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委員会会議録

質問文書

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令和元年10月多文化共生推進特別委員会 質疑・質問
質疑・質問者:佐野 愛子 議員
質疑・質問日:10/24/2019
会派名:ふじのくに県民クラブ


○佐野委員
 本当に体系的なお話ができて、参考になりました。ありがとうございました。希望が持てました。
 今、3番委員のお話にもつながるんですが、やっぱり私が一番今、危惧しているのは、NHKのクローズアップ現代で、極悪な状況で働いている技能実習生の話、シェルターとか、行き場がないわけですよね。そのような実態をどのようにお考えでしょうか。

○池上重弘氏
 技能実習生の問題は、実に私は深刻な問題だと思っていて、私自身は、技能実習制度によって、とってもよい良好な関係を築いた実習生と企業というのも知っています。知っていますけれども、制度そのものがとても欺瞞をはらんだ制度だと思っています。したがって、私自身の基本的な立場は、やっぱり技能実習制度は一度見直しをして、きちっと特定技能の形で、ガラス張りのわかりやすい制度で迎え入れる仕組みに転換したほうがいいだろうなと思っています。新聞などでも、1年ぐらい前、書かれていましたよね。技能実習の制度を温存したままで特定技能をつけ加えるという制度設計は問題があると、私は全く同様に考えています。
 今、先生のおっしゃられた、技能実習生の深刻な問題にどう対応すればいいかということについては、私自身の経験から言うと、やはりそこは母語でちゃんと相談ができる窓口が用意されているということだと思います。しばしば、技能実習生向けのSOS電話対応なんていうと、それが9時から5時までだったりするんですね。かけられるわけがないですよね。日本語で受け付ける。もう自分の気持ちを話せるわけがないんですよね。
 そうすると、それもやっぱりさっきの選択と集中になっちゃうんですけれども、静岡県内で技能実習の人たちが多い。これを見てみると、技能実習を見てみると、例えばポルトガル語は技能実習、全くないわけですよ。ブラジル、フィリピンは若干いるけれども、中国とかベトナムとか、ここにないけれども、インドネシアも結構います。そういった言語で、彼らが働いていない時間、毎日じゃなくてもいいと思うんですけれども、夜間とか、あるいは土日に電話ができたり、あるいは足を向けたりできるような、そういう窓口ができているというのは、すごく大事なことだと思います。
 犯罪性というと、言葉が強いけれども、やはりどう考えても、技能実習の制度に照らし合わせても、おかしいやり方をしているところもあるんですね。そういったところは、技能実習生本人の力ではどうしようもないので、やはり外部にその窮状を伝えて、何らかの介入をしなきゃいけないと思いますので、まずは彼らの言葉に耳を傾ける窓口をしっかりと、夜間や土日に、その人たちの言語で開設するということが大事だと思います。

○佐野委員
 先ほどもお話ありましたけれども、その間に入る会社なんですけれども、そこがよく見えないんですが、全国ネットで、組織で、そういう派遣会社があるわけですよね。それで、200万円、300万円の日本円でそのような借金をするということなんですが、それは必要、どういう、日本語学校に通ったり、渡航費とそれが負担に、家族の負担になるんでしょうか。

○池上重弘氏
 まず、全国ネットの派遣会社という言葉自体が、私たちが勘違いをしがちなところで、技能実習制度は、いわゆる派遣請け負いとは違うんですね。違うんだけど、しばしば現場のある企業の方は、ここは名称を出しません。名称を出しませんけれども、技能実習生を投下している団体に対して、いや、あそこはよい派遣会社だねって言うんですよ。つまり、現場の会社さんから見たときに、ブラジル人などの日系人労働者もインドネシア人やベトナム人の技能実習生も、同じ派遣労働者に見えてしまう。これは何を意味するかというと、さっき言ったように、技能実習って労働力の受け入れじゃないんですよ。制度としては、日本のすぐれた技能を伝授して、それを母国で展開してもらうという話なんですけれども、日本のある業種に入る人は、例えばインドネシアで全然違う仕事をしている。母国に帰ってまた全然違う仕事をする。日本の進んだ技術を移転するなんていうのは、絵そらごとなんですよね。そういう制度の欺瞞が残っています。
 それから、今、おっしゃられたように、母国で日本円にして200万円、300万円の借金を抱えてというあたりが、やはり1番の問題点だと私は思いますので、そういったいわば手足縛られて日本に放り込まれるような仕組みを変えない限り、今、起こっているような外国人労働者をめぐるさまざまな問題は後を絶たないと思うし、これが続いていけば、何度も言っているように、日本の社会が顧みられなくなる。外国人に相手にされなくなる日本になっていくでしょう。その先に何があるかというのは、しばしば私は脅かしつつ申し上げるんですけどね。
 日本の社会の基盤を担う外国人労働者がいなくなる。そうすると、大きな本体工場は、日本では労働力が確保できないから、海外へ出ていく。どこかの段階で閾値を超えると、がらがらと音が崩れるように日本国内の雇用がなくなって、日本人の子供たちが、学校を出たけど仕事がない。ベトナムに出稼ぎに行くなんていう状況が起きても不思議じゃない。これが2年後とは思いません。だけど、例えば、今の問題点をきちっと解決しないでいけば、20年後、30年後には、場合によっては日本の子供たちが日本で仕事もなくて、ベトナムに、あるいは場合によっては中国に出稼ぎに行くと。日本人というのは、やってきた国の言葉を勉強しない人たちだなといって、地域社会からはじいてしまうようなことが起きかねない。そうならないように、ウィンウィンの関係を、三方よしの関係をつくっていく、今、まさに私は分岐点だと思っています。

○佐野委員
 ありがとうございます。
 本当に今は企業とその間に入った、そのブラックボックスみたいなところだけがもうかるような、一方的な構図のように見えてならないので、そこをぜひとも意識を変えるというか、仕組みを変えていく必要があると思います。
 あと最後にもう1つ、先生は大学を卒業した、あくまでも静岡文化芸術大学に行った学生たちが、その後、企業へ行っているように、今、捉えたんですけれども、実は義務教育も中途半端で、高校進学もままならない子たちも多くいます。それで、やはりそれは、企業の責任であったり、国全体のこれからの、今度は特定になると、家族を連れてくるとしたら、大変なことになりますよね。ですので、企業側もある程度、教育費だとか、立派な社会人に育てるまでの負担をするとか、今、教育現場だけにそれが全て責任投下されているような気がしますが、その辺、いかがでしょうか。

○池上重弘氏
 もうおっしゃるとおりですよね。受益者負担といったことを考えたときに、やはり企業側が、今の状況に対してどうコミットするかは問われると思います。私は、大学の教員なものですから、余り皆さんの知らない、こういう人材が今、育ってますよということを、割と意識してしゃべるようにしているんですね。そうじゃないと、外国人の第二世代って、みんなこっちだとばかり思われてしまって、さっき紹介したエピソードのように、名前が片仮名になると、すぐ履歴書を捨てられちゃうみたいになってしまって、こんな優秀な子たちが、その差別を前に、彼らの未来が閉ざされてしまう。それは非常にもったいない。本人にとっても、この静岡県にとってもね。
 一方で、今おっしゃられたとおり、ボリュームゾーンはここだし、さらに日本語も母語も不十分な子たちがいるのは間違いないです。ですから、そこに対して、受益者である企業、経済界がどういう形でコミットするか、それは実は、静岡県でも憲章をつくったりしていますし、日本語の基金などもつくっているんですけれども、そこをもっと実態的に動かしていく必要があるだろうなと、私は思います。

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