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令和6年3月12日盛土等の規制に関する条例等検証特別委員会
静岡県土地改良事業団体連合会 絹村敏美氏 【 意見陳述 】 発言日: 03/12/2024 会派名:


○絹村参考人
 土地改良事業団体連合会の絹村でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 まず、県の盛土条例につきましては、土地改良区等が土地改良事業を行う場合は、適用除外としていただきましたこと、ありがとうございます。今まで進められなかった事業地区、ストップしていた事業地区を実施することができるようになりまして、土地改良区、農家の皆さんが大変喜んでいるところでございます。まず、御礼を申し上げます。
 本日は盛土条例の改正により、対象から外れた事例ということで、土地改良区等が行う土地改良事業について御説明させていただきます。
 参考資料の1ページ目、資料1を御覧頂きたいと思います。
 当初、盛土条例におきまして、県営、市町村営の土地改良事業は適用の対象外となっておりましたが、土地改良区等が実施する土地改良事業は適用対象ということでございました。今回、適用除外は国の盛土規制法が土地改良事業を対象から外していると資料1にございますが、そのようなことの中で、県営、市町村営だけでなく、土地改良事業全般を除外したと認識しているところです。
 しかし、土地改良事業につきましては、当初から全ての事業を盛土条例の対象としないことでよかったのではないかと、このように思っています。
 3ページ目の資料2をお開き願います。
 土地改良事業は、土地改良法に基づいて行われる農業生産基盤の整備、それから農村の保全を行う事業で、農家の申請、同意の下に実施されます。
 4ページをお開き願います。
 また、地区の受益面積等の規模や技術的な難易度により、事業主体が、国、都道府県、市町村、土地改良区等に区分されています。受益面積が小さく、簡易な工事を土地改良区、市町村等が実施するというようなことです。また、事業によりまして国、県、市、町の費用負担が異なるということでございますが、基本的には受益者負担、農家の費用負担が伴います。
 費用負担につきましては、次の5ページから8ページを参考に御覧頂きたいと思います。
 6ページ目に県営事業の事例が、8ページ目に団体事業の事例が入っております。
 この中に地元負担とございますけれども、この地元負担は市町と農家の合計でありまして、負担の割合はそれぞれの市町により異なるという状況です。工事の内容、負担額などにより受益農家に説明を行うということがあります。それから農家の同意を得て、事業実施に向けた作業に入るというようなことで、この農家の負担につきましても、事業を実施する上での1つのハードルのような状況になっているところです。
 今、土地改良区は申請事業であると申しましたけれども、事業を実施するためには、事業費の補助をもらうための事業の採択申請、国の補助を受ける場合は県及び国の審査を行うということ、それから土地改良法の事業実施手続の両方を行う必要がございます。
 11ページを御覧頂きたいと思います。
 これは、国の採択審査の事例ですけれども、国庫補助事業の実施事業採択に当たりましては、県のヒアリング、それから国のヒアリングを受けまして、その審査の結果を、事業の実施が妥当であると、事業の必要性、技術的な問題、それから環境配慮の状況、投資効率などを勘案しまして確認をした上で、事業採択につながるということでございます。また、このヒアリングの中で、構造計算や安定計算について、資料4、13ページから18ページにお示ししてありますけれども、様々な基準、農林水産省の基準、国土交通省の定める設計基準等に基づきまして、計画が作られているかということについても確認している状況です。
 19ページの資料5を開いてお聞き頂きたいと思います。
 こちらは、土地改良法による手続です。国が補助事業として実施することが妥当だと判断しますと、土地改良法に基づき手続を行うことになります。
 この19ページの図は土地改良公園の事業ですが、少し見にくいところがございます。土地改良区の設立と同時に事業実施をする場合ということで、少し定款の作成等が入っておりまして、見にくいところがございます。
 参考に、市町村の行う土地改良事業の法手続きを20ページにつけてありまして、この中で市町村自体が、議会の議決等を行うという部分は必要ありませんけれども、同じような流れで法手続が行われる状況でございます。
 19ページにもう一度戻っていただきたいと思います。
 法手続におきましては、受益者の同意を得る必要がございます。また、公告縦覧を行いまして不服申立てができますので、広く一般の方からの意見の反映もできている状況です。
 また、行政の審査に加え、赤で書いてあります専門技術者の調査報告も行われます。これにつきましては、法手続における報告聴取審査でありますけれども、この調査は、行政とは別の目で技術的な専門家が、事業の施工の必要性、技術的な可能性、経済効果、環境との調和への配慮、造成施設の管理などについて確認して、事業実施の妥当性の判定を行う、また工夫改善の提案などを行うということで、技術的な国・県の審査以外に、技術者のチェックも入ることになっております。
 21ページ、資料6を御覧いただきたいと思います。
 設計審査です。これは、事業が採択された後、事業を実施するに当たり、個々の工事を発注する場合、土地改良区、市町村等どちらも行われますけれども、団体事業の実施の場合、県の農林事務所の審査を受ける必要がございます。設計積算、図面、仕様書等を確認しまして、不適正な事項、疑義のある事項につきましては、指示、質問等を行いまして、その処理につきまして、発注の土地改良区、市町等から確認を行い、それに基づき、問題ないと判断されたところで発注が可能になるということでございます。
 また、完成後につきまして、設計書、図面仕様書などによる検査を行いますとともに、現地調査による確認を行うことになっております。
 設計につきましては、先ほど説明しました13ページからの資料4にお示ししておりますが、農林水産省、国土交通省などが定めます設計基準等によりなされているか、その内容について確認をされるという状況でございます。
 このように、土地改良区等が実施します土地改良事業も市町への土地改良事業と同様の審査が行われます。また、土地改良区職員が、一般的に技術を持っておりますが、自らの技術力に不安がある場合には、県、それから土地改良事業団体連合会の支援を受けられることになっております。当初から盛土条例の対象からは除外していただけたほうが、土地改良区等の混乱もなく、大変ありがたかったと思っています。
 今回の条例の施行に関しましては、地域が大変混乱しまして、調査や申請に費用がかかるようなら、事業実施できないのではないかという話、調査や地元調整などに入っている地区につきましては、盛土条例の審査が行われるということならば、事業実施を見合わせることになって、今までかけてきた調査費等の費用、それから時間が無駄になったのではないかというような話が出ていまして、当会にも相談、要望が大変あったという状況でした。
 農業後継者がいなくて耕作放棄地が増加していると、このような状況ですので、農地を大規模経営する農家や企業体に委ねる必要があると、そのためには効率的な営農を可能とする、農地農業施設を整備するための基盤整備、特に面的整備が重要となっており、要望が増えているのが現状です。
 しかし、土地改良事業は原則地元負担が発生します。先ほど申しましたように農家の負担が発生します。また、採択申請のための調査費や事業計画の策定費につきましても地元負担が発生します。今回の盛土条例に係る調査費用や申請費用につきましても、土地改良区の負担になることになっておりました。通常の土地改良区の負担に加えまして、盛土条例に係る新たな負担が土地改良区に課されるという状況でございました。
 土地改良区は、25ページ、資料7にお示ししておりますとおり、土地改良法の規定に基づき、県知事の認可により設立される公法人でございます。また、事業の受益者である農家の方を組合員とする団体でありまして、農家からの賦課金によりまして運営している団体、基本的には非営利の団体でございます。土地改良事業を実施することにより、土地改良区自体が収益を得るということではございません。事業を実施することで発生しました効果、増加した所得や縮減した営農経費、農家の利益の増加分ですね、農家の増収の中から、土地改良区が農家から賦課金を徴収することで、土地改良区の運営を賄っている団体でございます。
 申請料や検査料など増額分につきましては、現在の土地改良区の予算の中から捻出することは難しい状況でございます。そうしますと、農家の賦課金を増額することになりますけれども、現在の状況、農業の情勢の中では、農家の賦課金を増額することも大変難しい話であったという状況でございました。
 こうした厳しい状況下に置かれて、耕作放棄地、離農などが増加する中で、農家にこうした新たな負担を強いることが大変難しいということで、農家の方も必要な基盤整備の実施についてちゅうちょすることになりました。このため基盤整備に遅れが生じた地区もございました。
 また、土地改良区が事業実施に向けた新たな調査計画を開始する予定の地区につきましても、調査計画をちゅうちょすることにより遅れが生じたとのことでございます。
 さらにこうした規制により、規模拡大を望む前向きな農業者のやる気に水を差したところもあったのではないか、こうしたことから、農業・農村の振興につきましては大変支障があったと思っているところです。
 今回の条例の制定により発生した問題につきまして、少し事例紹介をさせていただきたいと思います。
 ある土地改良区でございますが、令和5年度から7年度に水田の区画整理の事業を、工事を実施するという予定で準備を進めていたところでございます。盛土条例の施行に伴いまして、県の盛土対策課との協議を開始したところですが、並行しまして、関係した農家の皆さんとの調整、それから必要資料、気象資料の作成・整理等を進めてきたところでございました。
 また土質、水質調査費の捻出のための調整も必要となったということです。調査費につきましては、土地改良区が見積もりを取ったところ、約500万円かかるという話があったということで、これにつきましては補助制度がないものですから、全て土地改良の負担ということになりますが、また工事の完成後も観察調査が求められるということで、それについても費用がかかることになるということで、この費用につきましても土地改良区の負担になりますけれども、土地改良区自体にその負担の財源がございませんので、農家からの賦課金で賄うことになるということで、こうした農家との調整を、多大な時間と労力を要して行ってたということでございます。
 こうした結果として、対象から今回外していただいたものですから、現在は事業も円滑に進められているところでございますし、その後続の事業として、当該地区以降の実施候補地区も何地区かございましたが、その事業化に向けた準備も進めている状況になっておりますので、土地改良区も大変喜んでいるところでございます。
 また、ある団体につきましては、令和3年度に事業が採択されまして、令和4年度に工事着工予定であった茶園の基盤整備工事でございます。条例施行に伴い、県の盛土対策課と協議を開始したというところでございます。こちらにつきましても、県の盛土対策課の指導・支援をいただいたということで、条例の適用の30センチメートル以上の盛土が1000平方メートル以上に該当するかを再度確認をしたらどうかと提案をいただいたということで、茶樹の伐採後、再測量を行い、適用除外という結果が出たということでございました。
 工事の遅れが6か月で済んだということで、農家の方に直接の被害はありませんでしたが、これが適用となった場合にはここは2.2ヘクタール、担い手農家が11件ということで、茶樹を伐採しましてイチゴ、ブドウ等を栽培したいということで、前向きに検討していた農家ですけれども、翌年以降にずれ込んだ場合には、その収穫時期の遅れによりまして、収入減となり、経営に大変な大きな影響を及ぼすことになったということは伺っているところです。また、再測量など本来不要な業務の手間と費用はかかったところもあったと聞いております。
 このように、各団体から除外してほしいという強い要望がありまして、今回対象から外れたということで、基盤整備の円滑な進捗が図られたということで喜んでいるところです。
 また、県営事業、団体事業で農地の整形、農道整備、排水の整備などを行ったときに残土が発生することがございます。そうしたとき、こうした土を近くの農家の方が受け入れまして、農家の方が整地・平坦化をしたい場合がございます。傾斜地の樹園地などで、農家の方が農道整備を行う際に発生した残土を受け入れ、自らの樹園地の平坦化を行う場合、条例の適用になるか、そういうことも農家の方は大変不安に思ってるということがございます。これを条例の対象にしますと、事業の面からしますと、近傍で処理できる残土を遠方まで運ばなきゃならないと、集落等を通過するようなこともありまして、事業費の増加とか周辺の環境の悪化などにもつながると、また農家の方からいきますと、効率的な営農が可能となる整備を安価で行うことができる状況でございますが、資料の作成や申請など、費用かかるということで、優良農地化を妨げて将来的に耕作放棄地になる可能性が高まるという状況です。
 また、土地改良事業に参加している農家につきまして、事業の受益地外の農地を自主的に改良しようとした場合に、条例による申請を行うようなとき、営農に支障が出た場合に、土地改良事業に参加している農地につきましても、営農意欲を失う場合もございますので、同意を取る事業の実施に対しまして、支障が出る恐れもあろうかと思っているところです。
 違法盛土とか悪質な盛土など、県民や農業者に悪影響を及ぼします事態の発生も懸念されますので、農地につきましても、耕作放棄地など、営農意欲のない土地に不要な残土を搬入をするという不安もございます。こうした場合には、周辺農地、周辺農家が被害を受ける恐れもありますので、こうした事態を防ぐためにも、監視とか指導が必要だと、このように思うところでございます。
 しかし、優良な農地として整備をするための耕作、作物の生育に適した土を確保する必要がありますので、農地を耕作・営農目的で造成する場合に、不要な土砂を入れると、不良な土砂を入れることは、基本的にはないという状況でございます。このことを最後に申し添えまして、私の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○杉山(盛)委員長
 勝澤さんや前島さんはよろしいですか。
 ありがとうございました。
 以上で、静岡県土地改良事業団体連合会の皆様からの説明は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 委員の方にお願いをいたします。質問をまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いいたします。
 また、聴取した内容に関連する執行部への質問は、別途時間をとりますので、ここでは参考人への質問に限らせていただきたいと思います。
 それでは、御質問、御意見等がありましたら御発言願います。

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