本会議会議録


質問文書

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令和6年6月定例会産業委員会 質疑・質問
質疑・質問者:牧野 正史 議員
質疑・質問日:07/01/2024
会派名:公明党静岡県議団


○大石(健)委員長
 休憩前に引き続いて委員会を再開します。
 質疑等を継続します。
 では、発言願います。

○牧野委員
 分割質問方式で7問ぐらいです。
 産業委員会は5年振りで久々ですが、この間、本会議でも経済産業部の質問をさせていただいたので、その進捗状況や所管事項から入らせていただきます。
 まず、カーボンクレジットについて3点ほど伺います。
 1点目として、森林分野で3次元点群データを使って二酸化炭素の吸収量を簡単に算出するカーボンクレジット認証を行う取組です。

 2点目が、以前の議会質問では海洋分野で水産・海洋技術研究所が開発した藻場面積を簡単に低コストで測定する手法に取り組んでいるとのことでしたが、完成したのか、完成しているとしたら認証の利用状況がどれぐらいあるのか。

 最後に、昨年東京証券取引所でカーボンクレジット制度ができ、静岡県でもカーボンクレジットコンソーシアムが立ち上がって活動していると思うのですが、中小企業やその自治体等への認証制度の利用状況をお聞きします。

○大川井森林計画課長
 森林分野のカーボンクレジットの取組状況についてお答えいたします。
 県では、下田市内の県営林において3次元点群データを活用したカーボンクレジットの取得に取り組み3月に登録されました。その過程で得たノウハウは、セミナー等を通じてクレジットの創出に意欲のある市町や林業経営体等の関係者に普及しております。
 その結果、県が取得支援した6者においても同時期にクレジットを登録することができました。
 本年度は下田市内の県営林のクレジットの発行、販売に取り組み、この過程で得たノウハウについても普及していきたいと思っております。

○伊藤水産資源課長
 水産・海洋技術研究所が開発した簡易に低コストで測定する手法については、令和4年から5年の2年間で完成しました。
 今年申請するものに昨年10月から11月にこの手法を使いましたが、藻場が衰退していたため面積の測定までは至っておりません。
 藻場の衰退理由は、昨年度の夏から秋にかけて水温が30度ぐらいになったことから一部衰退してしまったのですが、今年1月に新しい芽が出てきて3月に水中カメラを使って観察したところ、深いところにカジメが残っていましたので、回復したらそれを使って面積の測定に入りたいと思っております。

○小笠原エネルギー政策課長
 カーボンクレジットコンソーシアムと中小企業関係のクレジット認証の申請状況についてお答えいたします。
 カーボンクレジットコンソーシアムは中小企業、金融機関、脱炭素化支援センターなどで構成しており、多くの中小企業の方々に御参加頂いて各社が導入した太陽光発電等を一つのプロジェクトとしてまとめて、Jクレジットに認証申請することを目指しております。現状は参加している中小企業1社にとどまっており、申請の準備を継続して行っている状況でございます。
 それ以外の中小企業につきましては、クレジット制度の審査費用の支援により取組を後押ししており、今年度2件の申請が上がってきております。
 カーボンクレジットコンソーシアムの取組と併せてクレジットの創出を支援してまいります。

○牧野委員
 ありがとうございます。
 静岡県は森林面積が7割と言われているので、森林分野に関して下田市で始まっている取組をぜひ広げていただきたいと思います。
 また、海洋分野に関しても手法が完成したことは非常に喜ばしいことですが、やはり藻場の喪失が問題になっています。焼津市で藻場再生の研究に取り組んでいることを視察しましたので、ぜひ合わせてやっていただければと思います。
 カーボンクレジットの認証は始まったばかりですので、中小企業が取り組みやすいように県としての支援をしていただければと思います。

 それでは、次の質問に入ります。
 これも本会議で質問しましたが、大学生の奨学金返還支援制度の取組状況と併せて、産業委員会提出案件の概要及び報告事項26ページに今年度から国が東京圏から地方に移住・就職する大学生に対する支援金制度を開始したとありますが、この制度を活用して県として県内企業に就職する学生へのメニューがありましたらお伺いいたします。

○八木労働雇用政策課長
 奨学金返還支援制度につきましては、支援制度を設けている県内市町や他県、産業界へのヒアリングを行ったところでございます。
 市町へのヒアリングにおきましては様々な御意見がございました。浜松市では支援した若者の約8割が、支援制度が就職先を決定する際の要因になったと回答するなど人材確保策としての効果を実感するとした一方、既に取組が進んでいる市町からは県が制度を導入した場合の市町制度との取扱いについて不安の声も多く聞かれました。
 他県からは、支援手法が様々ある中でその手法の考え方や効果、課題について聞き取りを行いました。
 産業界からは、効果は不透明だがやらない理由はないといった声が聞かれる一方で、企業の人材確保と学生の奨学金支援を結びつけることへの違和感や企業負担を求めた場合の疑念も示されたところであります。
 引き続き、既存の市町制度の状況や産業界等からの御意見を受け明らかとなった課題を整理いたしまして、県としての支援の在り方についてスピード感を持って検討してまいりたいと考えております。
 次に、東京圏から地方に移住・就職する大学生に対する支援金制度についてお答えいたします。
 本支援金の制度は、国において新たに創設されました地方就職学生支援事業の仕組みを活用いたしまして、東京圏の大学に在学する大学4年生が本県での就職活動に要した交通費に対し5,940円を上限に支援するものでございます。この制度は国2分の1、県4分の1、市町4分の1の財政負担となっておりまして、今年度は県内23市町が実施することとしております。
 10月以降に県内企業の正式内定を得た大学生から、順次支援金の申請がされる見込みでございます。また交通費支援を受けた学生が来年度地方に就職する際に係る移転費への支援拡充も予定されております。

○牧野委員
 奨学金返還支援の取組については、それこそ2年ぐらい前は経済産業部として全くその意欲がなかったのが、今そうやって聞いて回っていただいただけでも大きく進んだなと感じます。
 ただ、説明を聞いてると既に市町では始めているところもあるので、そことの整合性も難しいと思いますし、県が何年もかけて取り組んだ挙句、国で大学の無償化ということもあるので、少しでも県として何かやっていただきたいと思います。

 再質問ですけれども、10月に内定を頂いた学生が申請して交通費5,900円ぐらい、まだ幾らか決定してないですが引っ越し費用が頂けるとのことですが、実は私も大学4年の娘がいて内定が出たんですけれども、その内定のニュアンスはあくまでも内々定で10月の内定式後に申請すれば受けられるという理解でよろしいですかね。

○八木労働雇用政策課長
 内定の考え方でございますけれども、まず6月1日以降に就職活動をされて、それから就職のスケジュールに乗って10月以降に内定を受けた方が対象となりますので、就職協定のルールにのっとって行った大学4年生の者に対して支援することになります。

○牧野委員
 もう多くは聞かないようにしますが、ちょっと難しいところだなって。就職協定のルールにのっとって6月以降に就職活動を始めている学生っているのかなってところもあるので。

 次の質問に行きます。
 花粉の発生量を減らす取組についてですけれども、今、国で杉の人工林の伐採や花粉の少ない苗木への植え替えを加速させ、10年後に杉人工林の面積を2割程度減らし30年後には花粉の発生量を半減させる目標を打ち出しましたが、県としてこの取組が可能かさらに国の目標以上の取組を既に行っているのか伺います。

○寺澤森林整備課長
 花粉の発生量を減らす取組についてお答えいたします。
 委員御指摘の国の目標に応じた都道府県ごとの配分は定められておりませんが、10年で2割減らすとすると本県では年間約2,000ヘクタールを伐採する必要があります。
 現状は、一定の林地を全て伐採する主伐とその後の植栽を行う再造林の実績が、杉だけでなくヒノキを含めましても200ヘクタール程度にとどまっておりまして、杉人工林の10年後の2割減、30年後の半減は非常に達成が難しい目標だと認識しております。
 しかしながら、国の花粉発生源対策の一環として県が設定する杉人工林伐採重点区域は、県内ほぼ全域を対象としたことから国庫補助事業を活用するとともに、低コスト主伐、再造林の定着や路網等の基盤整備を支援して花粉の少ない森林への転換を推進してまいります。

○牧野委員
 2,000ヘクタールに対して200ヘクタールはかなり困難と思いますが、2,000ヘクタールまでいかなくても200ヘクタールを倍の400ヘクタールにするなど、私自身は花粉症ではないんですけれども非常に周りで苦しんでる方もいますし、それだけ医療費もかかってきます。これはかなりの県民が熱望している取組だと思いますので、ぜひ県としてもよろしくお願いいたします。

 次に、茶業振興についてです。
 本議会の質問でも静岡県の茶業振興についての質問が様々な議員からされましたが、その中で私が気になっているのが、今海外需要として人気が高いお茶やお茶関連の輸出がすごい伸びていますが、そういった輸出は小規模の茶農家や茶工場でも参入できるのか、また県として参入するためのノウハウや支援はあるのかお伺いいたします。

○佐田お茶振興課長
 輸出向けのお茶の生産に当たっては、海外バイヤーが求める品質のお茶を提供する必要がございますので、輸出に取り組む茶商や茶商へ出荷する茶工場と連携し需要に応じた茶の生産に取り組んでいく必要があると考えております。
 ChaOIプロジェクトでは、輸出向けのお茶を栽培する生産者組織と個の農家のマッチングを実施しノウハウを共有しながら輸出向けの生葉生産に取り組んでおります。
 県では、茶樹の改植や輸出向け栽培体系への転換を補助金で支援するとともに、農研機構が作成した海外輸出を可能にする病害虫防除体系に基づく栽培体系の導入を農林事務所の普及指導員を通じて促していきたいと考えております。

○牧野委員
 質問ですけれども、仮に茶商や茶農家の方から海外への輸出を考えていると言われたときは、県を通して支援していただけるものなのかお伺いします。

○佐田お茶振興課長
 県ではアメリカ、ヨーロッパ、東南アジアの3か所にサポートデスクを設けております。このサポートデスクを通して各国の輸出の規制や輸出ルールなどを情報収集し輸出を進めております。

○牧野委員
 そういった相談を受けたときは、佐田お茶振興課長に相談させていただきますのでよろしくお願いします。

 次の質問です。
 以前、工科短期大学校を視察して議会で質問しましたが、そのときはまだ開校して2年ぐらいで卒業生が次の次に出るというタイミングでした。
 現在卒業生が2世代ぐらい出たと思いますが、説明資料にもあるとおり就職状況や県内企業への貢献度――就職するイコールある意味貢献だと考えていますが――さらにあらかじめ県内のある程度の企業と工科短期大学校で就職協定等により就職のルートがあるのかお伺いいたします。

○佐野職業能力開発課長
 工科短期大学校の卒業生の就職状況、県内企業の貢献度、就職ルートの状況を説明いたします。
 第1期生、第2期生とも就職希望者の就職率は100%になっております。就職先企業の県内事業所の割合は第1期生が95.5%、説明資料にもございますように第2期生は97.1%と非常に多くの卒業生が県内企業もしくは県内事業所に就職しており、県内企業への人材輩出に貢献できていると考えております。
 なお、就職先は製造業や建設業などの中小企業が中心ではありますが、工科短期大学校となりまして設計や品質管理、施工管理など将来生産現場や建設現場のリーダーとしての活躍が期待できる職種への就職が増えております。
 また、工科短期大学校では協力会という組織を立ち上げておりまして、県内企業と連携しながら就職に関する求人票を頂いたり、工科短期大学校で実施する企業ガイダンス等にも御出席頂き県内企業への就職を御紹介しております。

○牧野委員
 それでは最後の質問です。
 これは質問というか提案ですけれども、CNFプロジェクトについて、軽くて丈夫なセルロース素材の特性を生かしEV自動車の内装や外装を造る取組をされているとお聞きしています。
 議会の質問でも出ましたが、これは部が違うと思うのですけれども、今高校生の自転車通学時のヘルメット着用率が問題になっていて、この軽くて丈夫なセルロースナノファイバーを使ってヘルメットを作ることは可能なのか、既にそういうお考えはあるのかお伺いいたします。

○中山産業革新局技監
 御提案頂きありがとうございます。
 ヘルメットは直接頭にかぶり人命に関わる製品であるため、安全性を第一に考えて慎重に開発していく必要があると考えております。
 また、現段階ではセルロースナノファイバーは他の素材と比べて高価であります。このため耐衝撃性などの安全性やコストなどの課題を十分に把握した上で、民間企業や研究機関と共に連携して製品化の可能性を検討していきたいと考えております。

○牧野委員
 ありがとうございます。
 確かに高価でまだまだ普及するには大変だと思いますが、行く行くは身近なものに活用して高校生の人命を守る製品化に寄与していただければと思いますので、引き続きぜひ研究、検討をよろしくお願いいたします。

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