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委員会会議録

委員会補足文書

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令和4年10月17日自然災害対策特別委員会
オフィス気象キャスター株式会社 気象予報士・防災士 渡部圭吾氏 【 意見陳述 】 発言日: 10/17/2022 会派名:


○渡部圭吾参考人
 よろしくお願いいたします。
 静岡朝日テレビで気象キャスターを担当しています、渡部圭吾と申します。浜松市出身で、地元で気象キャスターを始めて5年目になりますが、毎日平日夕方の「とびっきり!しずおか」という情報番組と、土曜日の「とびっきり!しずおか土曜版」という番組で、月曜日から土曜日にかけて県民の皆さんにお天気を伝えているという状況です。
 今日お話をさせていただくのは、線状降水帯による大雨と防災ということで、線状降水帯は一般の皆様にもその言葉自体がかなり浸透してきていると思うんですけれども、そもそも線状降水帯とは何なのか、今後どういう見通しで防災につなげられるのかというところを話していけたらと思っております。
 そもそも線状降水帯とは何かといいますと、単純に説明すると、活発な雨雲が線状に発生して同じ地域に雨を大量に降らせること、こういった雨雲のことを線状降水帯といいます。これは、2020年の熊本豪雨のときの、東西に線状に連なる線状降水帯の雨雲です。この雨雲が南北に動けばいいのですが、ここで停滞してしまっています。そのため同じ地域に大量の雨が降り、それが被害の甚大化につながったということです。特に、熊本豪雨のときは、人吉市などで橋が流されたり、広い範囲で低地の浸水などが起きて甚大な被害が出ました。線状降水帯という言葉は、ここ10年以内くらいで急に知られるようになった状況ですけれども、その線状降水帯がピックアップされたのは、2014年の広島の集中豪雨がきっかけでした。このときも線状降水帯が発生しまして、広島の市街は、結構、山がちな地形だったりするものですから、そういったところを切り崩して大規模に宅地造成したところが崩れてしまい、大きな被害が出ましたが、この辺りから大雨の原因が線状降水帯であると言われるようになりました。線状降水帯は、この10年くらいでできた現象ではなく、前々からあるが、この2014年の広島の豪雨をきっかけに注目され始めてきたので、大雨のときには線状降水帯と言われるようになったということなのです。そのほかにも、2015年の関東地方の豪雨、これは鬼怒川が氾濫した豪雨です。あと2017年の九州北部豪雨では、福岡市や朝倉市などを中心に土砂災害が発生したり、あとは線路が流されたりして甚大な被害が出ました。2018年度の西日本豪雨、これも広島県だけではなくて岡山県も甚大な被害がありました。あとは2020年の熊本豪雨。このように毎年線状降水帯による被害、影響が近年は起きやすくなっているのが現状です。
 この線状降水帯ができる仕組みですが、気象学的ですけれども、まず雨雲の元は湿った空気です。湿った空気が流れ込むということが1つ発生原因としてあります。その湿った空気が山とか、局地的な全線などによって上空に持ち上げられると雲が発生します。それで不安定だとより発達して、あと上空、主に西風とか南風が多いんですけれども、風に沿ってぽんぽんと雲の列が並んでいくと、これが線状降水帯のできるメカニズムになります。まとめますと、まず空気がとても湿っていること。そして山などにぶつかってその空気が持ち上げられること。さらに上空に強い風が吹いていて、列のように発達した雨雲が並びやすい状況、そういった状況のときに線状降水帯は発生します。専門的な言葉で言えば、ビルのようにどんどん連なっていくためバックビルディング現象と言うこともあります。
 この線状降水帯ですけれども、今年から線状降水帯の予測が始まりました。ニュースなどで結構大々的に報道されてましたので御存じの方もいらっしゃると思いますが、6月1日から線状降水帯の予測が始まりました。具体的にどんな内容かといいますと、線状降水帯が発生するという予測を半日前から情報として提供しようということです。そして半日前に情報を発表することで、早めの避難につなげることができるようになりました。この半日前が結構ポイントで、例えば夕方の天気予報などで、線状降水帯が半日後に発生する可能性がありますみたいな感じで伝えると、その夜中に発生するという、そういう時間的なところでカバーすることができますので、暗くなる前に早めの避難を呼びかけることができ、とても大きな防災情報として大切な一歩だと思います。ここにも書いてありますけれども、深夜や未明の急速に悪化する状況を予想して、明るいうちに避難の心構えをすることがとても大事です。線状降水帯がなぜ予測できるようになったかといいますと、やはり技術の進歩が結構大きくて、水蒸気観測の強化と集中観測の実施とありますが、気象を測る機械というのはいろいろあります。気象レーダーやアメダス、あとは高層気象観測といいまして、機械を風船にぶら下げて上空の高いところまで上げて、それで観測する方法もあります。いろいろ観測方法がありますが、この水蒸気がどれだけ湿っているかというのを測る、そういった技術が強化されています。具体的には、船舶による観測があり、実際にもう行われていますが、九州の西側の東シナ海に大雨が予想されるときに船を出して、船の上に置いた水蒸気を観測する機械でリアルタイムで水蒸気の量などを測り予測につなげるということができるようになりました。そういう取組もあって、線状降水帯もある程度予測ができるようになったということで、今年から始まったというわけです。いろいろ観測するとそれだけデータが集まってきます。そのデータの処理も非常に大事で、頭のいいスーパーコンピューター富岳などで効率よく計算して、今はどうなのか、今後はどうなっていくのかを大量のデータを計算処理して予測に組み立てていく。こういったコンピューターの発達も線状降水帯の予測ができるようになった1つの要因でもあります。
 線状降水帯について、1つ具体的な例を挙げて説明します。今年の8月に台風8号が接近したときに、この線状降水帯の話題が大きく取り上げられました。これは8月13日土曜日から14日日曜日にかけて県内に接近、上陸した台風8号は、伊豆半島の根っこのほうの沼津市付近に上陸しました。これが天気図ですが、そんなに発達してません。中心気圧は1000ヘクトパスカルで最大風速20メートル、暴風域もありません。そんなに発達した台風ではなかったんですけれども、台風が近づく前から暖かく湿った空気がずっと流れ込んでいて、上陸の2日前から静岡県内では大雨が続いていました。この状況のときに東海地方に初の線状降水帯予測情報が発表されました。これは8月12日の夕方に発表されております。これは気象庁から文書形式で発表されたものです。東海地方気象情報とありますけれども、台風8号が上陸するおそれがある、静岡県では土砂災害、注意・警戒してください、そして13日の日中に線状降水帯が発生して、大雨災害の危険度が急激に高まる可能性があります、こういった文書が初めて加えられました。これが線状降水帯予測情報になるわけですが、実際にこの結果は、線状降水帯は東海地方には発生しませんでした。ただ、静岡県のすぐ近隣の伊豆諸島の北部に線状降水帯が発生してしまいました。ということで、結果的には空振りになったわけですが、すぐ近くで発生はしているので、やはり危険性は高かった、そういった事例になります。
 この線状降水帯の予測は、気象情報で事前に呼びかけられます。気象庁からは今日の天気、明日の天気、週間予報ということで、マークで天気予報が出ることもありますが、例えば大雨のときに雨が24時間雨量で100ミリ降りますとか、台風が来たときは風が最大瞬間風速50メートル吹きますとか、あとは雪が降るときなどは多いところで何センチ降りますとか、そういった具体的な数値的な情報というのは、こういった気象台が出す気象情報という文書形式の情報で発表されていきます。そういった情報の中に、先ほどもお伝えしましたけれども線状降水帯が発生する可能性があり、大雨災害の発生の危険度が急激に高まるおそれがありますとか、線状降水帯が発生した場合には、局地的にさらに雨量が増えるおそれがありますと、こういった文言を付け加えることで、気象庁がより警戒を強めることになっていきます。このとき、線状降水帯の発生は県内ではしていませんが、伊豆で局地的な大雨になりました。台風8号が通過した後、8月14日日曜日に活発な雨雲がこのように局地的に発生して、伊豆半島の特に南の地域で局地的に大雨になりました。松崎の雲見地区で大規模な川の氾濫や土砂災害等があって、温泉街が被害を受けたときですが、実際に松崎ではこのとき8月の平年を上回る雨量が短い期間で降っていた状況でした。台風が近づく前から雨がずっと降り続いて、それで台風が上陸したときも降り続いて、それで台風が通過した後もこのように降り続いていたんです。これを見ると、何となく線状降水帯じゃないのかみたいな感じで一般の方は思うかもしれないですけれども、実はこれは線状降水帯とは判定されませんでした。ただ局地的な雨雲の、何となく帯状というか線状というか、同じようなところにかかり続けたので、1時間雨量が44.5ミリ観測されています。松崎では今年最も激しい雨がそのときに降りました。
 線状降水帯の基準というのがありまして、この4つです。まず降水域の面積です。細かく書いていますけれども、簡単に言うと雨を降らせている、ある程度まとまった雨量の雨を降らせている面積がどれくらいあるかがまず1つ。あとはその雨量の多さです。この雨雲の面積の中で3時間の積算雨量の最大値が150ミリ以上ということで、細かく数値が決められています、雨がどれくらい多いのか。あとは形状です、線状降水帯ですから線状である必要があります。これも長い辺と短い辺の比がこうとか細かく決められています。4番目は危険度です。土砂災害の警戒情報が出ていたり、洪水警報を発表する基準を大幅に超えていたりです。あと土砂災害に関しては、大雨特別警報のこの土壌雨量指数基準値、すごい簡単に言うと土の中の水分がどのくらいあるかということですが、その基準の8割に到達というように、細かく決まっています。この4つのポイントを満たしたときに、線状降水帯発生情報ということで気象庁から発表があります。線状降水帯とは全部が線状に見えると、それを全部線状降水帯にしてしまうと、年がら年中線状のものが全てこうなってしまいますので、あくまでもこういった基準の下に気象庁が発表しているということです。
 もう1つの事例です。3週間経ちましたけれども、9月23日金曜日から24日土曜日にかけて県内に接近した台風15号です。熱帯低気圧がこの日本の南辺りにしばらくありまして、本州の南に近づいたときに台風に変わりました。東海地方から関東地方の沖合を進んでたんですけれども、台風になる前の熱帯低気圧でも雨量が多くなりました。台風と熱帯低気圧の違いは、単純に風の強さだけです。台風というのは、中心付近の最大風速が17.2メートル以上のものをいいます。そして17.2メートルに満たないものを熱帯低気圧といいます。その台風と熱帯低気圧のどちらにしても、その雨の量は全く関係なく、台風でも熱帯低気圧でも、どちらでも大雨に関してはそのリスクは全く同じですので、やはり油断はできないです。8月の台風8号のときと同様に、あまり発達しませんでした。速度が毎時20キロから25キロくらいで、自転車並みかもうちょっと速くこいだぐらいの、比較的ゆっくりとしたスピードでしたので影響が長引きました。このときに観測された雨量ですけれども、まずこの上のほう、雨の多さです、これは全部観測史上最大です。24時間雨量が高根山で403ミリ、高根山とは藤枝市の山間部です。天竜で280ミリ、あと12時間雨量で静岡市の中心部、曲金にある気象台で404.5ミリ降ってます。静岡市の中心部の9月ひと月に降る雨の量の平年が、大体250ミリちょっとぐらいですので、その平年の1.78倍くらいの雨が僅か半日で降ったことになります。後は6時間でも清水、掛川、静岡空港などで200ミリを超えるような記録的な大雨となりました。12時間雨量は静岡で404.5ミリですが、24時間雨量の静岡市のこれまでの最大値が515ミリぐらいで、七夕豪雨のときです。今回はその七夕豪雨に次ぐような大雨になったということが言えます。結構集中的に雨が短時間で降りましたので、雨の強さを表す1時間雨量、各地で90ミリを超えるような猛烈な雨が降りましたし、静岡市の中心部でも1時間に107ミリとこれは9月の観測史上最大で、歴代観測史上2位、そんな猛烈な雨が降りました。このような猛烈な雨が降ったことで、ところどころ河川が氾濫したり、低地の浸水も相次いだというわけです。そして記録的短時間大雨情報、これが16回も発表され、県内で急速に災害の危険度が高まったという状況でありました。これが9月23日の夜です、この活発な雨雲がこういった大量の雨を降らせていきました。
 それで観測されたのが線状降水帯発生情報です。これは気象庁のホームページから、当時私が画像をキャプチャーしたものですが、線状降水帯が発生しましたよとのお知らせは、気象庁のホームページの雨雲レーダーのところを見ますと、こういった赤い楕円状でお知らせをしてくれます。このときは浜松から静岡にかけて県の西部や中部に線状降水帯と認められて、これが県内発の線状降水帯発生情報として発表されました。線状降水帯が発生しましたよという情報も、気象台が発表する気象情報で発表されます。これは気象情報のうちの顕著な大雨に関する気象情報という文書ですが、こうした形で、これは例ですけれども、線状降水帯による非常に激しい雨が同じ場所で降り続いています。命の危険が及ぶ土砂災害や、洪水による災害発生の危険度が急激に高まっていますということで、速報的に出すんです。これは判定基準ですが、実はこれは人の手は加わってないです。自動的にコンピューターが計算して、これに全部を満たせば速報的にこんな感じで、雨雲のレーダーのところに印がついて、そして気象台からこういう感じでぽんと情報が発表され、もう本当に速報的な情報になっていきます。それで顕著な大雨に関する気象情報という言葉が長いので、テレビやラジオ、新聞などでは線状降水帯発生情報などと言葉を置き換えて伝えることが多いです。私の局もこの線状降水帯発生情報と伝えるようにしています。
 こうした大雨のときは刻一刻と状況が変化します。この線状降水帯が発生しているということは、あくまで瞬間的な瞬時の検証で、この時間にはこうだけれども、5分、10分後、15分後とどんどん変わっていきますので多少はずれることはあります。そこが留意点かと思います。あくまでここの部分が線状降水帯ですけれども、ちょっと時間を置くと少し位置がずれたりする可能性はありますので、そこは注意が必要かと思います。線状降水帯が発生していない地域でも、もしかしたらその雨雲が次の瞬間にかかってしまうかもしれない、そうしたことも十分留意する必要があります。
 線状降水帯予測情報は今年の6月から始まりまして、気象庁が何度も出していますけれども、予測がとても難しくて、的中率が大体25%くらいです。実際に線状降水帯が発生しますよと半日前に呼びかけをして、実際に発生した確率が25%です。一方で、こちらなんですけれども見逃すのが大体70%です。線状降水帯の予測情報を出していなくて、実際に線状降水帯が発生してしまった確率が70%です。今回のこの県内で初めて出た線状降水帯発生情報も、事前に予測はできませんでした。ということで、この70%の中に入っていきます。とにかく的中率がまだ低いんですけれども、ただ1つ情報として留意が必要なのが、線状降水帯が発生していなくても、大雨になる確率というのは大体60%ぐらいこれまでありましたので、やはり線状降水帯予測情報が出たときには、大雨になる確率はかなり高いことを意味する情報にもなります。
 そして気象現象というのは、線状降水帯は結構局地的な現象ですけれども、小さい現象や、あとは時間が短い現象ほど予測は難しいという特徴があります。こちらの図は、横軸が時間で縦軸がスケール、つまり規模の大きさです。見ていきますと、例えば竜巻などは時間が比較的に短くて、それで比較的に小さい現象などでここに当たります。そしてもう少し右肩上がりで見ていきますと、台風などは比較的大きな現象ですので、大体寿命も1週間くらいありますし、この直径も大体200キロ、300キロ、大きいものは500キロくらいあるものもありますけれども、比較的スケールが大きいということで、気象現象は時間が短ければ短いほど、規模が小さければ小さいほど予測が難しいと言えます。線状降水帯は、大体この辺りに当たります。大体寿命も数時間とか、短ければもう1時間で終わってしまうような現象になります。さらにスケールも大体10キロから100キロくらいですので、どこに発生するかを予測するのがとても難しいと言えると思います。
 あと、話が脱線しますが、この竜巻も非常に難しくて、今年の5月に富士市で、8月には静岡市の久能海岸の近くで、この間の台風15号のときも牧之原市で竜巻と見られる突風の被害が、今年は静岡県で相次いでいます。竜巻注意情報という情報がありまして、竜巻が発生する可能性が高くなったときに、テレビとかを見ると速報で出たりしますけれども、そういった竜巻注意情報が頻繁に発表されても、実際に竜巻が起こる可能性はそんなに多くはないです。よくよく考えると、これは例えば竜巻注意情報の情報を受け取って、では実際に私たちの周りで竜巻を実際に生で見たことがある人はいますかと周りで聞いても、多分ほとんどの人はいないと思います。それくらいこの竜巻注意情報は、情報は出やすいけれども実際に発生する可能性は非常に低い。ただ発生してしまうと甚大な災害につながりやすいこともあるので油断はできないので、この竜巻も予測が難しい分類に入るというわけです。
 線状降水帯から話が脱線しましたけれども、この線状降水帯の今後の見通し、どうなっていくかですが、一言でいうとどんどん技術を発展させて、使える情報にしていこうというのが気象庁の目標です。この先ですが、まずここです、2022年、半日前から予測。これは今年の6月から始まりましたけれども、今後はまず対象範囲を狭めていくのが重要になっていきます。現在、線状降水帯の予測情報は広い範囲でしか出ていません。例えば関東甲信地方とか、あと東海地方、近畿地方、それくらいのかなり広い範囲で今出されていますけれども、これをもう少し絞っていこうということで、今、取組が進められています。今後の目標は、2024年には東海地方という地方単位から、今度は静岡県など県単位で半日前から予測ができるようにしましょうと。さらに2029年、まだ当分先ですけれども、県単位から今度は市町単位に、静岡市や浜松市、市町単位で半日前から線状降水帯の発生を予測しましょうと、そういった目標が今掲げられているような状況です。対象範囲をどんどん狭めていくのが今の目標です。それと同時に予測時間を延ばしていくのも、今、取組として行われています。2023年、来年ですけれども新たな取組としましては、その線状降水帯が発生しそうな状況のときに、直前に、この後、発生するおそれがありますよと情報を出そうと、今そんな準備をしています。大体30分前くらいを目標にしています。さらに2026年にはもっと前、大体二、三時間前を目標に、この後、二、三時間以内に線状降水帯が発生するおそれがあるという情報を出そうと、時間を少しずつ延ばしていく取組も今進められています。このように線状降水帯は甚大な災害につながりやすいので、国民一人一人に危機感を伝えて防災対応につなげていくことがとても大切なことだと思います。
 線状降水帯発生情報も大切な防災情報の1つですけれども、日々私たちが接している防災情報はたくさんあります。ちょっと簡単におさらいしていきたいと思います。
 大雨に関する情報を簡単に振り返りますと、まず大雨注意報は大雨により災害が発生するおそれがあるときに発表されます。大雨注意報には2種類あります。土砂災害に対する注意を呼びかけるか、浸水害に対する注意の呼びかけかで、これは気象庁のホームページに出ています。どちらの大雨注意報か、土砂災害に対する大雨注意報か浸水害に対する大雨注意報か、これが気象庁のホームページで見ることができます。災害が発生するおそれがあるときに大雨注意報、警戒レベルは1から5までありますけれども、その2に相当する情報です。あと大雨警報です。これは重大な災害が発生するおそれがあるということで、大雨注意報からさらに警戒を引き上げられた情報で、警戒レベル3に相当します。次に大雨特別警報です。数十年に1度の大雨が予想されていて、重大な災害の危険度が著しく高まる、または既に災害発生のおそれが極めて高い状況に発表されていまして、警戒レベルは5相当になります。このときはテレビなどでもよく伝えられていますが、もう警戒レベル5ですと安全に避難できる保証はないくらいの、とにかく命を守る行動をしなければならない、そういった切羽詰まった状況であります。大雨特別警報に関しては、県内にも過去に出たことがありますが、2019年の東日本台風のときに熱海などの伊豆地方に出たのが近年、そのときは初めて出た情報だったかと思います。警報、注意報以外にも、これもよく聞きますが土砂災害警戒情報です。これは警戒レベルは4相当です。命に危険を及ぼす土砂災害がいつ発生してもおかしくない状況で、気象庁と都道府県が共同で発表している情報です。特に土砂災害の危険度が高まっているときですので、山間部などでは警戒が必要になってきますし、あとは警戒レベル4というのは、自治体が避難指示を出す1つの目安でもありますので、この警戒レベル4までには全員、危険な場所から避難するということが求められる情報になります。さらに、先ほどもお伝えしましたが記録的短時間大雨情報、今回の台風15号で16回出たという情報ですけれども、数年に1度しかない短時間の大雨をアメダスの実際の雨量計で観測したり、あとは雨雲のレーダーの解析で降っているときに発表されます。災害につながるような猛烈な雨が降っているときに発表されます。これは静岡県の基準では、大体1時間に110ミリの猛烈な雨が降っているときに発表されます。この110ミリという数字は猛烈な雨ですけれども、最近は非常に激しい雨が増えています。それでこのグラフなんですけれども、何かいろいろ色がついて線も書いてありますけれども、これは1時間に50ミリ以上の雨が降った回数を棒グラフにしました。横が時間軸で縦が回数です。それでこの緑の棒グラフは実際に観測された回数です。この青のグラフは5年ごとの平均をグラフにしたもので、さらに赤は全部、棒グラフを全てなだらかにした線になります。ということで、ざっくり見ますと右肩上がりと確実に近年増えていることが挙げられます。それでこの30年間で大体1.5倍くらい、1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が増えているということなんです。それでこの原因は何かというと、やはり地球温暖化になります、気温が高いんです。これは静岡市の平均気温なんですが、これも何かジグザクしたグラフ
とかで若干見にくいんですけれども、全体的にこの赤のグラフを見ていただくと、やはりこちらも右肩上がりです。それで1940年代、50年代では大体15.5度くらいですけれども、2020年には大体17度くらいで1.5度くらい気温が平均的に上がってしまっている状況です。1.5度というと何かそんなに大したことないんじゃないかなと一般の方は思われがちですけれども、結構大変なことで、例えば人間の体温で考えていきますと、平熱が皆さんは36.5度くらいですけれども、1.5度上がると38度ですから結構苦しいです。それと同じように、今地球も熱を出してしまっているような状況で、この1.5度の上昇は決して見逃すことができない、そんな状況となっています。これは気温が上がると何で雨の量が多いかというと、理科の授業とかでも習いますけれども、飽和水蒸気量も増えるからです。気温が上がると空気中に含むことができる水蒸気の量も多くなりますので、より雲が発達しやすい。雲が発達しやすいということは、雨量も多くなりやすいということで、非常に激しい雨が増えているその原因の1つが地球温暖化になります。この地球温暖化ですが、非常に激しい雨が増えている、この非常に激しい雨の原因の1つが線状降水帯で、今後、線状降水帯の発生回数が増えたりする、そんな懸念も心配されている状況なんです。こういった災害が激甚化していますので、防災対策を個々に進めないといけないなと思ってまして、そのうちの1つが国交省がこの取組を進めていきましょうと推奨している、マイ・タイムラインです。マイ・タイムラインとは、個人でいざ大雨になったときにどんな行動を取ればいいかをあらかじめ計画を立てましょうということなんです。具体的には皆さんが住んでいる地域の水害のリスクを知る、大雨が降ったらどの辺りで水がつかりやすいのか、あとは土砂災害がどれくらい置きやすいのか、ハザードマップなどを使ってあらかじめ確認しておくのが大切です。このように紙に書いて、どのタイミングで避難するか、そういったことも事前に確認しておくのがマイ・タイムラインの内容になっていきます。具体的に言いますと、例えば台風が来るという予想が出ているときに、接近の3日前に大雨洪水注意報あたりが出始めたときには、大雨のおそれがあるということでハザードマップで避難所の確認をしておく。それでいよいよ雨が強まってきて、大雨洪水警報などが出始めたときは、非常持出し袋の準備や、車にガソリンをたくさん入れておく、高齢者等は避難という情報もありますけれども、そうした情報が出たときには、避難に時間を要する方は安全な場所に避難しておく。そうしたことで段階に応じてどんな行動を取ればいいかを洗い出していくのが、マイ・タイムラインの具体的な行動計画になっていきます。これは結構最近言われますけれども、避難することは避難所に行くことだけではないというのが大切なことです。避難するときに外は大雨がひどくて、外へ出るのは危険というケースも結構ありますので、そうしたときにはその時々に応じた行動を冷静に考える必要があります。例えば大雨で外へ出られないときは、自宅のなるべく上の階に避難するとか、垂直避難ですけれども、川の近く、そして山の近くは斜面から離れた部屋、そういったところに避難することが大事です。あとは
もう事前に大雨になる前に、巨大な台風が来るよみたいな感じで、もう避難したほうがいい場合は、浸水しない地域の御自宅とか、知人の家に身を寄せるとか、あとは指定の避難場所に行ったりとか、避難場所プラスいろいろな安全な場所を自分なりに考えて、そこに避難しておくのが大事になっていきます。マイ・タイムラインの取組が今全国各地で普及活動が行われていまして、これは先日、山形県の長井市で行われたマイ・タイムライン講習会の様子です。国交省と市と県と、あと河川情報センターと私が所属しているオフィス気象キャスターと共同で行ったものですけれども、市民の方に参加していただいて、実際にマイ・タイムラインのつくり方、どういうところをポイントにつくったらいいかを皆さんで、勉強会のような感じで学んでいくことを今全国各地で行っている状況です。避難するときに、自治体からの情報とともに、地域や家族で避難する基準をつくっておくことも一つ大事なことだと思います。避難情報が出たら避難することはもちろん、災害の前兆を見つけたら地域に連絡する体制を整えておきたい。あとは川の水位、もう危ないよ、どのくらい危ないのかを知っておくのが大事です。今回の台風15号でも安倍川が氾濫危険水位に達して冷や冷やしましたけれども、そうしたどのくらいが危ないのかを調べておくのが大事だと思います。
 あとは少しローカルな話になりますけれども、地域の危険な場所を知るということで、本当にこういった小さい水路はあちこちにあると思うんですけれども、大雨で川があふれるとこんな感じになります。水で底のほうが見えません、こうしたところに落ちてしまうと非常に危険ですので、そうした危険な場所が避難ルートにないかどうかということを確認しておくことが大事だと思います。土砂災害ですが、これは私が写真で撮ったものですけれども、危険な場所にはしっかりこうやって看板が描かれています。ハザードマップに加えて地域にある看板の意味を理解するのが大事だと思っています。多分、地域のそこにお住まいの方は、看板の存在は知っているが、では実際にその看板がどういう意味があるのかは、あまり御存じでない方もいらっしゃるかもしれません。ということで、地域にある看板の意味を理解するのも一つ大切なことだと思います。
 マイ・タイムラインをつくったり、あとは避難ルートの確認とかです。そういったことを一般の市民の方に知識として普及活動を行っていくのが防災士とか、あと地域の自主防災会などの役割だと思っております。こういった地域の防災力を高めていくのもそうですが、今はこの気象庁のキキクルというホームページがあります。これは土砂災害と洪水害、浸水害の危険度を調べることができますが、これは私個人的には本当に万能なツールだと思っています。今まで例えば土砂災害警戒情報とか大雨警報、大雨注意報は、実際は市町単位でしか出ないんです。ただこれを見ると、静岡市の例えば駿河区の大谷の辺りのこの辺りとか、細かいところまで見ることができるので、これは本当に万能だと思っております。しかもこれはパソコンやスマートフォンで一般の方も簡単に調べることができますので、自分で防災情報を取りにいくという意味からも、これは非常に万能だと思っています。気象庁のキキクルの、台風15号のときに線状降水帯が発生したときの危険度ですけれども、やっぱりこの辺りに線状降水帯が発生しまして、それに沿って危険エリアが広がっている、そんな状況です。ポイントですと地域を細かく見ることができる。しかも5分ごとに更新されてほぼリアルタイムで、あと地域の環境に合わせて危険度を表しているのもポイントです。地域の環境に合わせて危険度を表しているのは、具体的に言いますと、例えば100ミリの雨がある地域に降って、その地域によってどれくらいの危険度かが違うんです。もともと雨の多い地域に100ミリ降れば大したことないが、雨の少ない地域に100ミリ降ったら災害に結びつきやすいとか、そういったところまでこのキキクルは加味されていますので、これは地域の実情に合ったとてもいい防災情報であると私は個人的に思っています。これは自分で防災情報を取りにいくという、そうした一つの練習にもなりますので、広げていったほうがいいと思っています。
 最後になってきましたけれども、やはりこの線状降水帯、先日磐田市の神増地区で大規模な土砂災害が台風15号のときに発生しましたけれども、そこの現地を見てまいりました。これは、磐田原台地の末端部なんですけれども、本当にあちこちで土砂が崩れていまして、磐田市は線状降水帯などによる豪雨で記録的短時間大雨情報も2回出ていますので、短時間で危険度が高まったと言えると思います。この前の10月9日に行った段階でも道路に土砂が残っていたり、まだまだ復旧途上という感じがしたんですけれども、これも一つ線状降水帯の恐ろしさ、とにかく短い時間で大量に雨を降らせて、それが急速に危険度の高まりにつながっていく、そうした恐ろしさを感じる場面でもありました。こうした被害を出さないためにも、この線状降水帯の予測をうまく活用して防災につなげていく。あとはこのマイ・タイムラインです、この普及が今後は大事じゃないかなと思っています。
 最後はまとめになりますけれども、防災情報は結構皆さん受け身になりがちですが、やはり自分でこれから取りにいく時代でもあると思います。危ないなと思ってもその防災情報が出てないから大丈夫と思うのではなくて、危ないと思ったらすぐに避難する。そしてキキクルなどで防災情報を手に入れる、そういう習慣を一般の市民にはつけていただくことがとても大事じゃないかなと思っております。
 今日は線状降水帯と防災についてお話しさせていただきました。ありがとうございました。

○落合委員長
 ありがとうございました。
 以上で、渡部様の説明が終わりました。

 これより、質疑に入ります。
 委員の方にお願いいたします。
 質問は、まとめてするのではなく、一問一答方式でお願いいたします。
 それでは、御質問・御意見等がありましたら御発言願います。

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