出てくるんですが、青森県の津軽エリアです。龍飛埼灯台、北海道側の端のところまで走っているのですが、片道60分走ります。片道60分走るものをいつでも乗れますよとしてしまうと、一度、車両が出てしまうと、例えば、今からでも乗れますよとお客様、利用者さんには公表しているのに、実際に車両が来るのは2時間後だったりするわけです。そうなってしまうと、利用者さんからすると、いや呼べるって言っているのに呼べないじゃないかということで、なかなか使いにくいものになってしまう。そうであれば、少ないリソース、少ない車両数で、できるだけ多くのお客さんを運べるように、便制、時間指定して配車していくという仕様にしているところでございます。
 2つ目です。乗降方式というところで、先ほどからも少し出てきてますが、停留所で乗せるか、それともエリア内であれば完全に自由に乗れるようにしていくかといったところです。それぞれメリット、デメリットはありますが、このスライドは省略します。
 次、車両というところです。乗合タクシー専用の車両を作るか、それとも条件を満たせば一般のタクシーと兼用することができるというものです。デマンド交通、中山間地域でやるのに、専用に車両を用意しないといけないということで、たまにお問合せを受けることもありますが、必ずしもそうでなくてもよいというところです。実際、一般タクシーともし併用ができれば、新規に車両購入をするという、この初期投資のコストが抑えられる。確かに専用車両であれば、ラッピングすることで、利用者さんにとって非常に分かりやすいというメリットはあるんですけれども、我々としては、専用車両でなくてもいい地域については、例えばタクシーに、専用のステッカー、マグネット等を貼ることで、車両を一般タクシーと乗合デマンド交通の兼用にしていくことも、実際に行っているところでございます。
 今、タクシー車両を効率的に利用できますよという流れで、少しいい面をお話しさせていただいたんですけれども、一方で、自治体と事業者の間できちっと取決めをしておかないと、一般タクシーが忙しくなってきたときに、デマンドは出せませんみたいなことを言われる場合も実際にあります。そういった意味では、タクシー事業者と、最低このラインを守ってくださいであったりですとか、需要が増えた場合はこれぐらいお願いできますかといった条件交渉をきちっとやっていく必要があるのかなとも考えています。
 次にデマンド交通とタクシー運賃補助という20ページのところです。
 よくタクシー補助券とか、タクシー利用券を配布される自治体もいらっしゃると思いますけれども、こちらとデマンド交通を新設するのとは何が違うかというところですが、タクシー運賃補助の場合は、あくまでもタクシーを使うときの支払方法で現金の代わりにチケットが使えますという形になっていますので、補助対象になる方には、非常に利便性が高いというメリットはあります。
 ただ、補助対象をどこに設けるかというところ次第では、もし仮に免許をお持ちでない方、高齢者の方と制限した場合、誰もが乗れる公共交通ではないので、そういった意味では少し公平性に欠けるという意見が実際にある。あるいは、この地域だけタクシー補助券を出すという形にした場合は、やはり公平性に欠けるという指摘が実際に行政側に入ることもあるという状況です。
 かつ、タクシー運賃補助した場合、基本的に乗り合わないので、通常のタクシーの需要は確かに増えるんですけれども、これは本当にあった事例ですが、島根県の自治体のお手伝いをさせていただいていたときに、町内、エリア内でタクシー会社2社4台しかなかったです。ざっくり10キロ四方ぐらいをカバーされていたんですが、そうすると、補助券ができて何が起きたかというと、タクシーの取り合いになるんですよね。病院に行きたい時間に行けない。希望する時間が取れなかったので、希望よりも1時間とか1時間半遅れてやっと迎えに来ていただけるみたいな事例も実際あると伺っていまして、タクシー運賃補助ってすごくやり方としてもシンプルですし、分かりやすい一方で、車両が潤沢にない地域では気をつけてやらないと、ほかの需要になかなか応え切れなくなってしまうというデメリットがあるというところです。
 結果としてどうなるかというと、ビルド・アンド・ビルドと書かれていますけれども、ほかの交通施策は施策としてやらないといけない。かつ、タクシー運賃補助もするので、結局、そのダブルコストといいますか、もともとよりもコストが増える可能性があるというリスクもあるというのがタクシー運賃補助です。
 デマンド交通はどうかと言うと、例えば路線バスを廃止してデマンド交通にしますと、今まで路線バスであれば予約せずに乗車できていた。予約しなくても、時間にバス停で待っていれば来てもらえるのがいいと考える利用者の方からすると、予約しないといけないとか、予約が難しいとか、自宅まで行くようなデマンド交通ですと、バスより大抵の場合運賃高くなるというところで、そういった不満は上がることが多いです。
 補助対象以外の利用者であれば、基本的には自家用車を使うことが増えて、自家用車を保有していないとか、免許保有していない方が、デマンド交通であったり、バスを使うということになるというところです。
 タクシー事業者に対しては、サービス水準が高過ぎると、今度はタクシー側が食われてしまうので、うちは協力できませんと言われることも実際あると自治体から聞いていまして、この適切なサービス水準を調整していくことが難しいのかなというところです。
自治体としては、先ほどからも出ているように、バスやタクシーとのすみ分けが求められる一方で、サービス水準が低いと乗合率が下がり安いタクシー化してしまうというところです。
 サービス水準幅として軸があります。利用者、タクシー事業者、行政、車両台数であったり、運行エリアの地形、この軸を踏まえながら、各地域に合ったものを導入できるように、我々もできるだけお手伝いさせていただいているというところです。幾つかのパターンがあり、大体やっていくと、この地域だったら、何々市さんのパターンに似ているので、これに近い仕様で独自の仕様を少し入れてみませんかみたいな形にだんだんまとまってくるのですけれども、基本的にはこういったサービス水準の幅というか軸があるというところでございます。
 タクシー会社との対話の必要性ですが、デマンド交通を本当にやるとなった場合は、これはどの自治体の皆様にも基本的にお伝えしていることなんですけれども、デマンド交通やるやらない問わず、日頃からタクシー事業者さんとお話しされていますかという話を結構早い段階で聞いたりします。よくある話で、計画作りましたと、計画作ったのでこのとおり走ってくださいという段階で、初めて事業者に話に行く場合が結構多いんですが、行政側の皆さんからすると、この計画どおり走ったら、きっと需要も増えますし、安定収益になりますよねと思っていても、実はタクシー事業者からすると、いやこんな仕様じゃ厳しいよであったりですとか、需要が戻ってきて人手が足りない中で、もうお金の問題ではなく受けられないんだと言われるケースもあると、実際に協議が整わないということで、運行開始が遅延したりですとか、運行事業者の受け先がないということも発生し得るというところで、広く御相談をするということを、我々としてもすごく大事にしてますし、行政の皆さんにもお願いをしています。
 我々は、タクシー事業者に配車システムであったり、サービス提供させていただいているということで、自治体から問合せが来るパターンと、タクシー事業者から先に来るパターンとあるのですが、タクシー事業者の中には、実は自治体の皆さんと一緒にやりたいんだという思いはあっても、どういうふうに最初の一歩を踏み出していいか分からないとか、どう伝えたらいいか分からないというお悩みを持っていらっしゃる方もありますので、そういった場合は、我々のほうでも、システムが入るかどうかは本当に置いておいて、まずはタクシー事業者と行政の皆さんで意見交換しませんかというところから、少しずつ対話の機会を作るところから始める場合も、かなり多くあります。
この対話の機会が生まれることで、デマンドをやるのであればデマンドもそうですし、それ以外の、運転手さんを確保するためにはどうしたらいいとか、何か新しい取組とか、こんな補助金ありますかとかいったところまで幅広く、この対話をきっかけに、行政と事業者の間での対話が進んでいくところもありますので、ここはすごく意識して取組をしているところでございます。
 最後に事例紹介に行く前に、今の国の動向を御紹介させていただければと思うのですが、直近で、アフターコロナ時代に向けた地域交通の共創に関する研究会というものがございまして、こちらで、1次交通である鉄道であったり、バス、航空機等に、主にタクシーであったり、乗合交通、デマンド交通をきっちり合わせていきましょうというのが、いわゆる国の方針としても出てきているというところです。葉の交通とも言ったりもするんですが、我々としても、基本的にバス事業者さんや鉄道事業者さん、航空船舶事業者さんと、地域とのこの間の部分をどうつなげていけるかという支援をさせていただいているところです。
 今、共創と言われるワードがよく出てくるのですけれども、事業者だけでも自治体だけでもない、利用者も含めて、地域の関係者が一体となって、共創して取組を進めていく必要があるというところで、直近の動向として、国でもそういった指針が出ているという御紹介でございました。
 ここからのスライドでは、幾つか事例紹介をさせていただければと思います。
 弊社で取り組ませていただいてるもの、ここから何事例か御紹介させていただきます。
 まず初めです、岡山県の井原市という、岡山県のかなり県北のほうの自治体でお手伝いさせていただいているものでございます。
 こちらは「あいあいカー」と呼ばれているのですが、井原市の中心地とそこから30分から1時間程度、かなり北のほうに行ったエリアを結ぶデマンドタクシーでございます。こちらは一般タクシーと車両を兼用してるというところで、乗務員さんから側から見ると、一般のタクシーの配車と同じように、会社から、例えば、1号車さん、この後14時のデマンドお願いねみたいな形で、デマンドタクシーに予約があったときだけ切り替わるという形です。そうすると、専用車両ではないので、予約があったときだけタクシー事業者さんも走っていったらいいというところで、あと、弊社のシステムの1つの特徴でもあるのですが、一般タクシーの配車予約受付と乗合タクシーの予約受付の管理が、1つのシステムの中でできるというのも、1つの特徴になっています。
 よくあるのが、東京都内でもそうですが、タクシー運転手さんの運転席周り、コックピットみたいな状態になっていて、タブレット3台と決済機が置かれている状況になっていて、ダッシュボードも機械でいっぱいです。そうすると、運転手さんも入ってきたときに覚えないといけない機械がたくさんあって、なかなかここは従事者の平均年齢58歳から59歳ぐらいと言われていて、非常に特殊かつ高齢化する業界でありますので、そういった機器関係のハードルを一つでも減らすというところで、できるだけ使うシステムを少なくするというのも、我々として考えていることの一つとなります。
 あともう1つの特徴として、月ごとに2つのタクシー会社が運行エリアを入れ替えているということです。2地区、芳井地区と美星地区というのがあるんですけれども、基本的に、芳井地区のほうが人口も多くて利用が多いです。美星地区はエリアは広いんですけども、人口が少なくて利用回数も少ないということで、2つのタクシー会社さんが、月ごとに運行エリアを入れ替えることで、どちらかのタクシー会社さんだけに需要が偏らないといったところも配慮しながら走っているというところが、こちらのデマンド交通の特徴でございます。
 続きまして、2例目です、新潟県加茂市の「かもんタクシー」です。こちらは新潟県の加茂市全域で運行するデマンドタクシーになっています。
 市内のエリアの端から端まで、大体40分ぐらいで走るというところで、かなり広域な部類になるのかなと思います。こちらの場合は、全部セダンタクシーと言われる4人乗りです。お客様4名であったり5名までしか乗れない普通車のタクシーを使っていまして、1時間ごとに1便という運行でやっています。1時間ごとに1便という運行でやると、利用者さんから見た分かりやすさはどこかというと、例えば、3時までに着きたいのであれば2時便を御予約くださいと、2時便であれば、少し早く着いてしまうことも多くあるんですけれども、3時までに確実につけますよといったところです。1時間1便で、その次の時間までには必ず着けますといった運行をしているというところです。かつ、こちらは毎日運行しているというところです。こちらの運行の背景としましては、もともと8路線あったバス路線を基幹の2路線にする、早朝は4路線あるんですけれども、朝8時以降は2路線プラス乗合タクシーをメインとするということで、引き続きバスを使える方は、ある程度長距離乗られる方ですと、今までよりも安く移動できます。
 この乗合タクシー、デマンド交通を利用される方は、今までより少し負担は上がるんですけれども、それでも御自宅から市内の目的地、例えば、お友達の家まででも行けるということで、長期的に見ると、確実に免許返納後、免許がなくてもこれを使えば、一定の娯楽も含めて生活をできるというところで御採用いただき、市民の方からも御好評いただいているというところでございます。
 実際に、この2路線と乗合タクシーにしてどうなったかというと、少し経費削減になっている。年間で2000万円ぐらい落ちているというところで、住民の皆さんの利便性を確保しながら、実際の経費も落としていくというところが、この取組の1つの特徴なのかなと思っています。
 運賃は最大1,200円って書いてあるのですが、通常は乗合タクシーは大体高くても500円ぐらいまでしか出さない、上限500円ぐらいにするところが多いんですけれども、こちらの場合は、あえてタクシーでこの40分ぐらい走ると、距離的に七、八千円ぐらいメーターが回るんです。そうすると、受益者負担をちゃんと考えていくと、1,200円は高いですけど、これでもやってみましょうということになっています。
 実際に600円とか1,000円ぐらいの距離でも利用される方がいらっしゃるので、タクシーと比較したときに、バスよりは高いけれども、それでも利便性を考えたら御利用いただけるというところもあるのかなというところでございます。
 続きまして、山口県岩国市の「よべるん」で、岩国市の小瀬地区と南・北河内区を運行しているものです。
 こちらもエリアが大変幅広くて、乗車希望の1時間前まで随時受付という形にしているのですが、やはり広いエリアを少ない台数でカバーするということで、先ほどの加茂市に比べると、同じ運行台数を出したとしても、どうしても運べる人数の上限値は低い、少ない方々しか運べないというところは思っています。
 ただ、こちらの場合は、行政の皆さんも一緒になって、どうやったら今の運行仕様のままでより多くの人を運べるかであったりですとか、乗り合いした場合に運賃割引させることで、より多くの方を1台の車に積めないかといった取組を検討しているところです。あとは、こちらは各地区1年度ごとにやっていったのですけれども、小瀬地区であったり、この南・北河内地区という形で、実証実験をまず1カ月、バスと並行したままでやっています。1カ月間の利用動向と利用者アンケートを含めて、きちっと事前検証をした上で、問題ないという、バス廃止とデマンド交通転換の協議を地元としまして、その上で本格運行に移行したというのが特徴になっています。
 このデマンドタクシーを走らせるときに、すごく面白いなと思ったのが、実証運行するとチラシを大体作ると思うのですが、チラシの下に無料券をつけたんです、1世帯1枚限りの。そうすると、何が起きたか、利用者アンケートを取って分かったんですけれども、40代50代の方が、いずれは免許を返すと思うので、このチラシの無料券を見て、使わないともったいないからっていうことで、1回乗ってみようっていうのがすごく増えたんです。
 そうすると、実際の実証運行だけではなくて、免許返納はまだまだ先の世代の方でも、まず一旦どんなものか試してみようと、お得ならとりあえず乗らないとみたいなところも含めて、住民の公共交通に対する意識に一石を投じたというのも、ここは1つの特徴だなと思っています。
 岩国市さんの場合は、この利用者の電話アンケートと並行して、対象地区の各世帯に対して住民アンケートも発送しました。そうすると、デマンドのこの実証運行の周知と、各世帯ごとの住民アンケートで、非常に回答率もよくて3割から、一番よかった地区で5割ぐらい回答が返ってきたんです。5割の世帯が公共交通に対して関心を持ち、アンケートを返送いただいたということは、非常に交通に対し意識を向けていただくという意味でも、一つ特徴的な取組なのかなと考えています。
 最後です。JR東日本奥津軽オンデマンド「わんタク」ですけれども、こちらは実は最初は3カ月間限定の実証実験だったのです。2022年8月に津軽半島大雨、台風の影響で大雨が津軽線を襲いました。その影響で、この実証実験は終了直前だったのですが、津軽線が不通になってしまったということで、突如鉄道代替の乗合タクシーの任務も背負うことになって、今も走っているというところであります。
 先ほども少し出てきたのですが、実際に物すごくエリアが広いです。ストレートで直行しても片道60分から70分ぐらいかかるというところで、このエリアをなんと4台の車両でカバーしているというところです。
 それではこの広いエリアをどうやって4台でカバーするかですが、ここは定時便と言われるものと、フリー便と言われるもの、2つのものを両立させて運行しています。定時便の何がいいかというと、予約ももちろんできますので、予約したら確実に乗れます。ただ、予約しなくても、この赤い線の区間であれば、どこでも降りることができますよというふうになっています。赤い線のもう少し広いところで、緑っぽくなっているエリアがあるのですが、こちらがフリー便で乗降できる区間で、龍飛埼灯台に行かれる方であったり、青函トンネルの記念館、階段国道など観光名所も非常に多くありますので、観光のお客様と生活利用のお客様、両方の輸送に対応できるようにしてるというのが1つの特徴になっています。
 ハイシーズンになると、ワゴンタクシー、10人乗りのハイエースがあるのですが、ハイエースがいっぱいになって、2台応援車両を出して対応することもありますし、平日だと少し落ち着いてるので、そうすると、この右下のむつ湾フェリーと書いてある蟹田駅のあたりに大きな病院がありますので、病院への通院で利用されるお客様であったりですとか、買物で利用されるお客様もいらっしゃるというところで、観光の輸送と生活輸送と2つの顔を持ったデマンド交通になっています。
 運行主体はJR東日本さんで、コールセンターの部分を我々で受けさせていただいるということと、システム提供もさせていただいてまして、電話受付とウェブ予約フォーム、大体両方のパターンを用意させていただくのですが、こちらのわんタクの場合ですと、観光のお客様は基本的にウェブのほうが多く、日常の生活利用の方は基本的に電話が多いというようになっていて、リテラシーであったり、年代層に分かれた利用傾向が出てきてるのかなと考えています。
 実際、これを走らせてみて面白かったのが、高齢者の方の利用だけではなくて、小学生の方が、例えば、夏休み、習い事とか教室に行かれるのに使ったりですとか、あとは野球を習われているみたいで、野球の行きだけ御利用されて、帰りは、夕方は保護者の方が迎えに行くと。例えばですけれども、夕方のお迎えだけでよくなったら、もともと習い事の送迎があるので、例えば15時までしか小学校の下校に合わせてしか働けませんでしたといった方が、迎えの17時だけでいいのであれば、プラス2時間働けます。そういった需要もあるのかなと思っていまして、ここは我々も最初走らせたときは、各地域そうなんですけれども、基本的には利用者は高齢者の方が主じゃないかと思っていたんですが、実は18歳以下の御自分で運転されない方の日常利用や通学通勤、主には通学の利用もあるというところが1つ面白いなというところです。
 あとは、加茂市の事例のところで1点御紹介しそびれたんですが、このかもんタクシーで1つ特徴的なのが、もともと福祉バスを代替したっていうところもございまして、いわゆる手帳、障害者手帳であったり、福祉手帳をお持ちの方の利用者数が非常に多くて、時期にもよるんですが、半数程度が手帳をお持ちの方の利用であるというところで、高齢者のみならず、いわゆる運転がなかなか難しい方の足を担っているというのも、このかもんタクシーの1つの特徴かなと考えております。
 駆け足になりましたが、一旦私からの説明は以上とさせていただければと思います。ありがとうございました。

○宮沢委員長
 ありがとうございました。
 それでは、これから質疑に入りたいと思います。
 委員の方にお願いしたいと思います。質問はまとめてするのではなく、先ほどもお願いしたとおりですが、一問一答でお願いしたいと思います。
 それでは御質問、御意見等ありましたらお願いいたします。

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