本会議会議録


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令和6年決算特別委員会建設分科会 質疑・質問
質疑・質問者:田中 照彦 議員
質疑・質問日:10/29/2024
会派名:ふじのくに県民クラブ


○田中委員
 分割質問方式でお願いします。
 最初に、主要な施策の成果及び予算の執行実績についての説明書44ページ、建設発生土処理官民連携推進事業の事業費について約8000万円との計算結果がありますが、建設発生土につきましては公共工事のみならず民間からの発生土を適切に処理する観点から非常に重要だと感じております。
 令和5年度にストックヤードモデル事業を実施しており、44ページ表の中段に官民連携手法等を検証するためと目的が書かれております。この事業を実施したことによりどのような検証がなされたのかお伺いします。

○森西技術調査課長
 ストックヤード事業の目的ですが、近年激甚化する災害に対応するための国土強靭化事業の実施に伴い建設発生土の発生量が増加しております。またこの増加する発生土を適正に処理するための環境整備が求められているところです。
 このため産学官で構成するみらいの県土研究会での議論を通じて、令和5年3月に建設発生土の発生抑制、利活用促進、適正処分を3本の柱とする建設発生土の処理に関する基本方針を策定し、この基本方針に基づき取組を進めているところです。
 基本方針においては、令和9年度までに有効利用率を現状の70%から80%に引き上げることを目標としております。令和5年度は特にストックヤードの活用による利活用促進として有効利用率を引き上げる有効な手段であることから東部・中部・西部においてストックヤードのモデル事業を実施しております。
 また、検証の内容として4点ほど検証しております。検証1として立地に関する検証、検証2として施設整備に関する検証、検証3として運営に関する検証、検証4としてコスト縮減に関する検証を行っております。

○田中委員
 今、御答弁頂きました検証結果を踏まえてストックヤードの整備計画を策定し民間事業者への技術支援を実施したと記載がありますが、策定した整備計画には検証結果をどのような形で反映しているのか、また計画策定を行った効果、さらに民間事業者への支援はどのように行ったのかをお伺いします。

○森西技術調査課長
 整備計画への反映についてお答えします。
 ストックヤード整備計画は、新たにストックヤードを整備する際の手引書としてストックヤードを設置し管理運営を行うまでの手順を整理しました。具体的にはストックヤードの整備に際し関係する法令や必要となる整備を整理し、またストックヤードにおける建設発生土の受入れから搬出までに必要となる作業ポイントをまとめております。
 次に、計画策定の効果についてお答えします。
 ストックヤードは建設発生土を有効利用する上で有効な手段であることから、モデル事業を踏まえて策定したストックヤード整備計画を参考として県内での整備を進めているところであります。
 続きまして、技術支援についてです。
 県では民間事業者が新たに建設発生土の処理施設を設置する際に円滑に整備ができるよう技術的な支援を行っております。技術支援の内容としましては、個別相談に対する回答だけではなく、みらいの県土研究会、研修会の場において資源有効利用促進法の条例改正に適切に対応するために元請業者が行うべき内容を説明しております。
 また、建設発生土の有効利用に向けリサイクル施設の利用促進を図るため、静岡県建設発生土マッチングシステムに施設情報を掲載できるようシステム改修などを併せて行っております。

○田中委員
 建設業界全体の大きな課題だと認識しております。現場からもいろいろな声をお伺いしておりますので、ぜひそういった声をしっかり聞き取って御対応をお願いしたいと思います。

 次の質問です。
 説明資料66ページ、県有建築物のZEB化の推進についてお伺いします。
 9月定例会の建設委員会でグランシップの照明器具の改修の議案について取り上げさせていただきましたが、今回の説明資料によりますと令和5年度に既存の県有建築物6施設について調査を行い省エネ改修基本計画を策定したとあります。
 そこで、どのような計画を策定したのかお伺いします。

○杉山建築企画課長
 令和5年度に調査した静岡総合庁舎や浜松東警察署などの6施設につきまして、各施設の現状の省エネ性能を把握した上で改修箇所や方法の異なる複数の改修パターンを設定し、費用対効果や施設運営への影響などを考慮し施設ごとに最適な改修計画を取りまとめました。
 改修における省エネ水準につきましては、建物のエネルギー消費量を50%以上削減するZEB Readyの基準を見据え各施設の状況に応じた省エネ改修計画を提案しており、6施設のうち3施設がZEB Readyの基準を達成する計画となっております。

○田中委員
 ありがとうございました。
 省エネ改修の実現に向けてこの計画をしっかり進めていただく必要があると思いますのでよろしくお願いします。

 続きまして、説明資料125ページ令和5年度に被災した公共土木施設の災害復旧状況についてお伺いします。
 令和5年は6月の台風2号をはじめとする異常気象の影響により、例えば磐田市の敷地川など県中部、西部を中心に公共土木施設への被害が甚大であったと思います。公共土木施設の被災による住民生活の影響を最小限にとどめるためには、早期に復旧工事に着手し完了することが必要だと考えておりますが、令和5年度に発生した公共土木施設災害とその復旧状況についてお伺いします。

○望月土木防災課長
 令和5年に発生した道路、河川、港湾などの公共土木施設災害は、令和5年6月の台風2号をはじめ7回の異常な天然現象が原因で国庫災害復旧の決定を受け、県、政令市、市町259か所、129億2400万円余の被害が確定いたしました。
 災害復旧事業は、発生年を初年度とし3か年で復旧することとなっており、災害復旧決定を受けた箇所については緊急度に応じて実施設計、用地買収、地元調整、発注手続を行っております。
 本日までに、県管理の被災箇所169か所のうち168か所については復旧工事に着手し106か所で工事が完了しています。残り1か所につきましては、大規模崩壊区域の中の難易度が高い砂防河川工事であり、万全を期しながら復旧に努めていきたいと考えております。

○田中委員
 ありがとうございました。
 道路や河川などの公共土木施設は、住民生活に欠かすことのできない社会インフラと理解しておりますので、地域住民の安全・安心を確保できるよう早期復旧に努めていただきたいと思います。また災害時に地域の建設業者が適時適切に動けるように、日頃からコミュニケーションをしっかり取っていただくようよろしくお願いします。

 続きまして、繰越しについてお伺いします。
 説明資料162ページと173ページにありますが、9月定例会の建設委員会において、繰越しは年度をまたいだ執行を可能とし発注や工事完了の時期を分散させる効果があるため結果として平準化に大きく貢献しているとの答弁があったと記憶しております。そういった観点で調書を見ると、162ページの港湾事業と173ページの漁港事業の執行率が低く繰越しが大変多く発生しているように思います。
 そこで、港湾事業及び漁港事業の繰越し理由について、9月議会の説明にあったように計画的に行っているものなのか、それとも気象などの理由によってやむを得ず繰り越しているものなのか、概要を御説明願います。

○原田港湾整備課長
 港湾において執行率が低い理由をお答えいたします。
 港湾は背後地に都市や港町が形成され、港湾関係事業は物流や産業機能が集積している水際や建物などが密集する狭隘な用地での工事が多い状況に加え、施工する構造物は海中から陸上に至るなど1か所当たりの工事規模が比較的大きくなりやすく工事期間も長くなる傾向にあります。
 さらに、隣接地では物流や地域産業など多様な経済活動が行われており、施設整備に当たっては利用や景観への配慮とともに、地元住民や港湾荷役関係者、漁業関係者などの生活や経済活動への影響が少ない施工時期の調整などに日時を要するケースが多いのが実情となっております。
 このような理由から、施設整備を年度内に行うために必要な工期が確保できなくなり、執行率が低い要因となっております。
 結果として繰越しが多くなっておりますが、できる限り事業の進捗を早めるため9月または12月議会において繰越しを計上させていただき、適切な工期を確保した上で速やかな発注を心がけているところです。
 一方で、事業を円滑に進めていくために債務負担行為による事業執行も積極的に行いつつ、事業の進捗を加速させていくため繰越しを前提とした補正予算の確保などにも努めています。

○石井漁港整備課長
 漁港事業特有の事象について説明させていただきます。
 御承知のように漁業をなりわいとしている方々が事業関係者として非常に多いことから、漁の期間や工事期間中の係留場所、岸壁の野積み場の調整などが非常にデリケートな問題となっており、これらに対する配慮や調整で工事が繰り越すケースが非常に多くなっています。
 また、12月議会等の補正予算で全額繰越しにするケースが非常に多く、これは事業予算の確保の観点からは計画的な繰越しと見ることができると思っております。

○田中委員
 様々な理由があると理解いたしました。その一方でせっかく確保した予算ですので、できる限り執行できるように努めていただきたいと思います。

 続きまして、説明資料176ページ都市交通マスタープランについてお伺いします。
 本県の交通体系は新東名高速道路をはじめとした高規格道路などの整備が進む一方で、本格的な人口減少や少子高齢化社会の到来に加え、コロナ禍を契機に人の移動や活動が変化するなど交通を取り巻く環境も大きく変化をしております。
 都市における交通課題に適切に対応するためには、こういった人の移動や活動の変化を的確に捉え計画に反映していく必要があると考えています。
 昨年度、西遠都市圏において都市交通マスタープランを策定するために居住者の移動データなどの集計を行ったとありますが、集計結果と策定した都市交通マスタープランを今後どのように活用していくのかお伺いします。

○海野都市計画課長
 都市交通マスタープランは、おおむね20年後の都市圏の将来像を見据えた都市交通の基本計画であり、本県では広域的なつながりを持つ6つの都市圏ごとに定期的に策定を行っております。
 最初に、令和5年度に行った移動データの集計結果のうち特徴的なものについて3点お答えします。
 1点目として、都市圏全体の総移動回数については20%減少した結果が得られました。
 2点目として、1日の中で一度でも外出する人の割合、いわゆる外出率は前回85%だったのに対し11%減少し74%となりました。
 3点目として、移動に用いる交通手段について自動車による移動の割合が前回の68%から5%増加し73%となりました。
 現在、これらの結果を詳細に分析し都市交通マスタープランの見直しを行っているところでございます。
 次に、都市交通マスタープランの活用についてであります。
 都市交通マスタープランは、県及び市町が行う都市計画道路の決定、変更の根拠や街路事業実施の検討などに活用しております。さらに公共交通の乗り継ぎ施策や民間の大規模開発時の周辺交通影響の対応にも活用しております。

○田中委員
 ありがとうございました。
 説明資料を見ますと結構な予算をかけて調査を実施していますが、この調査結果は非常に有効なデータであると思います。この調査結果を交通計画以外にも活用する考えはありますか。

○海野都市計画課長
 この調査では、人々の交通行動だけでなく年齢階層別、時間帯別の滞留場所、滞留時間も把握しております。
 したがいまして、町なかや観光地のにぎわい創出に向けた活用や、災害が発生した際の帰宅困難者の人数を把握することで避難計画、防災拠点計画など防災面の施策に活用するなど、交通計画以外の分野においても活用できると考えております。

○田中委員
 ありがとうございました。
 調査結果は様々な形で十分活用していただくとともに、特に都市計画につきましては政令市である静岡市や浜松市とも連携して進めていただければと思います。よろしくお願いします。

 次に、説明資料193ページの景観形成についてお伺いします。
 県内35市町の全てが景観行政団体へ移行後も市町の景観計画策定に向けて支援を行い、令和5年度末時点で昨年度末から1町増えた28市町で景観計画が施行されているとありますが、まずこの景観計画とはどのような内容を盛り込んだ計画かお伺いします。

○大隅景観まちづくり課長
 市町は、定められた計画区域内の景観計画に関する方針を定め建築物等の形態、意匠等の規制誘導を行うほか、景観重要公共施設としての位置づけによる公共施設の整備、景観重要建造物、樹木の指定や景観協定の締結といった内容を定めています。

○田中委員
 未策定市町が幾つか残っているようですが、策定していない理由や課題があるのか、また策定していただくために県としてどのような支援をしていくつもりなのかお伺いします。

○大隅景観まちづくり課長
 各市町それぞれに課題があると思いますが、やはり規制をかけることが難しいと思っている市町があると感じます。
 市町が景観計画を策定するためには、新たに規制を設けることなどについて地域住民や事業者に対し説明会を開催し、理解を深めながら合意形成を図る必要がございます。
 このため、県では景観形成やまちづくり等を専門とする有識者の派遣、市町職員の能力研さんのための研修会の開催など市町の取組を支援しています。

○田中委員
 未策定の市町にはそれぞれ課題があるとのことですが、景観計画を策定するメリットをしっかりとお伝えし、県と市町が一体となって取り組めるよう支援していただけたらと思っておりますのでよろしくお願いいたします。以上で質問を終わります。

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