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委員会会議録

委員会補足文書

開催別議員別委員会別検索用


令和元年10月多文化共生推進特別委員会
静岡文化芸術大学 副学長 池上重弘氏 【 意見陳述 】 発言日: 10/24/2019 会派名:


○池上重弘氏
 それでは、着席にて失礼いたします。
 ただいま御紹介をいただきました、静岡文化芸術大学の池上と申します。
 きょう、私がいただいた時間は50分と限られていますので、早速本題に入りたいと思います。
 お手元の資料を、まず御確認ください。
 本体資料がパワーポイントのスライド、A4サイズに2枚、スライドが印刷されたもの、カラー、これがきょうの進行のメインです。それから、国がつくった資料ですけれども、先に出たのがA3版のカラーの大きなもの、これが1枚です。これは昨年12月の出入国管理法改正の折に、そのタイミングで出ております。それから、A4版1枚のものは、ことし6月ですから、それから約半年がたって、さらに充実ということで出てきたものであります。
 きょうは、これらを必要に応じて言及しますけれども、この一つ一つを紹介するという形はとりません。なぜなら、私は国の役人ではないからです。むしろ研究者として、そして静岡県で多文化共生の地域づくりの一端を担う者として、御発言をさせていただきたいと思います。
 それから、もう1つが緑色の小さな冊子、これは、県の就業支援局が作成されたもので、実は増補改訂版となっています。これに先立つバージョンがあるんですけれども、それに少し情報を加えて、9月に出たものがこちら。これが今のところ、一番新しいバージョンになります。これは、ごらんいただいてわかるとおり、載っているのは、本県で暮らし、働いている定住外国人の皆さんです。定住外国人って何ですかというのは、この後、お話します。
 結論を先に申し上げると、静岡県にはこうした定住外国人、とりわけ若い世代があらわれ始めています。この力を十分に生かすことが、ちょっと大げさな言い方をすると、静岡県の将来を左右するのではないかと私は考えています。どうしても外国人の問題というと教育の問題、あるいは地域のかかわりとの問題、否定的な話が、有権者の皆様から皆様のお耳に届いていることと思います。
 一方で、私は、しばしば、静岡県の定住外国人、とりわけ若い世代は、本県が日本に誇るアドバンテージ、利点だということを申し上げています。昨日、県の多文化共生審議会がありまして、その場でも同様の発言をしましたけれども、そういったアドバンテージがあるんだということを、ぜひ皆様に御理解いただいて、その力を存分に発揮することで地域づくりに生かし、さらにはその地域にたくさんの外国からの労働者が入ってくることで、さらに地域の豊かさを増していく、その分岐点に今、立っているのじゃないかという話を、きょうはしたいと思っております。
 さらに、これは付録のような形ですけれども、ちょうど今週末から、私どもの大学で写真展が開催されます。在浜松ブラジル総領事館と私どもの大学が共催する写真展、そしてそれに合わせた、30年を振り返り、未来を展望するシンポジウム、さらに、ブラジルで8年間音楽の修行をしたピアニストによる交流コンサート、このチラシも御案内いたしました。
 それでは、お手元の紙のほうが、カラーできれいに見えますので、要所要所、画面を参考にされながら、お話を聞いていただければなと思います。
 きょうは多文化共生の地域づくりの必要性、受け入れの新局面にどう対応するかということをお話をしてまいります。
 私自身は、個別の支援活動を毎週展開しているとか、何らかのNPOを主催しているという立場ではありません。したがって、個別具体的な現場の話は、きょうこの後、あるいはほかの日にあると思いますので、全体的な状況の認識、あるいは県議会の立場でどういった構えで、今、この局面に向き合うとよいのだろうかということを、皆さんにお伝えできればなと思っております。
 きょうはこんな感じで、在留外国人の全国的な動向と静岡県の特色を見てまいります。静岡県は、もう既に30年以上にわたって、外国人が多々暮らしていて、しかも定住型の外国人が多いという特徴があります。さらに、浜松のような全国トップレベルの取り組みもありますし、静岡県も47都道府県の中では、かなり先駆的で体系的な取り組みをしていると思います。その背景を確認したいと思います。
 3番目、外国人労働者の動向ということで、これは厚生労働省が毎年10月末の段階のデータを、約10年ちょっとですか、発表しております。そのデータをもとに、労働者としてカウントされる、日本で働く外国人の動向について、確認をしたいと思います。
 そして、4番がきょうのいわばメインになるわけですけれども、この4月に施行されました外国人受け入れ政策の大転換、それがどういう意味を持つのかということと、今後へのインパクトを考えたいと思います。
 5番目が、そういった新たな状況が展開するであろう中で、定住外国人の第二世代の若者たちが今、どう育っているか、そこを皆さんと共有し、課題もお話ししたいと思います。その一方で、恐らく皆さんが余り御存じではない、物すごいポテンシャルを持った人材が、静岡県では育っているんだということも、合わせて御紹介したいと思います。
 最後、結びということで、50分の話を進めてまいりましょう。
 では、最初、講演の背景と目的からお話します。
 ほぼ10年前、2008年、リーマンショックがありました。実は、2008年というのは、日本からブラジルへ移民が出た1908年からちょうど100年たって、いわば日本全国、ブラジルはもちろんですが、お祭り騒ぎだったわけです。移民の100年を記念すると。私たちの大学でも、大規模な写真展などをやりました。しかし、秋のリーマンショック以降、皆さん、御存じのとおりの、非常に深刻な経済的な破綻状況と言っていいでしょうかね。不況となり、とりわけ派遣労働で働いていた、不安定な雇用環境で働いていたブラジル人、ペルー人など、主に日系人の方々が仕事を失った。もちろん日本人も仕事を失ってますけどね。そのことは皆さん、御存じだと思います。
 それから10年がたちました。10年がたつ中で、残った定住型の外国人、日系人などは、やはりそれ以前の人たちとはちょっと違う考え方をするようになりました。すなわち、日本で仕事をしていくには、やはり日本の社会と関係をしっかりとより結ばないといけないんだということ、あるいは、子供たちが日本で教育を受けて、日本で未来を切り開いていきたいと考えている、その子供たちの気持ちに寄り添っていくには、自分も地域と、あるいは会社の中でちゃんと立ち位置をつかんでいかなきゃいけないんだと考える人たちがふえてまいりました。それから10年たっているわけです。
 しかしながら、一方で、家族滞在の日系人派遣労働者から、最近では単身で暮らすアジアの労働者たち、実際には今の段階では技能実習生が多いですから、労働者というと語弊があるんですけれども、実態として、労働力としてカウントできるような労働者がアジア諸国からたくさん来ていると。今、ちょうど、日系人労働者が減って、そして技能実習生がふえていると、こういう段階に入っています。
 それから、日系人の高齢化と第二世代の台頭ということをここに書いています。これも後で、表でごらんいただきたいと思うんですが、日系人の受け入れが始まったのが1990年、今から約30年前。そのとき二十歳だった人は、今、50歳ですね。そのとき30歳で来た人は今、60歳なわけです。つまり、一世代たつ中で、みずからの意思でやってきた、私は第一世代と言っていますけれども、第一世代の日系人労働者たちは、今、労働市場からだんだんと撤退する局面に立っている。その子供たちの世代が、今、参入しつつある。こういう世代が変わる中で、どういう問題が起きているか。
 さらに、これまで静岡県と言えば、ブラジル人が多いですよねという話だったんです。2008年のころ、約10万人、静岡県に外国人がいて、その約50%がブラジル人でした。現在は約9万人弱、そのうちの三十数%ということで、数自体が減っています。当然、多国籍化が進む中で、言語の対応一つとっても、ポルトガル語をメインにすればいいという状況から、かなり複雑な状況になっている。
 きのうの多文化共生審議会でも、インドネシア人の委員が、もちろん自分の母語だとうれしいけれども、最低限、英語での情報提供がなされれば、例えば先々週の台風のときのような、そういう状況で、いろんな外国人が、情報を得ることができたんじゃないかという発言をされていました。アジア系の増加があります。
 受け入れ政策が大きく変わっていく、その概要とその影響を考えて、新局面への対応を考えたいと思っています。
 特定技能というのが、今、始まっています。実際には、まだ特定技能で、たくさんの外国人が一気にやってきたという局面には立ち至っていません。これから、2年、3年ぐらいが動向の見きわめに、重要な局面なのかなと思いますけれども、今後ふえてくることは間違いないし、それから特定技能を見越して、技能実習等がふえてくることも十分に予想されます。
 そういった中で、「21世紀の三方よし」ということを私は提唱しておりまして、吉林副知事が随分とこれを気に入ってくださって、静岡県も「三方よし」だということで、8月に行った県のシンポジウムでも、副題にこの「三方よし」というのが使われていました。何の三方なのかは、この後、お話ししましょう。
 それから、最後のほうでお話ししますが、グローバル人材の原石は足元にあるということ。グローバル化ということを静岡県も強調しています。ただ、どうしてもグローバル化というと、二つの相異なるベクトルの話に収れんしがちです。つまり、1つは日本人の子供たちに英語を学ばせる、あるいは海外経験を積ませるというベクトル。もう1つは、留学生を呼び込んで、地元の企業で働いてもらうというベクトル。いずれも大事だと思います。しかし一方で、この30年の間に、とりわけこの10年間で、日本の高校を卒業して、日本の大学に進学して、さらに言うと、静岡県を代表するグローバル企業で総合職として働くというような子たちが確実にふえているんですね。つまり、そういうグローバル人材の原石を排除してしまうのか、私たちの地域の仲間として受け入れて、彼らは地域と外国、あるいは地域の中の多様な文化をつなぐ、そういう人材として生かしていけるか、今その分岐点です。
 幸いなことに、我が県の企業経営者たちは、プラスに生かすという視点を持っています。とても心強いです。そういった観点に立って、これからのお話を進めていきたいと思います。
 では、動向、少し数字の話を進めてまいりましょう。
 インバウンドという言葉は、皆さん、毎日のように耳にされると思います。これが昨年実績、3000万人を超える方々がやってくる。この秋もラグビーワールドカップがあって、たくさんの方々がいらっしゃいましたね。私もエコパのそばに住んでいるものですから、日本戦があったとき、行ってみると、物すごい数の方がエコパ周りでビールを飲んでいる様子を目にしました。もちろん、ワールドカップ以外にも、たくさんの方々が日本にやってくる。ただ、きょうお話しするのは、こちらの話です。在留外国人のカード、在留カードというのを持って日本に滞在する方。これは、日本で90日以上滞在する方ということになります。これが約273万人いるというのが、今の日本の状況です。
 こちらのグラフをごらんください。ちょっと小さいんですけれども、ポイントは、出入国管理法改正、日系人受け入れが始まる1988年、100万人を切っていた数が、一旦、2008年、ピークを経て少し減るけれども、リーマンショックや3.11、減るけれども、今、273万人、ふえている。約30年で2.7倍、100万人から270万人にふえているんだという、こういうグラフなんです。
 273万人の人口規模。先日、私、広島県の市長会に呼ばれて、クローズドの会ですけれども、市長さんたちと市役所の担当者との会で話をしました。そのとき、ちょっと広島県の人口を調べてみると、282万人。これ、第12位。第13位が京都府、260万人ですから、今、日本で暮らす在留外国人、273万人、広島県よりもちょっと少ないけれども、京都府も多いくらいの人が日本で暮らしているんだということがわかります。
 1990年、日系人の受け入れが開始。93年、研修を1年やって、技能実習2年を行うという、今の技能実習制度のもとになる仕組みが始まった。2008年、留学生30万人計画というのが出てきまして、2010年には日本語学校で学ぶ就学と、大学や大学院などで学ぶ留学を一本化して留学ビザを出すようになりました。2017年、技能実習法が改正されて、3年から5年に、技能実習でいられるようになりました。ここの右側のカーブを見てみると、非常に急激なカーブになっていることが、皆さん、おわかりと思います。10万代の後半、毎年のようにふえていると、こういう今、状況にあります。
 国別で見てみると、これ、2004年から2018年までなんですけれども、2004年段階を見ると、一番多かったのが青、韓国、朝鮮です。これがだんだんと減って、60万人から45万人になっています。これは、在日のコリアンの方々が多くて、世代を経るに従って、日本国籍を取得したりする人たちもふえています。帰化したりする人ということですね。
 一方で、中国がぐーっとふえて、今、80万人を超えているところです。静岡県を代表するブラジルは、30万人を超えましたが、リーマンショックの後、減って、ただ、最近またちょっと回復曲線になっています。全国で見ると、フィリピンが20万人を切っていたのが、じわり、じわり、じわりとふえている。
 一方、注目すべきはこの茶色ですね。ベトナムがここ数年で急増している。フィリピンを抜きました。こういう状況です。このカーブのままいくと、ことしの、2019年12月末には40万人を超えるんじゃないかと私は思っています。また、地道にですけれども、ネパールもふえていることがおわかりいただけるかなと思います。したがって、外国人といっても、国籍によってかなりカーブの動向が違う。しかしながら、いずれにしてもアジアの人たちがふえているんだということは、おわかりいただけるかと思います。
 次に、静岡県の外国人の推移です。これは小さい表なので、根拠は何といったら、ここにありますよということなので、もう少し落とし込んだものを見てもらいましょう。国籍別で見ていくと、全国、さっき見たように、中国、一番多いんですね。ブラジルは7.4%なんですが、静岡県は約9万人のうち、3分の1がブラジル人。そして、フィリピン人が全国10%に対して18%ですから、約2倍、フィリピンの人たちがいると。全国で急増してきたベトナム。静岡県でも4位になってきていますね。こういった動向が見受けられます。
 在留資格、この話をちょっとしましょう。90日以上、日本にいる人は、何らかの在留資格を得なくてはいけません。それを区分したものがこのグラフなんですけれども、国が発表するグラフは、恣意的な操作はできませんので、多い順に入れます。ただ、私は研究者ですので、私が皆さんにお伝えしたい情報がわかりやすいように、特別永住、永住と、この辺は国と同じですが、その後、ちょっと順番を入れかえてみました。これを見てください。
 まず、永住資格を持つ人が40%います。これ、日本全国ですね。5人に2人は永住資格を持つ。永住資格というのは、国籍は外国のまま、日本でずっと暮らすことができるということです。じゃあ、永住資格にはどんなメリットがあるか。更新をしなくていい。もちろんそうですね。ローンを借りることができる。家を建てるとか、子供を大学に行かせるとかいうときに、ローンを借りることができるという、そういうメリットがあります。
 次に、赤い線で引っ張ってみました。これは、身分資格の合計。身分資格というのは、日本人の配偶者等とか、定住者とか、永住者の配偶者等といって、例えば日系人の二世は、この日本人の配偶者と、あるいは日本人と結婚した外国人もそうです。定住者というのは、日系の三世などですね。こういう人たちは、基本的には住む場所も働く先も制限がありません。日本人の配偶者等や定住者は更新が必要ですが、それの更新は、特に悪いことをしていない限りは可能です。こういう人たちが約54%いるんですね。ヨーロッパの基準で言うと、住む場所が自由で、仕事に制限がない外国人を、ヨーロッパの人たちは移民、と言うわけですね。そうすると、日本では約273万人のうち、半分を超える人たちが、実質的には移民、の形で生活しているんだということがわかります。
 じゃあ、その在留資格。静岡県の特徴を見てみましょう。
 永住者の合計、全国で28%ですが、静岡県をごらんください。41%です。5人に2人ですね、永住者。特別永住は少し少ないです。これは在日のコリアンが多いので、静岡県は日系人などが多いですから、こちらの永住者のほうが多い。定住者、日系の三世など、これも約20%となっています。こういった居住と就労に制限のない身分資格の合計が、全国では54%、2人に1人に対して、静岡県は約72%、4人に3人であると。このことの意味を、ぜひ皆さんと共有したいんですね。つまり、静岡県に住む外国人は、身分資格で、欧米で言えば、特にヨーロッパで言えば移民と言えるような、生活と就労の基盤が日本にある人たちだと、こういう状況があります。
 これはもう少し落とし込んで、国籍と在留資格を掛けた、県が発表しているものですけれども、例えば、ブラジルを見ると、身分資格、永住とかそういうのが99.6%、ほとんど全てです。フィリピンも87.1%、すごく多い。一方で中国は、技能実習もあれば、就労資格もあるし、身分資格もあって、いろいろな在留資格がある。例えば日本の大学を出て働いている専門的な人たちは、この就労資格になります。ベトナムの場合も、留学生上がり、多いですけれども、技能実習が半分ぐらい。それから、身分資格もおります。これは、難民やその子孫ですね。非常にバリエーションが、国籍によってもあるということがおわかりいただけると思います。
 次に、生産年齢を見ていきましょう。ちょっと黒ずんでいて見にくいですけれども、ブラジル人の場合、やっぱり生産年齢人口、約8割ですね。さらに、中国とかベトナム、これは技能実習などが多いもんですから、9割近い生産人口ということになると思います。
 一方で、まだまだ少ないけれども、ブラジル、65歳以上の人たちが約4%でふえてきている。これは、この後、確実にふえていきます。当初、30年前に日系人の受け入れをしたときに、彼らも3年もいれば帰るだろうと思ったんですね。ところが、余り帰らなかった。特に、今、残っている人たちは余り帰らないと思います。なぜか、ファミリーが日本にいるから。つまり、単身ブラジルに帰っても、介護してくれる人がいない。なので、日本に残ると。ブラジル人のお母さんたちも、子育てをして、その子供の面倒をおじいちゃん、おばあちゃんに見てもらう。こういう状況が今、あらわれ始めています。したがって、そう遠くない将来に、外国人を今、私たちは介護人材として、介護する側として期待していますよね。あと10年もすれば、介護される側に回っていく。そういう新たな展開も見えてくるかなと思います。
 それでは、労働者の側面について、少し見てみましょう。
 これは、厚生労働省の外国人雇用状況届出制度によるものです。2007年に始まって、2018年10月末が最新のものです。雇用している人は、雇い入れ及び離職時に届け出をする。氏名や在留資格をハローワークに届け出をします。これは、外国人労働者の雇用管理の改善や再就職支援が目的だということです。永住のうち、特別永住者、外交、公用という人たちは対象になっていません。これを前提に見てみましょう。
 まず、日本における外国人受け入れの大きな枠組み。一番上が、いわゆる専門的・技術的分野と言われる人たち。例えば、経営管理とか、研究とか、こういったもの、イメージわきますね。それから、技術、人文知識、国際業務。これ、略して専門的には技人国、と言いますけれども、例えば静岡大学の工学部を出て、県内企業に就職した留学生。これは技術という資格になります。あるいは、静岡県立大学の大学院を出て、県内企業に就職した文系の学生、留学生、これは人文知識、国際業務というふうになります。こういったものが含まれます。
 それから、技能実習も実はここに含まれるんですね。就労は不可なんだけれども、例えば留学。これは、限定された範囲内ですけれども、アルバイトなどができます。きょう、私、ここに来る前に、駅前に出て、一旦くぐって上がったところのコンビニで缶コーヒー買ったんですけど、2人いたコンビニの店員さんが、2人とも恐らくベトナム人ですね。それはもう、今、日本では日常の光景になってきましたね。就労不可なんだけど、特定の許可で在留ができる、特定活動、ワーキングホリデーとか、今で言うとEPA、Economic Partnership Agreement、EPAで来ている人たちがこれです。在留資格に身分資格で制限がない、活動に制限がない人で永住、日本人の配偶者等などが入ってきます。
 これでもって数字を見てみたいんですけれども、とりわけ身分資格の人たち、定住外国人というのが静岡県ではポイントになってくると。在日のコリアン、日系二世、三世、日本人の配偶者など、日本国籍は有していないけれども、居住が認められて就労の制限がない。こういう人たち、身分資格、ここをちょっと注目して見ていきたいと思います。
 しばしば研究者は、外国人受け入れの3つのドアという言い方をします。フロントドアと、サイドドアと、バックドア。比喩的に言っています。
 フロントドア、玄関。正面玄関。国の政策は、正面玄関から来る外国人はどんどん受け入れましょうと言っています。先ほど見たので言うと、専門的・技術的分野の人たちや特定活動、ワーキングホリデーやEPAなどは国が正式に受け入れるという枠組み。
 次にサイドドア。技能実習はあくまでも技能実習なのであって、労働者じゃありませんという大枠があるわけですけれども、実態としては、中小零細企業の労働者として働いていることは、皆さん御存じですね。資格外活動、留学生のアルバイト、コンビニ、ファミレス、居酒屋などなど。身分資格の日系人労働者。日系人も、建前上は、あなた方、日系人なんだから、日本に来てもいいですよということで、働きに来なさいと言っているわけじゃない。実態としては働いているわけですが、このサイドドア、言うなればこれは縁側。縁側によく出入りしているうちに、気がついたら家に入って冷蔵庫あけてたみたいな、そんな感じ。
 バックドア、裏口。これは不法就労の人たち。これは、正確な数字はなかなか出てきません。出てきませんが、国としてはこの濃い青を歓迎する。サイドドアの人たちが、実質的には日本の労働市場をかなり支えている。バックドアの人たちも、実はいろんなところに見受けられる。こういう3つのドアがあると。
 国は、このうち、フロントドアの人たち、専門的・技術的分野は積極的に受け入れるけれども、いわゆる単純労働者は十分慎重にという姿勢を、88年からずっと崩さずに、30年ほど崩さずにきました。ただ、さすがにこのままでは立ち行かないということで、最近になって少し考えを変えたわけです。
 こちらも、先ほどの厚生労働省の数字を見ていただきたいんですけれども、明らかに右肩上がりで上がって、2018年、146万人の外国人労働者が働いているということが、おわかりいただけるかなと思います。これもちょっと薄いので、もう少し落とし込んで見てみましょう。
 国籍別で言うと、146万人のうち、中国が4分の1ぐらい。韓国、フィリピン、ベトナム、ネパールなどと続いていきます。在留資格で見ると、専門的、技術的分野と特定活動、ここに今、約4分の1弱ですかね。技能実習、資格外活動、留学生のアルバイト、身分に基づくものというふうになっています。
 もう少し要点をまとめていきましょうか。中国、約4分の1で一番多い。ベトナムが22%。アジア系が約4分の3を占めている。ブラジルは8.7%。静岡県にいると、ブラジル人労働者が非常に目立ちますけれども、全国で言うと10%を切っている状況だということです。
 先ほどの在留資格で見ると、フロントドアと書いた専門・技術的分野が19%、特定活動は2.4%、ここまでですね。サイドドアがメインです。技能実習21%、資格外活動、留学生のアルバイト24%、そして身分資格が34%、3分の1と。バックドアは公式の統計にはあらわれないと。
 じゃあ、どういう業種で働いているかというようなことを書いたのがこちらになります。製造業などがやはり多いですけれども、サービス業も結構ありますね。規模別で言うと、小規模なところで働いている人たちが多いです。
 次は、都道府県で見てみましょう。東京都がぶっちぎりで多い。愛知県、大阪府、福岡県などときまして、静岡県は、福岡県と同じぐらい。埼玉県とか、このくらいのレベルになります。
 こちらは、ちょっとまたグラフが小さいんですけれども、静岡県の特色を見ると、身分に基づく在留資格の割合が多いのが、静岡県61.5%、滋賀県59.8%ということで非常に多い。それから、派遣、請け負いでそのやっている事業所で働いている外国人の比率が濃い赤です。そうすると、皆さん、これおわかりいただけますか。例えば、隣の愛知県でも、半分ぐらいしか派遣、請け負いではないんだけれども、静岡県は圧倒的に、ほぼほぼ100%に近い。90%、80%のレベルで派遣、請け負いで働いている人が多い。これは静岡県の特色ですね。
 このデータは、恐らくきょう発表されるデータです。ただ、昨日の多文化共生審議会で出ていましたので、この紙ベースですけれども、ここで使うことを担当課に確認、了承をとって、きょう皆さんにお示ししています。
 静岡県の外国人労働者実態調査、これは企業に対する調査なんですけれども、それで見ると、ブラジル人、正社員が10%弱、非正規社員、これらを合わせて約4割ぐらいかなと、派遣がやっぱり56%と多いと。ペルーもフィリピンも似たような状況だということがおわかりいただけるかなと思います。
 それでは、政策の大転換ということで、お話をしてまいりましょう。
 先ほど見た、このフロントドア、サイドドア、バックドアを数字で入れてみましょう。厚生労働省の2018年の数字で言うと、専門的、技術的分野が27万人、特定活動が3.5万人、サイドドア、技能実習が31万人、資格外が、アルバイトが34万人、日系人などが50万人、こういう規模です。ここに、国が言っている特定技能、5年間で34万5000人入れますよというのを入れると、こういう数字の割合になります。専門的、技術的分野と比べると、それよりも多いし、今の技能実習の数をもう少し上回るくらいの数を受け入れるような数字のボリューム感だということが、これでおわかりいただけるかなと思います。
 じゃあ、その特定技能なんですけどね。ここでは余り詳細な話はしません。いわゆる、単純労働に道を開いたというところがポイントで、技能試験と日本語試験を合格して、5年間滞在できる。そして実際には、技能実習で5年いた人が、5年たって特定技能に切りかえて、さらに5年で、計10年いるという形が多いかなと思います。この話が国会の議論の俎上に乗っかった、ちょうど去年の今ごろは、実は物すごく限られた分野で議論がされていました。農業、建設、宿泊、介護、造船。どんどん追加されて、現在は14分野ということで出ています。その14分野は、国の資料では、横並びでずっと書かれるんですけれども、私なりにちょっとこれ、分類してみました。中学校で習った第1次産業、第2次産業、第3次産業に分けて分類すると、農業、漁業、第2次産業、鉱工業では、こんなふうになっていて、建設と造船、舶用工業は、この後説明する特定技能2号という、もう少し長く働けるようなものですが、2分野に限定されている。第3次では介護が入ってきます。宿泊なんかも入ってきますね。こういったところが特色です。
 少し対比させて書いてみると、特定技能1号というのは、国籍、特定ありません。業務は一定の技能が必要な業務、実際にはいわゆる単純労働。家族は連れてきてはいけません。日本語と一定の技能試験。通算5年。想定される滞在年数は、技能実習5年と特定技能の5年で計10年。14業種に限定される。これは34万5000人と。
 2号というのは国籍、特定なし。熟練技能は必要。現場監督など、少し上のレベルの仕事。家族連れてきてOK。高難度の技能試験に合格する。ここがポイントですね。滞在期間は更新が可能であると。したがって、更新していけば、5年が10年というふうになって、10年いると、永住資格をとり得る条件をクリアすれば、場合によってはここから永住資格をとるという、そういうチャネルも開けてきます。
 しかしながら、さっき見たように、建設、造船・舶用工業ということで、極めて限定されたもののみ想定されていて、しかも2年後に本格導入予定。他業種の受け入れ時期は未定ということで、今すぐはこれ、導入されていません。このことは、何を意味するのでしょう。
 去年の12月あたりに、この法律が成立するときに、皆さん、物すごくたくさん外国人が来ると、特に学校でも、日本語のできない子供が急増が見込まれるというようなことを言いました。現状はどうか。急増していません。なぜか。特定技能2号、開いていないから。つまり、今はあくまでも特定技能1号の単身の労働者を受け入れているだけで、恐らく国は、オリンピック・パラリンピックの後の経済動向を見て、この特定技能2号を本格的に開くのかどうか、様子見をしているだろうと思います。こういう状況です。
 要点をまとめると、こんな感じで、特定技能2号は更新可能で、家族帯同は可能だけれども、まだこれ開いていない。恐らく状況を見て、極めて限定的な運用にとどめるんじゃないかなと私は思っています。ただ、単純労働ということで、外国人の受け入れを開始したのは間違いない事実で、日本の外国人労働者受け入れ政策が、新たな局面に立ち入ったのは間違いないと思います。
 パターンとしては、外国人が国内にいて、留学生などで日本国内で試験を受けて切りかえる人。それから、技能実習を終わって切りかえる人。この二つパターンがあるし、国外にいる場合は、全く新規に母国で日本語と技能の試験を受けて来る場合。それから、かつて技能実習で来ていた人が、一旦帰っているんだけれども、ベトナムやインドネシアなどから無試験でやってくると、特定技能の資格を持ってやってくるというのがあろうかなと思います。恐らく、当面はこの技能実習から切りかえるというパターンが多いんじゃないかなと思います。
 試験は、こんな感じで、決して難しくはないんですね。ただ、これも特に皆さんと共有したい点は、知識や経験は技能試験、業種ごとでなく業務ごと。塗装とか溶接とか、業務の範囲内に限って転職が可である。技能実習制度というのは、ある企業さんに入ると動けません。どんなにマッチングが悪くても動けないんですね。ところが、この特定技能は動けます。動けるんです。したがって、よく言われるように、地方に来たけれど、やっぱり東京がいいやって言って、都会に集中するおそれがあるから、国などもそうならないように言ってるんですね。逆も考えられます。
 つまり、首都圏に来た外国人の特定技能の労働者が、やっぱり首都圏ひどいと聞くと、静岡県は随分いいところで、職場の環境もいいし、人も優しいし、地域ともうまくつながるし、食べ物もおいしいしというふうになれば、東京に来た人が静岡県に来ることも十分あり得る。つまり、争奪戦が始まります。外国人労働者に見向きもされない静岡県になるのか、住んでよし、働いてよしの、知事が言うような静岡県になるのか。今、まさに分岐点なんですね。こういう転職ができるんだということを、ここに来た人が逃げていくチャネルになるのか、ほかに来た人が静岡にやってくるチャネルにするのかは、私たち次第ということになります。
 これ、6月のNHKテレビのキャプチャーですけれども、やっと技能実習から特定技能に切りかえたというのがニュースになるくらいで、4月に制度始まったけれども、まだまだ運用はこれからというところです。
 5月下旬、特定技能350人ほど合格、外食分野でというような記事が5月に出ています。留意点としては、ここに書いたように、適正な雇用、日本人と同等の報酬とか、生活支援するとか、登録支援機関、出入国在留管理庁を国もつくるなどがあります。
 期待される効果は、全体として34万5000人が上乗せになって、全体として350万人ぐらいでしょうかね。ふえていくだろうと。運用の実態としては、当初、アジアの7カ国で日本語の試験を行う予定が、モンゴル、ネパールが追加されて、9カ国で試験を行うということです。
 1号は、4月現在では介護、宿泊、外食などです。今、少しずつ展開していると思われますけれども、どうもその全貌がうまく伝わってきません。特定技能2号は、2021年に本格導入予定、しかも先ほど来の2分野のみということで、恐らく限定的な導入になるだろうと。
 さあ、課題ですけれどもね。ずっと、去年の今ごろからの議論を見ていると、一方の視点からしか、この問題が議論されていなかったことに、私は非常に強い違和感を覚えました。それは、日本社会の、日本の労働市場における労働力不足をどう補うかという企業からの視点です。これが大事なことは、私もよくわかります。よくわかるけれど、一方で、5年とか10年という期間を外国で過ごす、暮らすという選択を、この若者たちはして、日本に来るわけですね。そうすると、アジアの若者にとって魅力的な条件整備が求められるんです。
 もちろん、為替市場というのがありまして、日本の円で給料をもらうことで、母国に帰って物すごく大きなお金になる、これは間違いありません。しかし一方で、札束でほっぺたをひっぱたくようなやり方だけをしていると、見向きもされなくなります。
 1990年代の前半に技能実習で来たインドネシア人たちに、私、直接インタビューしたことがあります。私、実はもともとインドネシアの研究所にいて、インドネシア語ができるんですね。インドネシア語で本音を聞きました。そうすると、やっぱり、少なからぬ人たちが、いや、だまされたというふうに言います。ただ、そのころは、まだ携帯もあるかないかだし、Windowsだって、まだやっと95が出てきたころですね。ただ、今は違います。みんなスマホを持ってる。あっという間に、もう入ったアパートを写メして、インスタグラムに載っけるんですね。会社、こんな感じだよというので、日本国内にいる同朋はもちろん、母国にもその情報は瞬時に伝わります。いや、静岡県、とんでもないことだという情報が世界中に拡散されるのか、静岡県、なかなかいいよという情報が拡散されるのか、大きな分岐点ですよね。
 企業の側は、今度これができて、10年間、アジアの若い労働力が、うちで働いてくれる、だからこれを使おうという視点で思いますが、全く逆を考えてください。アジアの国々から日本にやってくる労働者の気持ちになったときに、ちょうど皆さんが20代半ば。考えてみましょう。これから自分が10年、外国で働く。その10年は、自分のキャリアにおいて、すごく重要な10年ですよね。ここで何を自分は手にするのか、自分の人生の中で、どんな意味を持つのか。そのときに、変わらない仕事をずっと10年って、確かに給料いいけどね。展望のないままに言われた仕事をやるだけの10年を、今アジアの若者たちが選ぶんだろうか。
 アジアも少子高齢化が進んでいます。いわゆる中産階級がふえてきて、大学を出る人たちもふえてきています。以前のような、札束でほっぺたをひっぱたくような働かせ方をしようと思っていると、しっぺ返しを食らうんですね。つまり、さっき言ったように、日本にやってこない。選ばれない、日本という国が。そうなってしまわないように、職場だけでなく地域でも受け入れる。こういう視点が必要になってくるかなと思います。
 社会統合策として、初期適応支援を、静岡県は、かめりあというのを今つくっています。日本語環境の整備も進んでいくでしょう。しかし、こういったお金がつくんですけれども、人材の確保ができるか、地域のニーズをちゃんと把握できているか、ノウハウと経験の蓄積があるかといった課題があります。静岡県は、幸い、この30年間の経験で、日本語と外国語ができる人材、結構います。地域ニーズの把握、日本語に関しても、文化庁から大きい予算をとって、今、調査をしています。国際交流協会などノウハウと蓄積があるので、静岡県はこの点ではアドバンテージに立ってるんですね。
 それで、先ほど申し上げたように、ちょっとこの外国人の気持ちに立ってみて、映像で知っているだけの国で、その国の公用語も片言のまま、きつい現場で5年から10年、単身で働く。故郷を思いこがれて、部屋と職場を行ったり来たりする。日本人の友達もなく、困ったとき、どうすればよいかわからず、キャリアの展望も描けないまま、言われただけの生活、仕事をする、そういう毎日を10年間やりなさいと言ったときに、今のアジアの若者たちは首をひねると思うんですよね。
 日本で議論していると、日本が門を開いたんだから、アジアの人たち、どんどん豊かな日本に来るだろうと思いますよね。ただ、アジアの国々から見たときに、海外の出稼ぎ先は日本だけじゃないんですよ。例えば、インドネシアの若者たちの中では、より手っ取り早く、短くお金を稼ごうと思ったら、どこに行くと思いますか。今だとアラブ首長国連邦、ドバイに行きますよね。にょきにょきビルが建ってますよね。あのビルは、アラブの人たちがつるはし振るって建ってるんですか。そんなわけないですよね。バングラデシュとか、パキスタンとか、インドネシアからの若い労働者が建ててますよ。あるいはシンガポールに行く。韓国で働く。女の子の場合だったら、シンガポール、あるいは香港でメイドさんとして働く。
 いろんな選択肢がある中の1つとして、今、日本が口を開いたということで、比較されています。比べられています。その中で日本にやってくる人たちを、さらに静岡県にひきつけるにはどうすればいいかという視点を持たないと、門は開いたけど来ない。あるいは、当初何回か来るけれども、だんだんと先細りになって、皆さん来なくなる。こういう状況に陥りかねない。
 なので、労働者としての視点に加えて、地域住民として気持ちよく働いてもらえる労働環境の整備や、困ったときに本当に相談できる場所が必要だし、ここで暮らしていいんだと心から思える地域の関係づくりが必要です。職場の中で、それから地域で、ああ、ここにいてよかったなと思えるような、そういう環境に静岡がなれば、外からやってくると思いますね。
 具体的には、ワンストップサービスの充実がそうですけれども、資料を渡して終わりじゃなくて、その後、ちゃんと相談できる場。窓口対応の工夫としては、全ての言語対応は無理だけれども、ICTも活用しつつ、しかし頼り過ぎない。易しい日本語やフローチャート、ピクトグラム、図であらわすなど。それから、何よりも生身のコミュニケーションを工夫するというのは、構えが大事かなと思います。
 日本語教室というのは、外国人にとってサードプレイス、第3の場所になるんですね。職場と家ではない、第3の場所。地域の日本人と出会う場になります。また、生活適応の拠点にもなっていきます。災害時の対応の拠点にもなるんですね。
 東日本大震災のとき、宮城県で外国人の安否確認をするときにどうしたか。県の国際交流協会は、日本語教室をやった人に連絡をとってますね。そうすると、教室そのものが被災していても、やっぱりそこに外国人がやってきて、先生と会って安否が確認できると。こういうような、万が一のときの拠点にもなっています。
 うまくつながれなかった、インドネシア人の例を挙げたいと思います。これ、私、よく皆さんに紹介するんですけどね。これは私のゼミの卒業生で、インドネシア語を大学時代に勉強して、企業でこういったインドネシア人の技能実習生のお手伝いをしていた。彼はもう3年近く、そのころ、技能実習をやって、日本語がすごく上手なんですね。カメラが趣味で、一眼レフのカメラ買って、日本人のおじいさん、おばあさんがいっぱい多い、同好の人たちの会で、月に一遍ぐらい写真を撮ってた。終わるとファミレスで一緒に御飯を食べに行ったと。ところが、道路を挟んで向かいの家の日本人とは、3年間、一言も口をきいてない。どうしてって聞いたんですね。そうしたら、いや、ためらわれますと。日本の方が、私たちを避けているのがわかりますから。そう言って、こんなすてきな笑顔をその人に見せることなく、彼は日本を去っていったんですね。
 確かに、外国人の側と、なかなか接点を持ちにくいんだけれども、ここに距離を置いたまま、メディアの否定的なイメージを投影して、外国人怖いなというようなイメージをつくってしまいがちだと。それを変えるためには、一緒に何かするということで、例えばこれ、磐田の竜洋地区ですけれども、地域のお祭りに技能実習のフィリピン人たちがかかわっていった。これ、企業の社長さんが、地域の自治会長さんにちょっとうまくつないだという事例のようです。
 それから、これは愛知県ですけれども、サーフィンのとき、バディといって、海へ行っている人と、陸で待つ人と、2人一組でやるんですね。そのバディ制度で、技能実習生とバディを組んで、毎日毎日じゃないけれども、例えば一緒に月に1回、お買い物に行くとか、お料理するとか、そんなようなつながりをつくることで、外国人の皆さんが、ああ、私たちここにいてもいいんだという気持ちになる。そんな仕組みを考えているところもあります。
 近江商人の三方よし、皆さん御存じの売り手よし、買い手よし、世間よしですよね。これを、私は企業よし、外国人よし、地域よしというふうに、言いかえてきました。これまでの議論は、どうしてもこの企業よし。特定技能を開くことで、10年間、いろいろ労働者を企業はゲットできるという視点ばかりが強調されたけれども、きょうみたいに、やってくる外国人の側にとっても、日本で10年暮らすことが、自分のキャリアにとってもプラスになるしというような視点を持たないと、なかなか定着しないだろうと。さらに、企業がメリットを得るだけではなくて、地域にとっても、この人たちがいることで、例えば万が一の大きな災害のときに力になってくれるとか、あるいは、コミュニティーの中で、彼らが一定の役割を担ってくれるというような、こういう21世紀の三方よしができるといいなと思っているわけです。
 じゃあ、そこへ向けて、先ほど冒頭で申し上げたように、1990年の出入国管理法改正で日系人がやってきました。そのころ、25歳だった人は、今、55歳です。私、今、56歳なんで、この世代ですね。そのころ生まれた子供、今、30歳になろうとしています。90年、30歳の人、今60歳、もう引退ですね。そのとき5歳の子供は35歳、もう子育て層に入っています。一世代がかわる、こういう中で、今、これブラジル人に焦点絞ってますけれども、大学に進学して、語学力や異文化適応能力を生かすグローバル人材が出てきている。その一方で、極端なところでは、日本語はおろか、ポルトガル語も中途半端。こういう、いわば底辺層のような人たちも出始めている。二極化とは言いませんが、両極が広がっている。
 一方で、高校などを出て、働く若者たちというのも出ています。その姿はここにあるんですね。これ、ちょっとごらんいただきたいと思うんですが、2ページ、3ページ、ごらんいただけますか。彼女は私のゼミ生だった女性です。浜松の市立高校を出て、私たちの大学を卒業して、今、スズキで総合職で働いています。日本語、ポルトガル語はもちろん、英語もよくできる。それから、24ページ、25ページですね。宮城ユキミさん。これも私たちの卒業生。川勝知事がよく話題にする、私たちの大学の卒業式ですばらしい挨拶をしたブラジル人の女性でした。
 こういう人たちが出始めているけれども、この冊子の中には、高校を出て活躍する人たちも出ています。ただ、ボリュームゾーン、一番多いのが、実は日本語中途半端なままで、親世代の出稼ぎスタイルのままでとどまる。間接雇用の派遣労働者。この人たちがやっぱり、現状でも多い。あと、私たちはこの一番下をすくい上げると同時に、下から2番目の層が日本の生活に希望を持って、学び、働けるような、そういう社会をつくっていく必要があるんだろうなと思います。私たちの大学のこの卒業生たちですね。大学に入る人たちがふえていると。
 これ、時間があれば、この映像、ぜひ皆さんに見ていただきたいんですが、きょうは時間がないので、こういった活動をしていた人たちが、今、ロールモデルとして紹介されていますという話にします。
 最後、むすびです。
 アジアの社会も変わっていく中で、今、特定技能という新しい枠を日本はつくりました。しかしながら、日本のその企業のニーズばかりを考えるんじゃなくて、やってくる側の、アジアの若者たちの視点も持って考える必要があるということです。この30年、さっき見たような若者たちが育ってきました。日本人と外国人が接点をどう持つかということを、私たち考えがちなんですけれども、両者をつなぐ存在が静岡県にたくさんいるということを、最後に皆さんと共有したいと思います。
 留学生、たくさんいますね。彼らは外国の文化に詳しいし日本語もできると。こういった人たちだけじゃなくて、実は定住外国人、日本の社会で育って、外国語もできる。こういう人材が1番いい。実は大学が余りない地域は、ここすら、留学生すら余りいない。静岡県は留学生もいっぱいいるし、今みたいな定住外国人の若者たちもいっぱいいる。こういう人たちが両方を知りながらつないでいくというところをうまく進めていきたいと思います。受け入れ企業にとってもウィンになり、外国人にとってもウィンになり、地域にとってもウィンになると、こういう視点を持って、多文化共生の社会をつくっていければなと思っております。
 御清聴どうもありがとうございました。

○植田委員長
 ありがとうございました。
 以上で、池上様からの説明は終わりました。
 これより、質疑に入ります。
 委員の方にお願いを申し上げます。
 質問はまとめてするのではなく、一問一答方式でお願いをいたします。
 それでは、御質問、御発言願います。

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